町山智浩 『エベレスト3D』を語る

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町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』の中で、エベレストへの過酷な登山を描いた映画『エベレスト3D』を紹介していました。



(赤江珠緒)今日の本題、お願いします。

(町山智浩)今日の本題はですね、ええと、『エベレスト3D』という映画で、11月公開の映画についてご紹介します。いま、ちょうど日本人の登山家の栗城史多さんがエベレストのいまベースキャンプにいるんですよね。

(赤江珠緒)はー。

(町山智浩)まあ、登頂を目指しているんですが、天候不良ということでちょっと今回のアタックは諦めるみたいなことが言われてますけども。この方、栗城さんはいままで、5回挑戦していて。今回も含めて。この人、凍傷で手の指が9本、ないんですよね。

(赤江珠緒)そうそうそう。1回、武井壮さんのコーナーでご紹介していただいたこと、ありますね。栗城さんはね。そうそう。2012年でしたか。

(町山智浩)2012年の登頂で凍傷で・・・ッて言うことなんですけども。で、情報がちょっと錯綜しているんですけども、明後日、もう1回アタックするっていう情報もあるんですね。

(赤江珠緒)へー!

(町山智浩)天候を待って、みたいなね。どうなんだろう?っていうところなんですが。今回紹介する『エベレスト3D』っていう映画はですね、1996年に起こった、8人が死亡した大遭難事件についての劇映画です。

(赤江珠緒)はい。

1996年 エベレスト大量遭難

(町山智浩)これも、日本人の女性で難波康子さんっていう方がいてですね。非常に日本でも話題になったと思ったんですけども。で、これですね、3D IMAXの映画なんですよ。だからね、本当にその8000メートルにいる感じなんですよ。周り全部山に囲まれますから。視界が。で、本当にもう、3Dで見るとですね、吊り橋のシーンなんかね、目の前に吊り橋があって。そこにちっちゃなちっちゃな、1センチぐらいの人が渡っている。掴めそうな感じがするんですよ。

(赤江珠緒)へー!

(町山智浩)だからこれ、ちょっと3Dで見ないと・・・っていう感じなんですけど。で、エベレストっていうのは地球でいちばん高い山っていうことで世界の登山家が目指すところなんですけども。今回の1996年の映画になった事件というのは、登山家のプロの人たちが行った事件じゃないんですね。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)これは、アマチュアの登山家の人たちを集めて、プロの登山家が連れて行ったツアーみたいな形だったんですけども。

(赤江珠緒)なんか最近はアマチュアの方も結構登られるそうですね。

(町山智浩)もうプロの登山家がついて行くんですよ。だからほら、最近だと日本のコメディアンのイモトアヤコさんが2014年に登ろうとしてですね、まあ、たしかシェルパ。地元ネパールの荷物を運んでくれる人が死亡する事故があってですね。雪崩で。で、イモトさんは登頂を取りやめましたけどね。

(山里亮太)はいはい。断念しました。

(町山智浩)その雪崩事件の最中にこの『エベレスト3D』の撮影隊がいたんですよね。

(赤江珠緒)ええっ?

(町山智浩)彼らもだから雪崩で結構大変なことになったみたいですけど。で、まあ現場でも撮影していると。で、この事件のツアーのガイドというか主催者はロブ・ホールという人でした。この人はすごくてですね、わずか29才で、たった7ヶ月間で世界七大大陸の最高峰を全部制覇したっていう。まあ、すごい人なんですね。

(赤江珠緒)ええっ?7ヶ月間で?

(町山智浩)で、エベレストにも何度も登頂に成功していて。すでにこのツアーも2回、成功していたんですよ。それで3回目だったらしいです。はい。で、このツアーっていうのはこれ、すごくてですね。1人いくらだと思います?

(赤江珠緒)エベレストに上がって・・・どうなんだろう?どれくらいするんだろう?

(町山智浩)ざっと。

(赤江珠緒)ざっと・・・まあ、50万ぐらい?

(町山智浩)700万円ですよ!

(赤江・山里)えっ!?

