プチ鹿島 ドナルド・トランプがWWEプロレスで学んだことを語る

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プチ鹿島さんがTBSラジオ『荒川強啓デイ・キャッチ!』の中で、ドナルド・トランプ氏についてトーク。トランプ氏が2007年にアメリカのプロレス団体WWEに参戦し、ビンス・マクマホンCEOと戦った際に学んだ手法を現在の大統領選挙に活用しているという話をしていました。



(片桐千晶)アメリカ大統領選挙の候補者指名争いは1日、序盤戦の山場、スーパー・チューズデーを迎えました。候補者を選ぶ予備選挙や党員集会が11の州で行われていて、民主党のクリントン氏、共和党のトランプ氏がいずれも7つの州で勝利し、指名争いで他の候補を突き放しています。

(荒川強啓)はい。ニュースプレゼンター、プチ鹿島さんが気になるということでありまして。ええっ?スーパー・チューズデー、どう料理するんですか?

(プチ鹿島)スーパー・チューズデー。いやー、もう気になることがあったんですよ。

(荒川強啓)なんでしょう?

(プチ鹿島)あの、真正面からのニュースというのはちゃんと専門家の方が解説をしてくれますんで。僕はちょっと見方を変えて、ドナルド・トランプのあのパフォーマーとしてのパフォーマンスに注目をしてみたんですよね。

(荒川強啓)ほうほうほう。

(片桐千晶)あ、その前にちょっと基本情報をお伝えしたいと思います。お伝えしましたように、民主党のクリントン氏。そして共和党のトランプ氏がともに7つの州で勝利しています。その他の候補を見てみますと、民主党ではサンダース氏が4つの州。共和党ではクルーズ氏が2つの州。ルビオ氏が1つの州で勝利するにとどまっています。今回の結果を受けて民主党のクリントン候補は『全ての票のために戦う』と今後の選挙戦への決意を表明しました。一方、共和党のトランプ氏は『素晴らしい夜だ』と述べ、指名獲得に向けて意欲を示しました。

(荒川強啓)はい。ということで、なになに?

(プチ鹿島)トランプさんのパフォーマンスですね。悪役人気ぶりというか。これ、どっかで見たな?と僕、ずっと思っていたんですよね。で、ちょっと最近いろんなところで話題になっているんですが、多彩なキャリアを持つトランプさんなんですけども。なんと、2007年にプロレスのリングに上がっているんですよ。

(荒川強啓)はあっ!?

(プチ鹿島)アメリカ最大のプロレスのリングに上がっているんです。

(荒川強啓)なにをやってるんですか?リングに上がって。

(プチ鹿島)で、それを説明しますね。2007年4月1日にデトロイトで行われたWWEという世界最大のプロレス団体があるんですけど。そこのリングに上がって、そこのWWEの会長といいますか、いちばん偉いオーナー、ビンス・マクマホンという人。これがまた、悪いキャラなんですよ。その人と、戦いをしてるんですね。

(荒川強啓)うん。

(プチ鹿島)で、テーマが『億万長者対決』。トランプは本物の札束を散らしながら入場してきてですね。で、もうひとつ。億万長者以外にこの2人が共通しているのが『カツラ疑惑』というのがあってですね。

WWE会場で札束をバラ撒くドナルド・トランプ



(片桐千晶)(笑)

(プチ鹿島)ですので、ビジネスマン同士ですから、お互いプロレスはできませんから。代理のレスラーを立てて、負けた方が髪の毛を剃り上げようじゃないか!っていう。髪切りマッチですよね。それを2007年。舌戦を前哨戦から長い時間をかけてやって、4月1日にこの最高潮の試合を迎えたわけです。そこで、トランプの代理のレスラーが勝って、トランプはツルッパゲになるのは逃れて。相手のビンス・マクマホンという人がツルッパゲになったと。そういうまあ、エンターテイメントですね。アメリカの。心地いいというか、心地悪いというか・・・

ビンス・マクマホンの髪の毛を剃るドナルド・トランプ



(片桐千晶)(笑)

