菊地成孔と大谷能生『カシオペアとグラスパーは大二病音楽』

菊地成孔が語る FUJI ROCKのトイレでぶつかった小さい女性の正体 dommune

菊地成孔さんと大谷能生さんがDOMMUNE『JAZZ DOMMUNE17』の中で、カシオペアについてトーク。カシオペアとロバート・グラスパーについて、『大二病音楽』と話していました。

菊地成孔が語る FUJI ROCKのトイレでぶつかった小さい女性の正体

(大谷能生)これと対極っていうかさ、最近ずっとこればっかり聞いてるんですけど。これがオーネット(・コールマン)で・・・

(カシオペアをかける)

(菊地成孔)ヤバいよね。

(大谷能生)カシオペア、イケんじゃねーか?っていう

(菊地成孔)いや、カシオペア、すごいよ。カシオペアね、俺、いま書いている本の中の結構太い章っていうかタームとして出しているんだけど。カシオペアは大二病だよね。中二病でもない。

(大谷能生)そう。大二病ですね。

(菊地成孔)小二病でもない。大二病なんだよ。あの、上京してきて、まだお洒落じゃない人にも、上京してきたんでいよいよお洒落した人にも使えるっていう意味において、大学二年の病気だよね。これ。

(大谷能生)いま、ロバート・グラスパー、それに近いよね。

ロバート・グラスパーも完全に大二病

(菊地成孔)ロバート・グラスパーも完全に大二病。あの、服なんか構わないから練習一生懸命やって譜面を書く人と、あと、お洒落なデートをしたい人がどっちも使える音楽っつって。大二病音楽だよね、これね。

(大谷能生)実際でもね、いま聞き直しているところなんです。まあ今年ね、ええと、野外夏フェスが復活ですよ。

(菊地成孔)あれね、10年おきに復活してるんだよ。

(大谷能生)ちょっとずつね。だけど今年、メセニーが来て、グラスパーが来て、みたいな感じで赤レンガ倉庫あたりでやるらしいんですけど。カシオペアでしょ!ってことで。

(菊地成孔)カシオペアでしょ。カシオペア、出ないと。

(大谷能生)夏フェスっつったら、カシオペアでしょ!っていう形で、まあ聞き直してみたらこれが意外といま、いいかも?っていう。

(菊地成孔)いやー、カシオペアをね、なんて言ったらいいのかな?カシオペアはすごい。あの、『MINT JAMS』っていうタイトルなんですよね。

(大谷能生)これ、名盤だよね。

(菊地成孔)もう『MINT JAM』っていう段階でこの時代は洒落てたんですよ。まだ日本にはいちごジャムぐらいしかなかったんで。

(大谷能生)(笑)

(菊地成孔)マーマレードがいちばん洒落ていたぐらいの時代に、『MINT JAMS』って出てきて。しかも、この『MINT』っていうのはメンバーの頭文字を集めてるんですよ。

(大谷能生)(笑)

(菊地成孔)それで『MINT』にしたの。すごいな!と思って。カシオペアって。

(大谷能生)カシオペアはね、だけど・・・

(菊地成孔)あのね、大二病っていう感覚がいま、わかりづらいのかね・・・わかりやすいのかね?逆にグラスパーなんかによって。

(大谷能生)『21才音楽』っていうのはどうですか?21世紀じゃなくて。

(菊地成孔)『21才音楽』でもいい。ただ、まあエイジナンバーにしてしまうと、やっぱりどんなに人が退行しても、大学二年は大学二年じゃん。やっぱ。要するに部活でとにかく毎日、1週間同じジーパン着て練習してる人にもカシオペアは神だったし、DCブランドで夜の高速を飛ばす人にも神だったっていう。

(大谷能生)これもね、ぜんぜん使える音楽みたいになって。すごいよかった。

(菊地成孔)しばらくなかったよ。グラスパーはすごい偉いと思う。やっぱり。

(大谷能生)あとさ、シティポップ的なものっていうのが揺り戻しが来て流行っているじゃない?

(菊地成孔)来てる、来てる。

(大谷能生)俺、今回やっぱりカシオペアをガンガン聞き直して思ったのが、歌入れたらいいのになって(笑)。

(菊地成孔)まあ、カシオペアに歌を入れたのがAORでしょ?日本の。

(大谷能生)そうそう。なんだけど、いや、実際ね・・・

(菊地成孔)現にカシオペア組とかさ、これに詳しい人がとんでもなくなっているよ。この番組なんか、あるんでしょ?ハッシュタグみたいなのが。いま、大騒ぎになっていると思うよ。あの、当時のAOR、亡くなっちゃった人とか、どこにいるかわかんない人とかいっぱいいるんだけど。カシオペア、キティ・・・あの、いろいろあるんだよ。レコード会社別に。

(大谷能生)ちょっと、それでね、試しに山下達郎の声をかけて、カシオペアをかけたら混ざるのか?っていう実験をやってみようかな?と思うんですけど。いや、俺も初めてやるからわからないけど・・・

(山下達郎『DREAMING GIRL』とカシオペア『朝焼け』をMIXする)

(菊地成孔)(笑)。これこそ、あれだね。これも俺、一瞬提唱しようと思ったんだけど、誰もまたキチガイ扱いして相手にしてくれなかったんだけど。『マッシュアップ』っていう言葉ばっかりがさ、『マッシュ』すると『アップ』すると思っているけどさ・・・

(大谷能生)マッシュダウン!

(菊地成孔)マッシュダウンもあるよね(笑)。ぜったいにマッシュしたらマズくなるもんもあるんだよね。

(大谷能生)マズくなっちゃうっていうね(笑)。

(菊地成孔)いまこそ、マッシュダウンの典型だよね。キーの合わない爽やかな音楽。

(大谷能生)(笑)

(菊地成孔)これこそ、マッシュダウンでしょ。

<書き起こしおわり>

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