(町山智浩)700万円以上ですね。

(赤江珠緒)700万!?

(町山智浩)1人700万円以上です。そういう高い金額なんですよ。で、これね、ネパール政府にもかなり払うんですよ。100万円とか。

(赤江珠緒)はー!

(町山智浩)これ、やっぱりほら、事故があった時にネパール政府もなんかいろいろしなきゃなんないじゃないですか。

(赤江珠緒)ああ、そりゃそうですね。救援に向かわなきゃいけない。

(町山智浩)だから負担もあるっていうことでね、かなり金額が高いんですけども。で、あと少しずつ高度を上げていかなきゃなんないんで、期間が長いんですよ。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)そうしないと酸欠。高山病になっちゃうんで、少しずつ身体を慣らしていくんで、ものすごく長丁場のツアーなんですね。はい。で、どういう人が参加しているか?っていうと、日本人の方の難波康子さんっていう人は当時47才で。FedExってあるじゃないですか?宅急便、航空便の会社。

(赤江珠緒)はい。

(町山智浩)に、勤めてらっしゃって。それでまあ、ずっと冒険家でですね。世界七大大陸の最高峰は6つまで制覇してるんですね。すでに。

(赤江珠緒)へー。この方もね、結構登られている人。

(町山智浩)そうなんですよ。女性としての登頂では世界最高齢に、その当時なっていたという、まあアマチュアですけどベテランだったんですね。あとはね、ちょっと変わった人でダグ・ハンセンさんっていう人がいて。これはアメリカ人の郵便局員ですね。48才。それで700万円で、しかも前に1回挑戦して失敗していて。エベレストを。で、2回目なんですよ。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)だから郵便局員で、あんまり・・・まあ、アメリカの郵便局員はあまりお給料がよくないんで。もうこれだけのために金を貯めてですね、必死で来ている人なんですね。夢をつかもうとして。

(赤江珠緒)ええ、ええ。

(町山智浩)その方がダグ・ハンセンさんで。あとですね、お医者さんとか金持ちが多いですね。結構ね。参加した人たち。700万円だからね。はい(笑)。で、まあその人たちを連れてですね、このロブ・ホールさんがエベレストを登り始めたのが1996年の5月なんですね。5月10日にアタックするんですけども。

(赤江珠緒)はい。

(町山智浩)まあ、これが、この映画を見ていると大変なんですよ。ザクザクザクザク登っていくと思うじゃないですか。そうじゃなくて、もう、一歩・・・ザクッ・・・また一歩・・・ザクッ・・・と。このぐらいのスピードなんですよ。

(山里亮太)へー!

(町山智浩)っていうのはとにかく酸素がですね、高度8000メートルぐらいだと地上の1/3しかないんですね。するとまあ、運動ができないわけですよ。酸素が回らないから。で、あと気温がですね、零下40度とか50度とかなんですよ。

(赤江珠緒)過酷ですね、やっぱり。うん。

極限状況での登頂

(町山智浩)そうなんですよ。だから、身体もそんなに動かせる状態じゃないんですね。それとあと、酸素ボンベを背負っているんですよね。だからね、100メートルぐらい登るのに、何時間もかかるんですよ。で、しかもですね、真夜中から登り始めて、ずーっと登って午後2時までに登るっていうんですけど。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)つまりこれ、12時間ぐらい歩きづめなんですよ。

(赤江珠緒)キツいですね!

(町山智浩)もうすごくキツい。しかも、休むところはぜんぜんないんですよ。もう本当に尖った刃物の刃みたいに狭いところを登っていきますから。山頂に向けて。もう、ゆっくり休むところなんか存在しないし、休んでいたらどんどん体力を奪われていくから、歩き続けるしかないんですよ。

(赤江珠緒)へー!

(町山智浩)で、どんどん行くんですけど。やっぱりね、みんなおかしくなっていくんですよ。登っていく最中に。で、さっき言った郵便局員のダグ・ハンセンさんはですね、ずっとゲボゲボゲボゲボ咳してるんですね。ゲホッゲホッゲホッとかいって。それで何だろう?と思うんですけど、これはたぶん肺水腫ですね。

(山里亮太)肺水腫?

