町山智浩 ジョニー・デップ主演『ブラック・スキャンダル』を語る

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町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』の中で、ジョニー・デップが主演の映画『ブラック・スキャンダル』を紹介していました。

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(町山智浩)今日はですね、ジョニー・デップの新作映画の話をしたいんですけど。はい。ジョニー・デップってどうですか?

(赤江珠緒)好きですよ。

(山里亮太)いや、まあかっこいい。スーパースター。『パイレーツ・オブ・カリビアン』とかね。

(赤江珠緒)そうそうそう。

(町山智浩)あ、本当に?最近、ジョニー・デップあんまり調子よくないんですよ。

(赤江珠緒)えっ?そうなの?

(町山智浩)うん。あの、最近たとえばね、『トランセンデンス』とかね、『ローン・レンジャー』とか。『チャーリー・モルデカイ』とかね。いろいろあるんですけど。映画は。どうもね、上手くいってないんですよね。

(赤江珠緒)あ、そうですか。なんかこう、ジョニー・デップさんがいろいろ変わっていく感じは印象に残ってますけどね。

(町山智浩)あ、太っちゃってますね。最近ね。

(赤江珠緒)あ、そうかそうか。

(山里亮太)役作りじゃなくてですか?

(町山智浩)すっごくぽってりと太ったりとかね。いろいろして。なんか映画も上手く行ってないし。それで、『ローン・レンジャー』とかすごい超大作で。映画史上最高ぐらいの金額をかけたんですけども。見ました?

(山里亮太)いや、見てはいないです。

(赤江珠緒)見てないんです。カラスを頭に乗っけている・・・

(町山智浩)そうそう(笑)。カラスを頭に乗っけたインディアンの役をやっているんですけど。まあ、見るとわかるんですけど、ずっとジョニー・デップは映画の中でふざけているだけなんですよ。ずっと。

(赤江珠緒)へー(笑)。

(町山智浩)どうしたんだろう?みたいなことを言われていてでですね。で、あとはまあ、最近自分の娘がモデルになったりして。そっちはね、結構美人でね、すごい注目されているんですけど。自分自身は、23才年下の彼女を作ったりしててね。そっちの方はいい感じなんですけど、映画の方はダメなんですね。

(赤江珠緒)へー!

(町山智浩)で、このままじゃダメだと。2年ぐらいずっとダメなんで。2、3年?もっと前からダメかな?『ダーク・シャドウ』ぐらいからちょっと上手く行ってないんで。もともとジョニー・デップって、いま大スターですけど。『パイレーツ・オブ・カリビアン』に出る前は、実は知る人ぞ知るカルトスターだったんですよ。

(山里亮太)えっ?そうだったんですか?

(町山智浩)あんまり一般的にはそんなに知られている映画とか、大ヒット作には出ていなかったんですね。こう、知る人ぞ知る、渋い映画に出ていて。『シザーハンズ』とか『ギルバート・グレイプ』とか。『エド・ウッド』とかですね。単館ロードショーの映画が多かったんですよ。シネコンでかかるような映画にあんまり出てなかったんですよね。ジョニー・デップは。で、『パイレーツ・オブ・カリビアン』から大作スターになっていって。一般的に知られるようになったんですけど。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)これ、ちょっと人気なくなっちゃったんで。もう前の演技派だった頃のカルトスターにちょっと、原点回帰した方がいいんじゃないか?っていうことで。いまの新作映画。今日、紹介する映画に出たんですね。今日、紹介する映画は『ブラック・スキャンダル』というタイトルで日本で公開されるんですが。

(赤江珠緒)はい。

(町山智浩)ハゲ親父の役ですね。ジョニー・デップは。

(赤江珠緒)ねえ!

