町山智浩 海外大ヒットドラマ『Orphan Black』の元ネタを語る

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映画評論家の町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』の中で、アメリカで大ヒット中のドラマ『Orphan Black』が描く恐ろしい世界の元ネタについて語っていました。


(赤江珠緒)それでは映画評論家町山智浩さん。アメリカはカリフォルニア州バークレーのご自宅からお電話でのご出演です。もしもし、町山さん。

(町山智浩)はい、もしもし、町山です。よろしくお願いします。

(赤江・山里)よろしくお願いします。

(町山智浩)どもです。

(赤江珠緒)日本はいま、ゴールデンウィークまっただ中なんですけども。アメリカは特に?

(町山智浩)あ、ゴールデンウィークというものがありましたね。僕、アメリカ来て15年ぐらいか。15年ぐらいゴールデンウィークっていうものを体験してないですよ。

(山里亮太)じゃあ意識の中にないですよね。もう、そういうお休みは。

(町山智浩)そういう時って高いから日本にも帰らないし。だから大抵、こっちにいるから。ああ、そういうものもあったなとか思いますけど。今日はゴールデンウィーク向けに。今日、お子様も聞いてますよね。

(山里亮太)そうですよね。お休みですから。

(町山智浩)そうですよね。じゃあお子様も楽しい話をします。

(赤江珠緒)できるんですね。そういう感じも。

(町山智浩)『えっ、そんな話もできるんですか?』って急に言われたんですけど(笑)。ええとね、アメリカで去年はじまったばっかりなのに、ものすごい人気のテレビドラマがありまして。その話をします。タイトルはね、『Orphan Black(オーファン・ブラック)』っていうんですけど。Orphanっていうのは孤児。お父さんやお母さんがいない子のことですけど。Blackっていうのは黒いんですけど。これ、タイトルの意味はまだわからないんですよ。このドラマでは。

(赤江・山里)ええ。

(町山智浩)で、これがね、BBCっていうイギリスの国営放送局があるんですけど。NHKみたいなね。それのアメリカ支部がオリジナルで作ったドラマなのに、アメリカで大当たりしてるんですよ。とにかく面白いっていうか、謎が多いんで。いまアメリカ人が夢中になって見てるのが『Orphan Black』というですね、テレビドラマなんです。

(赤江珠緒)じゃあいわゆるメジャーチャンネルというわけではないのに・・・っていうことですか?

(町山智浩)ないんですよ。これ、制作してるのもカナダだし。アメリカっていま、テレビ局ってすごいドラマにお金をかけていて。映画よりもお金をかけてるんですよ。

(赤江・山里)ええっ!?

低予算ドラマが大ヒット

(町山智浩)っていうのは、世界中に売れるから。テレビ局に。それだけ利益が確実に返ってくるから、映画よりも金かけられるんで。要するに2時間ぐらいのドラマに100億円とかかけたりしてるんですけど。アメリカのテレビドラマって。そうですよ。そういうものに対して、もうぜんぜんお金がかかってないんですよ。この『Orphan Black』っていうのは。

(赤江・山里)うん。

(町山智浩)でも面白くて。ものすごくお金をかけたドラマよりも勝っちゃってるんですよ。内容的に。だからアイデアの勝利だなと思いましたけど。どういう話か?というとですね、主人公、ヒロインはサラっていう28才の女の人で。まあ、貧乏なんですね。で、どん底の生活を送ってるんですよ。犯罪とかそういうものの中で。で、彼氏がいるんですけど、彼氏はドラッグディーラー。麻薬の売人なんですね。

(山里亮太)うん。

(町山智浩)で、地獄のような生活をしてて。7才の娘がいるんですけど、お金がなくて育てられないんで。自分は養子になったんで、自分の養母。育ての親に自分の娘を預けざるをえない状態になってるんです。あまりにもお金がなくて。で、犯罪ギリギリの生活を送ってるのが主人公のサラなんですけど。で、これだとどうしようもないっていうんで、とにかくお金があれば娘と暮らせるって言って、恋人っていうか一緒に暮らしている男のコカインを盗んでですね、飛び出すんですよ。