(町山智浩)肺に水が溜まっていく病気ですね。

(赤江珠緒)ええっ?

(町山智浩)これ、酸欠で起こるらしいんですよ。でね、あとスコット・フィッシャーっていうね、この人もプロの登山家で。別のグループのリーダーが出てくるんですけど。ジェイク・ジレンホールさんが演じてますけど。俳優の。この人がなんかおかしいんですよ。顔色とかおかしくて、目が虚ろなんですね。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)で、何だろう?と思うんですけど、これはおそらく脳浮腫だと言われてるんですよ。

(赤江珠緒)ええっ?脳が?

(町山智浩)脳の中に水が溜まっていくんですよ。

(山里亮太)そんなことになるんだ!?

(町山智浩)これも酸欠で起こるらしいんですね。だから、ええっ!?って思うじゃないですか。脳とか肺に水が溜まっていく状態で登っていくんですよ。

(山里亮太)すごい・・・

(町山智浩)もうすごいんですよ。あとね、ベック・ウェザーズさんっていう人がいて。この人、50才のアメリカ人のお医者さんなんですけども。この人、途中で目が見えなくなっちゃうんですよ。

(赤江珠緒)ええっ!?

(町山智浩)どうしてだろう?と。これもね、言われているんですけど、紫外線が強烈なんですね。高いところだから。

(赤江珠緒)そうか!しかも、酸素も薄いし。

(町山智浩)そう。それで、目がやられてもう見えなくなって。

(山里亮太)えっ?そんな過酷なんすか!?

(町山智浩)ものすごい過酷なんですよ。

(赤江珠緒)その時点でもう、ダメじゃないですか。その・・・

(町山智浩)もうダメなんです。で、このベック・ウェザーズさんは目が見えないっていうことで放置されるんですよ。その場で。

(赤江珠緒)えっ?

(町山智浩)置いて行かれるんですよ。で、まあ、『俺たちは登るけど、君はそこで待っていてね』って置いてかれるんですよ。

(山里亮太)帰りに拾っていくよと。

(町山智浩)はい。で、そんな感じでやっているもんだから、予定の時間よりも遅くなっちゃうんですね。予定、午後2時までに・・・午後2時になったらどこにいようとも、引き返すっていう約束で登り始めたんですね。

(山里亮太)そういうルールがあるんですね。

(町山智浩)っていうのは、そうしないと12時間以上歩き続けて、もう体力なくなっちゃうから、帰れなくなっちゃうんですよ。で、山の事故っていうのは大抵、下山で起こるんですよ。大抵、下山が遅れて。要するにお昼をすぎて下山し始めると、山の天気は急激に変わるんですね。午後の方が悪くなるんですよ。

(赤江珠緒)はい。

(町山智浩)上昇気流で雲が上がってくるからですけど。で、さらに夜になると体温が持っていかれちゃうじゃないですか。暗くなって。

(赤江珠緒)すぐ暗くなりますもんね。

(町山智浩)山はすぐ暗くなりますからね。お日様が出てない方、真っ暗になるんで。で、体温が奪われて、見えないから危ないし。だから、山っていうのは夜中に出て、午前中になるべく山頂に上がって。で、午後になるまでには下りなきゃいけないんですよ。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)ところが、こうやってズルズルやっているうちに、山頂に登るのが予定の午後2時からズルズルズルズル、3時、4時・・・っていう風に遅くなっていっちゃうんですよ。このチームは。

(山里亮太)ってことは、ルール違反で、守らずに登って行っちゃったんですね。14時以降も。

(町山智浩)そう。だからたぶん中でもね、『やっぱりこれは引き返さなきゃいけないんだ!』って言うんですけど、全員700万円払っているんですよ。

(赤江珠緒)そうでしょう。しかも、そこまで歩いて来て、もう目の前まで来ていたらね。

(町山智浩)そう。だからやっぱり登りたい!っていうんですよ。さっきのダグ・ハンセンさんっていう郵便局員の人は、『もう1回失敗してるから、絶対に山頂まで行きたいんだ!』って言うんで、ズルズル遅れて。ロブ・ホールさんっていうリーダーがダグ・ハンセンを連れて山頂に登ったら、もう4時なんですよ。午後の

(赤江珠緒)うわーっ!

