町山智浩 ティム・バートン監督映画 ビッグ・アイズを語る

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町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』の中でティム・バートン監督がアメリカ版佐村河内事件を描いた映画『ビッグ・アイズ』について語っていました。


(赤江珠緒)さあ、では今日の映画の本題にいきましょうか。

(町山智浩)今日はですね、『ビッグ・アイズ』という映画を紹介します。ビッグ・アイズって言っても、アイズって言っても『合図をする』の合図じゃなくて。『EYE(目)』の複数形で、『大きな目』という意味ですけども。この映画は。はい。で、そこに絵があると思うんですけど。この絵のことなんですね。おっきな目をした女の子の絵。

(赤江珠緒)黒目がちのね、大きな目ですね。うん。

(町山智浩)そう。これ、いつの絵だと思います?いつごろ書かれた絵だと思います?

(赤江珠緒)ええー?いまでも通用するような・・・

(山里亮太)なんかね。現代アートな感じ。

(町山智浩)そうそう。だから結構最近のっていうか、日本の少女マンガとかアニメの絵に近いじゃないですか。目がすっごく大きくて、かわいい女の子で。でもこれね、僕が生まれるよりも前に書かれているものなんですよ。1960年代のはじめなんですよ。

(赤江・山里)へー!

(町山智浩)だからこういうすっごい目の大きい女の子のアートっていうか、もう先駆者の話なんですね。ええと、これね、この人に会ってきました。僕。さっき。

(山里亮太)えっ?この本人にですか?

(町山智浩)はい。これ、マーガレット・キーンさんっていう人なんですけど。おっきな目の女の子の絵を描いた人は。この人、サンフランシスコに画廊があってですね、いま87才です。彼女。で、さっき会ってきました。

(赤江珠緒)そうか、ご健在で。

1960年代に大流行した大きな目の少女の絵

(町山智浩)話をしてきたんですけど。この人についての映画なんですね。で、この人は1960年代のはじめ、だからいまから何年前?50年以上前?俺がいま52だから、52年ぐらい前か。50年以上前だな。に、アメリカでこの絵がめちゃくちゃ売れたんですよ。

(赤江・山里)へー!

(町山智浩)あのね、普通の売れ方じゃなくて。絵ってそれまではキャンバス買って額に入れて飾るっていうものが絵の売れ方だったじゃないですか。昔は。そうじゃなくて、それを印刷したポスターとかポストカードが売れるっていうのをはじめてやった人がこの人だったんですね。このマーガレット・キーンさんなんですよ。で、薬屋さんとかスーパーマーケットでも売れたんですね。この人の絵のプリントしたものが。印刷したものが。

(赤江珠緒)独特なタッチですもんね。なんか猫ちゃんのような、女の子のような。本当、黒目がちの。

(町山智浩)そう。本当に日本のアニメとかのね、原点みたいなところがあるんですけども。ただね、この人がいちばん売れてた時は誰もこのマーガレット・キーンさんを知らなかったんですよ。アメリカ人は。めちゃくちゃ売れてたのに。っていうのは、その旦那が、ウォルターっていう旦那なんですけども。ウォルター・キーンっていうのが、『自分が描いた絵だ』って言ってて。アメリカ人はずっとそれを信じてたんですよ。

(赤江珠緒)はー!

