宇多丸とダースレイダー 改正風営法施行とクラブ終夜営業を語る

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ダースレイダーさんがTBSラジオ『タマフル』に出演。2016年6月23日に施行された改正風営法でクラブの終夜営業が可能になった件について、宇多丸さんと語り合っていました。



(宇多丸)さあ、ということでここで10時台、特別にお客様をお招きして。今週ならではのタイムリーな話題をうかがっていきたいと思います。金にならない活動でお馴染みのラッパー、ダースレイダーさんでーす!

(ダースレイダー)はい、どうも。こんにちは。

(宇多丸)相変わらず、金にはなってませんか?

(ダースレイダー)はい。あの、前回THE BASSONSっていう僕のバンドのアルバム発売のタイミングで呼んでいただいたんですけども。

(宇多丸)来ていただきました。

(ダースレイダー)で、3ヶ月たって、「あれ? 発売してたっけな?」っていうぐらいの反響しか……「発売、忘れてたかな?」みたいな。反響のなさが……

『タマフル』で告知しても反響なし

(宇多丸)えっ、この番組でも一応、やったのにな。

(ダースレイダー)「まだ発売してなかったっけ?」みたいな(笑)。

(宇多丸)この番組で紹介すると、一応そこそこ話題になったりするものよ。

(ダースレイダー)なんかそんな噂を聞いたから来たのに……

(宇多丸)本なんてすごい、それこそ高い本でもガンガン売れるとか、そんな評判になるぐらいですよ。

(ダースレイダー)だからライブを見た人が「アルバム待っています」とか言ってくるんですよ(笑)。

(宇多丸)(笑)。それはさ、私どもの番組の力不足、もしくは私の紹介の力不足もあるかもしれないが……これ、ダースくんね。自分のなにか……(笑)。

(ダースレイダー)(笑)

(宇多丸)自分の中のなにかを(笑)。

(ダースレイダー)見つめなおせと(笑)。

(宇多丸)お前の中のなにかではないのか?っていう(笑)。

(ダースレイダー)ちょっとサングラス取れ! と?(笑)。

(宇多丸)わかんないけどね。まあぜひ、THE BASSONS。バンドスタイルで始めたんだよね。

(ダースレイダー)はい。いまツアーを実はやっていて。アルバムも実は、出てます!(笑)。

(宇多丸)『WE ARE THE BASSONS』。後ほど、曲も聞こうと思いますが。いや、でもすごいかっこよかったですから。ぜひぜひみなさんね、出てますからね。

(ダースレイダー)出てますよ!


(宇多丸)こちら、チェックしていただきたいんですけども。本日、お越しいただいたのはですね、この番組でも何度かご報告いただいていた風営法(風俗営業法)。要するに我々にとってはクラブ営業ですね。クラブの終夜営業の問題。こちらの風営法の改正というのが今週の木曜日。23日になんと改正風営法がついに施行されましたということで。

(ダースレイダー)施行されました。

(宇多丸)ひとつの、ある意味区切りに。

(ダースレイダー)そうですね。4年前ぐらいから、実はこの問題にかかわっていたんで。気づいたら4年。

4年前から風営法とクラブ深夜営業問題にかかわる

(宇多丸)いやー、これちょっと、一応おめでとう! じゃないの?

(ダースレイダー)まあ、そうですね。

(宇多丸)おめでとうございます。よいしょ~!(拍手)。

(ダースレイダー)ありがとうございます。ただ、実はそんなに僕ははしゃいでいないっていうのもあって。それはまあ、巷でもいろいろ言われてるんですけども。やっぱり法律っていうものはあくまでも表層的なものであって。まあ、大枠っていう考え方でしかないので。中身をどういう方向に持っていくか?っていうのは、これからが実は大事だぞっていう。それをむしろ、みんなで考えようっていうタイミングが6月23日なのかなと思っていて。

