菊地成孔 ピコ太郎『PPAP』と美川憲一を語る

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菊地成孔さんがTBSラジオ『粋な夜電波』の中でピコ太郎の『PPAP』についてトーク。ピコ太郎の美川憲一さんと共通する存在感や、『PPAP』のサウンドについて話していました。



(菊地成孔)まあ、でもあれ(星野源『恋』)とてさ、11月、12月のドラマかなんかよね。

(中村ムネユキ)そうですよね。

(菊地成孔)だから滑り込みで……っていう感じじゃない? だけど、動画再生……あ、今年のブライテストホープは誰を差し置いてもピコ太郎だよね?

(中村ムネユキ)まあ、そうですよね。『PPAP』。

ピコ太郎『PPAP』



(菊地成孔)『PPAP』、賛否真っ二つっていうか。「えっ、あれのどこが面白いの?」っていう人と、「死ぬほど面白い!」派と分かれますけども。どっちですか?

(中村ムネユキ)いや、面白いと思いますよ。

(菊地成孔)面白いよね? 俺、最初に見た時に「こんな面白いものがあるのか!」って(笑)。

(中村ムネユキ)そこまで?(笑)。

(菊地成孔)俺さ、流行りモノに弱んだよ、すごい(笑)。

(中村ムネユキ)いや、知ってますけど(笑)。

(菊地成孔)なんかさ、すっごい良心的で良識的で知識があって。「相当菊地さんのお眼鏡にかなうのって大変なんですよね」とか警戒されたりするけど、今年いちばん好きな曲はピコ太郎だからね! で、いちばん踊った曲は『恋』だからさ(笑)。売れているもんが好きなだけっていう(笑)。あれ、面白いよね!

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(中村ムネユキ)面白いですよね。

(菊地成孔)サウンドがニューウェーブなのが面白いよね。「ピッポッピッポップッコッピッポッ……♪」とかっていってさ。使っている機材がローランドの……まあローランドじゃねえかもしんないけども。ソフトシンセかもしれないけど。70年代後半っぽいサウンドで。あと、故ナンシー関さんっていう、私と同い年ですね。生きていれば今年53になるのかな? ナンシー関さん、非常に優れた昭和、平成を駆け抜けたエッセイストですけども。が、美川憲一さんに関してね、美川憲一さんがタレントとしてどうして優れているか?っていうことを分析していて。その結論がね、「ゲイなのかどうか、はっきりさせてない」っていうのがあってね。

(中村ムネユキ)ほう。

(菊地成孔)もう「オカマちゃんですよ」って言っちゃうと、そのグループじゃない? で、「全然違って見えるけど、そうかも?」って言われるのは、結局都市伝説化するじゃない? それに対して美川憲一さんはもう口調は女口調だしさ。だけど、オカマちゃんかどうかっていうことに関する一線を踏み越えてないよね。

(中村ムネユキ)うんうん。

(菊地成孔)まあ、歌い声とかいろんなあらゆる情報を網羅して、完全にこっちでもないし、完全にこっち(を隠している人)でもないというようなボーダーに立っているから、そこの震える感じが魅力的なんだってナンシー関さんが言ったの。で、さらに言うと、その決め手になったのは髪の短さだっていう話なの(笑)。

(中村ムネユキ)(笑)

(菊地成孔)あれは――当時の、昭和の――ゲイの人の短さでもあるし、反対側の
人(オナベさん)の人の短さでもあるので。やっぱり美川憲一さんはボーダーを取っているんだっていう話になって。で、メイクをしているけど、それは女装ではないし……っていう感じで。上手いこと言うな! さすが名エッセイストだと。そこで思うのは、やっぱりピコ太郎っていうのは美川憲一さんのルックスを継いでいるっていうかさ(笑)。

(中村ムネユキ)(笑)。衣装がですか?

美川憲一のルックスを継ぐピコ太郎

(菊地成孔)いやいや、髪型もさ、あの長さが遠目で引きで見た時の頭の印象が美川ヘアーに近いっていうのと、壮年になってからの美川憲一さんのちょっとふっくらされた上にたっぷりしたサテン地の服を着るっていうところがちょっと似ていて。やっぱりボーダーにいるっていうかさ。要するに、ジャンルに完全にINした人の力のあり方と、ジャンルからOUTした人の力のあり方とがあるんだけど、ボーダーに立っている人の力のあり方ってあると思うの。

(中村ムネユキ)なるほど。

(菊地成孔)ピコ太郎はね、ボーダーに立っているよね(笑)。

(中村ムネユキ)すごいな。そこまで分析していたんですか?

(菊地成孔)分析っていうか、パッと見た瞬間に思ったことなんですけどね。最初俺ね、フィリピンかなんかのラッパーの人だと思ったの。

(中村ムネユキ)本当ですか?(笑)。

(菊地成孔)うん。最近ね、クィアラップっていって、女装というかゲイを……やっぱり北米でヒップホップはまだまだゲイはご法度な、差別が残ってる世界。だけど、クィアラッパーってもう完全にオカマちゃんキャラでラップするっていう人たちも出始めているの。



(中村ムネユキ)うん。

(菊地成孔)まだまだね、スタジアム級とかじゃなくてファッションショーでやっていたりするんだけど。そういうような感じのアジア版っていうようなところもある、ギリギリオカマちゃんかどうかの曖昧なところの、フィリピンぐらいの人なのかな?って思ったらさ、ボキャブラ天国のあの人だったということを知り、後から驚いたんですけども。まあ、その2曲だよね。星野源さんだってさ、言ってみればインサイドでもアウトサイドの人でもない、ボーダーの人じゃない?

(中村ムネユキ)はいはい。

(菊地成孔)とはいえさ、今年の紅白は出るんでしょう? 2人とも出るんだっけ?

(中村ムネユキ)知らないです。っていうか、明日っていうことですよね。

(菊地成孔)あ、出る? ピコ太郎も出る? いま、サブから「出る、出る! 出る、出る!」って強いうなずきが出てきましたけども(笑)。なんの自信でしょうか、あれは(笑)。自社がやっている番組でもないのに(笑)。

(中村ムネユキ)(笑)

(菊地成孔)出るわけね。ピコ太郎、星野源さんが出るわけですけども。だけど、1年を通じての動画再生数はピコ太郎さんを除くと『PERFECT HUMAN』なわけよ。『PERFECT HUMAN』、知ってる?



(中村ムネユキ)わかります、わかります。お笑い2人組の。名前をいま、失念していまいましたけども。

(菊地成孔)「お笑い2人組の」ってすごいな(笑)。ほとんど2人組だからね(笑)。も、出るの。それがね、再生回数がすごい高いの。あれも『韓流最高会議』っていうこのK-POPをやる番組ではPSYの『江南スタイル』と似ているってさ……

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(中村ムネユキ)似てますよね。

(菊地成孔)でも、エレクトロだったらあれ、どうやってやったって似るよね? ブレイクして一言いうしかないじゃん?

(中村ムネユキ)たしかに(笑)。

(菊地成孔)だって、「ゴーストバスターズ!」だってそうじゃん(笑)。だから、あれを端的にすぐにPSYと結びつけてしまうっていうのは視野狭窄っていうかね。エレクトロを作ったら、ああなるよ。結局……っていう話をこの間、番組でしたんだけど。だから似ちゃうから、『ゴーストバスターズ』は『ゴーストバスターズ』裁判が起こったわけですよね。

(中村ムネユキ)たしかに。

(菊地成孔)えー、最後に駆け込みで今年の総括をしてしまいました(笑)。10分ぐらい、今年の総括をしたよね(笑)。

<書き起こしおわり>

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