(山里亮太)そこがあの事件と・・・

(町山智浩)そう。そういう映画なんですよ。これは。で、まずこのマーガレット・キーンさん。まあ、会って聞いたんですけど。もともと、絵が好きで描いてたんですけども。彼女は結婚した時も。その頃は、女の人は結婚するしかないっていう時代だったらしいんですね。1950年代のアメリカっていうのは。とにかく、女の人は結婚して旦那に食わせてもらうのが人生っていう風に・・・『思わされていた』って言ってましたけども。彼女は。だから『自分が絵を描けたとしても、それで生きていけるとはぜんぜん思わなかった。でも、どうしても絵が描きたかったんだ』ということで、そういう絵を描いてたら、まず最初の旦那がぜんぜん理解のない人で。その旦那を捨てて家を出たんですね。で、すごく自由だったサンフランシスコ。サンフランシスコだけはね、アメリカではその当時はすごく自由で。好きなように生きていいっていう町だったんですよ。1960年代ごろは。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)で、そこに引っ越してきたところで、そのウォルター・キーンっていう男に会うんですね。彼女が。で、その目のおっきい女の子の絵を描いていたら、『君の絵、いいね』って言って近づいてきて。『僕も絵描きなんだよ。ただ、僕は風景しか描けないんだ。2人で一緒に絵描きとして暮らしていこうよ』って言われて。まあ、子どもも抱えてたんで。子どもにもお父さんが必要だってことで、彼と結婚するんですね。マーガレットさんは。

(赤江・山里)うん。

(町山智浩)で、まあこの絵を売ろうとしてたらですね、目のおっきい女の子の絵しか売れないわけですよ。

(赤江珠緒)あ、じゃあその旦那さんが描いた風景画はぜんぜん売れないんですか?

(町山智浩)ぜんぜん売れないんですよ。そしたらこの旦那が、『この絵は私が描いたものだ』って言い始めたんですよ。

(赤江珠緒)あらー。

(山里亮太)ゴースト。

(町山智浩)そうなんですよ。で、『違うじゃないの』って言っても、『なに言ってんだ。女が画家になったって売れると思うのか?』って。まあ、そういう時代だったんですね。ひどい時代なんですよ。そのころ。で、『君はだいたい売り込みができないじゃないか。セールスができないじゃないか』と。要するに、あまりね、口が達者じゃないんですね。このマーガレットさんは。

(赤江珠緒)ええ、ええ。

(町山智浩)でも、この旦那のウォルターっていうのは口から先に生まれたような男なわけですよ。で、ベラベラベラベラしゃべって、絵を売り込んでいって。それでどんどん売れるようになっていくんですよ。で、もう売れるようになっちゃうと、一旦ウォルターが描いたってことになっているから、言えなくなっちゃうんですよ。彼女は『私が描いたものだ』って。

(赤江珠緒)あー、そうなりますよね。へー。

(町山智浩)そうなんですよ。で、それだけじゃなくて、娘にそれがバレたら大変だってことで、娘からも隠れて、部屋に閉じこもって絵を描き続けることになるんですね。

(赤江珠緒)ええーっ!?

(町山智浩)すっごい変なんですよ。で、まあどんどん売れて、テレビとか出るようになっていくんですけど。そのウォルター・キーンは。で、もう普通に絵を売るっていうことじゃなくて、彼は商売上手だから、印刷したものを売ればいいんだと言って、もう億万長者になっていくんですね。ウォルター・キーンの絵として。

(赤江珠緒)うん、うん。

(町山智浩)で、今度は『この絵は女の子ばっかり、ちっちゃい幼女ばっかり描いているから、彼は変態なんじゃないか?』って言われ始めるんですよ。

(赤江・山里)ふん。

(町山智浩)『ロリコンじゃないか?』と。で、それに反論してテレビでですね、『そうじゃないんだ。私は第二次大戦が終わった後、ヨーロッパに行ったんだ。ヨーロッパに行ったら、戦災孤児がいっぱいいたんだ。かわいそうな戦災孤児たちのことが焼き付いて離れないんだ。私の記憶から。だからそのかわいそうな子たちを描いてるんだ』って言ったんで、もうそういうお涙頂戴大好きじゃないですか。みんな。アメリカ人も日本人も。

(赤江珠緒)うん、うん。

(町山智浩)だから『感動!』みたいなね。『感動をもらいました!』とか言ってね、もらいました!野郎たちがたくさん絵を買い始めてたいへんな事態になっていったんですよ。

(赤江珠緒)なるほど!