(宇多丸)なるほど。

(ダースレイダー)まあ、もともとやっていたことじゃないですか。僕や宇多丸さんにしてみれば。だから別に悪いことだと思ってやっていたことでもないわけで。でも、それがじゃあドン! と勝負できるんだったら、どう勝負するの?っていう。もともとこれ、自分がいいことだと思ったり、楽しいことだと思ってやっていたのを、じゃあどうみんなにプレゼンするんですか?っていうのを問われるタイミング。

(宇多丸)ああー。

(ダースレイダー)いままではだから、「どうせみんな認めてねえんだろ?」っていうのがパワーになっていたけど。

(宇多丸)ある意味、日陰者としてのあれで来たけど、完全に公に認められる立場に。

(ダースレイダー)もうみんなが「じゃあ、やっていいよ」ってなった時に「どうするの?」って言われているようなものでもあるので。そこをちゃんとやりたいなとも思っているっていう。

(宇多丸)ふんどしを締め直すタイミングということですかね。具体的には、どういう風に改正されたのかというあたり、改めてちょっと。これ、ダースくんの方から説明していただいて。

(ダースレイダー)まあ、実際ですね、オールOKということではなくて。一定の条件の中での朝までの営業が可能になって。で、それに関しては各都道府県の条例なので。「ここでやっていいよ」とか決められた場所で。で、これは実は、以前決められている条例をそのままスライドさせている地域が多く。だから実際には、そういったお店があるにもかかわらず、そこに条例が指定されていないため、許可が下りない場所だったりっていうのもあるんですね。

(宇多丸)ああー、なるほど。

(ダースレイダー)だから、そういった意味での法の整備っていうのはまだまだ必要で。実態を全部調査して、「ここにこういう店があるから、ここで……」っていうことまでは、実は時間的にやれてなくて。なので、そういった意味でもこれからどうするんだ?っていうのをいろいろ考えることがあるんですけども。まず、内容として朝まで、お酒を提供し、そしてダンスをお客さんにさせる場所というものがありますよ。合法的にできますよっていうことは確実に認められたと。

(宇多丸)さっき言った「大枠」ですね。本当にね。

(ダースレイダー)で、それ自体はもうやっていいってことになるから。それ自体は悪いことでもないし、法律の中からダンスっていう言葉、ダンスっていうものを使って規制するっていうものもなくなったので。まあそこで、ちょっと世間の常識っていうものを……まあ、そういった場所も、夜に遊ぶ人もいるんだな、夜に生活している人もいるんだな、夜に生まれるアートだったり表現っていうものがあるんだなっていうことが理解されるようになってくるのかなと。

(宇多丸)うんうん。

(ダースレイダー)で、それの方が大事であって。法律の内容っていうのは、これから段階を踏んで一歩ずつ。穴を見つけたらふさぐ、穴を見つけたらふさぐっていうのを繰り返さなければいけないと思うんですけども。

(宇多丸)その大筋でね、いわゆる音楽を聞いて何かをやるっていうことが悪じゃないという常識というののベースがまず、スタートラインができたっていうことですね。

(ダースレイダー)これはリチャード・ドーキンスさんっていう人が本で書いていた時代精神のアップデートっていう考え方で。これ、要は30年前の常識って、それこそ男女差別だったり、マイノリティーへの差別だったり、全然いまと違うじゃないですか。

(宇多丸)そうだね。

(ダースレイダー)でも、世界的に見ても、みんな気づけば、考え方が変わっていて。

(宇多丸)そうだね。で、気がつくと、「そういえば、よくあんなこと有りになっていたよね」って。

(ダースレイダー)「あんなこと、よく言っていたよな」とかいうのはいっぱいあるんですね。これも、ことクラブに関しても、いままでは「夜は寝るもんだ」とか、「別に音楽なんてなくたって死なないんだから。夜、無理して聞く必要ないじゃん?」とか。

(宇多丸)ケーダブ(K DUB SHINE)が言ってましたけどね。「夜は寝たほうがいい」って(笑)。

(ダースレイダー)ええと……(笑)。あの人はまあ、寝てる派だと思うんですけど。

(宇多丸)(笑)。寝てる人もいれば、起きている人もいていいじゃないという。

(ダースレイダー)そう。大事なのは、寝ている人がいるっていうことを、遊んでいる人たちがいままでは逆に、「どうせ俺ら、日陰者だからよ」っていうことで。夜、寝ている人がいるっていうことを考えてなかったんですね。

