町山智浩 ディズニー映画『トゥモローランド』を語る

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映画評論家の町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』の中でディズニー映画『トゥモローランド』を紹介していました。


(赤江珠緒)で、今日は?

(町山智浩)はい。今日はね、『トゥモローランド』というね、映画なんですけど。もうすぐ公開ですね。日本でね。

(赤江珠緒)そうですね。はい。6月6日公開ですね。結構コマーシャルとか、やってますもんね。

(山里亮太)昨日か一昨日ぐらい、ジョージ・クルーニー、来てましたもん。日本に。

(町山智浩)ああ、そうですか。プロモーションに。はいはい。これね、すごく変な映画で。ディズニーランドのアトラクションじゃなくて、ディズニーランドの中にあるコーナーの映画化なんですよ。

(山里亮太)すごいですよ。ピンポイントに。

(赤江珠緒)たしかにありますね。東京ディズニーランドにも。

(町山智浩)そう。トゥモローランドっていう場所があるでしょ?それの映画化っていう。なにそれ?みたいな感じなんですよ。あの、スペースマウンテンがあるじゃないですか。あの一角をトゥモローランドって言うんですよ。それの映画化っていうね。で、話はね、主人公は女の子、ケイシーっていう高校生なんですね。女子高生で。で、この子はフロリダの宇宙ロケットの発射基地の近くに住んでいて、お父さん、そこで働いている職員なんですね。

(赤江珠緒)はい。

(町山智浩)ところが宇宙計画がアメリカってどんどん縮小しているんで、仕事を失っちゃって、そのロケット発射台も解体されることになるんですよ。で、がっくりきていて。また高校に行くと、いまの社会状況っていうものを学校で教えてもらうと、とにかく地球温暖化で地球はボロボロになっているし、世界中各地でテロが起こってひどいし。本当にもう、救いようがないんだよと。中国とかそっちの方も環境破壊がひどいし。中産階級が増えることによって食べ物も減っていっているんだと。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)これから先、どうしもうもないんだってことばっかり学校で教えられるんですね。授業で。で、そこでこのケイシーっていうヒロインの女の子は、それにたった1人で反抗し続けるんですよ。

(赤江珠緒)うん。反抗?

(町山智浩)ヒロインは。『なんでそれを科学で解決しないんですか!?』って言って。『いま、こういうのが悪いんだったら、まずそれを解決する方法をみんなで考えましょうよ!』とか言うんですけど、先生から無視されるっていう女子高生なんですね。超前向き女子高生なんですよ。

(赤江珠緒)本当。ポジティブに。はい。

(町山智浩)そうすると、突然ある日、自分のカバンの中にバッジが入ってるんですよ。『T』って書いたバッジが入ってるんですね。そのバッジに触ると、突然目の前に、それまで普通の町にいるのに、そのバッジに触った途端、目の前にですね、金ピカ銀ピカのですね、未来都市がバーッ!と見えるんですよ。

(赤江珠緒)うん。

ピカピカの未来都市とトゥモローランド


(町山智浩)で、それがトゥモローランドなんですね。それでそのトゥモローランドっていうのは、なんていうか、昔の未来都市っていうのはわからないかな?トゥモローランドっていうディズニーランドのセクションがそういうデザインになっているんですけど、とにかくあらゆるものが銀色で流線型なんですよ。

(赤江珠緒)ええ、ええ。

(町山智浩)それでものすごい超高層ビルがあって、ハイウェイが縦横無尽に走っていて。その上をエアカーとかが走っていてですね。宇宙ロケット・・・

(山里亮太)手塚治虫先生の漫画とかであるみたいな。火の鳥とか。

(町山智浩)昔の、だからなんだろうな?最近のアニメとかはないんですけど、鉄腕アトムはこういう世界が舞台だったんですよ。

(赤江珠緒)ああ、そうですね。

(山里亮太)タイヤのない車がこう、ねえ。

(町山智浩)未来都市。

(赤江珠緒)未来と言えば、っていうね。

(町山智浩)未来と言えば鉄腕アトムだったんですけど。僕が子どもの頃はアニメの未来世界っていうのは全部これだったんですよ。

(赤江珠緒)はー。

(町山智浩)もう、それこそ未来家族ジェットソンっていうアメリカのアニメがあったりですね、宇宙エースとかですね、宇宙パトロールホッパとか、いっぱいあって。僕は1962年生まれなんで、1965年のアニメ状況っていうのは全部ピカピカの未来だったんですよ。

