（吉田豪）たぶん、感覚的には僕が真樹日佐夫先生を勝手に師匠と……別に空手の弟子でも何でもないのに師匠みたいなものとして接した結果、会うたびにいろんな、「あれ、本当なんですか？」みたいなことを聞き続けたみたいな。
（かせきさいだぁ）そういうのが面白いですよね（笑）。
（吉田豪）「最近、買った真樹先生の本が他の本とプロフィールが違うんですよ。これ、どういうことなんですか？」とか（笑）。
（かせきさいだぁ）そういうのが聞けるの本当に楽しいですよね。そうそう。「次、シングルでちょっと細野さんの歌詞を引用したり。メロもちょっと近いのをやったりして。細野さんにCDになる前に一応、許可を取らないとまずいなと思って。細野さんの連絡先とか、事務所のあれを教えてもらえませんか？ そしたらCDを送って……」っつったら「えっ、ちょっと待って？」って電話してて。「はい」ってなって。そしたら「細野です」って（笑）。「段階があるでしょ！」っていう（笑）。
（吉田豪）面識、ないわけですよね？
いきなり細野晴臣に直電話
（かせきさいだぁ）その頃は細野さん、面識なかった。それで「細野です。もしもし？ どなたでしょうか？」って（笑）。「もしもし、かせきさいだぁと申します……」って。で、全部、「ここがこうで……後で事務所に送りますので、確認してもらえれば」「ああ、もういいよ。特別に許可します」「ありがとうございます！ ありがとうございますっ！」って（笑）。「なんでいきなり電話するんですか！」みたいな（笑）。「この方が早いじゃん」みたいな（笑）。そうでした。それで細野さんのラジオに呼んでいただいたりとか。そういうね。楽しかったですね。そういうめちゃくちゃさがね。
（吉田豪）筒美京平先生には、会えたんですか？
（かせきさいだぁ）京平先生には、会えてないです。はっぴいえんどは全員、お会いできたんですけど。京平先生は、お会いできなかったですね。うん。
（吉田豪）踏み込めてるのは、いいですねそうですね。
（かせきさいだぁ）そうですね。茂さんのお車にも何度も乗せてもらったり。佳孝さんのポルシェにも何度か乗せてもらったり（笑）。佳孝さんのポルシェは当時、買ったんだろうなっていう紺色のポルシェなんですけど。一切、洗車してなくて。『サーキットの狼』でしたっけ？ みたいに、猫の足跡が星みたいになっていて（笑）。猫の足跡がすごいんだけども、それに乗ってるのもかっこよかったですね。
（吉田豪）僕がたぶん90年代かそこらに、1回だけ『ダカーポ』で南佳孝インタビューをやったんですよ。で、結構あの人が懐に飛び込んでくるタイプの人っていうか。インタビュー後半かな？ 「吉田はさ……」って聞かれて。「ああ、いきなり呼び捨てで来る感じの人なんだ」って思って（笑）。「吉田は普段、どこで遊んでるの？」って聞かれて。「どこで遊んでる？」って（笑）。
（かせきさいだぁ）なんかね、中学男子みたいな人なんですよ。あの人は。だから話してると、最初は丁寧に話してくれるんですけども。急に「あっそ、あっそ」ってなって。「ああ、つまらなかったのかな？ 怒らせたのかな？」と思ったら、その「あっそ」が機嫌がいい返事なんですよ。なんか急にそういう風に「かせきはさー」とか言うような感じで。
（吉田豪）たぶんそんな感じだったと思うんですよ。悪い感じではなく、ちょっと距離が縮んだ瞬間で。
（かせきさいだぁ）急に距離が。それでなんかポロッと言ったことで怒ったりするんですよ。でも、それは中学生がちょっと嫌なこと言われてむくれてるぐらいなんで。すぐ元に戻るんですよ。だから佳孝さん、すごい好きで（笑）。よく一緒にいさせてもらいましたね。家にも何度も遊びにいって、泊まっていったりとか。
（吉田豪）そのへんが特殊ですね。僕、いろんな人と仕事をして交流が深まったりしますけど、家には泊まらないんですよ（笑）。
（かせきさいだぁ）本当ですよね（笑）。
（吉田豪）帰りますよ（笑）。泊まるとか、よこう泊まっていた部屋があるとかっていう、まずそれが考えられないんですよ（笑）。
（かせきさいだぁ）いやいやいや、それはね、あのお二人がまたそういう性格だったんでしょうね。
（吉田豪）真樹先生と仲良くなっても、忘年会に行くとか、クルーザーパーティーに行くとかぐらいで。1泊はないんですよ。どう考えても。
（かせきさいだぁ）僕、なんでしょうね？ 佳孝さんと飲んだりしながら、松本先生とはゲームやったり、映画を見てるうちに「ああ、もう終電ないな」って。「あ、泊まっていく？」みたいな。両方、そんな感じですね（笑）。「泊まっていく？」「ああ、いいですか？」って。それで朝、一緒にご飯をいただいたりして。昼ぐらいに帰ったりして。
（吉田豪）それは彼女より密になりますね。
（かせきさいだぁ）そうですね。彼女より完全に密でした。
（吉田豪）彼女より泊まりまくっている感じの（笑）。
（かせきさいだぁ）彼女より大事っていう（笑）。
＜書き起こしおわり＞