菊地成孔と高橋源一郎 同世代の人々を語る

菊地成孔と高橋源一郎 同世代の人々を語る NHKすっぴん!

菊地成孔さんがNHKラジオ第一『すっぴん!』にゲスト出演。高橋源一郎さんと同世代の人々について、そして文筆家と音楽家の両立について話していました。

(藤井彩子)ここからはゲストを招きしてじっくりお話をうかがうすっぴんインタビューのコーナーです。今日のゲストは音楽家で文筆家の菊地成孔さんです。ようこそおいでくださいました!

(高橋源一郎)ありがとうございます!

(菊地成孔)ありがとうございます。おはようございます。よろしくお願いします。

(高橋源一郎)みなさん、本当に菊地さん、来ましたよ(笑)。

(菊地成孔)いやいや、「本当に」って(笑)。

(高橋源一郎)本当にもう、ありがとうございます。すいません。朝っていうか夜中っていうか……大丈夫ですか?

(菊地成孔)ええと、全然ダメですね(笑)。

(藤井彩子)Twitterでもたくさんメッセージが来ていて。「菊地成孔さん朝、大丈夫?」「ナルナルがゲストって本当なの? ナルナルがこの時間に? ああ、そうか。寝てないのか」っていうメッセージも来ています。

(菊地成孔)寝てないですね。

(藤井彩子)夜の延長線上でおいでくださったんですね。

(菊地成孔)いや、寝る時間ですね。

(藤井彩子)ああ、このぐらいにお休みになるんですね。すいません、本当にありがとうございます。

(菊地成孔)いえいえ、とんでもないです。

(高橋源一郎)最初に約束した時には「9時」って言っていたんですよ。僕。そしたら、10時になっちゃったんだよね。

(藤井彩子)昨年度までインタビューの放送時間が9時だったんですよね。

(高橋源一郎)そんなわけで本当に申し訳ない。

(菊地成孔)いえいえ、とんでもないです。

(藤井彩子)よろしくお願いいたします。ではまず、菊地成孔さんのプロフィールをご紹介しましょう。お生まれは1963年、千葉県です。1984年にサックス奏者としてプロデビューなさいました。以後、音楽家として幅広く活動されていて、これまでにソロをはじめとしてスパンク・ハッピー、デートコース・ペンタゴン・ロイヤルガーデン、ダブ・セクステット、それからペペ・トルメント・アスカラールなどを主催されています。ヒップホップユニットも組んでいらっしゃって、ジャズに軸足を置きながらジャンルレスな音楽活動を展開されています。

NHKでも『爆笑問題のニッポンの教養』のオープニング曲、土曜ドラマ『チェイス~国税査察官~』の音楽もご担当くださいました。さらに文筆家としての顔もお持ちでいらっしゃって、著書には『スペインの宇宙食』『歌舞伎町のミッドナイト・フットボール』『レクイエムの名手 菊地成孔追悼文集』などたくさんあります。

(高橋源一郎)というわけで、めっちゃ幅広いですが。一応、これNHKの番組なんで、こうやって本もあるんですが、自由にやっていいっていうことなので、ぜひよろしくお願いします。で、すいません。ちょっと僕はファンなのでいろいろと聞こうと思っていて。

(菊地成孔)本当ですか(笑)。「ファン」って……(笑)。

(高橋源一郎)すいません(笑)。で、こういうことを菊地さんに聞いていいのかな?って思うんですけども、菊地さんは1963年生まれ。同じ学年とかの人とか、関心持ったりします?

同世代の人々

(菊地成孔)ものすごい……200人ぐらい、関心を持っていますね。松本人志さんとかね。

(高橋源一郎)この学年、すごいでしょう?

(菊地成孔)小錦さんとかね。

(高橋源一郎)ちょっといいですか? クエンティン・タランティーノ、ジョニー・デップ、アントニオ・バンデラス、ショーン・ペン、ブラッド・ピット。あと、岩井俊二、野島伸司、松本人志、リリー・フランキー、京極夏彦、吉田戦車。

(菊地成孔)はいはい。

(高橋源一郎)で、女性。片桐はいり、広田レオナ、藤谷美和子、岡崎京子、雅子妃という……めっちゃ濃くないですか?

(菊地成孔)そうですね。もっといますよ。まあ、さっきも軽く言いましたけど、小錦さんがそうですね。まあまあ、常に意識はしていますよ。同い年として(笑)。

(高橋源一郎)たまたまね、僕は1950年生まれなんですけども。お兄さん(菊地秀行)の1個下なんですけど。で、ちょうど僕の年齢、世代の人がバタバタ死んでいったんで。ショーケンとかスターリンの遠藤ミチロウさんとか。でも、そういう年齢で……。

菊地秀行:でも先生はお元気そうじゃないですか。

(高橋源一郎)おかげさまで(笑)。菊地さんもね。

(菊地成孔)いやいや、ギリギリです(笑)。

(高橋源一郎)ギリギリ……あ、僕でもね、メルマガが読んでいるから。本当に大変そうだって。

(菊地成孔)メルマガって僕のですか?