(山里亮太)写真あるけど、結構がっちりハゲちゃってる。

ハゲ親父役のジョニー・デップ


(赤江珠緒)これだけ見ると、最初ちょっと気づかないかも。

(町山智浩)これ、すごいですね。あの、目の色も変わっちゃってるんで。すごい薄い青にしてるんで。もう全然、ジョニー・デップに見えないですけど。で、これがいま、すごく評判がよくて。『ジョニー・デップ復活か?』って言われてるんですね。アメリカでは。

(赤江珠緒)へー。

(町山智浩)で、このジョニー・デップがやったハゲ親父はですね、FBIの全世界指名手配でオサマ・ビンラディンの次に賞金が高かった大犯罪者なんですよ。

(赤江珠緒)モデルがいるんですね。

(町山智浩)実在の人物なんですよ。はい。で、世界で二番目に危険な男と言われたわけですね。

(赤江珠緒)それ、すごいですね。あのオサマ・ビンラディンの次?

(町山智浩)オサマ・ビンラディンの次だったんですよ。2000年ぐらいに指名手配されていた時は。この人はホワイティって言われている、ジェームズ・ホワイティ・バルジャーって言われているギャングなんですけども。裁判で彼が実際に手を下したって言われている殺人だけでも19人。

(赤江珠緒)ほー!

(町山智浩)で、それ以外わかんないのを入れると30人以上殺しているって言われている、非常に凶悪なギャングなんですね。それをまあ、ジョニー・デップが演じるんですけど。これは実際にですね、1970年代にアメリカのボストンであったことが元になっているんですが。この『ブラック・スキャンダル』っていう映画は。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)ボストンっていうと、どういうイメージがあります?

(赤江珠緒)ボストン?うーん、なんか銀行とか?鉄道かな?

(町山智浩)(笑)

(山里亮太)ぜんぜん・・・ボストン・セルティックスしか知らないわ、僕。

(町山智浩)ボストンっていうと、いちばん有名なのはハーバード大学ですよ。

(赤江珠緒)ああ、そうですか。なんだ(笑)。ごめんなさい。特になにも浮かばなかった(笑)。

(町山智浩)(笑)。あとね、マサチューセッツ工科大学。

(赤江珠緒)ああ、そうだね。大学だ。大学が結構あるっていう。ボストンマラソンとかが。ねえ。

(町山智浩)ボストンマラソンとかね。まあ、爆破事件とかありましたけど。僕、行きましたよ。そこから放送しましたから(笑)。まあいいや。そういう伝統的な町で。行くとわかるんですけど、イギリスの町みたいな感じで。石造りの古い家が並んでいて。非常になんていうか、落ち着いたところなんですね。

(赤江珠緒)ちょっと古式ゆかしいというか。はい。

(町山智浩)そうそう。アメリカじゃないみたい。ヨーロッパみたいな感じなんですけど。ただ、川を渡って南に行くと、南ボストンっていうのはものすごく凶悪なところなんですよ。

(赤江珠緒)へー!

凶悪な南ボストンの環境

(町山智浩)そこは港町なんですけど。いわゆる港湾労働者の人たちを仕切っていたヤクザグループみたいなのがあって。もう町全体がヤクザっていうすごいところなんですよ。で、親子代々銀行強盗とか、そういう人たちがいっぱいいるところなんですね。

(赤江珠緒)ほうほうほう。

(町山智浩)だから昔から南ボストンっていうのはいろんな映画になっているんですよ。あまりにもひどいっていうところで。最近だと、『ザ・タウン』っていうベン・アフレック監督の映画で。それはもう、親子代々銀行強盗の話でしたけど。あとね、『ディパーテッド』っていう映画がありましたね。

(赤江珠緒)『ディパーテッド』?

(町山智浩)『ディパーテッド』っていうのは、レオナルド・ディカプリオがボストン警察の秘密捜査官で。ボストンのヤクザグループに入って、内部から情報を送るんだけども。逆にヤクザグループの方がマット・デイモンを警察官にして、警察の情報を取り入れるっていう話。

(赤江珠緒)はー!