(赤江・山里)おお。

(町山智浩)で、それを追ってくるんですね。悪い旦那が。『俺のコカイン盗みやがって!』って。それで逃げてると、夜の駅に行くんですよ。その駅のプラットホームに女の人がプラットホームで自分の服、コートをたたんで、プラットホームに置いてるんですよ。で、今度靴を脱いでるんですね。で、バッグとか置いてるんですけど。これね、日本でも自殺する人ってなぜか洋服をキレイにたたむじゃないですか。崖とかに。

(山里亮太)靴を揃えて置いてあるイメージが。

(町山智浩)こっちもそうなんですよ。だから丁寧にたたむと自殺なんですよ。で、電車に飛び込もうとしてるんですよ。その女の人が。服とかたたんで。で、サラが『ちょっと!やめなさいよ!』って言おうとしたら、その女の人が振り向いたんですけど、自分と同じ顔をしてるんですよ。まったく。

(山里亮太)そっくり?

(町山智浩)まったく同じ顔をしてるんですよ。で、度肝を抜かれて、止められなくてその女の人は電車に飛び込んで死んじゃうんですね。即死しちゃうんですよ。で、どうしよう!?と思うんですけど、目の前に彼女が置いて行ったハンドバッグがあるんで。とりあえず、金がないからそれを掴んで逃げちゃうんですよ。サラは。で、免許証とか見ると、自分と同じ顔なんですね。ただ、名前が違うんですよ。ベスっていう名前なんですね。ベス・チャイルズっていう名前になっていて。で、住所とか鍵とかもあるんで。とりあえず、追われてるし。前の旦那から。で、その住所に行って、そのアパートに入るんですね。鍵もあるから、入っちゃうんです。そのベスの部屋に入っちゃうんですよ。

(山里亮太)ふん。

(町山智浩)で、自分には同じように育てられた養子の兄弟がいて。男の、ゲイの兄貴みたいなのがいるんですけど。兄貴にたのんでですね、『いま、駅で1人私にそっくりの人が死んだから、その人が私ってことにして。私の存在を消滅させて』って言うんですね。

(赤江珠緒)あ、なり代わろうと。

(町山智浩)そう。で、結局死体の方の死亡確認にその兄貴が行って。『それはサラです』って死亡確認して、サラを消滅させちゃうんですよ。それで、彼女はそのベスの部屋に入り込んでですね、この人になろうとするんですけど、誰だかわかんないんですよ!

(山里亮太)そっか、情報がないんだ。

(町山智浩)そう。誰だかわからない。それで、DVDとかビデオとか置いてあるから、スマホとかもあるから、それから情報を取っていくんですね。このベスっていう人は誰だろう?って。とにかくなり代わろうと。ビデオも出てきたから、その人のしゃべり方とか真似するんですけど。で、ファッションとかも真似するんですよ。サラはパンクだから、すごいゴスなメイクをしてるんですけど。目の下黒く塗ったりしてるんですけど。それもやめてキレイにして、プレーンメイクにして、髪の毛とかも整えてですね、ちょっとオシャレにしてるんですね。

(赤江・山里)うんうん。

(町山智浩)その人になり切ろうとしてると、部屋に男が入ってくるんですよ。突然。鍵を持っている男が入ってくるんですよ。同居してる人なんですね。それがね、イケメンなんですよ!細マッチョのイケメンが入ってくるんですよ。突然。で、『ねえ、ベス』とか言いながら、後ろから抱いてくるんですよ。こう。

(赤江・山里)はあ。

(町山智浩)でも、やっぱり一緒に暮らしている人とかだと、違うってわかっちゃうでしょ。顔がそっくりでも。で、『ん?なんか君、ちょっと違うね?』とか後ろから抱きながら言うんですね。すると、黙らせなきゃいけないから、いちばんいいのは電気を消す方法ですよね。

(山里亮太)あっ!

(町山智浩)で、電気消してやっちゃうんですけど。で、とりあえずエッチしてごまかすんですけど。ぜんぜんごまかしにならなくて。彼の方は、『いやー、いままでにないよ!どうしたんだよ!すごいいいよ!』とか言って。ぜんぜんバレてるんですけど(笑)。思いっきり。

(赤江珠緒)(笑)。いいようにとってくれた。なるほど。

(町山智浩)そう(笑)。『どうしたんだよ!君、変わったね!』とか言ってるんですけど。ぜんぜん違う人なんですけど。『あ、しまった。ベスっていう人はぜんぜんエッチダメだったんだ』ってわかるんですけど。で、とりあえずこの人、どんな車に乗ってるのかしら?って。鍵でピピッとやると、車がピピッというじゃないですか。駐車場行って。するとね、すごい。ジャガー(JAGUAR)なんですよ。

(赤江珠緒)ええーっ!?

