町山智浩 映画『エクス・マキナ(Ex Machina)』を語る

町山智浩 映画『エクス・マキナ(Ex Machina)』を語る たまむすび

町山智浩さんがTBSラジオ『赤江珠緒たまむすび』の中で、人工知能・アンドロイドを描いた映画『エクス・マキナ(Ex Machina)』を紹介していました。

エクス・マキナ (字幕版)

カルト的な人気の作品

(赤江珠緒)さあ、今日の本題は?

(町山智浩)今日、紹介する映画もね、いろんな勉強になるなと思ったんですよ。

(赤江珠緒)はいはい。

(町山智浩)でね、『エクス・マキナ(Ex Machina)』という・・・『エクス・マキーナ』とも言うかな?エクス・マキナっていうタイトルなんですね。これ、ラテン語でですね、『機械じかけの』っていう意味ですけども。

(赤江珠緒)ふーん。

(町山智浩)これ、いまね、アメリカとかイギリスでカルト映画みたいな感じで、すごい評価が高い映画なんですよ。

(山里亮太)カルト映画?

(町山智浩)はい。だから、すごく低予算で作ってるんだけども、すごくよく出来ていて。この後、すごく人気がじわじわと上がっていくだろうと思われる映画なんですね。それがエクス・マキナなんですけども。これね、まずね、ちょっとGoogleとかの話をしたいんですけど。Yahoo!でもいいんですけど。

(山里亮太)あ、はい。

(町山智浩)ネットってよく使います?検索に。

(赤江珠緒)はい。

(山里亮太)使いますね。

(町山智浩)あと、結構Amazonとかいろんなので、通販とかしますか?

(山里亮太)します。

(町山智浩)します?そうすると、変な広告がいっぱい入ってきませんか?

(赤江珠緒)ああ、しますね。

(山里亮太)『あなたにおすすめの』みたいな感じで。

(町山智浩)そうそうそう。あの、普通のなんて言うか、ニュースサイトとか、普通のサイトにも、広告が入っているじゃないですか。四角く。あそこに、なぜ俺の好みを知ってるんだ?っていうものが入ってきませんか?

(山里亮太)あ、たしかにその、Amazonとかの別のところでも、『これがおすすめ』ってくるやつ、きますね。いろいろ。

(町山智浩)でしょう?あれって、怖くないですか?

(赤江珠緒)たしかに・・・

(山里亮太)えっ、ああ、情報が漏れてるってこと?

(赤江珠緒)なんか、まあ自分の履歴とかからなのかな?みたいな印象でしたけど。

(町山智浩)そう。だから自分の消費行動とか検索したり興味を持ったりっていうのは、全部知られているわけですよ。データを取られているわけですよ。

(赤江珠緒)うん、うん。

(町山智浩)で、しかもそれが広告で入っているってことは、僕たちのデータは売られてるんですよ。

(赤江珠緒)はー!

(山里亮太)検索をした、こういうのを検索しているぞっていうのを、全部売ってるんだ。

(町山智浩)そう。それってなんか、怖くなんないですか?

(赤江珠緒)たしかにね。

(山里亮太)言われてみたら、怖いですね。

(町山智浩)なぜ、広告で、ねえ。なぜ、『人妻と知り合いになりませんか?』って広告ばっかり入ってくるんだ?とかっていう風に思ったりしませんか?

(赤江珠緒)なんかおかしいなと。

(町山智浩)いや、俺の場合じゃないですけど(笑)。もっと怖く、なんか言っちゃいけないようなとんでもないものが入ったりとか、するじゃないですか。

(山里亮太)します!

(町山智浩)しないか?(笑)。

(赤江珠緒)町山さん、どういう履歴を?(笑)。

(町山智浩)いやいや、ゾッとしませんか?そういうのね。いや、そういうことをね、本当に突き詰めて考えると怖いなって映画なんですけど。今回は。で、これね、そういう検索エンジンの会社の社長がいるんですね。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)で、その会社で働いているコンピューターをやっているプログラマーの若い男の子。まあ、オタクの子がですね、突然、その社長から選ばれるんですよ。で、その社長は、まあ、Googleみたいな会社なんですけどね。ステーブ・ジョブズみたいなカリスマなんですね。IT界の。で、その人自身に会うこと自体が夢のようで。伝説的な人なんで、ものすごく興奮して、男の子は会いに行くんですよ。カレブくんっていう男の子なんですけど。

