町山智浩 映画『フレンチアルプスで起きたこと』を語る

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町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』で、ゴーン・ガールよりもエグい夫婦関係を描いた映画『フレンチアルプスで起きたこと』を紹介していました。


(赤江珠緒)今日のお話は、なんですか?雪山でというお話だそうですね。

(町山智浩)雪山で(笑)。

(山里亮太)すいません。ざっくりとしたトスを。

(赤江珠緒)(笑)

(町山智浩)(笑)。『フレンチアルプスで起きたこと』っていうタイトルですね。



(山里亮太)なに?この怖い音楽?

(町山智浩)はい。これね、ヴィヴァルディの四季から、『夏』っていうパートなんですけど。ヴィヴァルディってみんな、『春』がやたらと聞いたことありますよね。これね、夏を聞くとね、すごいおどろおどろしいんですよ。

(山里亮太)ああ、たしかに。怖い。なんか。怖い時に流れるBGMのイメージ。

(町山智浩)あのね、夏はね、ものすごい暑いんですね。イタリアだから。作曲されたのがね。それで、ものすごく暑くて、うだるような暑さのところで、嵐っていうか夕立ちみたいなのが来るっていうのを音楽で表現してるんですけど。

(赤江珠緒)ふーん。

(町山智浩)あの、これがなんとアルプスの雪山にピッタリなんですよ。このフレンチアルプスで起きたことっていう映画は。この切羽詰まった感じみたいなのがね、ずっと全編に出てきている映画なんですけども。これはですね、去年『ゴーン・ガール』っていう映画がありましたね。

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(赤江珠緒)はいはい。

(山里亮太)恐ろしかったですよー!

(町山智浩)あ、ご覧になってます?

(山里亮太)はい。見てます。見てます。

(町山智浩)あの、まさか旦那を徹底的に責める映画になると思わなかったわけですよ(笑)。

(赤江珠緒)なんか夫婦で見ると問題だ!っていう。

『ゴーン・ガール』よりもすごい夫婦問題映画

(町山智浩)そうそうそう。もうダメ夫っていうか、夫はみんなダメっていうか、男はみんなダメっていう映画で。男をいじめる映画でしたけど。あの、それよりももっとすごいですよ、これ。

(山里亮太)ええっ?あれでもだいぶエグかったですけどね。ゴーン・ガールも。

(町山智浩)いや、こっちはね、あんな風に直接、血みどろのことがあったりとか、ものすごい暴力的なこととか、ぜんぜんないんですけど。本当に日常の話なんですね。このフレンチアルプスで起きたことっていうのは。誰にでも起こることなんだけど、ものすごい怖いんですよ。

(山里亮太)ええっ?

(赤江珠緒)怖い?

(町山智浩)でね、どういう話か?っていうと、まずその主人公はスウェーデンから来た金持ちの中産階級の30代の夫婦なんです。で、旦那は結構お金を持っていて。でも、すごい忙しくて家族サービスをしてないんで、わざわざフランスまで来て、アルプスのスキー場で結構1週間ぐらい泊まって。家族サービスをするんですね。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)で、子どもは男の子で。まだ小学校低学年ぐらいの子たちなんですよ。で、ずっとスキーをやって。すっごいリゾートホテルでね、キッチンとかあって。家みたい、マンションみたいな感じ。で、ものすごい巨大で。何もしなくてもいいっていう。お母さんたちを家事から開放してあげるようなところなんですね。

(赤江珠緒)じゃあ、バケーションですね。

(町山智浩)そう。バケーションっていう感じでやっている。しかも、スウェーデンから来てるわけですからね。スウェーデンの方が雪、あるんじゃねーの?とか思うわけですけど。なんで南の方までわざわざ下りてくるんだよ?とか思いますけど(笑)。

(赤江珠緒)(笑)

(町山智浩)そう。金があるからね。で、まあ優雅にやっていると、テラスみたいなところでお昼を食べているとですね、ドーン!ドーン!って音がするんですよ。で、これ、雪崩を防ぐために、大きい音を火薬とかで立てて、人工的に雪崩を断続的に起こさせて、大きい雪崩が起きないようにしてるんですね。

