松尾潔さんがNHK FM『松尾潔のメロウな夜』の中でTamia『Leave It Smokin’』を紹介していました。
(松尾潔)最初にお届けしますのはタミヤです。いまでこそ、ドレイクですとかザ・ウィーケンドなどカナダ人アーティストの活躍が珍しくないという時代になりましたけども。タミヤが20年前にデビュー・アルバムをリリースした頃は「ああ、アメリカじゃなくてカナダの出身なんだね」っていうことがトピックのひとつになるような、そんな時代でした。
その98年に彼女はアルバムデビューしたんですが、それ以前からクインシー・ジョーンズの秘蔵っ子としてクインシー・ジョーンズの『Q’s Jook Joint』というアルバムに大抜擢されて話題になったものです。その時に歌った曲『You Put a Move on My Heart』という曲はいまでも彼女の代表曲のひとつですが。
Quincy Jones feat. Tamia『You Put A Move On My Heart』
まあ、それから20年以上ちゃんとこの業界をサバイブして。最近では初々しさというのではなくて、むしろ成熟した色香が彼女の大きな魅力になっております。今回の新曲『Leave It Smokin’』という曲。これもね、本当に大人の女性。この番組で何度となく口にしてまいりましたけども、やっぱり女性のR&B唄い、30代、40代ぐらいというのがいちばん実りのある表現ができるんじゃないかなと。30代、40代以降ですね。できるんじゃないかなと思って、レギュラーのようにしてお話していますシャンテ・ムーアなんていうのはいま、50代に入って若さも保ちながら、でも年齢相応の説得力というのも獲得して無敵な感じがいたしますが。
それでは、さっそく聞いていただきましょう。プロデュースの方はエイミー・ワインハウスや古くはフージーズなどでおなじみのサラーム・レミが手がけております。タミヤで『Leave It Smokin’』。
Tamia『Leave It Smokin’』
お届けしたのはタミヤのニューアルバム『Passion Like Fire』からの先行シングルとなっております『Leave It Smokin’』。プロデュースは名匠サラーム・レミでございます。タミヤ、つい先ごろ誕生日を迎えたばかりですね。5月9日、先週ですね。43才になったばかりのまあ、繰り返すようですけどもR&Bの歌の表現という意味ではいまいちばんいい時期にいるんじゃないでしょうか。僕ね、この間スタジオでそれこそ川口大輔さんなんかとお話をしていたんですよ。JUJUさんのレコーディングのところでね。
で、僕が10代の頃にアレサ・フランクリンが当時若くていちばんと言われていた、ニュー・ジャック・スウィング以前で言えばいちばん勢いがあると言われていたナラダ・マイケル・ウォルデンがプロデュースをして、「アレサ・フランクリン復活!」みたいな時期がございました。80年代の半ば。で、その時に『Freeway Of Love』とかいまでも人気曲として愛されている曲をアレサは次々とヒットを連発したんですけどもね。
まあ、僕は当時10代でしたから。「もう伝説の人アレサ・フランクリンがずいぶんと若ぶったことをやっているな」と、いま考えてみると失礼極まりない印象を抱いていたんです。まあ、その頃はMTVというミュージックビデオが作られる走りのような時期でもありましたから。まあ、当時の僕から見て、「アレサ・フランクリンがちょっと似合わないようなショートカットで張り切っちゃって。何を踊っているのさ」っていうような感じだったんですけども。
この間、ふとそのことを思いだして。「あの頃、アレサは何才ぐらいだったんだろう?」って思ったら、まさに42、3、4ぐらいでレコーディングとかしていたっていうことで。「じゃあ、それぐらいするよな。まだ若いし、新しい表現もまだやりたい年齢だよな」ってね。人によっては50代、60代、70代になってもどんどん新しいことを追求する方はいらっしゃるんですけども。
まあ、いまね、アレサ・フランクリンがちょうど現役を引退する、しないみたいな感じになっていますよね。もう70代ですからね。ですから、ここで翻ってタミヤもね、70代とかになった時にどういう立場にいるのか、ちょっと想像しようがないっていうところもあるんですが。まあ、後々振り返ってみればあの40代の頃っていうのはまだ新しいことに挑み続けていた時期だと言われるんじゃないでしょうか。以上、お届けしました。タミヤで『Leave It Smokin’』でした。もう1回ぐらいかけたいなという風に思っております。この曲、大好きです。
<書き起こしおわり>