(赤江珠緒)はい。

(町山智浩)で、ネイサンというのがステーブ・ジョブズみたいなカリスマ的なIT大富豪で。で、コロラドの山奥にものすごい豪邸を作って、そこで1人で暮らしているIT大富豪の家に1人でヘリコプターで、主人公のカレブ青年が着くところから映画が始まるんですね。このエクス・マキナっていうのは。

(赤江珠緒)ふんふんふん。

(町山智浩)で、1週間だけここにいて、研修みたいなことをするっていうことになっているんですよ。で、なにをさせられるんだろう?と思うと、そこでですね、『君にはこれから、チューリング・テストをやってもらう』って言われるんですね。そのネイサンっていう社長に。チューリング・テストっていうのは前に紹介した映画で、『イミテーション・ゲーム』ってありましたよね?

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(山里亮太)はいはい。

(町山智浩)あれが、アラン・チューリングっていうコンピューターの基礎を作った人の1人が主人公で。で、イミテーション・ゲームっていうタイトル自体がそうなんですけど、イミテーション。『人間の真似をする』っていう意味ですけども。人工知能っていうものを人間が作った際にですね、それが、人間の心とかを真似しているだけなのか?真似じゃなくて、本当にそれが人間とそっくりで、同じものを考えて、感じて、しゃべっているのか?っていう2つの違いがあるわけですよ。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)でも、それが全く真似しているようには聞こえない。本当に人間のようにしゃべっているように聞こえるから、人間と見分けがつかないっていう受け応えをコンピューターができるようになったら、それはもうコンピューターというよりは人工知能と呼んでいいっていう判定方法があるんですね。

(赤江珠緒)はい。

(町山智浩)それをチューリング・テストっていうんですよ。それをアラン・チューリングっていう人が提唱したんですね。で、具体的にはね、何人かでそのテストを行って、30%の人が、3割の人がそれが人間だったか、コンピューターだったか、わからなければ、ほとんど人工知能といえると言われているんですよ。

(赤江珠緒)ふーん。

(町山智浩)で、それをやってくれって言われるんですね。主人公のカレブくんがね。で、『なんですか?人工知能を開発したんですか?社長』って聞くと、『これだ』って見せられるのが、エヴァっていう名前の女の子のロボットなんですよ。

(赤江珠緒)ほう。

(町山智浩)アンドロイドです。で、これが人工知能を組み込んだから、彼女は人間と同じように自分で考えて。要するに『人間の真似事じゃなくて、人工知能になっているかどうか、この1週間、君が話してテストをしてくれ』って言われるんですね。

(赤江珠緒)はい。

(町山智浩)『そのために呼んだんだ』って言われるんですけど。

(赤江珠緒)まあ見た目がなんか半分ぐらい・・・頭もちょっとメタルな感じで。

(町山智浩)そう。あのね、体がまだね、ほとんどできてなくて。顔のところしか人間の皮膚がついてないんですけどね。そのアンドロイドはね。

(赤江珠緒)ええ。

(町山智浩)で、ところが、このアンドロイドのエヴァちゃんと会った途端に、この主人公の男の子は大変な衝撃を受けるんですよ。カレブくんは。っていうのはこれ、普通アンドロイドだからどんな形にでも作れるじゃないですか。

(赤江珠緒)はいはい。

(町山智浩)だからそれこそ、スーパーモデルみたいなもう、八頭身の美女とかね。あと、まあ巨乳でもいいや(笑)。そういう、理想的なものに作れるわけじゃないですか。実際は。いくらでも。

(赤江珠緒)はい。

(町山智浩)ところが、エヴァちゃんはものすごくリアルなんですよ。中くらいっていうか、ちょうどいい感じなんですよ。

(赤江珠緒)中くらい。たしかに。うん。

(町山智浩)そう。かわいいんだけど、なんていうか本当に、高校の時に好きだった女の子みたいな感じなんですよね。

(赤江珠緒)なるほど(笑)。

(町山智浩)なんていうか、リアルなんですよ。リアルな、身近な感じなんですよ。でもそれは、この映画の大きなトリックなんですよ。

(山里亮太)へっ?

(町山智浩)で、ずっとテストをしていくんですね。エヴァちゃんに。『君は一体なにを考えているの?』とか、『どう思っているの?』みたいなことをカレブくんがずーっと聞いていくんですけど。聞いていくうちに、彼自身がこの、体が機械むき出しのエヴァちゃんのことを好きになってっちゃうんですよ。

(赤江・山里)ええーっ!?

