AKLOと渡辺志保 映画『DOPE/ドープ!!』を語る

AKLOと渡辺志保 映画『DOPE/ドープ!!』を語る INSIDE OUT

AKLOさんがblock.fm『INSIDE OUT』にゲスト出演。アメリカの90年代ヒップホップオタクな高校生の生活を描いた映画『DOPE/ドープ!!』について渡辺志保さんと話していました。

(渡辺志保)というわけで今日は特集を2本用意しておりますので。そちらに移りたいと思います。映画『DOPE/ドープ!!』。

(AKLO)イエイー! 『DOPE/ドープ!!』。

(渡辺志保)もうすでに、渋谷ヒューマックスシネマで公開になっておりますので、試写会を含めご覧になった方もいるかもしれませんが。ちょっと簡単に映画の内容を説明させていただきたいと思うんですけども。舞台はロスアンゼルスの犯罪多発地域であるイングルウッド。そして主人公は90’sカルチャーとヒップホップが大好きで、ハーバード大学への進学を夢見るスラム街で育った超ギーク(オタク)な高校生マルコム。彼はある日、好きな女の子を追いかけて友人たちとドラッグディーラーのドムの誕生日パーティーにのこのこと出かけてしまう。だがだがしかし、そのパーティーの裏では麻薬取引が行われており、警察がガサ入れに入ってしまう。

(AKLO)うん。

(渡辺志保)で、そのパーティーの現場で主役のマルコムがどんどんどんどんトラブルに巻き込まれてしまう。さあ、どうする? といった内容でございますが。

(AKLO)現代なんだよね、そして。

(渡辺志保)そうですね。私も実は最初勘違いしていて。90年代に……

(AKLO)ついついね、「90’s」っていうのがたぶん俺らの脳をバグらせていて。

(渡辺志保)そうなのよ。てっきり90’sが時代背景かと思いきや、現代に暮らす、そして90年代ヒップホップオタクの高校生が主人公という感じですね。で、実は我々、試写会に行かせていただいておりまして。その時、なんとヤナタケさん、AKLOさん、そして私という3名で一緒に試写会に。「仲良しかよ!」みたいなね。

『DOPE/ドープ!!』試写会

(AKLO)ウケるよねー。

(渡辺志保)ウケるよねーっていう感じでしたけど。ぶっちゃけ、どうでした? AKLOさん、楽しかったですか?

(AKLO)楽しかったし、なんか……ちょっと前にさ、『ストレイト・アウタ・コンプトン』とかもやっていたから。で、あれに結構食らった分、ヘビーな感じで見に行ったら、めちゃくちゃ、いい意味でラブコメ感っていうか。ライトな感じがして。それがなんかよかった。

(渡辺志保)そうですね。なんか映画を通してヒップホップを体感できるみたいなのは、おっしゃる通り『ストレイト・アウタ・コンプトン』に引き続きっていう感じがしましたけど。結構、淡い初恋みたいな感じとか……

(AKLO)そうそう。楽しい。なんか(笑)。

(渡辺志保)卒業パーティーのプロムがフィーチャーされたりとか。そういうところでなんか甘酢要素もたくさんあるしね。

(AKLO)かなりある。かなりある。

(渡辺志保)よかったです。で、いま、バックでもかかっていますけども。結構、劇中全編に90年代のヒップホップアンセムが流れていて。(BGMが切り替わる)。そうそう。このね、ナズ(Nas)の『The World Is Yours』とかも流れているんですけど。

(渡辺志保)それがやっぱりね、主人公のマルコムの心情とリンクするようなところもあって。そういう意味でもね、すごく映画楽しめるかなと思います。AKLOさん、なんか印象に残っているシーンはございますか?

(AKLO)ええとね……

(渡辺志保)最後の方ですか?

(AKLO)うん。キャップ・ジー(Kap-G)が出てきたところ。で、まあキャップ・ジーは楽しみにしていたんだけど、キャップ・ジーのキャラが超謎で。ビットコインってあるじゃないですか。日本でも話題になった、あれ。ビットコインをマネーロンダリングしてキャッシュに変える、裏の意味分かんない組織のボスみたいな役で出てくるんだけど。それでなんかね、アティテュードがすげー変なんだよね(笑)。

(渡辺志保)キャップ・ジーの無駄遣いとは言わないですけども。いい役どころでね、出てましたけどもね。

(AKLO)もう、あそこだけ意味わかんなすぎて。すっごい印象に残っていて。

(DJ YANATAKE)(笑)

(AKLO)なんなんだよ、あのシーン?っていう。もう意味がわかんなすぎて印象に残っていますね。

(渡辺志保)なるほど。

(DJ YANATAKE)キャップ・ジーっていうラッパーがいて、AKLOすっごい前から注目していたもんね。

(AKLO)そうそう。それもあってね。だからめちゃくちゃ期待していたのに……(笑)。なんすか、そのキャラ?っていう(笑)。絶対にあり得ないようなね、キャラクターなんすよ。面白い。

(渡辺志保)なるほどね。ヤナタケさん、なんか印象的なシーンとかってあります?