(宇多丸)その、だから、近所迷惑みたいなことも。

(ダースレイダー)そうです。要は、夜遊ぶ人がいれば、夜寝てる人もいる。で、昼仕事に行く人もいれば、昼に家に帰る人もいる。この両方の昼の12時間と夜の12時間っていうのがお互い存在していて。お互いを尊重するっていう常識にこれからアップデートされていければ、ひとつ、この法の意味はすごく大きいと思うんですよね。

(宇多丸)すごいね。でも、そう考えるとすごい、結構大事な話だね。単に夜、遊びたいっていうだけじゃなくて。

(ダースレイダー)そう。いままでダメだったのがOKになってはしゃぐっていうよりは、もともと昼と夜っていうのがあって。特に1日っていうのは24時間の1個の日っていうよりは、昼の12時間と夜の12時間っていう2つの文化圏、生活圏、経済圏があって。で、お互いに影響して、お互いのことを尊重して、街とか社会とかを作っていくっていう風にこれからシフトが変わっていくっていうタイミングにしていければいいかなって思っているんですよね。

(宇多丸)でもいろんな意味でね、それこそ俗っぽいことで言えばさ、経済的にだって、それこそ2倍2倍!っていう。

(ダースレイダー)そうなんですよ。

(宇多丸)絶対にいいはずだし。

(ダースレイダー)働き口も、そういう意味で合法な施設なわけですから。普通に就職して、そういった場所で仕事をするっていうことも可能になるし。特に日本ってコンプライアンスとかがね……『フリースタイルダンジョン』のせいでコンプラ、コンプラっていうのがうるさい国だと言われてますけども、まあ合法な場所にはいくらでも投資ができるわけで。そこにチャンスがあったり、そこに才能があったら、そこに投資する人たちも出てくるであろうと。だからそういったポジティブなことも考えられるし。まあ、日本以外の国では、もともと夜っていうのはそういう場所であったから。まあ、そういった夜、他の国でやっている文化だったりとのつながりとかも今後、できてくるんじゃないかなとは思っています。

(宇多丸)はい。あと、あれですね。ちょっと今回特筆すべきはというか、今回の法の改正に関して、日本の政治の流れとしては結構レアケース的な?

(ダースレイダー)そうですね。今回はもうダンス議連っていう超党派の。もうほとんど全ての政党から議員さんが参加して問題のことを議論するという場が作られていて。

(宇多丸)これはあんまりないの?

(ダースレイダー)やっぱり、いろんな議連っていうのはあるんですけど。こと、やっぱりこれはダンス文化推進議連っていう名前だったので。ダンスを文化であるという考え方っていうのは特に政党制は問わず。やっぱりそういったものに理解のある人が集まって、問題点を話し合うっていうことが結構できたっていうのと、そこにさらには、政治家に任せるだけじゃなくて、クラブの事業者だったりDJだったり、あるいは住民、商店街。そういった人たちが全員加わって、「こうするべきだ、ああするべきだ」っていう議論をしてきたのが、ひとつの実を結んだっていうのがすごく僕は大きいなと思って。

(宇多丸)意外と日本ではこの形の進め方っていうのは、これまでなかった?

(ダースレイダー)そうですね。やっぱり一方的に丸投げして、「あとは決めてください」っていうスタイルだったり。あとは、「話なんか聞いてくれない」とハナから思っているパターンっていうのは多いんですけども。

