町山智浩 2016年アメリカ大統領選とドナルド・トランプを語る

町山智浩 2016年アメリカ大統領選とドナルド・トランプを語る たまむすび

町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』の中で、大混戦の2016年アメリカ大統領選挙についてトーク。アイオワ州の党員集会を取材した際の模様や注目候補ドナルド・トランプ氏について話していました。

(赤江珠緒)町山さん、アメリカはいよいよ大統領選、スタートですね。

(町山智浩)はい。先ほどですね、アイオワ州での党員集会っていう、まあ予備選挙みたいなものですね。が、行われましてですね。最初にやるんですね。アメリカ全土で各州で行われていくんですけど、予備選挙っていうのは大統領の候補に誰を選ぶのか?っていうのを共和党と民主党がそれぞれに選んでいくんですけど。党員たちに投票させて。

(赤江珠緒)はい。

(町山智浩)それの最初の投票が先ほど行われまして。アイオワ州で。で、ドナルド・トランプがですね、ずーっと共和党の候補として支持率首位を独走していたんですが。今回、負けましたね。

(赤江珠緒)そうですってね。うん。

(町山智浩)はい。それで僕、昨日までアイオワに行ってたんですよ。

(赤江珠緒)へー!あ、そうですか。はい。

アイオワ党員集会を現地取材

(町山智浩)で、ドナルド・トランプの演説を見たりですね、バーニー・サンダースっていう民主党の方の、ヒラリーさんに肉薄している・・・現在、もうほとんど並んでいますけども。そのバーニー・サンダースさんの集会と、両方見てきたんですけど。

(赤江珠緒)ええ。

(町山智浩)あの、詳しい選挙の細かいことは、この後、小西克哉さんがTBSに出演して解説されると思うんで。

(赤江珠緒)(笑)。『(荒川強啓)デイ・キャッチ!』でね。

(町山智浩)そうなんですよ。まあ、小西さんは僕の大々先輩ですから。恩人なので。あんまり仕事の邪魔をしないように話しますと・・・アイオワっていうところでやっているっていうことがものすごく面白いんですよ。

(山里亮太)はい。

(町山智浩)アイオワ州っていうのはアメリカの真ん中あたりにあるんですよ。ちょうどね。北海道の1.8倍くらい面積がある、すごいデカい州なんですけど、人口は300万人しかいないんですよ。

(赤江珠緒)ええ。

(町山智浩)北海道は540万人くらいいるんですよ。だから、ほとんど人がいない州です。

(赤江珠緒)そうですね。広々してますね。

(町山智浩)広々として。それで、面積のほとんどがトウモロコシ畑なんですよ。で、僕は冬に行ったんで、トウモロコシを全部刈り込んだ後の土がむき出しになっていて。なんというかですね、草も木もない世界ですよ。

(赤江珠緒)あっ、荒涼とした感じに見える?

(町山智浩)荒涼としたところでしたね。もう、本当に何もねえな、ここ!っていうところなんですけども。そこで行われる大統領の候補を指名するための投票で、アメリカの大統領が決まるかもしれない。世界の運命が決まるかもしれないんですよ?

(赤江珠緒)そうですよね。

(山里亮太)えっ?このアイオワだけで?

(町山智浩)ええと、いままでですね、アイオワで党員集会っていうのが始まったのは1972年からなんですけども。それから44年間の間、アイオワで負けて大統領に最終的になった人って1人しかいないんですよ。

(赤江珠緒)あっ、そうなんですか!?

(山里亮太)そんな大事な場所なんだ。

(赤江珠緒)アイオワを制せば・・・みたいなものなんですね。

(町山智浩)そうなんです。で、1人だけ、アイオワで負けたのに大統領になったのはビル・クリントンさんなんですよ。だからアイオワが重要って言われているのは、そのジンクスっていう確率上の問題に近くて。アイオワで負けて大統領になった人が1人しかいない以上、ここで勝たないとならないっていうことなんですね。

(山里亮太)なるほど。

(町山智浩)だから、本当に僕、行って思ったんですけど。本当にいわゆる農家の人しかいないところですよ。で、白人のお年寄りしかいないところなんですよ。

(赤江珠緒)うんうん。

(町山智浩)そこで運命が決まるってすごくないですか?地球の運命が。

(赤江珠緒)そうですね。いや、でもなんかここ最近のドナルドさんの・・・

(山里亮太)トランプ?