(DJ YANATAKE)俺が印象的なのはね、結構これ、ファレル・ウィリアムス(Pharrell Williams)がさ、エグゼクティブプロデューサーを務めている映画っていうことで。なんて言うのかな? 90’sヒップホップオタクだから、ファッションがまず面白いんだよね。

(渡辺志保)うん。たしかに。

ファッションが面白い

(AKLO)だけど、パンクバンドをやっているっていうすごい面白い設定で。でもそれってやっぱり、ファレルとすげーばっちり合うのかな? みたいな。

(渡辺志保)たしかに。N.E.R.D.みたいなね、感じね。

(AKLO)それはありましたね。

(DJ YANATAKE)っていう感じがすごいしたんで。洋服もほら、いまヴィンテージものとかも流行っているじゃないですか。

(渡辺志保)たしかに。超流行ってますね。

(DJ YANATAKE)だからそういうファッションをチェックする人も、結構面白いんじゃないかな? と思いますね。

(渡辺志保)たしかにね。今月発売の『WOOFIN’』がまさにその『DOPE/ドープ!!』の世界観をイメージしてスタイリングしたりとか、『DOPE/ドープ!!』の関連記事を書いたりっていう特集がございますので。ぜひともそちらもチェックしていただきたいんですけども。でもファッションはね、面白かったね。あと、私は向こうの高校あるあるっていうか。イングルウッドの高校で、高校なんだけど入り口にちゃんと麻薬犬がいて。ワンちゃんがいて、かつ、警備員がいて。空港に入る時みたいに荷物検査。持ち物検査があるんですよね。で、そこで本当に悪いものを持ってないかチェックするんですけど。そういうちょっとイングルウッドの日常が垣間見えるようなところも興味深かったですね。

(AKLO)俺はさ、すげー新譜好きだからさ、完全にいじめっ子側の方なんだろうけど。スタンスはね。でもさ、たまに90’sしかかけないDJとかいるじゃない? 俺もそういう人、結構苦手で(笑)。

(渡辺志保)(笑)

(AKLO)「新譜かけろや!」とか思うわけよ。だけどそいつらは、たぶんそんなの絶対にかけないタイプっていうか。「90’sが黄金期なんだから、そん時の黄金期を、ひたすらその中で生きていく!」みたいなスタンスなんだよね。だから、学校ではめちゃくちゃいじめられるみたいな。格好も90’sで、「なんだよ、お前ら?」みたいな。

(渡辺志保)オタクどもみたいな。

(AKLO)でも、日本だとちょっと違う感じかな? だってそういう90’sしかかけない人も……

(DJ YANATAKE)逆に「わかってねえよ!」みたいな。

(渡辺志保)ああ、そうかそうか。そこで立場逆転みたいな感じですかね。ああ、それはちょっとあるかも。面白いね。たしかにその着眼点は面白いですね。で、この映画結構ね、ファレル・ウィリアムスがプロデュースしているっていうこともありまして、結構ね、ラッパーたちがね。さっきのキャップ・ジーもそうですけど、ラッパーたちが出演していると。中でも、いい役をやっているのがそのドラッグディーラーのドム役。エイサップ・ロッキー(A$AP Rocky)が。

(DJ YANATAKE)ねえ。

役者エイサップ・ロッキー

(渡辺志保)ちゃんと役者してましたね。私はてっきりちょい役で出るのかな?って思っていたんだけど。で、いまヤナタケさんがおっしゃったような主役のマルコムは90年代のオタク系ファッション……まあ、ちょっとカラフルで古着なんかも使っているようなビンテージ系のファッションなんだけど。

