町山智浩 バージニア州白人至上主義者集会の衝突事件を語る

町山智浩 バージニア州白人至上主義者集会の衝突事件を語る たまむすび

町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』の中でアメリカ・バージニア州シャーロッツビルで起きた白人至上主義者の集会とそれに反対するカウンターの人々の衝突事件について話していました。

The officer stands calmly as a group of white supremacists act out behind him. The provocative scene one Saturday afternoon in #Charlottesville, shot with an iPhone, was shared online with a modest public following but would attract a wide audience. "A picture worth a thousand words," one commenter wrote on Aug. 12, 2017. "A black police officer protecting a group of men who wish him harm. Incredible,” wrote another, prefacing that remark with a question common during breaking news: “Who took this photo?” And when was it taken?⠀ ⠀ The picture went viral in recent days as the Virginia college town was rocked by unrest over the planned “Unite the Right” rally. As intense images emerged of the street clashes between white nationalists, neo-Nazis and Klansmen who faced off against counterprotesters, this one stood out. But as the retweets entered into the tens of thousands, doubts emerged that this image was from Saturday. In the uncomfortable haze of live breaking news it became the latest in a long line of images to be grabbed and shared online without credit or context.⠀ ⠀ And so began a search for the photographer, a hunt that started on Twitter and wound through Google, Reddit and Facebook until stopping on Instagram, where it appeared on the feed of Jill Mumie (@lil_mooms). That's where the story behind this photo begins.⠀ ⠀ Read an interview with the photographer and the officer in the picture on TIME.com.⠀ ⠀ Photograph by Jill Mumie (@lil_mooms)

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(海保知里)さあ、そして町山さん、今日は?

(町山智浩)そのつながりなんですけど。(たまむすびリスナーを試写会に招待する映画)『ドリーム(原題:ヒドゥン・フィギュアズ)』っていうのは舞台が昔のNASA(アメリカ航空宇宙局)で。昔はバージニアっていうところにあったんですよ。

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(山里亮太)はい。

(町山智浩)バージニア州に。で、これは黒人女性たちが1960年代、すごく差別されていた頃を描いた映画なんですけども。やっぱりバージニアは南部なんでね。で、この間の土曜日に惨事が起きたのもバージニア州なんですよ。

(山里亮太)はい。

(町山智浩)で、バージニア州のシャーロッツビルという、これはバージニア大学がある街なんですけども。そこに南北戦争中の南部軍の将軍、リー将軍の銅像がありまして。その銅像を市議会が「撤去する」と決めまして。投票の結果、撤去することになったので、右翼の人たちが怒って、右翼連合の集会をかけたんですね。「Unite the Right(右翼よ、連合せよ)」っていう名前のイベントを(8月)12日にやりまして。で、その銅像のところに集まったんですけども、その時にそれに対抗する人々、カウンターの人々がそのナチとか右翼の人たちに「出て行け!」とやっていたんですが、そこに警官隊が入りまして。

(山里亮太)はい。

(町山智浩)で、その銅像のところに集まっていた右翼たちを(リー将軍の銅像が設置されている)公園から出したんですよ。「出ろ!」と。ところが、その回りは全部カウンターの人たちが囲んでいた形なんですよ。で、混じっちゃったんですよ。

(海保知里)あ、そうなんだ。

(町山智浩)で、強制的に解散させられたわけですから。で、その右翼の1人が自分の車でカウンターのデモ隊に突っ込みまして。地元の弁護士事務所で働いている32才の女性を轢き殺したという事件ですね。

Flowers lie next to a picture of 32-year-old Heather Heyer at a makeshift memorial in Charlottesville, Virginia. Heather was killed after a car rammed into a group of people protesting against a white supremacist rally in the city on Saturday. Heather's last post on social media said," If you're not outraged, you're not listening." Friends and fellow activists have now had those words printed on t-shirts commemorating what she stood for. Her heartbroken mother said, "Heather was about stopping hatred." Nineteen people were also injured in the incident which happened at the end of a "Unite the Right" march. Find out more about Heather Heyer bbc.in/Charlottesville – Photo REUTERS/Justin Ide #charlottesville #virginia #usa