(町山智浩)高級車のジャガーなんですよ。で、『すげーいい車に乗ってるわね。この人、お金持ちね』って言って運転してると、突然ですね、他の車がキッ!っと来てですね。『お前、なにやってんだ!ベス!こっち来い!』って拉致されちゃうんですよ。

(赤江・山里)ええっ!?

(町山智浩)黒人に。しかもその黒人の人は拳銃を持ってるんですね。で、拉致されて『テメー!お前、逃げようとしてるんじゃねーよ!こっち来い!』って言われて。『うわっ!この人、ヤバいことに巻き込まれてた』って思って、連れて行かれたところが警察なんですね。で、『えっ!?』って思って、その警察の中に入っていくんですね。その黒人の男性に引かれて。そうすると、みんな敬礼するんですよ。自分に。

(赤江・山里)えっ!?

(町山智浩)『ベス・チャイルズ刑事!』って敬礼するんです。

(赤江珠緒)刑事なの!?

(町山智浩)刑事だったんですよ!で、『私、ラッキー!刑事だわ』って思うんですけど。したら、『この部屋に』って部屋に入ると、『ベス・チャイルズ刑事だね。民間人を誤射して射殺した事件に関して、取り調べを行う』って言われるんですよ。

(山里亮太)うわーっ!

(町山智浩)彼女は刑事だったんですけど、民間人を射殺しちゃって、大変な状況に置かれてるんですよ!

(赤江珠緒)それで自殺だったのかな?

(町山智浩)そう。っていう話で、いったい何?この話?って思うじゃないですか。これが最初の30分なんですよ!この『Orphan Black』っていうドラマの。これ、なんだろう?って思うじゃないですか。グッ!って引きずり込まれるでしょ?これ。で、それでとにかく自分が死んだことになってるんで、自分の葬式を見に行くんですね。サラは。もうベスになっちゃってるんで。で、葬式を見てたらですね、突然1人に『あんた、なにやってんの!』って声をかけられるんですよ。今度は女の人に。で、振り向くと自分と同じ顔の人なんですよ。

(赤江珠緒)えっ!?またいるの!?

(町山智浩)もうひとり、いるんですよ。ところが、しゃべりがドイツ語訛りなんですよ。で、『なにしてんの?』って言ったら、その人の頭が吹き飛ぶんです。バーン!と。誰かに狙撃されて。

(赤江珠緒)えっ!?誰かわからないうちに?

(町山智浩)そう。三人目が出てきたら、三人目がいきなり死んじゃうんですよ。で、いろいろあるんですけど。どういうことか?っていうことで、調べていったら自分にそっくりな人間が次々と出てくるんですね。それで、いろんな人が出てきて。1人はウクライナから来た自分そっくりの人間なんですけども。殺人のあらゆるテクニックを持っているターミネーターみたいな女が出てくるんです。

(赤江珠緒)殺し屋。

(町山智浩)ウクライナ人の自分が。で、もう1人は遺伝子工学を研究している化学者で自分そっくりの人が出てくるんですよ。コジマっていう名前なんですけど。もう1人はものすごく保守的で、はっきりいうとキリスト教右翼みたいにゴリゴリの保守の主婦も出てくるんですよ。自分そっくりの。で、『いったいあなたたち、なんなのよ!?』って言ったら、『私たちはクローンなの』って言われるんですよ。

(赤江・山里)ええーっ!?

(町山智浩)っていう話がこの『Orphan Black』なんですよ。どうも知らないうちに自分は実はクローンで、みんな養子として、いろんな世界中に出されていて。それぞれの国で育ってるんですよ。で、環境が違うから全部みんなバラバラの人格になってるんですけど。それぞれに。で、すごく化学者になっている人もいれば、その人はたとえばレズビアンだったり。ものすごく右翼的になっている主婦になっている人は拳銃とかが大好きでですね、ゴリゴリの右翼になっていたりとかですね。あと、ウクライナにいる自分のクローンはですね、キリスト教原理主義なんだけども、ちょっと狂信的になってしまって。ヨーロッパにいた、自分の何人かのクローンを次々に殺して、アメリカに渡ってきて。自分のクローンを皆殺しにしようとしてる殺し屋だってことがわかってくるんですよ。

(山里亮太)ほえー!