(山里亮太)はいはい。

(町山智浩)ところが、ちょっとその人工雪崩がものすごい量になって、こっちの方に落っこってくるんですよ。家族のいるところに。主人公たちの。で、どんどん迫ってくるぞ!ってなって、バーン!と来ちゃうんですよ。とうとう。雪崩が直撃しちゃうんですよ。そのテラスを。ご飯を食べていた。

(山里亮太)ふん。

(町山智浩)で、その時に、なんと4人家族なのに、旦那が1人で逃げちゃったんですよ。

(山里亮太)ああー、なるほど。ふんふん。

(町山智浩)奥さんは子ども2人を抱えて、かばって助けようとしたんですけど、旦那は1人でスマホだけ持って逃げちゃったんですよ。

(赤江・山里)うわーっ!

(町山智浩)そう。ところがその雪崩は、単にテラスの下にぶつかって起こった雪煙だけだったんで、なにも起こらなかったんですけど。

(赤江珠緒)あ、大丈夫だったんですね。

(町山智浩)でも奥さんは見ちゃったんですよ。旦那が逃げるのを。

(赤江珠緒)うわーっ!

(町山智浩)で、旦那はその雪煙がモヤモヤしているところに戻ってきたんで、バレてないと思っているんですよ。

(赤江珠緒)ふんふんふん(笑)。

(山里亮太)なるほど。

(町山智浩)自分が逃げたことが。で、奥さんも、それを責めちゃマズいなと思って、責めないんですね。

(赤江珠緒)あ、まあお子さんの前だしね。うん。

(町山智浩)そう。それで、なんでもなかったように振る舞い続けるんですけど、どうしても奥さんの中に、『あ、この人は私たちをおいて逃げたんだ。私たちをおいて逃げた人なんだ』って思うから、どんどんどんどんこう、旦那とも話ができなくなって。落ち込んで、鬱になっていくんですよ。

(赤江珠緒)あらーっ!

(町山智浩)でも、責められないんですよ。それで、この映画の原題はですね、『FORCE MAJEURE』っていうんですね。これね、フランス語なんですけど、『不可抗力』っていう意味なんですよ。これね、保険用語なんですね。災害保険とかの言葉で。その、地震とか洪水とか台風とか天災があった時は、これはもうコントロールできないから、免責になるんですよ。保険が。

(赤江珠緒)ふんふんふん。

(町山智浩)だからそれと同じで、この父親がとった行動っていうのはわざと考えてやったんじゃなくて、本能的に反応しちゃった行動だから。

(赤江珠緒)とっさに体が動いちゃった。

(町山智浩)そう。だから、それを責めてもしょうがないなって奥さんは思ったんですよ。すごくズルくて、いろいろ悩んだ末に逃げたわけじゃないから。反射的に、本能的に行動したから。旦那がね。

(赤江珠緒)でもね、女の人は忘れないですよ。

(町山智浩)忘れないんですよ。で、とうとう思わず、出ちゃうんですよ。奥さんの方に。しゃべっている時に、『雪崩みたいなことがあったね』みたいな話をしてると、『でもあなた、1人で逃げたわよね』って。

(赤江珠緒)(笑)。そりゃやっぱりね。うん。

(町山智浩)そう。そうすると、どうなるか?どうなると思います?旦那は、それを言われた時に。

(山里亮太)そりゃやっぱ、だってバレてないと思っているから。『いや、逃げてないよ。守ろうと思ったよ』みたいなことを取り繕っているんですかね?

(町山智浩)そう。逃げたってこと自体を否認しちゃうんですね。『逃げてないよ』って言うんですよ。で、これが面白いのがね、旦那は本当に逃げてないと思い込んでるんですよ。

(山里亮太)へー!嘘をついてるんじゃなくて。

(赤江珠緒)そうなんですか。

(町山智浩)そう。でね、これは人間の心理で、自分の心を防衛するために。要するに壊れちゃうと。人間は弱いから、心を守るためになかった記憶を捏造するらしいんですね。

(赤江珠緒)へー!

