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伊賀大介 川三番地『あしたのジョーに憧れて』を語る

伊賀大介 川三番地『あしたのジョーに憧れて』を語る アフター6ジャンクション
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スタイリストの伊賀大介さんがTBSラジオ『アフター6ジャンクション』に出演。推薦図書として宇多丸さんに川三番地さんの『あしたのジョーに憧れて』を紹介していました。

(宇多丸)さあ、もうちょっと行けますかね?

(伊賀大介)そうですね。で、その中で『あしたのジョー』の話とかも、まあ『あしたのジョー』が昭和を背負っていたみたいな話とかもあるんで。で、井上尚弥選手の試合を見てジョーを思い出したっていうのもあるんで。ちょっとだけズレるんですけども。まあ逆に『あしたのジョー』が大好きでボクシングが好きという人にはおすすめしたい漫画なんですが。『あしたのジョーに憧れて』という漫画で川三番地さんというちばてつや先生のアシスタントをやられていた方が出したアシスタント青春自伝漫画があるんですけども。前に宇多丸さん、この本の話をちらっとされていたと思うんですけども。

(宇多丸)1巻目に出た時にちょっと紹介したことがありますね。

(伊賀大介)「すげえ本だな」みたいなのがあるんですけども。まあ、直接ボクシングではないんですけども、ちばてつや先生の事務所にでっかいジョーの絵が書いてあって。それをアシスタントが見ながら仕事をしていたりとか。そのジョーの扉絵になっているポーズをちばてつや先生の事務所の下で歴代のアシスタントがポージングを研究していたとか。結構知るとすごくグッと来る。『あしたのジョー』が大好きな人にもグッと来る話が満載なんですけども。

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(宇多丸)うんうん。

(伊賀大介)あとこの漫画、すっごく面白いのがちばてつや先生の書き込みがどういう風になされていたのかが全部、書いてあるんですね。たとえば血しぶきだったり煙だったり。『あしたのジョー』でも血しぶきがあるんですけど、この血しぶきを筆の先にインクを付けて「プッ!」と吹くとこういうような、絵にパッと、汗が吹き飛んだようなしぶきがつくんですけど、そういう技術的なことも書いてありつつ。青春物としてもめちゃくちゃ面白いという。

(宇多丸)本当に最初は上京してきて少年で……みたいなところの川三番地さんがだんだんといろんな経験をしていくっていうのもありましたし。あと、技術で言うとちばてつや漫画の特徴であるあの背景。もう背景の異常な描き込みが……しかもはっきりした哲学で描いてあるという。「定規じゃなくてちゃんと手の線で書け」みたいなのとか。そういうので。これもね、そのちば漫画の秘密を見るようなんですよね。ちば漫画って、ぜひ熊崎くんにも読んでほしいけど。あのね、画面の隅々まで見ちゃうというか。その背景にいる人もちゃんと生きているっていう実感があるんですよね。

(熊崎風斗)そうですか。ジョーとか見たんですけども、そこまではたしかに……ストーリーばっかりを追っていて、そこまでは注目をしていなかったですね。

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背景にいる人もちゃんと生きている実感がある

(宇多丸)だから見開き、モブシーンでジョーがいて、でも他にもいろんな人がいるっていうのがね、ちば漫画の……要するに、人生の主役は1人ではないっていうのがね。

(熊崎風斗)ああ、それを意識して……。

(伊賀大介)ちゃんとみんな生きているというか。それで僕、この漫画を読んだ時にまたすごい感動をしたんですけども。1巻の最後のところでちばてつや先生が20周年記念パーティーに行って。アシスタントをみんな連れて行くんですね。で、アシスタントは普段の仕事だと思って汚い格好で行くんですけども。そのちばてつや先生の薫陶で「とにかくいろんなものを見なさい。見ないと描けない。たとえばトイレのドアだったり汚しだったりへりだったり。あらゆるものが漫画家としてのネタになるから、それを描きなさい」って言っているのがあるんですけども。その華やかなパーティー会場でもその自分らのアシスタントたちが全て行ったことがないので。その料理とか、人の服装とか、あらゆる美術とか全てを写真に撮って目に焼き付けておくという瞬間があって。それは僕の仕事にも通じるというか。

(宇多丸)ああ、スタイリングの。うんうん。

(伊賀大介)見るものは全て生かされるというか。それが生きている人を……さっき、宇多丸さんがおっしゃっていたその生きている人たちの「本当にいるじゃん!」っていうリアリズムを持たせるためにはちゃんと目で見ておかなくちゃいけないっていうのがあるので。それがね、書いてあってものすごい感動をするんですよね。

(宇多丸)うんうん。パーティーという場においてもね。そう。いま面白いと思ったのはそのスタイリストとしての目っていうか、勉強っていうか。そういうのも同じようなことなんですか?

(伊賀大介)そうですね。やっぱりどこに行っても、電車とかに乗っても、そのどこにも「こんなの自分の仕事に関係ないや」っていう場所はないんで。僕も「見るようにしなさい」って言われていましたし、自分のアシスタントにもそう言うんですけども。

(宇多丸)へー!

(伊賀大介)それを映画の中でものすごい高級なものを描いたり、そこらへんの雑踏を描いたりする時も全てのものに実在感がないと、それは映画とかでも嘘になっちゃうよっていうことになるので。

(宇多丸)うんうん。まさにね、いま伊賀さんがやられているようなお仕事に完全につながっているんですね。いやー、最後にまたこれはこれでドスンとしたお話がうかがえました。

<書き起こしおわり>

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