(町山智浩)このエヴァちゃんはだから、ロボットなんだけど、もう完璧なAIになっているから。すごく恥ずかしそうにしたりとかですね。『こんな体がむき出しで、恥ずかしいわ』っつって、『私の好きな服を着てもいいかしら?』っていうんですね。

(赤江珠緒)ふんふん。

(町山智浩)で、私服を着て出てくるんですけど、それが花がらのワンピースなんですよ。するともう、これがカレブくんのどストライクなんですね。これ。

(赤江珠緒)ほー!

(山里亮太)自分の趣味にぴったりの服。

(町山智浩)そう。それでガーン!って来て。なんでこうも俺の趣味を突いてくるんだ?みたいな感じになってくるんですけど。で、このカレブはパッと気がつくんですよ。『これ、テストされているのはどっちなんだ?』っていうことに気づいていくんですよ。

(赤江珠緒)ええ、ええ。

本当はどっちがテストなのか?

(町山智浩)一体本当はどっちがテストなんだ?ってことに気づいていくっていうね、ちょっと怖いことになっていく映画がこのエクス・マキナなんですけど。これね、ものすごくネタバレになんないように話すの、ものすごく難しいんですけどね(笑)。いくつかヒントを言ってるんで、頭の中で組み立てると、なんて言うかわかる人もいると思うんですが。

(赤江珠緒)そうですね。ちょっとその前の話を考えると、自分の好みすぎると。

(町山智浩)そう。いろいろ、わかってくるんですけど。まず、社長がね、言うんですね。『私がなぜ、検索エンジンの会社を経営してると思うんだ?私は実は、本当はこのAIを作るのが目的だったんだ』と。

(赤江珠緒)ふん。

(町山智浩)地球中の人間のデータを取っているわけですね。Googleとかね。それで『地球中の人間のデータを取って、人間とはなにか?を研究して、完璧な人間の模造品であるロボットを作ろうとしてるんだ』って言うんですよ。

(赤江珠緒)ええーっ!?

(町山智浩)壮大な計画だってことがだんだんわかってくるんですね。

(赤江珠緒)そうなると、どうなっていくんだろう?

(町山智浩)でも、この映画自体はね、このエヴァちゃんと、カレブくんとネイサン社長の3人しか出てこない、すごく安い映画なんですけどね(笑)。

(赤江珠緒)へー!

(町山智浩)で、舞台はその社長の家の中しか出てこないんで、ものすごくスケールもね、小さくて安い映画なんですけど。

(赤江珠緒)いや、でもどうなっていくのか、ストーリーが気になりますね。これね。

(町山智浩)あ、もう1人、出てくるんですよ。もう1人ね、料理作ってくれる人がいるんですよ。その社長の豪邸には。それはね、日本人の女の子なんですね。キョーコっていう女の子なんですよ。

(赤江珠緒)へー!

(町山智浩)で、めちゃくちゃ完璧な寿司を作るんですよ(笑)。

(赤江珠緒)寿司?

(町山智浩)でもね、『英語はしゃべれないから、彼女とは話さないでくれ』って言われるんですね。社長に

(赤江珠緒)へー!

(町山智浩)『でも、寿司は抜群だよ』って言うんですけど、そのへんもちょっと怖いんですけど。

(山里亮太)なんだろう?そのキャラクター。

(町山智浩)そう。なんなんだ、この映画?って思うんですけど。これ、ものすごく説明しにくいんですけどね。ただね、去年ね、AIってね、完成したって言われていて。チューリング・テストに受かったコンピューターが出てきたんですけど、ご存知です?

(山里亮太)いや、わかんないです。

(町山智浩)あのね、2014年に報道されたんですけども。チューリング・テストっていままでいろんなコンピューターが受けてきたんですけども。パスしなかったんですね。でもとうとう、チューリング博士の死後60周年にあたる去年の2014年6月8日にですね、イギリスのレディング大学っていうところでチューリング・テストが開かれて、そこで、すごくややこしいんですけど、ウクライナ人の13才の少年のふりをしたコンピューターがチューリング・テストに受かって。人類最初のAIと認定されたんですね。

(山里亮太)へー!

(町山智浩)はい。なぜ、13才のウクライナの少年なのか、よくわからないんですけど(笑)。だからね、これはね、もう起こりつつある現実なんですよ。

(赤江珠緒)いや、だってちょっと前に『A.I.』っていうね、映画もあったぐらいで。すごい未来の話のようでしたけど。もう、来てる?

(町山智浩)そう。来てるみたいですね。だから、これに応えて、こういった状況を見て、ホーキング博士がですね。ホーキング博士。最近も『博士と彼女のセオリー』っていう映画の主役になった車いすの物理学者が、『AIの研究をやめろ!』と言ったんですよね。

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(赤江珠緒)うんうん。

(山里亮太)超えられちゃうと?