(宇多丸)うんうん。まあ僕らとかね、さっきの日陰者の意識も強かったですからね。

(ダースレイダー)で、「どうせ、無理だろ?」とかって思うんですけど、やっぱり今回大事だったのは、テーブルをちゃんと作って。で、椅子を用意して、「みんなでここに座りましょう」っていうところからできたのが大事で。だからクラブだけじゃなくて、たとえば社交ダンスだったり、サルサだったり、いろいろなダンス業界の方も運動にはちゃんと参加しているし。だからそこに、法律を考える政治家だったり、行政側の官僚だったりっていう人がみんな集まって。で、そこにちゃんと住民とかも参加して、みんなでどういう風に作っていくか?っていう。だから、そういった意味での話し合いまで、全然結論が出ていなくて。だからやっぱり、「夜うるさいのは嫌だ」っていう人もいれば、「いや、俺たちは夜じゃないとできないことをやっているんだ」っていう声も当然あるわけで。

(宇多丸)うんうん。

(ダースレイダー)じゃあ、それを話し合いで。お互いの意見をただ主張しているんじゃなくて、話し合いで対話をしながら、どう街を作っていくか?っていうモデルケースになればいいかなと。

(宇多丸)うんうん。とにかく、あれですね。政治っていうのをある特定の丸投げ感でやっちゃうんじゃなくて、全然変えられるじゃないかっていう。

(ダースレイダー)まあ自己参加もできるし。少なくとも自分が、なにか「これはマズいぞ」とか思った時はやっぱりアクションをして。それでそのアクションに共感してくれる人がいれば、やっぱり変化につながっていくんだっていうのの実例になればいいかなと思っていますね。

(宇多丸)これ、今回の風営法に限らずね。

(ダースレイダー)うん。そうですね。何に関しても。やっぱり、いろいろな問題を抱えている人は多いと思うんで。「これ、マズいな。どうしよう?」と思った時には、それに対しての協力者がやっぱり声を上げて。「いま、ちょっとこんなことになっちゃっているんだけど」っていう声を上げることで、それを話を聞いてくれる人ができて。それでやっぱり、話を聞いてくれるっていうところから、いろいろ始まっていったのが今回のケースだと思います。

(宇多丸)ひとつのいいモデルケースになったのではないかと。選挙も近づいているいま、いいあれになったのではないかと。

(ダースレイダー)はい。なので、やっぱりそういう意味でも選挙に行って、政治に参加して自分の考えっていうのを表明していくっていうのも大事なのと、やっぱりこれから朝まで遊べるぞってなったので行儀よく、しっかり自分たちの遊び場を。

(宇多丸)守る気があるなら、ちゃんとできるだろっていう。

(ダースレイダー)自分のプレイグラウンドを自分たちで作っていこうっていう意識でやっていけば、きっと面白いことがいっぱいあるんじゃないかと思います。

(宇多丸)素晴らしいじゃないですか。こんだけ素晴らしい活動をしてきたのならですよ……これは、THE BASSONSのアルバムが、これはちゃんと動きが出てくれないとおかしいぞと。

(ダースレイダー)「おかしいぞ! 本当は発売してるんだぞ!」とか。いろいろ言いたいことがあるから、声を大にして。

(宇多丸)「これも主張しておくぞ!」と(笑)。

(ダースレイダー)これも主張しておきますけど、僕、実は音楽をやっていまして(笑)。そんな音楽、これ『タマフル』でかけると売れるっていうね、通説があるので。

(宇多丸)言っているうちに本当になりますから。これ、やりましょう。じゃあ曲、ぜひ紹介してください。

(ダースレイダー)もう1曲、これはさっき「自分を見つめなおせ」と宇多丸さんに言われたので。まさにそういう曲で。「Amazonにばっかりすすめられてるな!」っていう曲の『Journey to Self』。THE BASSONSの曲を聞いてください。

(宇多丸)はい。ダースレイダーさん、ありがとうございました!

THE BASSONS『Journey to Self』


(宇多丸)はい。ダースレイダーさんに来ていただいてね、素晴らしいありがたい話もしていただきました。そのダースレイダーがやっているバンドスタイル、THE BASSONSのもう発売されておりますアルバム『WE ARE THE BASSONS』から『Journey to Self』をお聞ききただいました。風営法の件、また引き続きというかね、これが終わりではないでしょうから。またお話をうかがう機会があるかもしれません。ダースレイダーさん、ありがとうございました。

<書き起こしおわり>

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