(町山智浩)で、これもよくある行動らしいんですよ。子どもの頃とかも、あったじゃないですか。嫌なことがあると、ニセの記憶を作っちゃうことって。

(赤江珠緒)あ、そうですね。だから人によって思い出が違うことになっているっていうの、ありますもんね。

(町山智浩)そう。嫌な思い出とかは、消すんですよ。人間は。ニセの記憶を作って。だからそんな感じでこの旦那は逃げなかったことにしてるんですよ。

(赤江珠緒)はー!

(町山智浩)でも、スマホ持っていたでしょ?

(山里亮太)そうだ。スマホ持っていた。

(町山智浩)ビデオ、スイッチ入ってたんですよ。

(赤江・山里)ああーっ!

(町山智浩)ビデオのスイッチ、入ってたんですよ。

(赤江珠緒)撮れてるんだ。

(町山智浩)そう。

(山里亮太)うわー!哀れだね(笑)。

(町山智浩)もう逃げられないんですよ。という映画がこのね、フレンチアルプスで起きたことなんですけど、これは怖いですねー!

(赤江珠緒)(笑)

(山里亮太)そういう精神的なところ、じわじわじわじわ責められるんだ。

(町山智浩)そう。それで本当に誰にでも起きることなんですよ。

(赤江珠緒)ありますよ、これ。

(町山智浩)ありますか?

(赤江珠緒)あのね、私ね、夜道を旦那と歩いている時に、暗闇からね、ギャーッ!っていう声が聞こえて。えっ?と思ったら、よくよく見たらタヌキ同士がケンカしてただけなんですけど。

(山里亮太)どこ歩いてたんですか?

(町山智浩)どんな田舎ですか?それ(笑)。

(赤江珠緒)いや、その時ね、旦那がスッと私の後ろにね、隠れたんですよ。

(町山智浩)嘘っ!?

(赤江珠緒)(笑)。スッと。それはね、忘れないですよ。

(町山智浩)うわっ・・・

(山里亮太)赤江さんだったらタヌキ、なんとかできそうだったんじゃない?

(赤江珠緒)スッと隠れましたよ(笑)。

(町山智浩)赤江さんをタヌキの餌食にしようとしたんだ。うわっ・・・(笑)。

(赤江珠緒)(笑)

(山里亮太)いや、町山さん。タヌキの餌食ってなんすか?

(町山智浩)あ、そうか。それはないか。でもこれ、山里さん、どうです?

(山里亮太)僕、逆で。なんかね、昔、それこそ付き合っていた彼女さんと、なんか肝試しかなんか行ってね。押入れの中に2人で隠れた時、あったんですよ。そん時に、押入れがドンドン!ってなった時に、彼女の顔面蹴って外に出ちゃったんです(笑)。

(赤江珠緒)(笑)。最低!

(山里亮太)いや、最低。ヒドい!っつって(笑)。顔を腫らした彼女が押入れから出てきて。あ、ゴメン!っつって。

(町山智浩)(笑)

(山里亮太)いや、だからわかんない。逃げちゃうの。

(赤江珠緒)逃げちゃうかー。

(町山智浩)ねえ。

(山里亮太)これ、男女の差なんですかね?わかれるんすかね?

(町山智浩)これね、なんかね、監督がスウェーデンの人なんですけど。実際にそういう友達の夫婦が、なんか南米かなんかに旅行に行った時に、強盗に拳銃を突きつけられたらしいんですよ。

(赤江珠緒)えっ?うん。

(町山智浩)その時にその友人の旦那の方が逃げちゃったらしくて。

(赤江珠緒)うわー!