(赤江珠緒)ふーん。

(町山智浩)で、その時にはすでに科学の力によって環境問題とかも全て解決されていて。それでもう、戦争とかもなくて、国家すらもなくて、国連みたいなものに、ひとつになってしまって。戦争がないだけじゃなくて、貧困もなくて。食べ物の問題も全部解決されて。病気もなくなってっていう、もうユートピアだったんですね。僕たちのその、子どもの頃。1965年ぐらいの子どもたちが見ていたアニメに描かれる未来世界っていうのは。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)で、何もかも機械で解決して、それこそ何もしないでいい世界なんですよ。食べたいものは何でもボタンを押せば出てくるっていう世界なんですね。

(赤江珠緒)ええ。

(町山智浩)何にも悩むことはないっていう、科学はそこまで進んだんだっていう世界が来るんだと僕は思っていたんですよ。

(赤江珠緒)そうかー。

(町山智浩)たぶんその感覚って、70年代以降に生まれた人にはまったくないと思うんですよ。

(赤江珠緒)そうですね。だんだん未来はちょっとなんか暗いぞ・・・みたいなメッセージが多くなってきたような。

(山里亮太)あと、そうね。漫画の世界みたいに割りきっちゃって見てたかもしれませんね。

(町山智浩)そう。だからこの間、『マッドマックス』の話をしましたけども。要するに未来っていうのはどうなの?っていうと、文明が崩壊してるとかね(笑)。

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(赤江珠緒)そうそう。『猿の惑星』とかもなんか・・・

(町山智浩)環境破壊で砂漠になっているとか。弱肉強食の世界になっているとか。マッドマックスもそうでしたけど。あと、『ブレードランナー』っていう映画に出てきたみたいな、もう環境破壊でもって酸性の雨が振ってボロボロになっている世界とか。スラム化しているとか。そんなのばっかりなんですよ。70年代以降の未来世界っていうのは。

(山里亮太)なるほど。絶望なんだ。

(町山智浩)でも、僕らの世代。60年代の子どもたちっていうのは未来は完全にバラ色だったんですけど。それのコンセプトで作られているのがトゥモローランドっていうディズニーランドのセクションなんですよ。

(赤江珠緒)ははー。

(町山智浩)そうなんです。っていうのはディズニーランドのトゥモローランドっていうのは、まあその前からずっとディズニーはやっていたんですけども。実際に、その未来都市を作ろうとしていたんですね。ウォルト・ディズニー自身が。65年ぐらいに。

(山里亮太)実際に?

(町山智浩)実際に本当に、鉄腕アトムのような未来都市を作って、そこに人を住まわせて、未来の生活っていうのは一体どんなものか?っていう実験をしようとしたことがあるんですよ。

(赤江・山里)へー!

(町山智浩)本当にフロリダにそれを作ろうとして、土地も買っていたんですよ。あの、ディズニーワールドっていまありますけど。ディズニーワールドリゾートって。そこにあるエプコットセンターっていうところがあって。そこがその実験未来都市を建築する予定だった場所なんですよ。

(赤江珠緒)うんうんうん。

(町山智浩)そこに2万人の人を住まわせて。そこに会社とか実験場とかいろんなものを作って。で、その未来世界と同じように、全て電気で自動化されていて。自動車もいらなくて、全てピープルムーバーっていうようなシステムでもって人間を動かして。で、雨とか風とかからも完全に安全なように、ドームみたいなもので覆って、みたいなね。

(赤江珠緒)へー!

(町山智浩)そういうバラ色の未来都市っていうものを実際に建築しようとしていたんですよ。ウォルト・ディズニーは。

(赤江珠緒)えっ?それは、構想だけですか?実際には?

(町山智浩)ええと、途中までいって、66年にウォルト・ディズニーが亡くなって、その計画は頓挫しちゃったんですけどね。

(赤江珠緒)じゃあそこまで行っていたんだ。

(山里亮太)亡くなってなければ、ひょっとしたら続けていたっていう?

(町山智浩)やっていたかもしれないんですよ。ただ、そのコンセプトっていうのは元々パリで昔、エッフェル塔を作った時に万国博覧会っていうのがあったんですね。あれが実は万博のために作られたんです。エッフェル塔っていうのは。その科学による未来世界っていうものを見せるっていうのが万博の最初の目的だったんですよ。

(赤江珠緒)うーん!ええ、ええ。

(町山智浩)つまり、ここでこういうものが未来の都市です。こういうのが未来の建物ですと。こういったものが、たとえば未来のお風呂ですとかね。そういったものを作って、みんなに見せて。これをじゃあ、実現するようにやりましょう!っていうのが万博だったんですよ。

(赤江珠緒)あ、万博ってね、そうですよね。新しいものを結構出してましたよね。

(町山智浩)そう。万国博覧会っていうのはそれでパリから始まって。で、1964年にニューヨークでやった時に、そのディズニーが展示したのがイッツ・ア・スモールワールドだったんですよ。

(赤江・山里)へー!