(町山智浩)っていうのを1人の女優が全部演じてるんですよ。これ、すごいんですよ。撮影も大変だったと思いますよ。だって、3・4人絡まったりするんだもん。同じ俳優が。

(山里亮太)あ、そっか。

(赤江珠緒)ここに写真がありますけど、見事に違う人になっていて。はー。

(町山智浩)ぜんぜん違う人ですね。これ、女優さん、タチアナ・マズラニーっていう完全な新人女優なんですけど。もう見事にですね、なんか主婦とか殺し屋とかですね、化学者とかパンクとかですね、全部演じ分けてるんですよ。これ、すごいですけどね。しかも、絡み合いますからね。これ、まあ特撮で、SFXでやってますけどね。

(赤江・山里)へー!

(町山智浩)これがね、面白いんですね。

(赤江珠緒)たしかに面白い。これがどうなっていくのか?

(町山智浩)そう。でね、みんな28才なんですけど。誰もが不妊症だってことがわかってくるんですよ。『でも、おかしいわ。私には7才の娘がいるわ』と。そしたらみんなが、『それは大変だ!』ということになるんですよ。

(赤江珠緒)えっ、なんでなんで?

(町山智浩)その7才の娘が今度は狙われ始めるんですよ。彼女たちを作った、彼女たちをクローンで実験した組織が出てきてですね。それがその7才の娘を探し始めるんですよ。で、そういう話なんですけども。彼女を襲ってきてる集団っていうのは、そのクローンを生み出した巨大な化学産業ですね。医学コングロマリットみたいなところが作ったんですけども。それと対立するですね、反クローン宗教団体との抗争に巻き込まれていくんですね。この主人公たちが。っていう話なんですよ。

(赤江珠緒)へー!

(町山智浩)しかもそれぞれのクローンには、全員見張り役がついてるんですよ。昔から。で、その見張り役が誰だかはわからないんですけど。すごく身近な人で、自分の旦那だったりですね、するんですよ。自分の親だったり、隣のいい人だったりする人が、ずーっと自分の見張り役としてそのクローン組織から派遣されて、お金をもらって見張りをしてるんですね。で、誰が見張りだかわからない。それを探すサスペンスとか、いろんなサスペンスが絡んでくるんですけど。

(赤江珠緒)うわっ、えー・・・

(町山智浩)このドラマ、すごい当たってるんですけど。これ、どうなるんだろう?っていうところはまだぜんぜん謎なんですけど。いろんな現在の問題をはらんでるんですよ。で、たぶんいろんな現在クローンとか遺伝子操作に関する、現在問題になっていることっていうのを、密かに反映させようとしてるんですね。たとえばこれ、全員が同じ顔をしている人たちがいっぱいいるわけじゃないですか。同じクローンが。でもこれって、いま現実に、人間でやっているから異常だって思うんですけども。動物の世界では結構普通になってますよね?

(赤江珠緒)そうですよね。

(山里亮太)もう技術としてはできるようになってますもんね。

(赤江珠緒)人間のクローンも技術的には・・・

(町山智浩)っていうか、クローンが生まれる前からそういうことは結構普通になっていて。農業の世界では。農家では。たとえば、和牛。和牛って全部ほとんど兄弟なんですよ。だいたい3匹くらいしかいないんです。精子を提供している牛が。これ、僕ね、ステーキ屋さんでね、ステーキ焼いている人に言われたんですけど。鉄板焼きやりながら。『あなた知ってる?和牛っていうのはね、ほとんど3匹の名牛って言われているものの精子からできてるんだよ』って言われたんですよ。

(山里亮太)へー!