(町山智浩)で、もう爆発的な人気になって。それこそ、薬屋やスーパー、どこでも売っていて。みんなが買うッて言う。昔、ラッセンっていう絵がそうだったですけどね。イルカのね。そう。あれよりもはるかに超えた売れ方をしたらしいですよ。当時。

(赤江・山里)へー!

(町山智浩)で、もう豪邸に住んで、っていう感じになったんですけども。それでも彼女はその部屋を閉じこもってですね、誰にも会わないで絵を描き続けるしかないんですよ。マーガレットさんは。

(赤江珠緒)乗っ取りですね。完全に。

(町山智浩)そうなんですよ。でね、『どうでした?』って話を聞いたんですけども。マーガレットさんに。『とにかく、私が絵を描くっていうことは、これを見てもらえればわかるんだけども、みんな寂しそうな女の子の絵でしょ?寂しかったの。誰からも注目されない、誰からも知られない。その寂しさを描いていたの』って言うんですよ。『でも、2回結婚されているけども、どうでした?』『それでも、寂しかったの。これは私の寂しい!っていう叫びなの』って言ってるんですよ。

(赤江・山里)へー・・・

(町山智浩)それを商売上手な男が『私の絵だ』って売ってるんだから、異常な事態ですよ。

(赤江珠緒)いや、本当ですね。うわー。

(町山智浩)ねえ。こんなペラペラしゃべってね、『かわいそうな子どもたちのために絵を描いてるんです』なんてことを言うようなやつは、こういう絵を描けないですよ。

(赤江珠緒)そうか。でも、その絵のサインってあるじゃないですか。そこに、夫が自分でサインしちゃうってことですか?最後に。

(町山智浩)いや、これはサインはね、『キーン』っていう苗字だけしか書いてなかったんですよ。彼女は。

(赤江珠緒)あー、なるほど!

(町山智浩)だから嘘ではないんですよ。それを夫は『私の絵だ』って売り込んでるんですよ。で、テレビのトークショーとかにもしょっちゅう出たりするようになるんです。旦那はだから暇だから。絵を描いてないから。で、よく考えたらおかしいんですよ。しょっちゅうこんなテレビ出てるやつが絵を描いてるわけないじゃないですか。

(赤江珠緒)少しは絵の知識もあるし。

(町山智浩)ねえ。『科学者です』って言いながらやたらとテレビに出てる科学者とかいますけど。いつ科学してんだよ、この野郎!って思いますけども。本っ当に不思議なんですけど。ああいうの。それと同じですよ。

(赤江珠緒)ちょっといろんなところへ派生しそうな・・・

(町山智浩)いつ、絵を描いてるんだよ?と思うんだけど、朝から晩まで絵を描かされてるんですよ。奥さんは。地下室みたいなところに閉じ込められて、奴隷のように。

(赤江珠緒)うん、うん。

(町山智浩)だから、ますます絵は寂しくなっていくんですよ。悲しい絵になっていくんですよ。だからこういう、すごい厳しい話でしたね。

(赤江・山里)へー。

(赤江珠緒)でもね、それがもういつか、これは発覚するわけですか?もういま、こうやって映画にもなるっていうことは。

(町山智浩)それはまあ、そうなんですよ。だんだん、ひどくなっていくんですが。あるすごいことに奥さんが気がついて、ブチ切れるんですけども。旦那の。そこから逆襲が始まっていくっていう話なんですね。このビッグ・アイズっていうのは。

(赤江珠緒)はー、なるほど。

(町山智浩)はい。でも、こういう人ってお笑いの人にいません?

(山里亮太)えっ?書いてもらっている人ですか?

(町山智浩)たとえば、1人すごく才能があるボケがいて、それに対してギャグは言えないんだけど、ツッコミが上手い人がいて。でもって、『お前が売れてるのはお前の人気じゃない。俺が売ってやってるんだ』というやつっていませんか?