(町山智浩)それが要するに、世界がひとつになる世界っていうものを見せようっていうのでやったんですね。それ、万博展示だったんですよ。もともと。で、このトゥモローランドっていう映画の中でも、子どもの頃のジョージ・クルーニーが1964年のそのニューヨーク万国博覧会に行って、イッツ・ア・スモールワールドの展示の中に入ると、異次元のトゥモローランドっていうところに行くっていう話になっているんですよ。

(赤江珠緒)へー!

(町山智浩)で、そこにはディズニーが本当に作ろうとしていたトゥモローランドが異次元に本当に実現していたっていう世界なんですね。

(山里亮太)あ、なるほど。

(町山智浩)で、そこにさっき言った現代の主人公のケイシーが招待状としてもらったのが、そのTっていうバッジだったっていう話になってくるんですよ。で、そのトゥモローランドからの使者っていうのが来るんですね。エージェントが。それが、アテナっていう12才の女の子の形をしたロボットなんですよ。


(山里亮太)ほう。

(町山智浩)で、すごいのはその、ターミネーターと同じでですね、未来から来たロボットはみんなすごいんですけど。ドラえもんもすごいですが。自動車にはねられても自動車の方がぶっ壊れるようなロボットでですね。12才の少女なんですけど。

(赤江珠緒)ええ。

(町山智浩)それで自動車よりも早く走るっていうとんでもない女の子なんですよ。

(山里亮太)まさにアラレちゃんだ。

(町山智浩)それでこの女の子と科学者のおっさんのジョージ・クルーニーとケイシーっていう女子高生が3人でトゥモローランドを探しに行くっていう話がこの映画なんですね。で、この映画でいちばんすごいなと思ったのは、もうこういった未来世界っていうものをまったく誰も想像しなくなっちゃっているってことなんですよ。

(赤江珠緒)そうですね。そう言われてみれば。

(町山智浩)っていうのは1970年にですね、日本で大阪万国博覧会っていうのがあったんですね。で、ここまでなんですよ。実は。70年に大阪の万国博覧会っていうのは『未来っていうのはこうなりますよ!』っていうのを大阪に再現したんですね。再現っていうか、実際に作ったんですけど。

(赤江珠緒)はい。

(町山智浩)その後ですね、その未来像は崩壊するんですよ。世界的に。

(山里亮太)あ、なんでだろう?

(町山智浩)これはね、いろんな原因があるんですけど。まずひとつは環境破壊なんですよ。

(山里亮太)ああー、なるほど。

(町山智浩)環境破壊がどんどんひどくなって、その万国博覧会と同時ぐらいに世界中でもう、いっぱいいろんな工場の排水とかですね、空気の汚染とかによって、もう病気の人が出てきたり、子どもに異常が出てきたりして、異常事態が起こっていったんですよ。

(赤江珠緒)うんうん。

(町山智浩)魚がいっぱい死んだりとか。で、このまま科学を発展させたら、人類は滅亡するってことがわかっちゃったんですよ。このままだと。

(赤江珠緒)ああ、そうか。科学万能じゃないと。

(町山智浩)ストップをかけなきゃ!みたいなことになっていったんですよね。それと、もうひとつは世界が平和になるっていう可能性があまりなくなってきたっていう問題もあるんですよ。

(赤江珠緒)はー。

(町山智浩)それともうひとつはエネルギーです。このトゥモローランドっていう文字の『O』っていう文字はですね、英語で書いた時に『O』っていう文字、原子力のマークになっているんですよ。


(赤江珠緒)へー!?

(町山智浩)あの、要するに原子核があって、その周りを電子が回っているマークが『O』の字のロゴになっているんですけど。この頃は原子力の平和利用が可能だと思っていたんですよ。みんな。

(赤江珠緒)はー!

(町山智浩)原子力でもって石油がなくなってもなんとかなるんだってみんな思っていたんですね。でも、そうじゃないことがだんだんわかってきて。原子力っていうのはものすごく危険なもんだってことがわかってきて。

(赤江珠緒)ええ。

(町山智浩)しかも石油がどんどんなくなってきたと。そうすると、このままの近代文明、科学文明の発達は無理なんだろうって70年代に思い始めて。

(赤江珠緒)ちょっと限界が見えてきちゃった。

(町山智浩)そうなんですよ。このままじゃダメなんだってところから、その科学の徹底的な発展っていうものをバラ色の未来として描くのはやめようよってことになっていって、消えていって、逆にこのまま行ったら世界は破滅するっていう映画ばっかりになったんですよ。ドラマとか、漫画とか。

(赤江珠緒)はい。

(町山智浩)このまま行って核戦争で全員破滅とか、環境破壊で文明崩壊とか、そういったものに変わっていったんですよ。

(赤江珠緒)そうかー!