(町山智浩)もう、もう見てると、もうダメだろ、これ!?ってこの段階で思っちゃうんですけど。だって、酸素ボンベの中身も空っぽになりますからね。

(赤江珠緒)ああ、そうか!

全てが最悪の状況へ

(町山智浩)そう。しかも、全てが最悪の状況にどんどんなっていくんですよ。だから見ていると、さらにね、かなり前の段階から天候が悪くなって、ブリザードが、強烈な吹雪が来るっていうこともわかっていたんですけども。それが来る前に、なんとか登ろうとしてるんですね。で、もういろんな悪いことが全部重なっているんですよ。

(赤江珠緒)へー!

(町山智浩)しかも、このチームだけじゃなくて、他にも3つぐらいのチームが同時に登っていたんで。上の方って狭いから、渋滞になって登るのが遅れちゃってるんですよ。

(赤江珠緒)えっ?エベレストの上、渋滞するんですか?

(町山智浩)あのね、山登りしてる人だったらわかるんですけど。槍ヶ岳とか夏に行くと、すごい渋滞ですよ。

(赤江珠緒)ああー、そうか。富士山とかもね、上の方ね。

(町山智浩)そうそう(笑)。渋滞待ちなんですよ。山って。それで、山頂狭いから、山頂からすぐどかないと、山頂に人が上がれないってことが起こるんですよ。

(赤江珠緒)ああ、そうか。

(町山智浩)ちなみに僕、高校時代山登りしてましたけど。

(赤江珠緒)えっ!?

(町山智浩)あ、徒歩部っていうところにいたんですけど。早大学院の徒歩部っていうところにいて。どうしてか?っていうと、もともとワンゲル部はあったんですね。ワンダーフォーゲル部は。そこでなんか死亡事故があったらしいんですよ。

(赤江珠緒)はー・・・

(町山智浩)で、僕が高校に入る前にあって。それで、そっから分派して徒歩部っていうのができて。そっちの方に入ったんですよね。

(赤江珠緒)へー!

(町山智浩)やっていることは同じなのに、2つに分かれてたんです。事故があったために。

(赤江珠緒)町山さん、そういうこともされていたんですね。

(町山智浩)いろんなことしてる人です。はい(笑)。

(赤江・山里)(笑)

(町山智浩)どれも、中途半端です。はい。すいません。なんでも手、出すんですけど。まあ、それはいいんですが(笑)。

(赤江珠緒)(笑)

(町山智浩)で、まあこの『エベレスト3D』っていう映画は最後、後半はずっと下山の地獄なんですね。で、まずですね、ダグ・ハンセンっていう咳していた人が動けなくなります。まあ、肺水腫だろうと言われてますね。で、難波康子さんも酸欠と低体温と疲労らしいんですが、意識もうろうっていうか、錯乱状態に近い状態になってきますね。

(赤江珠緒)はー・・・そう言いますね。

(町山智浩)で、あと、置いてかれちゃったベック・ウェザーズさんのところにみんな下りてくるんですけども。ベック・ウェザーズさんも身体が動かなくなっているんで、下りてきた人たちに放置されます。また。

(赤江珠緒)えっ?待っていたのに?

(町山智浩)そう。難波康子さんと一緒に、彼は放置されちゃうんですよ。その、零下50度のところに。

(赤江珠緒)その場所に?

(町山智浩)場所に。もう動けないし、目も見えないだろうってことで。

(山里亮太)もうダメだという、諦めたと?

(町山智浩)もう見捨てようってことで、見捨てちゃうんですよ。みんな。

(赤江珠緒)うわー・・・

(町山智浩)っていうのは、エベレストは誰かを背負って移動するってことはほとんど不可能に近いんですね。自分1人も運べないような過酷なところなんで。

(山里亮太)じゃあ、もう決っているんですね。もう動けない人が出たら、その人はもう諦めるしかない。そこで死ぬ・・・

(町山智浩)諦めていくんですよ。どんどん。息はしてるんですけどね。

(赤江珠緒)厳しい!