(山里亮太)あー・・・これね、町山さん。あの、悪い時の南海キャンディーズ、そんな感じでしたね。

(赤江珠緒)(笑)

(町山智浩)あなたですか!?(笑)。

(赤江珠緒)目の前に!?(笑)。

(町山智浩)自分か(笑)。

(山里亮太)僕もいま、言いたかったです。これ、この映画をまっすぐ見れるかな?って、いまちょっと思いました(笑)。

(赤江・町山)(笑)

(山里亮太)たしかに、静ちゃんに・・・ヤバい、ヤバい。一緒だった。

(町山智浩)だから、結局人間って芸術肌の人と、要するに天然って言われているような人ね。は、やっぱりコミュニケーションとかあんまり上手くできないから、芸術をやるわけじゃないですか。

(山里亮太)なるほどね。

(町山智浩)ボケているわけですよね。ある意味ね。で、それを利用する、口が上手いヤツがいるわけですよ。詐欺師的なヤツが。だからね、『なんで何年も何年もそんな風に搾取されて絵を描き続けたんですか?』って、聞いたんですよ。

(赤江珠緒)そうですよね。それ、いちばん思いますよね。

(町山智浩)マーガレットさんに。そんな旦那に利用されて。旦那、遊びまわっていたらしいですけどね。もうお金有り余ってるし、暇だから。で、旦那が遊びまわっている間、奥さんはずっと閉じ込められた暗い部屋で絵を描いてたんでしょ?お金も渡してもらえないわけですよ。お金、全部旦那が管理してるから。

(赤江・山里)ええっ!?

(町山智浩)そう。だから、『これ、奴隷じゃないですか?』って聞いたら、『私は洗脳されていたの』って言ってましたね。だから、『お前は世の中に出たって絶対ダメなんだから。そんな女が絵を描いてるって言ったって、みんな相手にしないし。「この絵はこういうことを表現してるんです」とかそういう風に説明できないだろ?』と。

(赤江・山里)うん。

(町山智浩)で、『俺はハリウッドの俳優たちとも上手く話ができるんだ。教養もあるから。お前はなにもできないんだ。お前にできることは絵を描くことだけなんだ』とか言うんですよ。旦那が。

(赤江珠緒)うわー!やっぱり洗脳ってなにかの自信を失わせて、自分の支配下に置くっていう感じなんですね。

(町山智浩)『自信を失った』って言ってましたよ。『それで完全にコントロールされてしまった。いま考えると、本当に洗脳されていたわ』って言ってましたね。マーガレットさん。

(赤江珠緒)だってこれだけの才能があるのにね。

(町山智浩)そう。だから結構怖い話でね。だから、本当に佐村河内を思い出すわけですよ。佐村河内さん事件をね。はい。あんなことが起こって、どうして黙って自分の作品を名前出さないで耐えてられるのか?って思うと、やっぱりそういうことがあるんでしょうね。

(赤江珠緒)そうなんですよね。昨日、ちょうどね、たまむすびにお越しいただきましたけども。

(山里亮太)ああ、新垣さん?

(赤江珠緒)新垣さんに。なんか本当にね、本当に生でお会いしたら、優しそうな。

(山里亮太)いや、むちゃくちゃいい人ですよ。俺、中学校の先輩だけど。

(町山智浩)芸術派の人はやっぱりそういう人が多いんで。あのね、マンガ家の人に結構こういう話っていっぱい聞くんですよ。

(赤江・山里)へー!

(町山智浩)あのね、マンガ家の場合には、原作者と絵描きの人の関係でこうなっちゃっている人とかも結構いるし。すごく売れている人で実際は絵を描いてない人とかもいるんですよ。

(山里亮太)えっ!?なんだろう、それ・・・

(町山智浩)結構いるんですよ。名前は出さないですけども。あと、個人的にたまたま知ってる人で編集者で。その人が、まあ自分が見つけた女性のマンガ家がすごい大ヒットして、ものすごいヒットして。それでその彼女と結婚してですね。彼自身もすごい羽振りが良かったっていう人がいるんですよ。

(山里亮太)はい。

(町山智浩)で、こう言って回ってたんですよ。『彼女はめちゃくちゃ売れてるけども、あれを描かせたのは俺だから。あれを売り込んでやったのも、作ったのも、コンセプトを出したのも俺だから』とか言ってたんですよ。

(赤江・山里)うわー!