Chilean Global Citizenさん(@gonzaloastudillotapia)がシェアした投稿 –

(海保知里)うん。ひどかった……。

(町山智浩)まず概要はそんな感じなんですけど、いったいなんでこんなことが起こったのか?っていうことがちょっとわかりにくいと思いますので、まず最初のところから説明していきますと……まず、南部の南軍の奴隷制度を守るために戦った兵隊や将軍の銅像とか、いろんな記念碑みたいなものはアメリカの南部各地にあるんですけども。それを撤去しようという動きがずっと続いているんですよ。2015年から。

(山里亮太)はい。

(町山智浩)それが起きたきっかけは、2015年6月に南部のサウスカロライナ州チャールストンというところにある黒人教会に白人のディラン・ルーフという22才の青年が入って銃を撃ちまくりまして。で、まあそこにいた黒人の女性――本当、おばあちゃんなんですけどね――6人と、男性信者3人の計9名を射殺して逮捕されたんですよ。

教会銃乱射事件、21歳の男による「ヘイトクライム」が原因か
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(海保知里)はい。

(町山智浩)で、その時までずっとそのサウスカロライナ州では南軍旗を公共の建物の星条旗とかが並んでいるところに掲げていたんですね。つまり、南軍旗っていうのは、すごく面白いのは星条旗と南軍旗があるんですけど。南軍旗っていうのは南部連合っていうアメリカから勝手に独立した南部の州の、別の国家の旗なんですよ。

南軍旗

(山里亮太)ふんふんふん。

(町山智浩)で、それは戦争で負けているわけですけども。アメリカ合衆国に負けたわけですが、なぜが南部の人たちはいまだにその旗を掲げ続けていたんですね。特に公共の建築物、市庁舎とかそういったところにも掲げていたんですけども、これをやっぱり見直そうということになったんですよ。黒人に対する虐殺事件が起きたので。

(山里亮太)はい。

(町山智浩)で、こういったことはよくないよと言っても、黒人を奴隷化していたことを守っていた国の旗を掲げていると整合性がなくなっちゃうじゃないですか。「黒人を差別しちゃいけない、虐殺しちゃいけないんだ」って言いながら、なんでその旗をまだ掲げているの?っていう話になるので。で、そのサウスカロライナの州知事はその頃、ニッキー・ヘイリーさんという人で。この人はいま、トランプ政権の国連大使の女性ですね。が、議会に呼びかけて、「うちの州は南軍旗を撤廃しましょう」っていうことにしたんですよ。

(山里亮太)うん。

(町山智浩)で、ニッキー・ヘイリーさんは共和党なんですけど、この人はインド系の女性です。で、それがきっかけで南部の各市とか州が自分のところにある、南軍をいまだに賞賛し続けているようなものが公共の場所に置いてあるものを見直すことになっていったんですよ。つまり、これっていうのは奴隷制度を清算していない、克服していないっていうことだから。で、問題化していったのはリー将軍という南軍の将軍の銅像なんですね。

(山里亮太)うん。

(町山智浩)これは各地にあるんですけど、どうしてあるか?っていうと、リー将軍っていう人は黒人の奴隷制度っていうものに反対だった人なんですよ。南軍なんですけど。

(海保知里)変ですね。

(町山智浩)「自分は南部の人間だから南部のために戦うけど、でも個人としては奴隷制度に反対だ」という人だったんですよ。だから、南軍のきれいなイメージを象徴する人なんですよ。

(山里亮太)はー。

(町山智浩)だから「南軍は間違っていなかった。南部は間違っていなかったんだ」っていう人たちがシンボルとして押し出して来るのがリー将軍なんですね。「いい人じゃないか」っていうことなんですよ。だから、「南部が黒人奴隷制度を守るために戦ったんだ」って言うことを隠蔽するために使われるんですよ。リー将軍っていうのは。

(山里亮太)はー。なるほど。

(町山智浩)「この人は、反対だったよ」っていうことで。だから、各地にあるんですけど。で、それの撤廃が各議会で進んでいって、まず最初にニューオーリンズ市がもうすでにこれを撤去したんですね。ニューオーリンズっていうのはご存知のように、台風(ハリケーン・カトリーナ)で大変な被害を受けた時に、住民のほとんどが黒人だということが報道されましたよね。