(赤江珠緒)あ、はい。トランプさん(笑)。『トランプさん』って言った方がわかりやすいね(笑)。『ドナルドさん』って言うと・・・

(町山智浩)ディズニーみたいですね、はい(笑)。

(赤江珠緒)(笑)。トランプさんのね、過激な発言でどんどん票を伸ばしているみたいな情報もあったんですけど。負けましたね。

(町山智浩)どんどん行ってたんですけども。あの、もう土壇場っていうか、もう先週ぐらいからですね、共和党の主流派の人たちがなんとかトランプを候補にさせないように、大逆転を目指してものすごい戦い始めたんですよ。

(赤江珠緒)党内で?

(町山智浩)これは、だから説明しないとわかんない。ドナルド・トランプさんは共和党の大統領候補として出馬してますが、共和党の人ではないんですよ。

(山里亮太)大富豪の人なんですよね?

(町山智浩)この人は、ずーっと民主党支持でした。

(赤江珠緒)ふーん!

(山里亮太)真逆から来たんだ。

民主党支持だったドナルド・トランプ

(町山智浩)90年代もビル・クリントン支持。っていうか、ものすごいお金を寄付しています。で、共和党っていうのはアメリカの保守党政権で、白人がほとんどで、キリスト教徒がほとんどで。キリスト教福音派とか、そういった人たちに支持されている保守的な政党なんですけども。

(赤江珠緒)はい。

(町山智浩)で、ポリシーとしては女性の人工中絶を全て犯罪化するとか、同性愛の結婚を認めないとかですね。そういったことをポリシーとしてて。それで、オバマケアと言われている国民全員に健康保険を与えるというのも反対してるんですね。

(赤江珠緒)はい。

(町山智浩)ところが、ドナルド・トランプはそういった共和党のいままでのポリシーに賛成したことはこの間までなかったんですよ。2010年まで。

(赤江珠緒)ふーん!

(町山智浩)徹底的に民主党側のポリシーを持っていたんですね。発言なんかでは。それが、2010年から急に共和党に寄り添って。共和党に入って。初めて登録をして、それで出てきたんで。共和党の内部の保守的な人たちは、ドナルド・トランプにバーッ!っと支持しましてですね。要するに、共和党が乗っ取られる形になっちゃったんですよ。

(赤江珠緒)へー!

(町山智浩)共和党内の右寄りの人たちが一気にトランプ支持に行ったんで、共和党は内部にもともとすごく右寄りの人たちを育てていたんですね。ティーパーティーって言われる人たちですけども。それが、ごっそりトランプ側に行っちゃったんですよ。

(赤江珠緒)はー。ええ、ええ。

(町山智浩)しかも、ティーパーティーの選挙の参謀とかまでトランプ側に付いちゃったんですよ。トランプの選挙参謀とか選対って言われている戦略家たちはもともとティーパーティーの人たちなんですよ。

(赤江珠緒)あ、そうですか。じゃあトランプさんはなんで民主党から出なかったんですか?

(町山智浩)突然ポリシーを変えて共和党から出てきたんですね。だから、共和党側は『トランプは共和党を破壊するために内部に入ってきたトロイの木馬のようなものなんだ』っていう風に言っていたんですよ。

(赤江珠緒)ああー(笑)。むしろ刺客だった。うん。

(町山智浩)そうそう。『共和党を内部分裂させて右派を全部持っていっちゃうために入ってきたんだ』って言って。それでなんとかトランプさんを共和党の候補にしないようにずーっと戦い続けていたんですけど。この間まで、それが上手く行かなかったんですよ。

(赤江珠緒)へー。ええ。

(町山智浩)で、このアイオワで今回、テッド・クルーズという候補者が共和党内で勝ちましたんで。ちょっと共和党主流派はすごくホッとしている状態なんですよ。

(赤江珠緒)ふーん!