(町山智浩)で、まあ奥さんが稼ぐ金を全部自分で手に入れて。まあ、編集者ですから。実際に描かせたんですけどね。彼はね。で、まあ遊びまわっていたら、結局奥さんに切られて。捨てられて。で、じゃあそれだけ『俺の才能だ』って言ってたけども、旦那は消えましたよ。で、奥さんはいまも元気にやってますよ。

(山里亮太)あ、気持ちいい。それでよかった。

(赤江珠緒)よかった、よかったね。

(町山智浩)そう。だから結局彼が『俺の才能で彼女を売りだしたんだ』って言ってるけど、そんなことはなかったわけですよ。彼なしでも、ぜんぜん売れてるんですよ。彼女は。

(赤江珠緒)ふーん。そういうこと、結構あるんだ。

(町山智浩)結構これね、リアルでね。あっちこっちにいろんな・・・音楽の世界とかね、いろんなところにあると思いますよ。こういう話って。料理とかの世界にもあると思いますよ。いろいろと。

(赤江珠緒)あらー・・・

(町山智浩)結構、ものを作ったりクリエイトする人はね、やっぱりね、騙されちゃうんですよね。人がいいからね。

(赤江珠緒)そうですね。しかもなんか、正解がこれ、みたいなのがはっきり数学とかみたいにわかるわけじゃないから。やっぱりご本人もちょっとよくわからないっていうか、自信がない部分もあるじゃないですか。

(町山智浩)だから結局、ビジネスのこととかわからないからアートをやっているわけですからね。本来ね。

(赤江珠緒)そうですね。そこにグイグイ来られると・・・

(町山智浩)だからビジネスができる人に勝てないんですよ。だからこれは、怖い話だったですよ。うん。でね、この映画を作ることにしたのはティム・バートンという監督がですね、子どものころにこのマーガレット・キーンさんの絵がすごく好きで。で、もうマーガレット・キーンさんっていうのはこの事件があったせいでですね、絵描きとしての評価が下がっちゃったんですよ。

(山里亮太)えっ?なぜですか?

(町山智浩)一時。忘れられてたんですよ。そういうバカなスキャンダルがあったよね、みたいな感じになっちゃったんですよ。色モノみたいに見られていて。ただ、『それをそうじゃない!ああいう事件はあったけれども、彼女自身の絵はいいんだ!』って言って、そのティム・バートン監督が『僕は彼女のファンです』っていろんなところで宣伝してたんですよ。ずっと

(赤江珠緒)へー!

(町山智浩)で、『みんなあの事件のせいで、あの絵を純粋に見るっていうことを忘れているじゃないか』って言ってやっていて。で、『じゃあ、これは映画にしなきゃ』ってことで、映画にしたのが今回の映画なんですね。ビッグ・アイズなんですよ。

(赤江珠緒)ねえ。ティム・バートンさんの作品もなんか目が大きいワンちゃんとか出てきますもんね。

(町山智浩)そう。だからすごく影響されたんです。やっぱり寂しいっていう気持ちが目に出てるんですって。ティム・バートンっていうのは子どものころ、すごくアメリカ人のみんなスポーツやったりしてる中で育って、すごく怪獣映画が好きで。いじめられっ子だったんで。その寂しさを、その絵で表現してるんですね。ティム・バートン監督は。だからこのマーガレットさんもその男性優位社会の中で居場所のない感じっていうものを、寂しい少女の絵で表現してたんですけども。そこですごく一致したところがあったんですよ。孤独っていう点でね。

(赤江・山里)ふーん。

(町山智浩)で、今回この映画ができて。それで彼女に会って、『この映画を見て、どうでしたか?』と言うと、『死ぬまでにこれが映画になって本当によかったわ!』って言ってましたよ。87才だから。