(海保知里)はい。

(町山智浩)ニューオーリンズというのは奴隷を連れてきて、売り払うところだったんですよ。奴隷市場だったんです。ここにアフリカから連れてこられたんですよ。だからすごく悪い伝統があるんですよ。その黒人奴隷制度に関しては。それでいて、ジャズの発祥の地で。黒人を奴隷として売っていた場所なのに、(黒人が作り出した音楽である)ジャズで稼いでいる市なんですよ。黒人の遺産で。だからそれは非常によくないことですよね。

(山里亮太)うん。

(町山智浩)で、あと南部ではすごく共和党が昔からずっと強いんですけど、ニューオーリンズは特に台風の被害を受けたこともあって、もともと黒人が多いこともあって、リベラルなんですね。で、議会が撤廃することにしたんですよ。リー将軍の銅像を。で、それに続いて今回の事件が起こったシャーロッツビルというところで議会が銅像の撤廃を決定したんですよ。という、流れなんですよ。

(海保知里)ええ、ええ。

バージニア州という土地

(町山智浩)そしたら、ここが面白くて。バージニアという州はもともと奴隷制度をアメリカで最初に始めたところなんですよ。アメリカってピューリタンと言われている白人の清教徒。キリスト教で弾圧された人たちがアメリカに来たと思われていますけども、その人たちが来たのはマサチューセッツの北の方だけなんですよ。南部の方に入ってきた白人はバージニアから入ってきたんです。南部の方に来た白人は宗教的理由は全くなくて、カネ目当てなんですよ。その人たちがバージニアにいちばん最初に入植して始めたのが、奴隷輸入だったんですよ。だから最初から、あまりよくない人たちなんですよ。

(山里亮太)はー!

(町山智浩)で、だから南部と北部では、入ってきた白人の目的とか動機が決定的に違うんですね。アメリカに入ってくる。で、バージニアから南部の人たちは広がっていったんですけども。だからもともとピューリタンでもなんでもないんですよ。彼らは。

(海保知里)そうなんだ。

(町山智浩)で、南北戦争でも南軍に入ったんですが……その後も、1920年代にKKK(クー・クラックス・クラン)というアメリカの反黒人の白人至上主義グループがすごく巨大化していくんですけども。特にバージニアはバージニア大学がKKKの巣みたいになっていたんですよ。

(山里亮太)へー。

(町山智浩)で、もともとすごく人種差別的なところなんですね。そのシャーロッツビルは。ただ、最近どんどん変わっていってったんですよ。

(海保知里)変わってきた?

(町山智浩)アメリカの大都市で大学があるところは大抵そうなんですけど。まず、そういうところはマイノリティーの人が多いんですね。あと、大卒が多いんですよ。あと、産業とか就職先も非常に知的な産業が多いんですね。たとえば、このシャーロッツビルはいちばん中心になっているのはバージニア大学医学部の病院なんですよ。いちばん巨大な産業が。

(海保知里)へー!

(町山智浩)そういうところは多いです。アメリカは病院がひとつの巨大な産業になっているんですよ。かなり多くの都市で。ピッツバーグとかもそうですよ。要するに、ハイテクですからね。

(海保知里)そうか。ええ、ええ。

(町山智浩)で、もうひとつ、だからすごく大卒でマイノリティーが多くて知的産業が中心になっていくとどうなるか?っていうと、右翼的な傾向が政治から消えていくんですよ。

(海保知里)あ、消えてくるのか。

(町山智浩)だって、投票をする人たちがインテリとマイノリティーになっていくと、だんだん右じゃなくなってきますよね。だから、テキサスなんかでもテキサス大学のあるオースティンなんてところはいつも民主党が勝ち続けるんですよ。で、ニューオーリンズもそうだし。で、このシャーロッツビルももういま、完全に民主党なんですよ。で、今回の事件を解決するために動いた警察署長も黒人ですし。ここは人口の20%が黒人なんですね。

(山里亮太)うん。

(町山智浩)で、市長も州知事も民主党です。だから、バージニアというのは南部だけれども、少し州としては違うんですよ。で、バージニア州自体も大統領選ではヒラリーが勝っています。

(山里亮太)ふーん!