(プチ鹿島)それがちょっと似ているなと思ったんですよ。で、改めてそのWWEっていう団体をご説明しますと、世界最大のプロレス団体で、2015年。去年の売上が700億円以上です。で、世界180ヶ国以上で6億5千万人以上の人が見ているという、まあとにかく大きい団体なんですね。で、そこのCEO、オーナーというのがビンス・マクマホンという人で。『悪のオーナー』とか『悪のディズニー』と呼ばれている人なんですね。とにかく、富と権力が集中してる人なんです。

(片桐千晶)はー。

(プチ鹿島)で、その時の2007年の対決を見ていたので、いまの、たとえばCNNで先週、共和党のテレビ討論会を見たんですけど、相手を小馬鹿にしたり、肩をすくめたり、毒づいたり、揚げ足を取ったりっていうのが、もうマクマホンそっくりなんですよね。

(片桐千晶)へー!

(プチ鹿島)だからあの、かなりプロレスのリングに上がったということで、パフォーマーとしての技術とかキャリアが磨かれたんじゃないか?というのが僕、ちょっと薄々思っていたんですよ。で、ちょっと専門家に聞いてみようということで、この方に聞いてみました。プロレスライター、コラムニストで専修大学非常勤講師の斎藤文彦さん。アメリカンプロレスならこの方という方に先ほど、聞いてみました。で、結論から言うと、斎藤さん。『トランプはビンス・マクマホンをパクッています』と。

(片桐千晶)パクッている!?(笑)。

(プチ鹿島)あのリアクションや言動もそうなんだけど、実は手法も影響を受けているんだと。というのは、WWEというリングでやっていた手法というのが、わざわざタブーをやりながら観客の興奮、ヒートを煽っていくという手法なんですね。たとえば、殴っちゃいけないところで殴っちゃったりとか。本来だったら絶対権力者。マクマホンという方は権力者で、支配下のレスラーとかにパワハラをやっちゃいけないじゃないですか。

(片桐千晶)うん。

(プチ鹿島)だけど、どんどん追い詰めていったり。『お前はそろそろクビだぞ!』とか追い詰めていく手法。なんだったら、男尊女卑的のキャラクターも過去にはいたんですよ。で、現実ではタブーだけど、プロレスというリングの上では成り立っていたんですよね。で、そこの年に一度のビッグマッチのところで、そのマクマホンと対決したトランプが、その手法というのを、たとえばですよ、いまトランプがやっているっていうことは、プロレスの上ではタブーのところに思想をかぶせたら主張になるんだと。で、自分のリングの上でそういう主張をタブーを破っていくと、少なくない観客が溜飲を下げると。その手法。舌戦あり、リアクションあり、煽りありっていうのが、言ってみればWWEのやっていることそのままなんじゃないか?と。で、破廉恥さの中に、ある種の本音が隠されていると。

(荒川強啓)うん。

(プチ鹿島)そういう刺激的なエンターテイメントを2007年に学んだんじゃないか?ということなんです。で、面白いことに実は、このビンス・マクマホンとトランプっていうのは長年の友人なんですね。2000年代前半にトランプはリアリティー・ショーに出演して、『お前はクビだ!(You’re Fired)』っていう決め台詞で人気を博したんですが、この『お前はクビだ!』っていうのも、もともとはマクマホンの決め台詞だったんです。

『お前はクビだ!』




(片桐千晶)ああ、そうなんですか?

(プチ鹿島)はい。じゃあ『いま、マクマホンっていうのはとても喜んでいるんじゃないですか?』と聞いたら、たしかにこの人、共和党支持者なんですよ。で、過去にブッシュの時など、レスラーを党大会に送って応援もしていたんですが。いまは、静観しているということなんですね。

(荒川強啓)ふーん。

(プチ鹿島)それはなぜか?と言ったら、要は自分のエンターテイメントの中でやっていたものが現実にどんどんどんどん、トランプが化けていくわけじゃないですか。で、しかもあれだけ多くの人が見ている自分のWWEというところなので、言ってみればファミリーエンターテイメントになっているわけですよ。そこでいまのトランプを支持しちゃったり、加わっちゃったりすると刺激が強すぎるので、ちょっと同じ共和党支持なんですけど、静観しているという状況らしいんですけども。近藤さん、いかがですか?こういうパフォーマーとしてのトランプは?