(町山智浩)で、ずーっとその夫婦が夫婦ゲンカするんですって。その監督の前で。そのことを思い出しては。でも、ズルズル離婚しないでいるらしいんですけど。それを見て、ひらめいたらしいんですよ。監督は。過去にそういう災害とか、飛行機事故とか、船の転覆事故とか、そういうことがあった時に、実際に男と女のとる行動にはどのような差があるのか?って調べたんですって。

(赤江珠緒)ええ。

(町山智浩)そしたら、圧倒的に男が逃げるらしいんですよ

(赤江珠緒)(笑)。へー!そうなの!

(町山智浩)データで出ちゃっているらしいんですよ。

(山里亮太)いや、そうだわー。

(町山智浩)これ、映画会社も詳しいデータとかをパンフレットとかに載せてますけれども。そう。それでね、だからこういう事故があったり、海難事故とかがあった時は夫婦とかほとんど別れちゃうみたいなことが資料に書いてあって。

(赤江珠緒)(笑)

(山里亮太)そっか。その場では助かったとしても、その後・・・

(町山智浩)そう。

(赤江珠緒)シビアな話ですね。

(町山智浩)そう。嫌な話。あとね、お母さんとかは子どもがいたら絶対に子どもを守るんだけど、結構旦那は守らないみたいな。

(赤江珠緒)ほー!

(山里亮太)そこらへん描いてるんだ。怖いなー!

(町山智浩)そう。で、これね、データが出ちゃっているんだけど。やっぱりね、生物学的な問題みたいですね。

(赤江珠緒)ほうほうほう。

(町山智浩)っていうのは、女の人はやっぱりどんなことがあっても家族を守るっていうのが生物学的にあるみたいなんですけど。男って、家族を守る動物ってすごく少ないんですよ。自然界に。

(赤江珠緒)ええーっ?

(町山智浩)鳥の類と、ライオンと、何種類かしかいないんですよ。あんまりいないんですよ(笑)。

(赤江珠緒)(笑)。へー!

(町山智浩)大抵は、ヤリっぱなしで、子育てとか奥さんに任せて、あとはまた他のところに行っちゃうのが熊とかみんな他の動物ですね。虎とかね。

(赤江珠緒)うんうんうん。そうか。

(町山智浩)もともと生物学的にはオスってあんまり家族を守らないくせに、それなのに、人間社会って男は家族を守れって言われてるんですよね。

(山里亮太)そうですよ。

(赤江珠緒)いや、だから守らないからそういう言葉が生まれたのかもね。

(山里亮太)ああー。

(町山智浩)かな?とかいう気持ちにもなりますね。本当にね。でね、この映画ね、ただね、これで旦那が四苦八苦していくのをずっと見せていくんですけど。もう、いろんなことを考えるんですよ。旦那はね。まず、『もうこれで俺はダメなんだ。この夫婦はもうダメなんだ』と思って、他に行こうとか思ったりもするんですよ(笑)。

(赤江珠緒)えっ?(笑)。

(町山智浩)要するに、他の女の子に目移りし始めるんですよ。もうこっち、ダメなんだと思って。これも面白いですね。

(山里亮太)へー!そんなことになるんだ。

(町山智浩)それでね、あとね、お酒飲んで騒いでいる若者たちとすれ違ったりするところでも、『ああ、俺も昔はこうやって、ただ何も考えないで騒いでいたのにな。この頃に戻りたいな!』みたいな風に、どんどん精神が崩壊していくんですよ。

(山里亮太)ええー・・・逃げた方が・・・

(町山智浩)そう。家族を持ってきたってことの重圧に、壊れそうになるんですよ。旦那が、この事件以来。

(赤江珠緒)あらーっ!

(町山智浩)でね、これ、なんにも起こらない映画なのにね。実際はね。ものすごい怖くて。で、たとえばその後もスキーし続けるんですけど。そのリフトに乗るじゃないですか。すると、リフトってさ、柱のところを通過する時に、ガタン!って揺れるでしょ?

(赤江珠緒)はいはいはい。

(町山智浩)それだけで、観客がビクッ!っとするんですよ。何が起こるんだろう、次は!?みたいな(笑)。

(赤江珠緒)はー!