(町山智浩)これ、アカデミー作品賞をとりました。2006年に。

(赤江珠緒)そうですか。はい。

(町山智浩)それがボストンの、サウス・ボストンの暗黒街を舞台にした映画で非常に有名なものですね。その『ディパーテッド』っていう映画を見た人ならわかるんですけど、そこでジャック・ニコルソン扮するものすごく凶悪なギャングのボスが出てくるんですね。で、人を殺してニコニコ喜んでいるような人なんですけども。ハゲ親父なんですよ。

(赤江珠緒)はい。

(町山智浩)そのジャック・ニコルソンが演じたボストンのハゲのボスが、このジョニー・デップが演じる人なんですよ。実際は。

(山里亮太)なるほど。が、モデルになっている。

(町山智浩)そっちもだから実在のホワイティっていうギャングのボスをモデルにしてたんですね。

(赤江珠緒)じゃあホワイティは結構映画になっているんですね。

(町山智浩)映画に結構出てくるんです。テレビとか見てると、よく出てくるんですよ。ボストンを仕切っていたボスっていうことで。で、ただ今回は初めての実録物っていうことなんですね。事実をもとにして。フィクションにしてないものっていうことなんですけども。で、この人、映画で予告編とかを見るとわかるんですけど。どういう風にして人を殺していたか?っていうと、要するに自分を裏切ったやつとか、商売敵のヤクザとかを殺すわけですけども。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)たとえばその、オフィスビルの駐車場で真っ昼間に、みんなが見てる前でライフルでもって狙っているやつをバンバンバンバンバンバン、何発も撃って、蜂の巣にして殺したりしてるんですよ。

(赤江珠緒)ええっ!?

(町山智浩)このホワイティっていうのは。で、これを見ると、こんなにみんなが見ている前で殺して、どうして大丈夫なの?って思いますよね。おかしいんじゃないか?って。

(赤江珠緒)うんうん。隠そうっていう気はないのか?

(町山智浩)そう。隠そうとしてないんですよ。白昼堂々とやっていて。顔もマスクもしてないし。それで、1970年代のある30年間では、たった3年間にわかっているだけで10人殺しているんですね。

(赤江珠緒)ええっ!?

(町山智浩)そうなんですよ。で、わかってないのを含めると、もっと殺しているんですけど。こんなにたくさん殺していたら、普通、どうして逮捕されないの?って思いますよね。

(赤江珠緒)そうですよ。うん。

ホワイティが逮捕されない理由

(町山智浩)わかっているのだけで19人なわけですから。なんでこんなに堂々と殺して、どうして警察に捕まらないの?って思うんですけど。それには理由がありまして。このホワイティ・バルジャーの弟は、ボストンがあるマサチューセッツ州っていうのがあるんですね。マサチューセッツ州の州議会の上院議長なんですよ。

(赤江珠緒)ええっ!?

(山里亮太)政治家なんだ!

(町山智浩)すごいんですよ。だから、大阪だと大阪のヤクザのボスの弟が、大阪市議会の議長だったりするみたいなことなんですよ。

(赤江珠緒)いや、でも・・・でも、捕まらない?

(町山智浩)そう。だから手、出せないんですよ。で、これはすごく、『ディパーテッド』とかを見ると複雑な事情があるんですけども。その、ボストンっていうのは非常に特殊な町で。警察官とヤクザがほとんどアイルランド系なんですよ。

(赤江珠緒)ほう。

(町山智浩)で、アイルランド系のお兄さんはヤクザだけど弟は警官とか。その逆とかいう家がいっぱいあるんですよ。で、警察官とヤクザがごっちゃになっている世界なんですよ。

(赤江珠緒)怖いですね。権力と暴力の両方に人脈が。

(町山智浩)そうなんですよ。だから、日曜日とかバーベキューとかやるんですけど。アメリカ人は、家族とかを集めて。そうすると、お父さんのヤクザと息子の警官が一緒にご飯を食べたりしてるっていう世界なんですよ。ボストンっていう町は。

(赤江珠緒)ほー!