(近藤勝重)いや、わかるね。だけど、大統領選挙と格闘技は違うから・・・

(プチ鹿島)でもね、このレッスルマニアっていうのも長い時間をかけて1年に1回の最大のイベントなんですよ。大統領選も前哨戦を戦って、舌戦して、相手の揚げ足を取るじゃないですか。ちょっと手法が似てるんですね。で、あと見ている方が刺激的なショーを求めるっていう。エンタメの。

(近藤勝重)その手法的には共通点があるだろうと思うんですけど。僕はそのトランプを見ていていつも思うのは、見事なまでに自分勝手な価値の一元化っていうか。それはあの、そういうことを強調することによって、自分は政治をやるんだけど。実は政治の世界っていうのは価値の一元化じゃないんですよ。全くそれと違っていて。価値が二元的に、弱者がいれば強者がいる。優劣があったらその間に立つっていう、これが政治なんですよね。だから、そこんところをこれから、自分のリングじゃなくて、民主党と争いになった時に、そこのところがどうパフォーマーとして逃げきれるか?っていう。

(プチ鹿島)ちなみにこの2007年のビッグマッチ。相手が頭を剃りあげて、自分は勝ったんですけど。最後に自分の仲間だと思っていたレスラーに裏切られて、必殺技を食らって観客は溜飲を下げて終わっています。

ストーンコールドに裏切られるドナルド・トランプ



(荒川強啓)(笑)

(プチ鹿島)なにかを暗示してるのかな?と僕は思うんですけど。

(荒川強啓)近藤さん、あれですよね。大衆を惹きつけるということでは、そのプロレスのイベントのようなノウハウを手にして、惹きつけているのは成功しているでしょうが。それが大統領という職で任せられるか?っていうと、勘弁してよですよね。

(近藤勝重)勘弁してよですよ。

(プチ鹿島)だからまず、観客の問題ですよね。やっぱり大統領選すら、刺激的なエンタメとしてみんな見ちゃっているというところで、じゃあ誰が似合うか?って言ったら、いま主役をさらっているのがトランプだと。

(近藤勝重)いや、まああのヘアースタイルと言い、いろいろな視覚を奪う、耳を奪う、いろいろ奪うんだけど。今日、僕がおかしかったのは共和党の重鎮が『勝ってくれよ、クリントン』って言っていて(笑)。

(片桐千晶)(笑)

(プチ鹿島)勝ってくれなきゃ困るっていう。

(近藤勝重)『勝ってくれよ』って(笑)。

(荒川強啓)同盟国としても、そうですよ。

(プチ鹿島)だから結局、本来からの共和党支持者がちょっといま引いちゃっているっていう。

(近藤勝重)同盟国でね、強啓さん、僕これ、90年2月10日の毎日新聞ですが。『米国は強い政治を』ってトランプが日本に来た時に。26年前ですよ。こういうことを言ってるんですよ。『日本や西洋諸国は米国に防衛面で依存しながら金を儲けている』と。

(荒川強啓)あれ?いまと同じことを言っているじゃないですか(笑)。20何年も前に?

(近藤勝重)26年前(笑)。

(荒川強啓)変わってないんだ(笑)。

(近藤勝重)だからこれ、本当に大統領になったら金儲けの金を全部、軍事費に出せ!とか言い出しかねないよね。

(荒川強啓)日本に言いかねませんね。やっぱり勘弁してもらいたいな。はい。スーパー・チューズデーから見る、プチ鹿島さんの報告でした。ありがとうございました。

(プチ鹿島)ありがとうございました。

<書き起こしおわり>
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