(町山智浩)『人類がAIに乗っ取られるぞ!』って言ったんですよ。

(赤江珠緒)うわー・・・

(町山智浩)あれもすごい問題発言だ!って問題になって。で、昨日か一昨日か、そのぐらいにはホーキング博士、また問題発言してて。それも報道されたと思うんですけど、『人類は千年以内に滅びる』って言ったんですよね。

(赤江珠緒)えっ?それは、また、なぜ?

(町山智浩)いや、だからこういう風に環境とかを破壊しているからですけどね。自滅的なことをしてるからですけど。でも、ホーキング博士が言っていることを総合していくと、本当に怖い話になっていくんですけども。

(赤江珠緒)なんかね、怖いですよね。なんかちょっと、『火の鳥』の世界とかが本当に・・・

(山里亮太)未来編?

(町山智浩)はい。でね、これ、監督のね・・・この、エクス・マキナっていう映画を監督して脚本して、このロボットのデザインまで自分で作ったのは、アレックス・ガーランドっていう非常に若い監督なんですけども。彼は、この前に作った、脚本を書いた映画は、クローン人間の話だったんですよ。

(赤江珠緒)うーん!

(町山智浩)で、これもすごく問題になってるんですけど。クローン人間ってどういうものか?っていうと、要するに人間とまったく同じものができるんじゃなくて、赤ちゃんを作るんですね。実際は。

(赤江珠緒)はい。

(町山智浩)たとえば、赤江さんの赤ちゃんを作るんです。赤江さんの細胞から。で、それは一体、実際、現在なんのために使うと思います?

(赤江珠緒)ええっ?なんかこう、家畜を増やすとか?

(山里亮太)えっ?なんちゅう怖いことを言うのよ。

(町山智浩)いや、でもそれ、赤江さんが家畜になっちゃうんだよ。

(赤江珠緒)ああ、ああ。私を増やした場合か。ああ、そうか。そうか。

(山里亮太)赤江さんがなんかほら、大きなケガした時にさ、その・・・

(町山智浩)そう!その通り。いや、本当に山ちゃん、すごいですね。要するに、赤江さんはそれを作ることによって、永遠に若返る、齢をとらなくなるんですよ。

(赤江珠緒)うわー・・・

(山里亮太)内臓とかも変えれちゃうわけですね。

(町山智浩)クローン人間を次々と作って、その部品を交換していけばいいんですよ。

(赤江珠緒)保険として置いておけばいいんだ。

(山里亮太)いや、でも部品になっちゃうんだよ。自分が。

(町山智浩)そう。自分の臓器を交換していけば、永遠に齢をとらなくなるんですけども。でも、その場合、赤江さんの臓器として使われるクローン人間の人格っていうか、人権はどうなるんだ?って問題があるんですよね。

(赤江珠緒)そうでしょう。

(町山智浩)そういう映画のシナリオを、このアレックス・ガーランドっていう人はこの前に書いてるんですよ。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)だからこのアレックス・ガーランドっていう人はエクス・マキナとかその前の映画。『わたしを離さないで』っていうタイトルだったかな?を、通して言いたいのは、人間とは何か?ってことがすごくいま、揺るがされて来ているんですよ。

(赤江珠緒)いやー・・・

(山里亮太)だってもう、機械で作られちゃってるんですもんね。

(町山智浩)クローン人間は、そう。人間なのか?AIが出てきて、人間とまったく同じ心を持っているものが出てきたら、それは人権を認めないでいいのか?ってことになってくるんですよ。

(山里亮太)はー!

(町山智浩)あ、ちょっとオチに近づいた話を言ったかな?しまったな(笑)。ええと、違う話をすると、難しいんですよ。最近ね、ぜんぜん違う話をします。じゃあ。

(赤江珠緒)はい。

(町山智浩)最近ね、ニューヨークでね、チンパンジーが人間の薬やワクチンを作ったりするために生体実験をされているんですけど。まあ、世界中でね。そのチンパンジーに対して、研究施設から逃してやれっていう人身保護令が発令されたんですよ。ニューヨークの裁判所から。

(山里亮太)人身保護令?

