松尾潔さんがNHK FM『松尾潔のメロウな夜』の中でエラ・メイのファースト・アルバム『Ella Mai』についてトーク。クリス・ブラウンをフィーチャーした『Whatchamacallit』、H.E.R.をフィーチャーした『Gut Feeling』を紹介していました。
(松尾潔)はい。今日はね、僕は楽しみにしていましたよ。まあもちろん毎週楽しみなんですけども。なぜ、ここであえて「楽しみにしていた」と言ったかというと、この番組を毎週お楽しみいただいてる方にはご理解いただけると思います。エラ・メイのファースト・フルアルバムをやっとご紹介できます。本当に嬉しいですね。今月の……10日ほど前ですかね。リリースされたのですが。番組でアルバムとしてご紹介するのは初めてになりますね。その名も『Ella Mai』。もうセルフタイトルド・アルバムという。
デビュー・アルバム、いろんなタイトルの付け方があるかと思いますが、まあ名前をつけるっていうのは後にこれが代表作になるということも意識してるでしょうし。それだけの自信もあるということなんだと思いますけども。まずは1曲、聞いていただきたいと思いますね。クリス・ブラウンをフィーチャーしております。クリス・ブラウンの『Loyal』という曲……数年前のヒット曲がありましたけども。
それに大変に似ていますし、クリス・ブラウンをゲストに迎えるにあたって、まあクリス・ブラウンのやりやすいようにやってもらったという印象も受けます。では、お届けしましょう。エラ・メイ feat. クリス・ブラウンで『Whatchamacallit』。
Ella Mai『Whatchamacallit ft. Chris Brown』
お届けしたナンバーはエラ・メイのファースト・フルアルバム『Ella Mai』の中からクリス・ブラウンをフィーチャーしての『Whatchamacallit』。この「Whatchamacallit」っていうのはアメリカ映画なんかを見てると時々出てくるフレーズで、きちんとした英語で言うと「What you may call it」。「えっと、あれなんて言ったっけ? なんつったっけ?」っていう風によく日本語で……「なんつったっけ?」っていう日本語自体が「なんて言いましたっけ?」っていうことですけども。「なんつったっけ?」っていう時にはもう初めから「なんつったっけ?」って言っているのと同じように、「Whatchamacallit」っていうので「ほらほら、あれあれ。あれあれ……」みたいな、そういうニュアンスだそうです。はい。聞いた話です。
アルバムは全部で16曲ございまして、もちろん『Boo’d Up』『Trip』という先行の二大ヒットが大きくフィーチャーされてますが。それ以外にもこのクリス・ブラウンとのデュエット、ジョン・レジェンドとのデュエット。そして、いまエラ・メイと人気二分していると言っても差し支えないでしょう。女性R&BシンガーのH.E.R.との共演もあるんですね。番組の後半でそれをご紹介したいなと思ってるんですけども。エラ・メイとH.E.R.、これ実は今年の夏から秋のアダルトR&Bシーンで僕が「エラ・メイとタミア、すごく競り合っていますよ」っていうお話をしましたけども。
このH.E.R.もそこに、まあ三つ巴みたいになる時があって。まあ特に世代的にエラ・メイとH.E.R.はどちらもニューカマーといえるところなんで。もうバチバチのライバル関係かと思いきや、2人でデュエットを披露するという、共同戦線を組んでいるというのもこのR&Bを楽曲単位ではなくてシーンとして楽しんでいる人たちにはたまらない動きですね。僕は90年代のヒップホップ・ソウルっていうシーンが台頭してきた時に、メアリー・J.ブライジがスターになるための手引きをしたショーン・パフィ・コムズ自らの手によってフェイス・エヴァンスとね、2人がデュエットしたことがありました。フェイス・エヴァンスのデビューアルバムの中でローズ・ロイスの『Love Don’t Live Here Anymore』っていう曲のカバーをやっていましたけども。あれ、メアリー・Jとフェイス・エヴァンスの2人が歌っていましたけども。
「ああ、これからしばらく、この2人がこのシーンのトップランナーズになるのかな」と思いながら聞いたものですが、そういった構図っていうのはこの2018年になっても有効なんですね。このエラ・メイとH.E.R.の、まあまだH.E.R.の曲っていうのはこの後にきっちりとご紹介しなきゃいけないんですけども。まあ、もちろんクリス・ブラウンとエラ・メイの組み合わせにしてもね、かつてのメアリー・Jと時の人気者だったジョデシィのK-Ciですね。後のK-Ci & JojoのK-Ciのデュエットなんかも思わせますしね。まあ、いろんな意味で90’sのデジャヴ感のあるエラ・メイのニューアルバム。これからもうちょっと番組でね、何週間かに渡って話題に出ることもあるかと思いますが。年末にかけてたっぷりと、なめつくしたいと思っております。まずはお届けいたしました。エラ・メイ feat. クリス・ブラウンで『Whatchamacallit』でした。
(中略)
(松尾潔)さて、楽しい時間ほど早く過ぎてしまうもの。今週もそろそろお別れの時が迫ってきました。ということで、今週のザ・ナイトキャップ(寝酒ソング)。番組の前半でもお伝えしましたエラ・メイのファースト・フルアルバム『Ella Mai』。その中からいま、彼女にとって最強のライバルであり、最強の同志とも言える女性アーティストH.E.R.をフィーチャーした『Gut Feeling』を聞きながらのお別れです。これからお休みになるあなた。どうかメロウな夢を見てくださいね。まだまだお仕事が続くという方。この番組が応援しているのは、あなたです。次回は来週10月29日(月)、夜11時にお会いしましょう。リクエスト特集です。お相手は僕、松尾潔でした。それでは、おやすみなさい。
Ella Mai『Gut Feeling ft. H.E.R.』
<書き起こしおわり>