(町山智浩)で、このトゥモローランドっていう映画は、『いや、でもそればっかりだと、どうしようもないだろう?悪いことばっかり未来で考えていたら、いい未来なんか掴めないじゃないか!』っていう映画なんですよ。

(赤江珠緒)いや、たしかにそう言われたら、そうですね。その、先行き明るいみたいなことをいま、考えるものって少なくなっちゃいましたね。はー!

(町山智浩)そうなんですよ。だから目標を立ててやらないと、結局夢を持たなければ夢は実現しないよっていうような話になってくるんですね。だからすごくメッセージの強い映画なんでね、これね、監督がすごいんですね。監督ね、ブラッド・バードっていう人なんですけど。この人はね、ディズニーに子どもの頃から出入りしてて。中学生ぐらいから。で、ディズニーの奨学金でディズニーが作った芸術大学に入っているっていう、もうバリッバリのエリートなんですよ。ディズニーエリート。

(山里亮太)へー!そんなのがあるんだ。

(町山智浩)で、ところがですね、ディズニーにそのまま就職したんですけど、どうも上手くいかなくてね。その後、仕事を転々とするんですよ。この人。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)で、なかなか映画とか作れなくて。それでもう育てられてきたのに。で、やっと作ったのが1999年に『アイアン・ジャイアント』っていう映画を作るんですね。


(山里亮太)うん。

(町山智浩)で、これが大傑作だったんですよ!

(赤江珠緒)へー!

(町山智浩)これは兵器として作られた巨大ロボットが『僕は兵器として作られても兵器にはなりたくないから。戦争の道具になりたくないから』って言って戦うっていう話だったんですよ。

(赤江珠緒)ふーん!

(町山智浩)で、すごく強いメッセージで。『人間は自分のなりたいものになんだってなれるんだよ!』っていうすごいメッセージで。これ、もう全世界の人を感動させたのがアイアン・ジャイアントっていう映画だったんですね。

(赤江珠緒)へー。

(町山智浩)で、その次に作ったのがですね、『Mr.インクレディブル』っていう映画だったんですよ。


(赤江珠緒)ええ、ええ。

(町山智浩)ピクサーで撮りましたね。これ、スーパーヒーローの家族がスーパーヒーローがいると普通の人たちが迷惑するってことでもって、スーパーヒーローであることを禁じられた世界の話なんですよ。

(赤江・山里)ふーん!

(町山智浩)で、凡庸に行きなければならないっていう風に強いられて、どんどん苦労するっていうアニメだったんですね。Mr.インクレディブルっていうのは。で、これもね、たぶん彼は子どもの頃からエリートで天才だった苦しみみたいなものがそこに反映されてるんですよ。

(赤江珠緒)へー!

(町山智浩)ブラッド・バード監督自身の。で、その次に撮ったのが、『レミーのおいしいレストラン』っていうピクサーのアニメなんですよ。


(赤江珠緒)ああ、はい。

(町山智浩)で、これはネズミなんだけど、天才の料理人がいて。天才の料理ネズミがいて。で、料理人になろうとするんだけど、ネズミだから上手くいかないっていう話だったんですよ。で、これも、もうすごく才能のある人間だったらなんでもいいじゃないかというテーマで。やはり彼自身の、ブラッド・バードの天才性みたいなところと結びついてるんですね。

(山里亮太)へー。

(町山智浩)で、今回のトゥモローランドは、もうまさに彼が生まれ育ったディズニーに帰ってきたんですけど。このバッジっていうものを渡された人はトゥモローランドに行けるっていう話なんですね。そのバッジっていうのはでも、選ばれた人しかもらえないんですよ。で、選ばれたものだけがトゥモローランドに行くことができて、その科学の研究をすることができるっていう話なんですね。

(赤江珠緒)ええ。

(町山智浩)だからね、これ、アメリカでは賛否両論なんですよ。これ、だからエリート主義じゃないか?と。選ばれない人はどうするんだよ?と。

(赤江珠緒)ああ、そういう受け止め方にもなりますか。

(町山智浩)そう。だから優れた人間だけが科学を発展させて世界を救うんだと。そうかもしれないけど、それはキツくねえか?みたいな話なんですね。前のMr.インクレディブルの時も言われたんですよ。そういう風に。優れた人間が抑圧されているっていうテーマで、じゃあ普通の人はどうすればいいの?と。凡庸な人たちのファシズムだ、みたいな話だったんですね。