(高橋源一郎)そうですよ。購読していますから。

(菊地成孔)あれ、お金かかるんですよ。

(高橋源一郎)払っていますから(笑)。

(菊地成孔)うわー(笑)。

(高橋源一郎)なので、本当に……だから、よく言うんだけど、同じ世代の人って共通しているものがあるじゃないですか。この菊地さんの世代ってなんで、こんな人ばかり集まっ
(菊地成孔)そうですね。我が国においてはバブル期だったっていうのもあると思いますけども。ええ。生まれた年がこの人たちは東京オリンピックの前の年なんで。まあ、言うまでもなく前回の東京オリンピックですね。だから生まれた時が高度成長で。成人した時はバブル絶頂期なんで。ジャックポットって言うんですかね? 日本の戦後っていうのは基本的に不景気ベースで動いているわけですけども。いちばん景気がちょっと華やいでいた、浮かれていた時期に生まれて。成人した時にも浮かれまくっていたので。

(高橋源一郎)フフフ、すごい豊かな感じね。

(菊地成孔)豊かであると同時に、まあいわゆる躁鬱で言うと躁病的ですよね。上がって、ハイな人が多いっていうか。大丈夫だと思ってる人が多いですよね。

(高橋源一郎)みんな共通していますよね。だからちょっとジャンルが違うけど、僕は岡崎京子さんと一緒っていうのはそこだったんだっていう。

(菊地成孔)そうですね。

(高橋源一郎)でも、漫画は読まないんだっけ?

(菊地成孔)漫画はね、ちょっと読まないですね。ジャパン・クールは全体にダメなんで。「ダメ」っていうか、卒業したんで。はい。

(藤井彩子)菊地さんのお仕事は本当に幅広くて。プロフィールでご紹介した以外にも、たとえば雑誌でファッションとか食べ物のコラムを執筆にされていたり、それから六本木のファッションビルの音楽を担当されたり。

(菊地成孔)まあ、相当昔ですけどね。

(藤井彩子)もちろんアニメなどの音楽制作なさっていますし。東京大学、国立音楽大学、東京芸術大学などで音楽の講義もなさっています。先生もしてるんですね。

(高橋源一郎)それでね、ちょっと聞いていいですか?

(菊地成孔)もちろんです。

(高橋源一郎)それでね、面白いのは文筆家、音楽家。「音楽家 文筆家」で検索をしてみたんですよ。したこと、あります?

(菊地成孔)ないですね。

「音楽家 文筆家」で検索

(高橋源一郎)そしたら、いきなり某検索サイトでは菊地さんの顔が出てくるの。「音楽家 文筆家」で。それで、ものすごくされているんだけど、俺は「こういう人って他にいたっけ?」って思って。それでね、考えたの。中原昌也。

(菊地成孔)ああ、中原くんね。よく知ってますよ(笑)。

菊地成孔 中原昌也『知的生き方教室』を絶賛する
菊地成孔さんがTBSラジオ『粋な夜電波』の中で、中原昌也さんの新刊『知的生き方教室』を絶賛。夢中になりすぎてしまったという話をしていました。 (菊地成孔)この間、あの、最近ちょっと、また仕事が立てこんでまして。散歩したりする時間が減ってたん...

(高橋源一郎)あと、山下洋輔。

(菊地成孔)ああ、師匠ですね。

(高橋源一郎)ボリス・ヴィアン。

(菊地成孔)まあ、ボリス・ヴィアンは音楽家と言っていいのかどうか。ギリギリですよね。

(高橋源一郎)ギリギリ(笑)。あと、武満徹さん。

(菊地成孔)武満さんは素晴らしいですね。

(高橋源一郎)あとは考えたらジョン・ケージとかエリック・サティとかブーレーズもみんな書く……。

(菊地成孔)書きますけれど、二足の草鞋を履いてるっていうも名著が1、2冊あるっていう感じですよね。ブーレーズもそうだし、ケージもそうですよね。だから、拮抗していないですよね。

(高橋源一郎)だから、菊地さんはある意味全部拮抗している?

(菊地成孔)そうですね。音楽家がメインですけども、だいぶその中では本の数は多い方だなって。

(高橋源一郎)多い。すごく多いですよね。

(高橋源一郎)ということで……。

(藤井彩子)それだけ書きたいことがいっぱいあるっていうことですよね?

(一同)フハハハハハハハハッ!

(高橋源一郎)そう言われても……頼まれて書いているからね(笑)。

(藤井彩子)「頼まれて書いている」、まあそうですね(笑)。

<書き起こしおわり>

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