(町山智浩)うおっ、怖!みたいな。なにもかもね、大変なことが起こるような気がしてね。ものすごい緊張感にね、せめられるんですけど。で、もうとことん追い詰められていくわけですね。旦那は、あらゆることで。

(赤江珠緒)ええ。

(町山智浩)で、もう本当に逃げ場がなくなった時、どうなると思います?旦那。

(赤江珠緒)えっ、どうなるんだろう?精神的にどんどんどんどん追い詰められて。ええっ?でも、事柄として何かが起きたわけでもないのにね。

(山里亮太)そう。逃げただけだからね。

(町山智浩)そう。要するに自分自身が追い詰められていくんですよ。自分にね。で、これは予告編にもあるんで言っちゃっていいと思うんですけど。突然、泣き始めるわけですよ。この旦那はもう、どうしようもないってなった時に。

(赤江珠緒)えっ?泣いちゃうの?

(町山智浩)もう床に座って、子どもみたいにウェーン!って泣きながら。『なんで逃げちゃったんだよ・・・ゴメンよぉー!(泣)』ってやり始めるんですよ。

(赤江珠緒)(笑)。うん。

(町山智浩)でね、これは心理学的にはね、退行って言われる現象なんですね。

(山里亮太)子どもに戻っちゃう?

(町山智浩)もう完全にどうしようもないと、赤ちゃんに戻っちゃうみたいなんですよ。

(赤江珠緒)はー!

(町山智浩)でも、ねえ。大の男がですけど。しかも、ヤンエグみたいなね、立派に仕事している男なんですけども。ただね、これは自己防衛本能として赤ちゃん戻りをしているから。要するに、赤ちゃんに戻れば守ってもらえる、許してもらえると思うわけですよ。奥さんに。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)『もうダメなんだー!(泣)』ってやったら、奥さんもしょうがないから慰めてくれるだろうと思ってやっているわけですね。当然ね。無意識のうちに。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)でもね、この奥さん言うんですよ。『あんた、涙出てないわよ』。

(赤江珠緒)(笑)

(山里亮太)うわっ、詰めるなー!

(赤江珠緒)そうですね(笑)。本当、詰めますね。この奥さん。

(町山智浩)これ、どっかの県議みたいですよね。

(赤江珠緒)(笑)。泣き真似の。

(山里亮太)じゃあ、後は号泣して逆ギレするしかないですよ。こっからは。

(町山智浩)そう。野々ちゃんみたいな。だからあれ、なんでああいうことをやったのか?っていうのがこれを見るとよくわかって。これ、逃げ場がないと、退行して赤ちゃん戻りすれば、周りがよしよしって言ってくれると思うと、あれをやるんですね。

(赤江珠緒)はー!あ、だからか。この町山さんの公式コメント。この映画に関して。『ゴーン・ガールをはるかに超えた男への罰ファニー・ゲーム。アルプスにカラ出張県議風泣き真似がこだまする』(笑)。

(町山智浩)そうそうそう(笑)。でもね、この泣くシーンで、アメリカの映画館の観客がどうなったか?っていうと、爆笑しましたよね。みんなね。

(赤江珠緒)(笑)

(町山智浩)これ、当然爆笑ですよね。

(赤江珠緒)へー!面白そう。緊張感もあって、爆笑もあって。

(町山智浩)そう。これね、コメディーなんですよ。

(山里亮太)そうですよね。でも、たった1個の事件ですよ。1個、ねえ。雪崩モドキで・・・

(町山智浩)ちょっと逃げちゃったんだけど。でも、逃げたこと自体は、自分自身は止められないんですよ。本能的に逃げたわけだから。彼は。いろいろ葛藤があって逃げたわけじゃないんだもん。

(赤江珠緒)そうですよね。

(町山智浩)なんの考えもなく、体が反射的に逃げちゃったわけですよ。

(赤江珠緒)まあ、ある意味反応がよかったっていうことも言えるんだけど。

(町山智浩)そう。で、彼は一体その後、どうすればこの、どうしようもない失点を取り戻せるだろうか?っていう映画なんですよ。

(山里亮太)あ、なるほど。取り戻せるのかな?これは、もう。どんどん塞がっている感じが。泣いちゃったりして。

(赤江珠緒)(笑)

(町山智浩)そう(笑)。まあね、これはね・・・これ、見てね、『俺はぜったいに逃げねえよ』とか、誰も言い切れないんだもん。だって本能的な、反射的な行動だから。無意識に近い。『絶対に俺はそういうことしないね!』とか、言えないんですよね。

(赤江珠緒)はー!そうかー!