(町山智浩)ぐちゃぐちゃなんですね。で、そういうところでやっていて。弟の州議会の上院議員っていうのはすごく地元のアイルランド系の警察官の支持を強く受けているんですよ。で、もう警察官とべったりなんで、ぜんぜんそのホワイティには手を出せないっていう状態だったんですって。

(山里亮太)ふんふん。

(町山智浩)で、それでも、こんだけ殺してるんだから。アメリカっていうのは市の警察とか地方の警察が手が出せないと、その上の警察があるんですね。地方自治体の上に、連邦警察っていうのが存在するんですよ。アメリカは。FBIですね。で、FBIはそういう市議会が腐っていたりすると、市警察が腐っている上から来るんですね。

(赤江珠緒)はい。

(町山智浩)腐敗とか汚職を調査しに、FBIが上から来たりするんですけども。このホワイティの場合は、FBIの捜査官も幼なじみなんですよ。

(赤江珠緒)うわー!抑えるところは抑えていると。

(町山智浩)そう。これね、抑えようとして抑えたっていう感じじゃないんですけども。ジョン・コノリーというFBI捜査官がいるんですけども。彼が子供の頃、いじめられっ子だったんですって。アイルランド系の非常に怖い南ボストンで。

(赤江珠緒)はい。

(町山智浩)で、その時にいつも助けてくれたのがホワイティなんですって。ちっちゃい頃に。だから、ホワイティがヤクザになったけれども、彼は勉強してFBIになったんですけども、義理を忘れなかったんですね。

(赤江珠緒)いやいやいや・・・まあまあ、そりゃ個人的な義理はいいんだけど。その前に、正義はどこへ?

(町山智浩)でも、いじめられっ子から助けてくれたんですよ。ねえ。

(山里亮太)そうか。その時の恩があるから・・・

(町山智浩)恩があるから。で、しかもですね、利害が一致するんですよ。FBIとアイリッシュマフィアの。っていうのは、1970年代ってアメリカではイタリアンマフィアっていうのが大問題になったんですよ。

(赤江珠緒)へー。

(町山智浩)あのね、マフィアっていうのは昔からずーっといるんですけども。1930年代からずーっといるんですけど。イタリアンマフィアっていうのは。FBIはずっと、『マフィアっていうのは存在しない』って言ってたんですよ。

(赤江珠緒)ええ、ええ。

(町山智浩)FBIの長官のフーバーがマフィアからお金をもらっていたから。マフィアの捜査をしなかったんです。野放しにしてたんですよ。ところが70年代に入って、60年代から70年代にかけて、実はマフィアっていうのは存在するんだっていうことがマフィアの内部告発によって明らかになってったんですよ。

(赤江珠緒)ふん。

(町山智浩)で、そのフーバーも死んで、さあ、FBIはマフィアを捜査しなきゃならない!ってことになっちゃったんですね。いままで放っておいたから。

(赤江珠緒)ええ。

(町山智浩)それもひどい話ですけどもね(笑)。だから、40年ぐらいほったらかしにしてたから、マフィアはアメリカ全体の巨大組織になっちゃったわけですけども。で、FBIはめちゃくちゃ突かれて、『マフィアをお前ら、なんとかしろ!』って言われて。マフィア潰しっていうのをやんなきゃならなくなっちゃったんですよ。ところが、ボストンっていうのはさっき言ったみたいにイタリア系じゃなくて、アイルランド系が仕切っているわけですよ。