(町山智浩)特に共和党って実はこんなに保守化してなくてですね。一時はすごく共和党支持のものすごい右翼の運動家がいたりして。ウェルチっていう人なんですけども。その人も大金持ちで、お菓子で儲けたお金で右翼運動をしていたんですね。で、そういう人たちがいるんで共和党の評判がよくないってことでもって、共和党は内部でずっと戦っていて。で、新しい正しい穏健な保守としての新保守主義とか、新自由主義っていうものを、イデオロギーを固めていって。それをレーガン政権にサジェッションして。レーガン政権に新保守主義をやらせて、やっと政権をとったんですよ。80年代に。

(赤江珠緒)はい。

(町山智浩)だから、こういうものすごく右翼的な人が出てくると、せっかく作った共和党の基盤が崩れちゃうんですよ。

(赤江珠緒)たしかに。はい。

(町山智浩)乗っ取られる形になっちゃうんで。で、なんとかしようとして。まず、共和党のイデオロギーをずっと作ってきた雑誌があるんですね。ナショナル・レビューっていう雑誌なんですけども。共和党のオピニオンリーダー雑誌なんですよ。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)それが大特集で先週か先々週に、ドナルド・トランプを何が何でも叩き潰せ!っていう特集をやったんですよ。

(山里亮太)結構直球な・・・

(町山智浩)はい。ギリギリだったんですけど。要するに、共和党としてはドナルド・トランプに潰されちゃうから。このままだと、乗っ取られてしまって。共和党を救うためには、ドナルド・トランプを何が何でも大統領候補にしてはいけないんだ!っていう特集を組んだんですね。ナショナル・レビューが。年末か。ごめんなさい。で、先々週ぐらいにFOXニュースという、FOXチャンネルというテレビのコングロマリットがありまして。で、ルパート・マードックという世界的なメディア王がずっと共和党支持をし続けているんですよ。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)で、この人がですね、とにかくトランプをなんとか潰さなきゃならないということで、戦い続けていて。で、もしトランプが共和党の候補になってしまった場合は、ニューヨーク市長のブルームバーグさんを第三党から出馬させようとして、ブルームバーグさんに直接、ルパート・マードックが交渉したんですよ。

(赤江珠緒)へー!

(町山智浩)『そしたら、共和党の首脳部はあなたを第三党として支持しますから!』っていう形で。で、ブルームバーグは出ようとしていたぐらい共和党はヤバい状態になっていたんですよ。

(赤江珠緒)はー!うんうん。

(町山智浩)で、ディベートがつい数日前にあったんですけど。それでは、FOXテレビっていうFOXニュースチャンネルっていうのは共和党の完全な御用メディアなんで。ディベートっていうのは討論会ですけど、徹底的にトランプを潰す形で質問するというのを、いままでもディベートは何度もFOXでやってきて、繰り返してきたんですけど全部言い負かされてたんですよ。トランプに。

(赤江珠緒)うんうん。

(町山智浩)それで、今度こそ勝つぞ!っつって、討論会にトランプを呼んだら、トランプは『どうせ俺を潰すための討論会なんだから、出ない』っつってボイコットしたんですよ。出演を。

(赤江珠緒)はい。うん。

(町山智浩)っていう感じでもう、トランプ対共和党のものすごい戦いが続いていたんですね。

(赤江珠緒)はー!

テッド・クルーズのアイオワでの勝因

(町山智浩)で、テッド・クルーズっていう共和党内部の上院議員が今回勝ったんですけども。僕、アイオワに行ってみて、どうしてテッド・クルーズが勝ったか?っていうの、だいたいわかったんですよ。

(赤江珠緒)えっ、なんでしょう?