(町山智浩)冷凍精子っていうものができてから、その精子で作ってるんですね。それで、いま牛っていうのはほとんど全部人工授精なんですよ。で、精子をカタログで買って受精させるんですね。で、その名牛の精子を使って作った母牛から子どもを産ませて、それを育てるっていう形になってるんですけども。1頭の牛がですね、一生の間に何百万もの精子を出すから、基本的に雄牛っていらないんですよ。選ばれた牛以外。引っ張りだこの精子とかものすごく人気のある精子だけでいいんですよ。それ以外の精子、いらないんです。すごい世界なんですよ、これ。

(赤江珠緒)いや、本当だ。うん。

(町山智浩)で、だからみんなほとんどの和牛っていうのは兄弟なんですけども。これ、いっそのこと、最高の牛のクローンにしちゃえばいいんですよね。こんなことしなくても。最終的にはそこに行き着くと思いますよ。すべて同じ牛になると思いますよ。同一の。最高の牛が作られたら、全部、すべての、何百万頭もの牛が全部同一のDNAで作られることになるんですよ。

(赤江珠緒)んんん・・・

(町山智浩)これを人間に置き換えるとどうなるか?っていう話ですよ。これは。

(赤江珠緒)人間に置き換えると怖いですね。

(山里亮太)怖い。

(町山智浩)でも、可能だもん。だって、韓国で前、犬のクローンを作ったですよね。あれは要するに、どこの国でも作れるんだけども。倫理的に問題だからやらないだけですよ。人間も作れるけども、倫理的に問題だからやらないだけでしょ?だってもしクローンが作りだされた場合、その人の人権ってどうなるの?ってことですよね。

(赤江・山里)うーん・・・

(町山智浩)でも、この『Orphan Black』の話っていうのは、実際に農業で。特に植物とか農作物の中で行われていることを人間に置き換えてる話なんですよ。

(赤江珠緒)なるほど。まあ、遺伝子操作みたいな。

(町山智浩)そう。いまモンサントっていう会社がほとんどの遺伝子組み換え作物の9割を独占してるんですけど。アメリカの会社ですけど。そこは大豆とか菜種とかトウモロコシっていうものの種を売ってるんですね。で、そこは要するに虫とか除草剤に強い作物がとれるんですけども。そこからとれた大豆をもう1回畑に蒔いたらいけないんですよ。

(山里亮太)えっ?

(町山智浩)それでもう1回、大豆を作る。要するに延々作れるわけじゃないですか。トウモロコシでも菜種でも。でも、2世代目を作ったら、著作権侵害で訴えられるんですよ!1代しか作っちゃいけないんですよ。で、すごい裁判を次々やって、全部勝ってるんですね。この会社は。

(赤江珠緒)なるほど・・・

(町山智浩)あと、でも植物だからどうしても他の、遺伝子操作してないやつと混じっちゃったりするんですよ。花粉とかそういったものでね。そういうのを、全世界の農家を回っているポリスを持ってるんですね。このモンサントっていう会社は。DNAポリスっていうのを持っていて。で、いろんな畑に行って、畑の作物のDNAを調べて、自分の会社のDNAが混じってると、訴えるんですよ。

(赤江・山里)ええっ?

(町山智浩)知的財産の侵害ってことで。すごい裁判をやっていますよ。これ、もう日本でも報道されてますけど。でも、どうしても混じってくんですね。植物っていうのは。広がっていくから。でもそれを全部訴えてくんですよ。で、それをあんまりやっていたから、1世代しかできない。2世代目は完全に不妊みたいな感じで、新しく発芽しないように最初から遺伝子のプログラムをしてるのも、作り出してるんですよ。彼らは。それをターミネーター遺伝子っていうんですよ。

(山里亮太)へー!

(町山智浩)1代だけで終わるんですよ。

(赤江珠緒)でも、思うようにできるんですね。

(町山智浩)思うようにできる。この話、たぶんこの『Orphan Black』の元になっているんですよ。彼女たちはたぶんそういった形で作られたものなんですよ。

(赤江珠緒)なるほど。だから娘が狙われる。

(町山智浩)そうなんですよ。いちばん怖いのは、要するにこの遺伝子の情報が知的財産として、著作権として、特許として申請されるわけですね。作物とか動物に関しては。これは物体じゃなくて、遺伝子のデータが特許で記録されているわけです。登録されているわけですね。これ、いわゆるゲノムってやつで、遺伝情報っていうのはすべてコンピュータデータに移し替えることができるんですよね。