(赤江珠緒)はあはあはあ。

(町山智浩)ねえ。で、そこにイタリア系がなんとか入り込もうとしてたんですね。イタリア系っていうのはだから、全国チェーンみたいなもんですよ。

(赤江珠緒)(笑)。まあ、わかりやすく言っていただくとそうですかね?はい。

(町山智浩)そう。それで、アイルランド系のヤクザっていうのはローカルのお店なんですよ。で、そこに全国チェーンのマフィアが入ろうとしたんですね。イタリア系が。それで、ローカルのギャングのボスであるホワイティともう、抗争してたわけですよ。で、そこのところで、さっき言ったFBIの捜査官で子供の頃に助けてもらったジョン・コノリーっていう人が、ホワイティに言ったんですよ。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)『ホワイティさんは敵だから。ライバルだから、イタリアンマフィアの情報をいっぱい持っているだろ?それを僕にくれないか?そしたらFBIとしてはイタリアンマフィアを潰す方が世間的には非常に重要だから。ポイントになるんだ。そしたら、あんたも助かるだろ?その代わり、あなたは捕まえないよ』っていう条件をFBIから出されるんですよ。

(赤江珠緒)はー!すごい取引を。

(町山智浩)で、闇取引して。イタリアンマフィアの情報があると、どんどんFBIに流して。FBIはイタリアンマフィアをそれで追い詰めて。盗聴したりして。要するに、両方の利害が一致するんですね。

(赤江珠緒)ははー!そういうことで。結びついちゃいけないところが結びついちゃって。

(町山智浩)そうだったんですよ。だから、FBIも手を出せないし、地元警察も手が出せないから。20年以上、もうボストンでやりたい放題だったのがそのホワイティ。ジョニー・デップだったという話なんですよ。

(赤江珠緒)ふーん!

(町山智浩)そんないい加減な話でいいの!?とか思いましたよ。

(山里亮太)でも、実話なんですもんね?

(赤江珠緒)そう。実話っていうところがまた怖いですな。

(町山智浩)怖いですよ。だから人が見ている前で結構殺しちゃうんですよ。でも、誰も言えないんですよ。目撃したって、『見た』って。

(赤江珠緒)ええー!?

(山里亮太)やりたい放題だ。

(町山智浩)そう。誰も守ってくれないから、『見た』なんて言えないんで。要するに、警察は形だけでも調べるわけですね。『誰か目撃した人はいないのか?』って。でも、誰も言わないですよ。怖くて。だって、誰も守ってくれないんだもん。っていうことなんですね。

(赤江珠緒)えっ?でもこれ、そうやってドラマになるっていうことは、もうさすがに捕まったんですよね?

(町山智浩)もうさすがに捕まったんですけども。これね、まあ捕まった経緯っていうんは映画を見てっていう感じで、言いにくいんですけどもね。あのね、とにかくジョニー・デップの演技がすごいんですね。怖くて。

(赤江珠緒)へー!

(町山智浩)最近、なんかふざけてばっかりで。『ジョニー・デップだよーん!』みたいな演技ばっかりしてましたけど。

(赤江珠緒)(笑)

(町山智浩)軽いじゃないですか。ジョニー・デップ、最近、もう。

(赤江珠緒)『アリス・イン・ワンダーランド』とかでもね、ちょっとなんかピエロチックな感じが多かったです。

(町山智浩)そうそうそう。まあ、『パイレーツ・オブ・カリビアン』がね、もう本当、お調子者の役でしたからね。でもね、今回はさすがに本物の、実在の殺人者っていうことでね、ぜんぜん違う演技になっているんですよ。

(赤江珠緒)へー!

(町山智浩)とにかくね、もうバンバン殺しているもんだから、もう普通じゃないんですね。たとえば、仲間内でご飯を食べていても、ものすごい緊張感なんですよ。ご飯を食べていて、自分の仲間が作ったステーキを食べるシーンがあるんですね。

(赤江珠緒)ええ。

(町山智浩)で、『このステーキ、私が作りました。ホワイティさん』っつって出すわけですよ。すると、ジョニー・デップのホワイティがですね、『うーん・・・美味いステーキだな。いったい、何にマリネしたんだ?』って言うんですね。聞くわけですよ。すると、肉を出した相手がね、ちょっとふざけてね。ちょっとお茶目に『いや、ホワイティさんでもちょっとそれは言えないんですね。このステーキはね、うちの家族の秘伝ですから』って言うんですね。

(赤江珠緒)ああー、企業秘密だと。

(町山智浩)『企業秘密です』って言うんですよ。するとホワイティがね、『うーん・・・秘密のレシピか。ますます知りたいな。教えろ!』って言うんですよ。

(赤江珠緒)ほう!