(町山智浩)そういう中で、もともと右翼的だった人たちというのはどうしているか? というと、非常にマイノリティー化していっているんですよ。そのバージニアでは。特にシャーロッツビルではね。だから、彼が……今回、(集会の)招集をかけた人はシャーロッツビルに住んでいる男なんですけども。(ジェイソン・)ケスラーってう男なんですが。「ケスラー」っていう名前がドイツ人丸出しなんですが。

(海保知里)そうですね。

(町山智浩)で、彼が「リー将軍の銅像が撤去されるからアメリカ中の右翼よ、集まれ!」とネットで呼びかけたんで、こういう事態になっちゃったんですよ。

(山里亮太)はー!

(海保知里)それであんだけの人が集まったということなんですか?

(町山智浩)そうなんですよ。で、このケスラーという男は最初は「銅像のところにみんな、集まれ!」とやったんですけど、州とか市は大変な事態になるということがわかったから、それを最初、使わせないようにしたんですよ。で、(集会に)使用許可を出さないで、「ちょっと街の中心部から離れた広いところだったらいいよ」っていう風に言ったんですよ。こういう事態になることを警察は予測したので。そしたら、そのケスラーという男は裁判所に行って「これは言論の自由の侵害だ」と言って裁判を起こしちゃったんですよ。

(山里亮太)うん。

(町山智浩)で、勝っちゃったんで、市が反対したにもかかわらず、市の中心部でこの集会が行われたんですよ。だから、最初から市と州は「来るな!」と言っていたんですよ。で、来ちゃったんですけど、その時に来た連中が、そこに写真があると思うんですけども、完全武装をしているんですね。

(海保知里)いま手元にある写真だと、そうですね。

(山里亮太)軍みたいな。

(町山智浩)もう完全に、いわゆるAR15という強力な軍用の銃(アサルトライフル)を持ってきて。もう、大量虐殺できる状態で来たんですよ。

完全武装した人々が集まる

(海保知里)恐ろしい……。

(町山智浩)だから市と州は非常事態宣言を出したんですね。これはもう地元警察だけでは対応しきれないと。だから、非常事態宣言っていうのは「援軍を呼ぶ」っていうことなんですよ。そういう事態になって、でもこの銅像からは引き離そうということにして動かしたら、こういう事態になっていたんですよ。

(海保知里)そういう流れがあったんですね。

(町山智浩)そういう流れなんですよ。で、トランプ大統領が非常に問題視されているのは、この事件があったにもかかわらず、「今回の事件はどっちも悪い」というようなことを言ったんですね。

(海保知里)そんな報道をされていましたね。

(町山智浩)「いろんな側が悪い」って言って。それで非常に問題になったのはどうしてか? というと、その集会に集まっていた右翼の人たちが「ハイル・トランプ! ハイル・トランプ!」とかやっていましたからね。

「ハイル・トランプ!」

(海保知里)「ハイル」!?

(町山智浩)トランプの問題なんですよ、だから。この中ですごく面白いのはKKKの元リーダーで非常に有名なデビッド・デュークという男がいて。トランプの支持をずっと表明していたKKKのリーダーなんですけども。いまも主導的にね。その彼がその右翼集会の現場に来ていて。で、マスコミに対して、「この集会はトランプの約束を実現するための集会だ」って答えているんですよ。

(海保知里)「トランプの約束」?

(町山智浩)「この集会は我々がトランプに投票した意味なんだ」っていう風に説明しているんですよ。

(山里亮太)ええっ?

(町山智浩)だから「トランプは我々白人の地位を取り戻してくれるんだ。だから我々はこうやってやっているんだ」という、トランプのためにやっているんだということをそのKKKのリーダーが言っちゃったんですよ。だからトランプは絶対にこれを否定しなきゃならなかったのに、否定しなかったからみんなに「どういうことなんだ!?」と。で、「いままでさんざん、あらゆる人を攻撃して叩いていたのに。CNNとかヒラリーとか、片っ端から叩いているのに、なぜその右翼団体だけは叩かないんだ?」っていう話になっていったんです。

(海保知里)ふーん!