(町山智浩)お金です。

(赤江珠緒)えっ?お金!?

(町山智浩)ドナルド・トランプって、実は選挙にお金、ほとんど使ってないんですよ。

(赤江珠緒)あれ?すごい大金持ちだって聞いてましたけど。

(町山智浩)10億円ちょっとぐらいしか、この予備選挙にはまだ投入してないんですね。資金がそれぐらいなんですよ。10億円から、まあ15億円くらいなんですよ。

(赤江珠緒)うんうん。

(町山智浩)っていうのはトランプは知名度がものすごくあるから。いまさら知名度をお金で上げる必要はないと思っていたんですね。

(赤江珠緒)はー。ええ、ええ。

(町山智浩)それと、自分自身で資金を集めて。要するに、自分持ちなんですよ。自分の懐から出してるんですよ。彼。それで、彼の支持者っていうのは圧倒的に、アメリカの中では低学歴の低所得の人たちなんですよ。白人の労働者と言われている人たちがトランプの支持者だから、あんまりお金が集まっていないんですよ。

(赤江珠緒)うんうん。

(町山智浩)でも、すごく有名人だからその知名度で票がとれると思っていたんですね。ところが、テッド・クルーズがまあ90億円から100億円ぐらいなんですよ。資金が。だから、アイオワに僕行ってテレビつけたら、朝から晩までテッド・クルーズとそれ以外の共和党の候補者たちのコマーシャルだらけですよ。

(赤江珠緒)ああー!そういうのの差が出ますか。はー!

(町山智浩)これはすごいなと思いましたね。それにテッド・クルーズは特にこの人はキリスト教原理主義者なんですね。で、徹底的にキリスト教原理主義の主張だけをしている人なんですけども。資金源は完全にウォール街なんですよ。はっきり言うと、ゴールドマン・サックス社からかなり出てますね。

(山里亮太)へー!

(町山智浩)いま、アメリカは憲法が変わったんで、企業が選挙資金を出していい状態になっているんですよ。認められちゃったんで。ブッシュ政権の時にそうしちゃったんでね。おおっぴらにもう、ガンガンお金を入れてるんですよ。

(赤江珠緒)すごいですねー!無尽蔵に?じゃあ。

(町山智浩)で、そことヘッジファンドの大物でロバート・マーサーっていう人がいて。この人がテッド・クルーズにお金をぶち込んでるんですよ。

(赤江珠緒)へー!

(町山智浩)だから、金額がすごいんですよ。だからとにかくそれがドナルド・トランプ以外の共和党候補それぞれのところにものすごいお金が、100億円規模の金が行ってますんで。今回の選挙で。それに対して、ドナルド・トランプはわずか自分の懐から出したお金10億円そこらで戦っているんですよ。

(赤江珠緒)はー!

(山里亮太)でも、それがなかったらトランプが勝っていた?

(赤江珠緒)可能性もある。

(町山智浩)トランプはだからそこのことを徹底的に言っていて。僕はトランプの演説に行ったんですけど。そこはドゥビューク(Dubuque)っていうですね、田舎の方の郡がありまして。それで人口が9万人しかいないんですよ。ものすごい広いところですけど。

(赤江珠緒)うんうん。

(町山智浩)そこに、地元のちっちゃい飛行場があるんですよ。それこそ、農薬を撒くためのセスナとかしか発着しないような飛行場がありましてですね。飛行場に向かう道路も片道1車線しかないんで大渋滞だったんですよ。トランプの演説を聞きに行くために、みんなが来ていて。

(赤江珠緒)ええ。

(町山智浩)で、僕、そこに行きましてですね。格納庫でトランプを待つって、ずっと待っていたんですけど。そこに、トランプがボーイング757でいきなり着陸しましたよ。バーッ!っと。目の前に。

(山里亮太)自家用ジェット?