(赤江珠緒)よかったですね。

(町山智浩)『やっとみんな、私のことをわかってくれるんだ』と。

(赤江珠緒)お写真を見ると、ハツラツとされて。いまのお写真を見ると、活き活きされてますよ。マーガレットさん。

(町山智浩)『いまは幸せだ』って言ってましたね。

(赤江珠緒)ああ、よかった。

(町山智浩)で、この旦那の方は死んだんですよ。この間。詐欺師の旦那の方は。で、『旦那はこの映画を見れなくて悔しいですね。この映画でものすごい悪役として描かれてる旦那にこの映画を見せてやりたかったですね』って僕が言ったら、『いや、あの旦那はね、たぶん悪役になっても自分が映画になったってことで喜ぶようなバカな男よ』って言ってましたけどね。

(赤江珠緒)(笑)

(山里亮太)へー!図太いんだ!

(町山智浩)そう。で、この映画の中でクリストフ・ヴァルツっていう俳優さん。イングロリアス・バスターズですごくどうしようもないゲシュタポの悪役をやっていた人がこの悪い旦那を演じてるんですけども。まあ、ものすごく面白いですよ。もう、ゲゲゲの鬼太郎のねずみ男そのものでしたね。完全に。

(山里亮太)へー!ずる賢い、嫌なヤツなんだ!

(町山智浩)ずる賢くて、もう死ぬほどおかしかったですけど。この人、たぶんアカデミー助演男優賞をまた、前にイングロリアス・バスターズでとったけども。今回もまたノミネートされるでしょうね。

(赤江・山里)ふーん。

(町山智浩)ものすごくおもしろかったですよ。で、このマーガレット・キーンさんの絵っていうのは、アートとしてはね、評価がスキャンダルのせいで下がっちゃったんですけども。いまでも、すごく影響を受けた人たちは多くてですね。特に、日本のアーティストで奈良さんっていう・・・奈良美智さんっていう人、ご存じですか?

(赤江珠緒)はい。なんかあの、ちょっとひねくれた感じの女の子の・・・

(山里亮太)そうそう。絵を見たら、みんな見たことある!ってなる感じの。


(町山智浩)あの人とかはもう、完全にマーガレット・キーンさんのアートの継承者ですよね。

(山里亮太)言われてみれば、そうですよね。

(赤江珠緒)子どもらしい顔のね。ええ。あ、目が大きくて。

(町山智浩)マーガレットさんも、『私は奈良さんの絵は好きよ』って言ってましたね。

(赤江・山里)へー!

(町山智浩)だからそういう点でね、結びついている点でね、なかなか孤独な魂同士が呼び合う感じで、すごくいい話だったですよ。

(山里亮太)へー。実話ですからね。

(赤江珠緒)そうですよ。実話ですもんね。

(町山智浩)でもね、この映画ね、クライマックスはものすごくおかしいコメディー担ってますから。スカッとしますから。

(山里亮太)あ、それはいい!スカッとしたい。こういうのは。

(赤江珠緒)ティム・バートン監督ですしね。

(町山智浩)ただ、お金は取れなかったみたいですよ。彼女は。結局騙された時のお金は全部持っていかれて。そう。『それだけはね、まあ、いいわ。くれてやるわ、あんなもん!』って言ってましたけど。

(山里亮太)うわっ、かっこいい!

(町山智浩)だって、映画になったからね。はい。

(赤江珠緒)そっかー。へー。

(町山智浩)という映画がね、ビッグ・アイズでした。

(赤江珠緒)ありがとうございました。今日はアメリカ版佐村河内事件とも言える、ティム・バートン監督の最新作ビッグ・アイズをご紹介いただきました。日本では、来年の1月23日の公開となります。町山さん、今日もどうもありがとうございました。

(山里亮太)ありがとうございました。

(町山智浩)はい。どもでした。

<書き起こしおわり>

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