(町山智浩)で、あと、『昔、そういうことなかった?』って言われた時に、『いや、ないと思うよ』としか言えないんだよね。

(山里亮太)なるほど。

(町山智浩)っていうのは否認行動を起こしているから。人間は。そういうことを実際にやって、要するに女の子がいる前で逃げちゃったことがあったとしても、それ、覚えてないんですよ。男は。

(山里亮太)はー!

(町山智浩)記憶から抹消するから。

(赤江珠緒)(笑)

(町山智浩)でも、女の子は覚えているよ。

(赤江珠緒)覚えている。覚えている。うん。

(山里亮太)一生(笑)。

(町山智浩)そう。一生覚えているよ。嫌だなーと思いますね。すごく嫌なのは、この逆のパターンがないことなんですよ。

(赤江珠緒)はー。

(町山智浩)殆どないですよ。実際、っていうのはもし、女の子が男を捨てて逃げても、別に誰も責めないから。

(赤江珠緒)ああ、そうか。そうですね。

(町山智浩)女の子もそれで悪いと思わないの。これ、男にしか起こらないんですよ。

(赤江珠緒)そうね。そうかー。

(山里亮太)これもまた、カップルとかで見に行ったら大変そうな映画ですね(笑)。

(町山智浩)そう。で、カップルで見るの大変なんですが、カップルで劇場に招待します!

(赤江珠緒)おお、劇場に(笑)。

(町山智浩)はい(笑)。

(山里亮太)悪趣味ですねー(笑)。

(赤江珠緒)本当ですね(笑)。フレンチアルプスで起きたこと、日本では来月、7月4日から公開なんですけども、この劇場招待券をいま、たまむすびをお聞きの3組6名様にプレゼントということで、町山さん、よろしいですか?

(町山智浩)はい。これ、劇場わかります?どこか。

(赤江珠緒)ええとですね、劇場、チラシに書いてあるということなのでね。はい。あ、ヒューマントラストシネマ有楽町ですね。

(中略)

(赤江珠緒)フレンチアルプスで起きたこと、これ、面白そうですね。

(町山智浩)はい。まあね、ペアでご招待ですよ。わざわざ離婚するために見ることもないと思うんで(笑)。女の子同士で見た方がいいかもしれませんけども(笑)。

(赤江珠緒)へー。

(山里亮太)いや、これはカップルで見てもらいましょう。

(町山智浩)これ、とんでもない映画で。そう。これね、アカデミー賞候補になると思われてたんだけど、ならなかったんですよ。これ、本当にね、アカデミー候補になるべき映画でしたね。

(赤江珠緒)へー!

(町山智浩)強烈でした。はい。

(赤江珠緒)はい。わかりました。楽しみになりました。町山さんもそういう場合は、やっぱり、なんとも言えない?わからない?

(町山智浩)なんとも言えないですね(笑)。でも反射的に行動できるように訓練しないとならないですね。軍隊とか消防隊とかに入ってね。

(赤江珠緒)そりゃあやっぱりハイパーレスキュー隊だよね。結婚するなら。

(山里亮太)ハイパーレスキュー隊なら助けられますけど。

(赤江珠緒)そうね(笑)。

(町山智浩)無意識のうちにやれるようにしないと。

(赤江珠緒)はい。町山さん、ありがとうございました。

(山里亮太)ありがとうございました。

(町山智浩)どうもでした。

<書き起こしおわり>