(町山智浩)自家用ジェットでもボーイング757ってデカいですよ。普通の旅客機ですよ。

(赤江珠緒)(笑)

(町山智浩)そんなもの、その町に着陸したことって、もう100年に1回もないわけですよ。

(赤江珠緒)もう大富豪はやることが本当、すごいですね。

(町山智浩)すごいですよ。それもそこでローリング・ストーンズの『Brown Sugar』っていう曲をガンガンかかっている状態で。『Brown Sugar♪』に合わせてガーン!って着陸したんで、もうみんな大熱狂でしたよ。ロックスターが来たみたいにね。

(赤江珠緒)へー!

(町山智浩)ちなみに『Brown Sugar』っていう歌は南部の白人の奴隷の主人がですね、黒人の奴隷の女性とのセックスに夢中になるっていうとんでもない歌なんですよ!

(山里亮太)それで登場!?(笑)。

(町山智浩)それをガンガン流しているところでドナルド・トランプ、バーッ!っとやって来ましたよ。『TRUMP』って書かれたボーイングで。

(赤江珠緒)あ、『TRUMP』って書かれた。見た、見た。こっちでも見てます!

(町山智浩)『TRUMP』って書いてあるんですよ。ちゃんと。で、何を言ったか?っていうと、共和党の他の議員たちはみんなウォール街から金をもらっている操り人形だ!ってはっきり言ってましたね。で、私は誰の紐もついていないと。

(赤江珠緒)そこはたしかに明確に。主張はおっしゃる通りかもしれませんな。

(町山智浩)そうなんですよ。だからそこはね、やっぱりかっこいいなっていうか。嘘がないですよね。他の人たちは要するに、『私は神のためにやっている。私はキリスト教のためにやっている。私は貧しい労働者のためにやっている』って言いながら、お金は全部ウォール街から来てますからね。ウォール街とか、石油業界から来てますからね。それをドナルド・トランプは『みんな嘘つきだ!』って言ってるんですよ。『偽善者どもが!』って。

ドナルド・トランプ ドゥビューク演説

(山里亮太)毒舌でね、ものすごい評判がっていうね。めちゃくちゃ言うっていいますもんね。

(赤江珠緒)ただ、そのね、毒舌がちょっとね・・・

(町山智浩)そう。だからドナルド・トランプは言っていた。『彼らはアイオワとかに来て、「田舎の人たちのため、貧しい人たちのため、キリスト教徒のために政治をする」って言いながら、金をもらっているのはウォール街だから。結局実際にどういう政治をするか?って言ったら、ウォール街のために政治をするんだ』って言ってましたけどね。

(赤江珠緒)ああー。

(町山智浩)ものすごく正しいですよ。ドナルド・トランプ(笑)。

(赤江珠緒)そうか。

(町山智浩)だけど、やっぱりみんな不安だったんですね。共和党全体がもう、何が何でもドナルド・トランプに党を乗っ取らせてはマズいってことで戦って、なんとかギリギリでアイオワでは防いだっていう形なんですよ。

(赤江珠緒)うーん。

(山里亮太)共和党は共和党内でまず、ギリギリの戦いがあったから。

(町山智浩)ギリギリの戦いなんですよ。共和党崩壊と戦っていたんですよ。共和党は。乗っ取りと。まあ、要するに敵対的買収に近い形なんですよ。

(赤江珠緒)そういうことですね!

(町山智浩)敵対的買収っていうのは株を買い占めて乗っ取るじゃないですか。そうじゃなくて、共和党内の右派の人たちの支持を乗っ取るという形で共和党を乗っ取ろうとしたんですよ。

(赤江珠緒)はー!これは本当に民主党から送られて来ていたらびっくりしますね。

(山里亮太)スパイとして?

(町山智浩)びっくりしますけどね(笑)。まあ、民主党の方も大変だったですよ。僕、バーニー・サンダースさんっていう、民主党のヒラリーと戦っている人の演説にも行ったんですけども。もう、そっちはすごくアイオワには珍しい、若い人ばっかりなんですよ。

(赤江珠緒)へー。ええ。

ヒラリーの対抗馬 バーニー・サンダース

(町山智浩)若者が多くて。で、もうバーニー・サンダースっていう人はこの人は・・・あ、そうだ。ドナルド・トランプは共和党員ではなかったっていう話をしたんですけども。バーニー・サンダースも民主党から出ているけども、民主党員ではないんですよ。

(赤江珠緒)えっ?そうなの?