(町山智浩)ホワイティにそう言われたら、怖いじゃないですか。

(赤江珠緒)はい。

(町山智浩)だから、『あっ、わかりました。ここだけの話です!あの、ニンニクとワサビの醤油漬けなんですよ』とか言っちゃうわけですよ。そうするとホワイティは黙ってそれを聞いていて。『貴様には、死んでもらわないといかんな・・・』って。

(赤江珠緒)なんで?なんで!?

(町山智浩)『そんな大事なレシピを簡単に漏らすようなやつは、信用できん!』って言われるんですよ。

(赤江珠緒)ええーっ!?

(山里亮太)ジョークとかではなく?

(町山智浩)『教えてくれ』っていま、言ったじゃん!っていう(笑)。

(山里亮太)で、撃っちゃう感じ?

(町山智浩)教えたら、『そんなに口の軽いやつは殺す!』って言われるんですけど。どうすりゃいいの?って思いますね。

(山里亮太)ひどい。なにが正解なのか。教えなかったら怒られそうだしね。

(町山智浩)こういう時って、あるんですよ。でも、本当に。暴力団関係者の人と話している時って。

(山里亮太)あ、そうなんですか?

(町山智浩)あるでしょう?こういう時って。

(赤江珠緒)いや、ない!ない!

(町山智浩)怖い人。どこでキレるかわからない人。

(山里亮太)あの・・・話す機会がないですね。

(町山智浩)僕、カレーライスごちそうになったことがあってね。あの・・・新宿の山口組系の事務所でね。その時も、『どうだ?』って言われた時にね、なんて言おうかと思いましたよ。カレーの味を。味、わかんないんですよ。だって。もう。

(山里亮太)緊張して。『美味いです』って言えばいいわけじゃないもんね。

(町山智浩)『美味いです』って言った時に、『これが美味いっていうやつは、ダメだ!』って言われるかもしれないじゃないですか。

(山里亮太)試されているんじゃないかと。

(町山智浩)『わかってない!』みたいなことを言われるかもしんないんで、ものすごく怖かったですね。はい。

(山里亮太)大丈夫だったんですね。その時は。

(町山智浩)いや、でもその人、片目が刀傷で義眼だったですけどね。

(赤江珠緒)うわー・・・

(町山智浩)ものすごく怖いことがありましたね。はい。あの、橘玲さんっていう作家がいるじゃないですか。いま。あの人と一緒に行ったんですよ。その事務所。関係ないけど。

(赤江珠緒)ええーっ!?

(町山智浩)ちょっとマズいことを書いちゃって。怒られたんで、『事務所に謝りに来い。詫び状を持って来い』って言われたんですね。で、2人で行ったんですけど。本当に怖かったですよ(笑)。

(赤江珠緒)町山さんもいろんな修羅場をねえ・・・

(町山智浩)いろんなところに謝りに行って。謝り人生なんでね。はい。

(山里亮太)いや、このトーク、なんでそんな楽しそうにできるんですか?こんな恐ろしいトークを。

(町山智浩)(笑)。いや、いまだからですけどね。はい。だから、そういう映画なんですけどね。まあこれね、どうやってこいつを捕まえるの?とか思っているとですね、やっぱりですね、やりすぎたんですね。やりすぎて、足元から崩れていくという映画なんですけどね。

(赤江珠緒)へー。

(山里亮太)捕まっていく過程とかも出る?そこは映画で見ればわかるんですね。

(町山智浩)そのへんはね。ただね、この人、16年間も逃亡してたんでね。その間は結構・・・その間に『ディパーテッド』っていう映画になったりとかね。その辺も面白いんですよ。で、まあ最近捕まったんですけど。『終身刑2回』っていうね、刑になりましたね(笑)。

(山里亮太)終身刑2回!?