(町山智浩)「話がおかしいじゃないか。なんでそっちだけバランスを取るんだよ?」ということになっていったんですよね。ただ、彼としては非常に立場が難しいのは、このデューク自身がこう言っていて。「トランプは誰のおかげで大統領になったと思っているんだ?」と。要するに、「我々右翼や白人至上主義が投票したから、勝てたんじゃないか!」っていう風に言っていて。だから、トランプは否定できなかったんですね。

(海保知里)なるほど。そうですね。

(町山智浩)ということで、最終的にはしたんですけどね。つい、こちらの時間の昼にやっと、「白人至上主義者はよくない。邪悪である。彼らのやったことなんだ」という風に言ったんですけども……また言った後にツイートで「ほら、言ってやったぞ! それなのに俺のことをゴチャゴチャ言うな!」ってまた余計なツイートをしているんですよ(笑)。

(海保知里)またそんな……ねえ。

(町山智浩)言わなきゃいいのにね。というね、事態なんですけど。すごく悲しいのは、この犯人の子なんですよね。これ、ジェームズ・アレックス・フィールズっていう子で、車で突っ込んだんですけど、この人はお父さんを交通事故で亡くしているんですよ。

(海保知里)ええっ! そうなんですか?

(町山智浩)酔っ払い運転の車にひかれて、彼が幼い頃にお父さんが亡くなって。で、その後にお母さんの女手ひとつで育てられて。それで、あまりお金は当然なくて。高校を出てすぐ、2015年に陸軍に入っているんですよ。で、お母さんはホッとしていたんですけど、わずか3ヶ月ぐらいで軍隊を辞めちゃっているんですよ。なんで辞めちゃったのかはわからないんですけどね。

(海保知里)うーん……。

(町山智浩)だから、もう明らかにこういう非常に打ちひしがれて居場所がない人がこういった右翼団体に吸い込まれていく形になっているんで。で、ドナルド・トランプ大統領のいちばんよくないところは、彼自身が全く人種差別主義者じゃないところなんですよね。彼っていままで、超金持ちでお坊ちゃんで育てられてきて、差別的な意識なんか育つわけないじゃないですか。いいことしかないんだから。

(山里亮太)そうですよね。

(町山智浩)そう。彼は完全に……2000年頃に大統領選に出ようとした時は「人種差別はよくない」ってはっきりと言っていたんですよ。でも、選挙に勝つために差別的な人たちの気持ちを利用したんで。そういうところもすごく、本当にズルい感じがしてすごく困るんですけど。ただ、今回こういう事件があってね、じゃあ他にあったリー将軍の銅像はどうなるか? というと、こういう事件がありましたので各市一斉に撤去に向かっています。

(山里亮太)へー!

(町山智浩)はい。すでにトヨタの工場があるレキシントンというケンタッキーの街では銅像撤去に向かっていて。あと、ボルチモアでも銅像撤去。逆効果でしたね。完全に。

(海保知里)ねえ。そういう風に流れちゃった。

(町山智浩)はい。「なにをやっているんだろう?」というね、気がします。ちなみに、そのシャーロッツビルの銅像撤去を言い出した人というのは、この副市長なんですよ。副市長の人はウェス・ベラミーという黒人なんですよ。だから、すごくこのシャーロッツビルだったりバージニアは変わっていっている中で起こったことなんですよね。住民たちが自分たちの意志でそういったものを変えていこうということだったのに、そこに関係ない人たちがゾロゾロと来たんで。だから州知事が「出て行け!」っつったんですよ。「お前ら、愛国者じゃねえよ。出て行け!」って言ったのは、当然そうなんですよね。住民としては。

バージニア州知事のコメント

(海保知里)うん。

(町山智浩)という流れだったんですけど。まあ、日本ではわかりにくかったですね。はい。

(海保知里)すごくよく今回の流れがわかりましたね。はい。ありがとうございました。今回はシャーロッツビルで起きた事件について、おうかがいしました。

<書き起こしおわり>

町山智浩 バージニア州白人至上主義者集会の衝突事件を語る

言葉足らずだったので追記です。南部入植は清教徒でなくバージニア会社によって営利目的で始まり、徹底的に先住民を略奪、虐殺し、黒人奴隷制度も始めました。そんな過去を住民は克服しようと努力しているわけです。

2017/08/17 03:22

たまむすび
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