(町山智浩)厳しいんですよ。ただその、ダグ・ハンセンさんが動けなくなった時に、リーダーっていうか主催者であるロブ・ホールは彼をなんとか助けようとして、同行しちゃったんですね。見捨てなかったんですよ。

(赤江珠緒)うんうん。

(町山智浩)そしたらですね、酸素ボンベの安全弁が完全に凍結して、酸素が供給されなくなっちゃったんですよ。

(赤江珠緒)ええっ!?

(町山智浩)っていうことが次々と起こってくんですよ。

(山里亮太)うわっ、すごい・・・見ていて苦しくなる映画だな。

(町山智浩)もう息が詰まりそうになりますよ。本当にね。でね、まあ別のグループのスコット・フィッシャーっていう人は完全に脳浮腫でもう意識不明になってしまうし。で、こういう状況だったら、ヘリコプターかなんか出せよ!とか思いません?

(赤江珠緒)うんうん。

(町山智浩)救出にヘリコプター、行けばいいじゃん!って思いませんか?

(赤江珠緒)はい。

ヘリコプターは使えない

(町山智浩)ヘリコプターは高度6000メートルまでしか上がれないんですって。

(山里亮太)そうか。8000メートルだもんね。

(赤江珠緒)そうなのか。もうそこからの2000は・・・助けられないのか。

(町山智浩)あのね、ヘリコプターはジェットエンジンと違って、普通に酸素を燃やしてエンジンを燃焼させるじゃないですか。酸素がなければ、エンジンは動かないんですって。

(赤江珠緒)ああー・・・

(町山智浩)そう。だから6000メートルまでしか上がれないよって言われてるんですよ。この映画の中で。そこまで下がらなければ、死ぬんですよ。自力で。

(山里亮太)6000まで行けば、なんとか。

(町山智浩)なんとかヘリコプターは上がれるらしいんですけどね。でも、これ要するに7000メートルぐらいのところですからね。7800メートルとかそのへんですから。もう、どうしようもないんですよ。っていう映画で、これ、僕見ていてね、『八甲田山』っていう映画を思い出しましたね。

(赤江珠緒)ああー。青森のでしたっけ?

(町山智浩)そう。1902年の青森の八甲田山でですね、日本陸軍の兵士が雪中行軍中に猛吹雪に襲われまして。210名中、199人死亡ですよ。

(赤江珠緒)いや、大惨事ですよね。

(町山智浩)そう。これ、僕高校1年ぐらいの時に映画館で見ましたけど。なんでこんな映画を見なきゃなんないんだろう?っていうものすごい地獄体験でしたね。いちばん怖かったのはね、その酸欠じゃなくて、この場合は低体温ですけども。八甲田山は。低体温で脳に異常が生じてしまって発狂するシーンですね。1人が。

(赤江珠緒)ええっ!?

(町山智浩)裸になっちゃうんですよ。雪の中で。零下何十度の。

(赤江珠緒)そうそう。『暑い暑い』って言う人とかが多いって言いますもんね。

(町山智浩)発狂しちゃうんですって。脳がおかしくなって。壊れちゃって。で、このエベレストの中にも、まったく同じシーンが出てきたんで、『うわっ!八甲田山だ!』とか思いましたよ。

(赤江珠緒)ええっ!怖いですねー。

(町山智浩)ものすごく怖いですよ。そう。しかも3Dですからね。はい。ただね、ちょっとだけ救いがあってですね、放置された人、いたじゃないですか。零下50度のところに。

(赤江珠緒)ベックさん?お医者さんの。

(町山智浩)ベックさん。ベックさんね、12時間ぐらいたってね、目が覚めたんですね。『あれっ?』って目が覚めるんですよ。『い、生きてる・・・』みたいな感じで。で、自力でキャンプまで下りるんですよ。この人。