(赤江・山里)はい。

(町山智浩)これ、人間も特許申請できるってことですよ。これ。

(赤江珠緒)いやー、そうなってくると手塚治虫さんとかのクローン人間を使って、どんどんやっていく。いろんなお話あるんですけど。そういう世界が・・・

(町山智浩)そうなんです。ただ、赤江さんのクローンのデータ。DNAのヒトゲノムのデータを特許申請された場合に、それを赤江さんが知らなくて。たとえば養子で育てた場合ね、ある日突然こう言われるんですよ。『あなたは私の会社の所有物ですよ』って言われるんですよ。そういう話なんですよ。これ。『Orphan Black』って。

(赤江珠緒)もうクローン技術がありますからね。

(町山智浩)技術的には未来のことじゃないっていうのがいちばん怖いですよね。

(山里亮太)そっか。これSFとかじゃなくて、ひょっとしたら事実の話になるかもしれないっていう。

(町山智浩)そう。影で行われているかもしれないわけですよ。イリーガルに。非合法に。

(山里亮太)いるかもしれないんだ。

(町山智浩)いるかもしれないけど。要するに大金持ちとか大富豪が自分のためにやっている可能性っていうのがあるわけですよ。だから怖いんですよ。未来にこういう技術が開発されるから怖いんじゃなくて、もうすでにできるけども、やっちゃいけないからやってないことになっていることなんですよね。

(赤江・山里)はー!

(町山智浩)これ、怖いですよ。だってどうしてDNAを使ってクローンを作る必要があるかっていうと、たとえば大富豪が年を取りたくないと思ったとするじゃないですか。したら、臓器移植用のクローンを作って。自分と全く同じDNAの子どもを作ればいいんですよね。そこから若い臓器を移植すればいいんですね。

(山里亮太)うわー。

(町山智浩)で、もっと言っちゃうと、人間が老化するのって、免疫細胞がなくなって。少なくなって老化してくんですね。人間っていうのはね。T細胞とかいろんな免疫細胞っていうのは子どものうちしか出なくって。大人になると出なくなって、数がどんどん減っていって老化してくんですけども。自分のクローンを作れば・・・

(赤江珠緒)うわっ、なんかゾッとするよ。

(町山智浩)それで免疫細胞を作らせて自分に入れてれば、その人はほとんど永遠に生きるんですよ。

(山里亮太)うわー、本当に怖い。本当に火の鳥とかの話みたい。

(町山智浩)それのためにやっているやつもいるかもしれないわけですよ。自分の企業を手放したくない、死にたくないっていう理由で。これは怖いんですよ。で、まだね、1話だからどういう展開になるかぜんぜんわからないんですけど。現在、わかっているDNAとか遺伝子操作に関してわかっている怖いことをいっぱい考えちゃうんですよ。見ていると。

(赤江珠緒)なるほど。それが『Orphan Black』。

(町山智浩)そう。『Orphan Black』っていうドラマでね。ただね、こういう形で日本にも窓口のない会社が作っているドラマなんで。日本での放送予定がないんですけど。

(赤江珠緒)うわー、気になるわー!

(町山智浩)そうなんです(笑)。もう、是非やってもらいたいなという感じですね。

(山里亮太)あの、町山さん。今日、あの『お休みだから子どもたちにいいやつ紹介します』って入り口で言ってましたよね?

(町山智浩)あ、そっか。ダメだったか。

(赤江・山里)(笑)

(町山智浩)人気のある精子とか言ってましたね。引っ張りだこの精子とか言ってました。はい。ぜんぜんダメですね(笑)。

(山里亮太)本当ですよ!でも、これ見たいなー!すごい。まさか実際の話がちょっとね、モデルに入ってるっていうのは恐ろしいですね。

(町山智浩)怖いですよ、これ。ねえ。『山ちゃん、あなたは私たちの企業が作った完璧な生物ですよ!』とか言われたりするんですよ。

(山里亮太)急にね。

(赤江珠緒)ちょっと褒められた気も。いや、違う違う。

(山里亮太)なに?俺が急に企業のものに・・・不良品なのかな、俺(笑)。

(町山智浩)という話でした。どうもでした。

(赤江珠緒)今日はアメリカでカルト的人気のドラマ『Orphan Black』をご紹介いただきました。町山さん、ありがとうございました!

(山里亮太)ありがとうございました。

(町山智浩)どうもでした。

<書き起こしおわり>


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