サンキュータツオさんがTBSラジオ『東京ポッド許可局』の中で、大学で教えている外国人留学生に聞いた、日本を留学先に選んだ理由について話していました。
(サンキュータツオ)僕はね、今年いくつか大学で掛け持ちで講義をやったりとかしたんですけど。日本人の学生に、「別の大学の外国の学生に聞きたいことはなんですか?」っていうアンケートを取ったの。
(マキタスポーツ)日本人が外国人に聞きたいことね。
(サンキュータツオ)そう。で、外国の留学生には「日本人の学生に聞きたいことはなんですか?」って。つまり、同世代で日本の学生と海外の学生。まあ、別々の大学なんだけども、ちょっと交流をさせてみた。そしたら、日本人の学生のほとんどは「なんで日本に来たのか?」という。「僕のような18才、19才ぐらいの大学生は大人たちから『もう日本は未来がない。人口も減っているし、お金もかけられないから海外に出るべきだ。英語を勉強しなさい』といろんな大人から言われる。でも、なんでそんな日本にあなたたちは来ているんだ?」と、割と日本に自信を持っていない人が多かったの。みんな同じようなことを。
(マキタスポーツ)という傾向が見て取れたと。
(サンキュータツオ)そう。つまり、彼らの親世代とか、それこそ僕らぐらいの年代から、「日本はいま、未来がないかもしれない。まだ決定権を持っているのは旧世代。でも、自分たちが上に上がる頃よりは、いま若い子に英語とかを勉強させて、海外に行った方がビジネスチャンスは広がっているし、人口も少なくなっているから中国とかに行かせた方がいいだろう」ということをいろんな大人から言われていて。全く日本に自信を持てていないの。
(マキタスポーツ)うん。学生がね。
(サンキュータツオ)で、「そんな日本になんで来てくれるの?」っていう質問が多くて、結構僕はびっくりしたんです。
(マキタスポーツ)ほう。
(サンキュータツオ)で、その質問に対していろんな国から来た留学生はなんて言ったか? 「日本は安いから」って言ったんですよね。
(マキタスポーツ)「安い」?
日本は「安い」
(サンキュータツオ)「安い」。まず、先進国の中でこれほど家賃が安い国はない。物価も安い。あと、留学費用が安い。僕らまず、その発想がないじゃないですか。
(マキタスポーツ)お得なんだ。
(サンキュータツオ)お得なんです。「安い」っていうのと、「安全」っていう。
(マキタスポーツ)安全はあるでしょう。
(サンキュータツオ)アメリカとかに行くとアジア人差別がすごくて、とてもじゃないけど行けない。
(マキタスポーツ)都市部も物価が高いっていうよね。
(サンキュータツオ)で、他の国だと銃規制がないとかで危険だとか。やっぱり「差別がある」っていうのと、「銃が使えてしまう」っていう国にはなかなか行きたくないと。殺人事件が日常茶飯事だとか、そういうのだと行きづらいっていうことで、世界から見ると日本はもっとも安全で、しかも高くないというところに魅力がある国なんだという指摘を結構いろんな学生がしていて。
(プチ鹿島)ふーん。
(マキタスポーツ)「高くない」っていうのはまあ、本当に知らなかったね。
(サンキュータツオ)びっくりでしょう?
(マキタスポーツ)うん。それはびっくりだね。
(サンキュータツオ)しかも、その受験戦争がそんなに激しくないっていうね。
(マキタスポーツ)たとえば韓国とかと比べると。
(サンキュータツオ)韓国、中国はいまもう熾烈を極めているのよ。受験戦争が。で、ちょっと箔をつけるために日本に来たりとかってこともあり得るわけ。で、まあ日本で学位を取ったりするんだけど、でも彼らが言うのは、「日本は大学院など、上に行けば行くほど就職率が下がるのはなんでだ?」って。たとえば修士課程とか博士課程、博士号を取ると、四大卒業の人よりも就職率が低いというのはすごく謎だから、あまり日本で就職する気はないっていう。
(マキタスポーツ)キャリアとしてはコスパが悪いから。
(プチ鹿島)そこはいい意味で使い分けているんだ。
(サンキュータツオ)そう。就職できないから。こっちで大学院に通うと。だから、学位だけもらって自分の国に帰るとか、別の国……アメリカに行くとかってことを割と。だからこれ、結構大きな問題だなと思って。
(マキタスポーツ)賢いね。
(プチ鹿島)うん。
<書き起こしおわり>