(町山智浩)はい。この人は社会主義者で、無所属です。

(赤江珠緒)はー!

(町山智浩)で、ヒラリーにもういま、ギリギリで迫っているんです。

(赤江珠緒)ねえ。大接戦でした。さっきの情報だと。

(町山智浩)で、バーニー・サンダースが打ち出して、とにかく学生がいちばん集まっている最大の理由は、『公立大学の学費を全部国家負担にする』って言ったんですよ。

(山里亮太)おおー、無料化。へー。

(町山智浩)無料化すると。だからもう、大熱狂ですよ。もう。お客さんたち。すごかったですよ。

(山里亮太)じゃあ、ひょっとしたらここはもう、まだ全くわからない状態ですか?

(町山智浩)わからないです。バーニー・サンダースはだから、はっきり言うと左翼で社会主義者なんですよ。で、アメリカをスウェーデンとかみたいな福祉国家にするって言ってるんですよ。

(山里亮太)ええっ?ぜったいにできなさそうなのに。

(町山智浩)で、彼も、要するにドナルド・トランプが徹底的に攻撃するのは共和党の他の議員たちだって言いましたけど、バーニー・サンダースも攻撃するのは他の民主党議員なんですよ。彼も民主党員じゃないから。

(赤江珠緒)そうかそうか。

(町山智浩)『民主党員はリベラルとか言ってるけど、結局紐つきだ。みんな大企業の紐つきじゃないか!』っつって。で、バーニー・サンダースさんはオバマさんと同じで、資金源は全部普通の人たちからの小口の、一口千円とかの寄付だけでやっているんですよ。

(赤江珠緒)はー。そうか。えっ、でも今回、すごい党内のね、そういう戦いがいつも以上に激しいから。それぞれ候補を選んだ後の1対1の大統領選になった時も、逆の党に入れちゃいそうな感じもありますね。

(町山智浩)もしトランプさんとサンダースさんがそれぞれの共和党と民主党の候補になった場合に、2人とも、実はそれぞれの党の人じゃないんですよ。党外の人にそれぞれの党のトップを乗っ取られる形になっちゃうんですよ。トランプ・サンダースになると。

(山里亮太)そうさせないために、それこそさっきの100億円ぶっ込んだみたいなことを、民主党でもやっぱりやってるんですかね?

(町山智浩)そう。大変な戦いで。そのヒラリーもだから、慌てて戦っているわけですよ。

(赤江珠緒)へー!

(町山智浩)だからそれぞれの共和党主流派と民主党主流派は、これは大変な事態だと思っているんですよ。だから下手すると、ニューヨーク市長のブルームバーグさんを第三党として立てる可能性があるんですよ。トランプがこのまま勝つ可能性もあるわけですよ。今回アイオワを落としたけども、実は共和党はアイオワで勝った人が最終的に勝ち残るってことは、あんまりないんですよ。

(赤江珠緒)共和党の方は。へー。

(町山智浩)共和党の方は、この前の選挙でもリック・サントラムさんっていうキリスト教右派の人がアイオワでは勝ったんですけども、最終的に残れなかったんですよ。

(赤江珠緒)ふーん!

(町山智浩)だから今回、テッド・クルーズが勝ったって言っても、最終的にどうなるかわからないんですね。で、トランプが最終的にトップを取って共和党の候補になった場合は、共和党主流派がブルームバーグさんっていうニューヨーク市長を立てる可能性があるんですよ。で、ブルームバーグさんは民主党員なんですよ!

(赤江珠緒)ええっ!?