(町山智浩)終身刑2回ってなんやねん!?って思いましたけど。どうやるの?って思いましたけど(笑)。

(赤江珠緒)来世も償えと(笑)。

(町山智浩)来世も償えってことですかね(笑)。

(山里亮太)生まれ変わっても、もう1回すぐに捕まえてやる!ってこと?

(町山智浩)ただ本人はね、なんか弁護でね、『僕は30ぐらいになるまで人を殺したことなんかなかったんだ』とホワイティは証言をしてて。で、20代に捕まって刑務所に入っている時に、『「ボランティアで刑期を減らしてくれ」って言われて。ある人体実験をして、それから人殺しになっちゃったんだ』って言ってるんですね。裁判で。

(赤江珠緒)えっ?

(町山智浩)映画の中には出てこないんですけど。これ、実際に彼、記録に残っているんですけど。CIAが『MKウルトラ計画』っていうのをやっていて。その当時。それでですね、人体実験で大量のLSDを飲まされて、マインドコントロールの実験を刑務所でやらされたらしいんですよ。このホワイティっていう人は。

(赤江珠緒)ええ。

(町山智浩)で、これはね、最近になって判明したんですけど。CIAが1950年代から70年代にかけて、いろんな人たちのお金を出して、LSDの実験をして。それで、人間をロボットにしてリモートコントロールできないか?って実験を本当にしてたんですよ。

(赤江珠緒)ええーっ!?

(山里亮太)それは映画の話の中じゃなくて、実際の話なんですか?

(町山智浩)映画じゃなくて、本当にあったことです。これ。これ、いまはもう完全に判明してます。どういうことがあったか?って。

(赤江珠緒)CIA、何をやってるの!?

(町山智浩)CIAはね、その頃ね、ソ連とか中国が共産主義に洗脳するっていう技術を持っているって思い込んでいて。それだったら俺たちも機械的に人を洗脳できないか?っていうんで、その実験を始めているんですね。

(赤江珠緒)とんでもないことを、また・・・ええっ!?

(町山智浩)そう(笑)。で、『その副作用で俺は人殺しになった』って言ってるんですけど。実際はこの実験をされた人はものすごい人数がいるんで。全員人殺しになってたらおかしいんで。だから、この言い訳はぜんぜん通らなかったですけどね。

(赤江珠緒)通用しなかった。

(山里亮太)っていうか、すごいな・・・

(町山智浩)というね、聞けば聞くほど、なにもかもめちゃくちゃだな、アメリカっていう話ですよ。

(赤江珠緒)しかも、聞けば聞くほど『ブラック・スキャンダル』っていうタイトルがピッタリだなという。

(町山智浩)そうなんですけどね。そういうジョニー・デップ復活のハゲ映画『ブラック・スキャンダル』は来年1月30日に公開ですね。

(赤江珠緒)はい。わかりました。町山さん、再来週はスペシャルウィークですが、その時にはどんなお話を?

(町山智浩)はい。マット・デイモンが火星でひとりぼっちになるという映画『オデッセイ』を紹介します。アメリカでいま、大ヒットしてますね。

(赤江珠緒)へー!こちら、超大作。はい。ということで、こちらは来年2月公開という『オデッセイ』をスペシャルウィークにお話していただきます。今日は町山さんにジョニー・デップ主演の『ブラック・スキャンダル』をご紹介いただきました。町山さん、ありがとうございました。

(山里亮太)ありがとうございました。

(町山智浩)どもでした。

<書き起こしおわり>

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