(赤江珠緒)うーん・・・

(町山智浩)だからここですごく難しいところがあって。このブラッド・バードっていう非常に特殊な才能の人のね、苦しんでいるところだと思うんですけども。ただね、メッセージとして彼が言いたかったのは優秀かどうかってことじゃなくて、『そのバッジを渡されるのは優秀な人じゃないんだ』って言うんですよ。『夢を追う人だ』って言うんですよ。Dreamerって言うんですね。英語で。

(赤江珠緒)ほー。

(町山智浩)『いま、ドリームを持っている人がどれだけいるんだ?自分のドリームは持っているだろうけど、世界のドリームは持っていないだろう?この世界をどうしたいっていう気持ちを持っていないだろう?それを信じている人はいないだろう?この世界を良くしたいって信じているドリーマーにこのバッジは渡されるんだ!』っていう話なんですよ。

(赤江珠緒)だから主人公、高校生のケイシーも、まだ何もしてないわけですもんね。その時点ではね。

(町山智浩)何もしてないですよ。ただ、『世の中を良くしたい、絶対に良くすることができる!』と思っているからこそ、バッジをもらえるんで。才能の問題じゃないんだっていう話になってくるんですね。今回は。

(赤江珠緒)そうですね。

(町山智浩)だからそこはすごくよくて。で、特にそのケイシーっていう女の子がいつもジョン・レノンのTシャツを着てるんですよ。ジョン・レノンの顔が書いてあるTシャツをね。でね、このね、映画自体のテーマが実はジョン・レノンの『Imagine』っていう歌から取っているんだと思うんですよ。



(赤江珠緒)あ、イマジン。はい。

(町山智浩)イマジンっていうのはジョン・レノンが将来、戦争も国家も貧富の差も人間の上下関係もまったくなくなった世界を想像してごらんよって歌を歌ったんですね。それがイマジンなんですよ。でも、そういうことを言うと、君は僕をドリーマー(夢追い人)だと思うかもしれない。でも、僕だけじゃないはずなんだ。みんなにいつか、僕の仲間になってほしいんだっていうのが、イマジンっていう歌詞だったんですね。ジョン・レノンの。

(赤江珠緒)はー。

(町山智浩)だから、やっぱり夢を設定しないと。やっぱりそこに向かわなければ、何も良くならないんだよっていうね、メッセージなんですね。

(赤江珠緒)いやー、これはちょっとなんか、いま大事なことかもしれないですね。

(山里亮太)すっごい前向き。

(町山智浩)そうなんですよ。でね、セリフの中で、『なんで映画とかゲームは世界が弱肉強食の北斗の拳みたいな世界なんだ?』って。北斗の拳とは言いませんけどもね(笑)。『そんなのばっかり、みんな喜んでるじゃないか!』って批判するところも出てきたりしてね。

(山里亮太)すごい。マッドマックスとかと逆だ。

(町山智浩)そっちの方が面白えんだっていう問題もあるんですけどね(笑)。

(赤江珠緒)そうね(笑)。うん。

(町山智浩)やっぱりマッドマックス、面白えからなー、みたいなね(笑)。北斗の拳の方が面白いからな、みたいなのもあってね。非常に微妙な気持ちになりましたけどね。

(赤江珠緒)先週興奮してましたもんね。町山さん。へー!

(町山智浩)先週はだって、『世界が滅びてイエーイ!ヒャッホー!』とか言ってたのにね(笑)。今週は反省したりしてね。毎回ブレブレです!

(赤江珠緒)対極の話ですけどね。へー!

(町山智浩)まあ、という映画がトゥモローランドで。これはまあ、お子さんを連れて行って、ぜひね、お父さんお母さん、見に行っていただけるといいなと思いました。はい。

(赤江珠緒)そうですか。今日は映画トゥモローランドのお話でした。日本では今週末の6月6日から公開ということですね。

(町山智浩)はい。少女ターミネーターもすごかったですね。出てくるの。はい。

(赤江珠緒)へー!

(町山智浩)で、あと来週ですね。来週もディズニーものなんですけど。ディズニーが権利を買ったマーベルコミックスの『アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン』について話します。

(赤江珠緒)はい。わかりました。では町山さん、来週もお願いします。ありがとうございました。

(町山智浩)はい。どもでした。

<書き起こしおわり>

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