(町山智浩)人身保護令っていうのは、人間は監禁しちゃいけないんですね。法的な手段を経ないで。で、監禁されている人に対しては、政府とか裁判所が自動的にその人を釈放しろって命令を出すことができるんですよ。日本でも。それを人身保護令って言うんですけど。それがチンパンジーに対して発令されたんですよ。

(赤江珠緒)えーっ?人身じゃないけど・・・

(町山智浩)人身じゃないんです。だからこれは大変な法的な大きな革命だって言われてるんですけど。なぜか?っていうと、チンパンジーはだいたい5才の人間ぐらいの知能があることが知能テストでわかっているからですよ。

(赤江珠緒)ああー。

(町山智浩)だからそれを人間として認めないで、生体実験していいのか?ってことになってきているんですよ。

(赤江珠緒)うわー、そうですね。

(町山智浩)要するに3才の子でも2才の子でも、人権があるじゃないですか。だったら、そのぐらいの子どもと同じ知能があるって確認されているチンパンジーの人権はどうなの?ってことになるんですよ。

(赤江珠緒)いやー、なんかもう、いろいろと難しい領域に入ってきてますね。これは。

(町山智浩)そう。あの、映画の具体的なストーリーの説明がしにくいんですけども(笑)。ネタバレになるから。そういったこと全部をこう、ひっくるめたような内容になっていますね。このエクス・マキナっていうのは。

(赤江珠緒)うわー!

(山里亮太)面白そう。

(町山智浩)そう。で、だから本当ね、あれですよ。山ちゃんのところに、ある日突然、山ちゃんの好み。頭の先から足の先まで好み通りの女の人が現れるとするじゃないですか。ロボットかもしれないから、気をつけた方がいいですよ。はい(笑)。

(赤江珠緒)好みすぎる!みたいな。

(山里亮太)町山さん、俺ね、思ってていまね、ダメかな?ロボットでもいい!って思っている自分がいるんですね(笑)。

(町山智浩)あ、ロボットでもいい(笑)。ロボットでもいいんですよ!っていう話なんですよね。まあ、あまりにもぴったりすぎたら、それは怪しいっていうね。お前、ロボットだろ!みたいな話ですよね。

(赤江珠緒)(笑)。せっかくのチャンスを潰すことになりますけど。

(山里亮太)そう。チャンス来て、僕の第一声。『お前、あまりにもタイプだから、ロボットだろ?』って言ったら僕、おかしな奴ってフラれるだけですよ!

(町山智浩)(笑)。そう。でもこれ、だんだん主人公、おかしくなっていくんですよ。それで、こういう話もするんですよ。『えっ、君って自分が人間だと思っているの?』っていう問題も出てくるんですよ。もう、そうなると。もう見分けがつかないから。自分自身が人間なのか、それとも、自分のいままでの過去の記憶を植え付けられたロボットなのかどうか、もうわからなくなってくるんですよね。

(山里亮太)ほー!

(町山智浩)もう、なにがなんだかわからない世の中にこれからなっていくなっていう映画がね、エクス・マキナっていう映画でした。はい。

(赤江珠緒)これはもうね、まったく突拍子もないSFじゃないところが怖いですね。

(山里亮太)ひょっとしたら僕らの未来のことになるかも・・・

(町山智浩)そうなんですよ。もう現実なんですよ。はい。もういま、起こりつつあることっていうことでね。はい。で、日本公開は決まってないんですけど、これたぶん絶対に公開すると思うのは、これ、IT長者の俳優さんがね、オスカー・アイザックっていう、今度の新しいスターウォーズの主役なんで。

(赤江珠緒)あ、そうですか。

(町山智浩)そうなんです。だからまあ、このエクス・マキナもかならず公開されるでしょう。

(赤江珠緒)はい。じゃあ待ちたいと思います。これ、ちょっと待ちたいと思いますね。どういう展開になっていくのか。

(町山智浩)はい。面白かったですよ。

(赤江珠緒)はい。町山さんだったら、どういうタイプのアンドロイドを?(笑)。中くらいでいいですか?

(町山智浩)(笑)。そんなこと、聞かないでよ!

(山里亮太)(笑)

(赤江珠緒)わかりました(笑)。

(町山智浩)『聞かないで』ってことは、具体的に考えたこと、あるでしょ?町山さん(笑)。

(町山智浩)いやいや、いいんですけど。はい(笑)。

(赤江珠緒)今日は映画『エクス・マキナ』、ご紹介いただきました。町山さん、今週もありがとうございました。

(山里亮太)ありがとうございました。

(町山智浩)どもでした。

<書き起こしおわり>

エクス・マキナ (字幕版)
Posted at 2018.5.7
アレックス・ガーランド, アロン・ライヒ, アンドリュー・マクドナルド

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