宇多丸 為末大『日本人にHIPHOPは馴染まない』ツイートに反論する

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ライムスター宇多丸さんがTBSラジオ『ウィークエンドシャッフル』で、為末大さんがtwitterで『日本人にHIPHOPは馴染まない』とツイートしたことに対して反論していました。

為末大の日本のヒップホップに関するツイート

(宇多丸)いまそんなね、呑気な話をしている場合じゃないってことなんですよね。本日ね、ムービーウォッチメンも『TOKYO TRIBE』ということですし、メインの特集も『ライムスター泥水特集』ということで。またしても先週に引き続いてね、妙にHIPHOP濃度が高まってしまっているというね。私の本意ではない・・・(笑)。いや、そんなことはないんだけど。で、なんかその、いろんな時事ネタというかね、たとえばG.K.MARYANさん、逮捕されてしまったなんてのもありますし。一方ではですね、これ、ちょいちょいネット上では話題になっていた為末大さん。元陸上選手。現在、スポーツジャーナリストの為末大さんが、ご自身のtwitterで、ちょっとその拡散された部分っていうのがあるんですけどね。そこで日本のHIPHOPをディスというか、要するに、間違いが内容にちゃんと言いますと、『悲しいかな、どんなに頑張っても日本で生まれ育った人がヒップホップをやるとどこか違和感がある。』というね、ツイートをして。


(宇多丸)まあ、軽く炎上したと。これはだから批判というか、『なに言ってんだ?』っていう人もいれば、『そうだそうだw』みたいな人もいれば、ということで。まあ、ここだけ取り出すと・・・そうそうそう、この後には続きがあって。『またアメリカ人が着物を着ても最後の最後は馴染みきれない。私達は幼少期の早い時期にしみ込んだ空気を否定できない。』と。まあ、こんなことをおっしゃっていて。で、まあこの1個のツイートだけを取り出すと、これは本当の池上彰さんばりに私としてはですね、『そこからですか・・・』と。『また、そこからですか・・・』。

僕、とにかくそのライムスターとして音楽活動、自分でラップを自らやる一方で、なんて言うんですかね?HIPHOP雑誌に連載なんかも持って、そういう風に日本でHIPHOPをやることに対する無理解みたいなのに対して、まあまあしつこく活動をしてきて。それこそもう、過去20年ぐらいやってきてですね、んで、『この件は片付いた』と思うと、やっぱり忘れた頃にこういうのがフッと出てきて。『そこからですか・・・』というね。まあたとえば、着物の話とかわかりやすく言えば、じゃあ俺たちが洋服を着てるのもアウトだよね?とかさ。

あと僕、本当にいつも不思議に思うのは、じゃあなんで日本人がロックをやることには何の問題もないの?それだってそうじゃん。要するに、全般ダメだよねっていう。俺たちの暮らし、いまの全般がトータルダメなんてことになっちゃうじゃん。つまりそれはいかに浅薄な極論かということが、それだけでわかる。なので背景にはたぶんね、『やっぱりHIPHOP・ラップっていうのは黒人のものでしょ?』と。つまり、黒人がやっているものというのは要するに彼らの肉体性とかに根ざした特別な、特殊なものでしょ?という逆というか、人種偏見がベースにある・・・と思うんだけど。つまりそっちだけ特別視するっていうのはさ。そんなこと言ったらだって、じゃあロックは誰が作ったかさ。それだって黒人ですからね。

だからまあその、そういうことを言い出すとね、『そこからですか・・・』的な話になるんだけど。これをしだすと、また話が長いんですが。ただその、為末さんのツイートの、たしかに前後を見ると言ってること自体はね、言わんとしてること自体はわかるし頷けるところもあると。で、この一連のツイートの最後のところで、『昔あるジャズシンガーが、ジャズを真似していてうまくいかなかったけれど、日本風のジャズを作ればいいんだとわかった時にとても勇気が出たと言っていた。それに感動したのを思い出した。』


(宇多丸)これ、要するに為末さんは日本のHIPHOPっていうのがどういう歴史をたどってきてというか、どんなアーティストが、いろんな人がいるわけですよね。為末さんがひょっとしたらパッと見て、『ああ、アメリカの真似だ』っていう風にパッと思ってしまった人もいるのかもしんないけど、まあそうじゃない人もいれば、とか。とにかく、まああんまりよく知らないんだなっていうのがこれでわかるわけです。っていうのはこの為末さんが最後に書いているのは、まさに日本のHIPHOPってこういうもんなんですけどねっていうことだから。単純に、為末さんの考え方の根本が間違っているというよりは、あんまりよく知らないで言っちゃったんだなっていう感じは否めないと。

まあそこがちょっとね、どうかと思いますけど。ということです。だから全体として為末さんが言ってることそのものが全部間違っているとも思わない。まあそれはそうかもなって思う部分もありますし。たとえばその、日本で生まれ育った人がアメリカの現行HIPHOPそのものをまんまやろうとしても、少なくとも日本でやる時には馴染まない。それはアメリカで日本人がやって頑張るっていうのはできるかもしれないけど。日本文化としては馴染まないところがあるのでは?というのは、当然僕はそこに晒されながら試行錯誤してきたのでそれは当然わかりますし、とか。

というようなところであってね。なので、最初僕もパッと見た時はね、実際ちょっと腕まくりしちゃったんですけど(笑)。まあまあまあ、いろんなのがいるんで聞いてくださいね。結構いるんす。為末さん、結構、為末さんお好みのも結構いると思いますよ。ライムスターとか・・・みたいなね。みたいなぐらいですかね。はい。ということでございます。でもまあ、今回のTOKYO TRIBEとかもそうだけど、まあ日本のHIPHOP、なんて言うんですかね。浸透度合いみたいなの、僕らがそれこそ今日ね、25周年。ライムスター25周年泥水特集やりますけど、始めた頃と比べ物にならないぐらいに、本当に進歩してるし、いまの若手ラッパーなんてのは本当にもう、むちゃくちゃ上手くて。

先週のね、AKLO、SALUのライブも本当そうでしたけど。素晴らしくなっている。だから考えられないぐらい進化しているところもあるし、同時にやっぱりこうなんて言うんですかね?まだまだ小さい存在。だからそれは僕が25年間活動してきて、まだ俺とかが正直力不足だったところかもしれないけど、まだまだ、根気よく説いていかなければいけないところもあるにゃーというのを、改めてこの為末さんの一連のツイート&炎上なんかを見てて思った次第でございますということです。

<書き起こしおわり>