(町山智浩)ブルームバーグさんは民主党員なのにニューヨーク市長として立候補する時は共和党の推薦で出た人なんですよ。

(赤江珠緒)なんか、こんがらがってますね。

(山里亮太)政党が意味をなしてない感じが・・・

大混戦の大統領選挙

(町山智浩)だからトランプが、要するにこのまま共和党を乗っ取るとマズいし、このまま大統領になったらマズいから、ブルームバーグを立てるってことになるんですよ。特に、ヒラリーさんとトランプさんの戦いになった場合は、ヒラリーが勝つ可能性が高いんですね。ところが、サンダースが勝って民主党の候補になると、サンダースは左翼すぎるから。中間層が投票しないから。あと、サンダースさんはユダヤ系なんで。それを恐れたキリスト教の白人の票がトランプに流れる可能性があって。トランプはヒラリー・トランプだったらトランプは負けるのに、サンダース・トランプだとトランプが勝つ可能性が出てくるんですよ。

(山里亮太)えーっ!?そうか。消去法になっちゃうんだ。

(町山智浩)そしたら、それを潰さなきゃなんないから、今度は共和党主流派がブルームバーグさんを立てると。で、そうするといままでは第三党っていうのは弱かったんだけども、共和党主流派がブルームバーグさんを立てれば、これは民主党主流派もブルームバーグを押しますからね。

(赤江珠緒)そうですよね。どっちの受け皿にもブルームバーグさんがなった結果、ブルームバーグさんがいちばん強かったりして・・・

(町山智浩)そう。完全な中間層だから。要するに、すごい左寄りのサンダースが出てきて、すごい右寄りのトランプが出てきたら、中間層はどこに行くか?票を入れる場所がなくなっちゃうわけですよ。

(赤江珠緒)そうなんですよね。

(町山智浩)真ん中へんの人たちね。中道の人たちが。で、そこにブルームバーグを立てるっていうことになる可能性があるんですよ。

(赤江珠緒)うわー!

(町山智浩)ぐちゃぐちゃです。いま、アメリカ。

(赤江珠緒)不思議な戦いですね。ちょっと!

(町山智浩)ものすごい不思議な戦いになっています。これ。

(赤江珠緒)へー!いや、ちょっと町山さんのアメリカ大統領選の話が楽しすぎて、盛り上がりすぎて・・・

(町山智浩)ああっ!もう終わっちゃう!すいません。僕、イングマール・ベルイマン監督の話を・・・ええと、映画祭があるんで、それを紹介しようと思ったのに、もうぜんぜん時間がないんですが。

(赤江珠緒)そうなんですよ。これ、来週またベルイマン監督のお話はうかがいますね。

(町山智浩)ああ、じゃあ来週にします。すいません(笑)。

(赤江珠緒)はい。来週で(笑)。

(町山智浩)ごめんなさい(笑)。

(赤江珠緒)いやいや、もう最新情報だったもんで。現地から。うかがいましたけども。

(町山智浩)すいませんでした。ベルイマンの映画が上映されるんで、それの解説をしますんで。その話は来週・・・

(赤江珠緒)来週、お待ちしております。

町山智浩 イングマール・ベルイマン監督を語る
町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』の中で、スウェーデンの映画監督イングマール・ベルイマンについて話していました。 The sixth film of the 4th Swedish #Film #Festival in Seoul i...

(町山智浩)どもでした(笑)。

(赤江珠緒)はい。ということでイングマール・ベルイマン監督については来週。そして再来週スペシャルウィークでは町山さん、アカデミー賞の直前予想ということですから。こちらも予想してください。

(町山智浩)はい。よろしくお願いします。すいませんでした(笑)。

(赤江珠緒)はい。町山さん、ありがとうございました。

<書き起こしおわり>

2016年アメリカ大統領選挙 解説記事まとめ
2016年のアメリカ大統領選挙について、主にTBSラジオで放送された解説についての記事をまとめました。 町山智浩 2016年アメリカ大統領選とドナルド・トランプを語る 2016年2月2日放送『赤江珠緒 たまむすび』より。アメリカ在住の映画評...

タイトルとURLをコピーしました