(山里亮太)へー!帰れたんだ。

(町山智浩)そう。すごいな!と思いましたけど。この人、いまも生きて、いろんなところで講演したり本を書いたり、テレビ出たりしてますね。

(赤江珠緒)へー!生還されたんですね。

(町山智浩)生還されたんですよ。ただ、凍傷でもって肘から上はなくなってるし。両手の指は全部ないですし。で、足も指が何本かないですね。

(赤江珠緒)おおー・・・

(町山智浩)で、鼻もなくて。ただ鼻は頭か耳かなんかの皮膚を鼻のところに持ってきて、くっつけてますけどね。現在は。

(赤江珠緒)ええっ!?

(町山智浩)はい。この人、すごいな!と思って。零下50度のところに12時間放置されて生きてた人ですけどね。

(山里亮太)すごい!ちょっと仮死状態とかになったのかな?なんなんだろう?

(町山智浩)ねえ。びっくりですけど。

(赤江珠緒)その後、目は戻らないんですか?やっぱり。

(町山智浩)はい?

(赤江珠緒)目が見えなかったっていうのは、それも戻らない?

(町山智浩)目はかなり見えるようになったみたいですね。で、まあそんな感じで。難波康子さんは亡くなりましたよね。そういうところなんでね。まあ、イモトアヤコさんがエベレスト登頂でいろいろ騒ぎになりましたけど。まあ、そういうところなんですよね。

(山里亮太)いや、気候がね。天候が悪くて断念するって、いや、ちょっとがんばったら、天候とかまた待ったらいいじゃないとか思ったけど。そんな次元じゃないんですね。

(町山智浩)次元じゃないです。この8000メートル以上っていうのは生物が本来、何も、バイ菌すら生きられない世界なんで。デスゾーンって言われてる。死の地帯って言われてるんです。

(赤江珠緒)ええー、でもそこへやっぱりアタックしようっていう人は後を絶たないっていうか。多いんですね。

(町山智浩)そう。だからこそなんですよね。

(赤江珠緒)だからこそ。

(町山智浩)完全な限界状況ですからね。ただね、亡くなった人たちは全部ね、回収されないで。現在も100人以上の遺体がエベレストにそのまま置かれているそうですね。

(山里亮太)あ、なんか聞いたことあります。だって、しかもほら、気温もマイナスとかだから。それほど、ほとんど・・・

(町山智浩)そう。ミイラになっちゃうんで。そのまま保存されているらしいですね。

(赤江珠緒)はー!壮絶な世界ですね。やっぱりね。

(町山智浩)壮絶ですよ、これ。この『エベレスト3D』っていう映画はね、あんまり人物の、どういう人間なのか?っていうのはちゃんと描かれていないんで。ちょっと感情移入しにくいところがあるんですけど。ただ、この3D IMAXのおかげで、感情移入できなくても高度8000メートルのデスゾーンはある程度体感できるんですよ。

(山里亮太)なるほど!

(町山智浩)そういう地獄の遊園地映画ですね。はい。

(赤江珠緒)うわー、本当だな。

(町山智浩)ライドものみたいな感じですけど。

(赤江珠緒)まあ、普通の人ではちょっと、一生行くことがないエリアだったりしますもんね。

(町山智浩)まあ、そうですよね。その通りですよね(笑)。まあ、そういう映画なんでね。エベレストっていうとうーん・・・とか思う人は見て、『これぐらい凄まじいんだ!』っていうのがね、知ることができると思います。『エベレスト3D』。11月公開ですね。

(赤江珠緒)はい。日本では11月6日公開ということです。うん。いやー、もう話を聞くだけで・・・

(町山智浩)僕が登っていた山はね、本当、歩いてトコトコ登って。歌うたいながら登るようなところでした。

(赤江珠緒)あ、徒歩部ですもんね。

(町山智浩)冬山は行きませんでした。徒歩部ですからね。はい。

(赤江珠緒)(笑)。町山さん、ありがとうございました。

(町山智浩)はい。どうもでした。

<書き起こしおわり>

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