(渡辺志保)エイサップ・ロッキーは本当にロッキーのまんまっていう。いまの現代のイケてるギャングの格好っていうんですかね? たぶん彼のチームはカラーが黒なのかな?っていう感じなんですけど。まあエイサップ・ロッキーね、私服なんかでもモノトーンのコーディネートっていうのが多いですけども。全身が黒でバチッと決めて。着ているブランドもね、ちゃんとブラックスケールとか、普段もエイサップ・ロッキーが着ているような感じのブランドのお洋服を着ていたりもして。そのコントラストもちょっと面白かったですね。

(AKLO)たしかに。

(渡辺志保)その他、出演していると言えば、同じ西海岸出身のタイガ(Tyga)が出演してましたけども。エイサップ・ロッキーもいい役なんだけど、タイガもね、いい役どころでね。アホまる出しみたいなね、感じで。

(AKLO)あれもウケるっすね。

(DJ YANATAKE)ネタバレもあるからね。

(渡辺志保)そうね。ちょっと序盤に出てくるので。みなさん、ぜひぜひスクリーンでタイガがどんな役回りなのかもね、チェックしてほしいし。あとはまあ、男の子的には出ているきれいな女の子ちゃんも気になるんじゃないかと思うんですけども。リリーという、彼女も結構ストーリーのキーになりますけども。大金持ちの娘さん役っていうんですかね? いろいろちょっと、これもネタバレになるんで言っちゃあれなんですけども。リリー役がシャネル・イマンっていうもともとヴィクトリアズ・シークレットのモデルをやっていたスーパーモデルの女の子なんですけど。

(AKLO)おおー。

(渡辺志保)彼女ってエイサップ・ロッキーの元カノなんですよね。で、エイサップ・ロッキーが『DOPE/ドープ!!』に出演したのも、聞くところによるとシャネル・イマンから誘われて出たという。で、たぶん撮影当時はまだ恋人同士だったんだけど、アメリカでの公開時期にはもう別れていて……という時系列になっているんですけども。

(AKLO)さすがですねー!

(渡辺志保)ロッキーが2年ぐらい前にお忍びで日本に来て。その時に雑誌の『WOOFIN’』のカバーとかを撮ったんだけど。あん時、あれね、ロッキーが来たのはシャネルちゃんとまだ付き合っている時で。シャネルからのエイサップ・ロッキーの誕生日プレゼントだったんですよ。東京旅行は。で、彼女が何百万と出してロッキーと一緒に東京に来たという。で、私も一瞬だけお買い物に付き合わせてもらって。っていうか、ズカズカいつも通り厚かましく乗り込んだだけなんですけど。

(AKLO)ダイス、買わされた?

AKLOと渡辺志保 Summer Jam Tokyo2016を振り返る
AKLOさんがblock.fm『INSIDE OUT』にゲスト出演。渡辺志保さんとSummer Jam Tokyo2016のステージや、フレンチ・モンタナPV撮影に参加した際の模様などについて話していました。 8/3@東京、8/6@大阪でワ...

(渡辺志保)ダイスはね、買わされなかった(笑)。残念ながら。で、映画の中だとシャネルちゃん、すっごいハチャメチャな役なんだけど。でもね、実際はすっごい落ち着いて優しい感じの女の子だったので。映画本編を見てびっくりしましたし。あと、レニー・クラヴィッツ(Lenny Kravitz)のお嬢さんのゾーイ・クラヴィッツも主役のマルコムが想いを寄せる、ちょっと大学進学がんばってます! みたいなキュートな女の子役で出ていますので。

(AKLO)最高です。彼女の音楽も素晴らしいっすね。

(渡辺志保)ああ、そうだね。

(AKLO)それこそ、エイサップ・ロッキーとの曲があるよね。

(渡辺志保)そうなんだ。存じ上げず……なのでそういったね、キャスティングもヒップホップ好きとしては楽しめるんじゃないかなと思います。

(DJ YANATAKE)だからさっきAKLOもさ、言ってたけどさ。結構劇中ではさ、90’sヒップホップがいっぱいかかるし。でも役者はさ、最新のヒップホップの人たちばっかりだからさ。なんか、逆にそのへんの子たちが昔のヒップホップ好きなやつといまのヒップホップ好きなやつが一緒に楽しめる映画かな?っていう気もしますね。

(渡辺志保)たしかに、たしかに。HIPHOP HYPE!の中の人は試写会にも行き、その後に公開初日にも見に行ったという……

(DJ YANATAKE)絶対好きでしょ、あの人ね。

(渡辺志保)「すっごい傑作です!」っていうね。ちょっと下ネタあり、コメディー要素あり、そしてプロム要素ありということでね。中の人の大好きなエッセンスしか詰まっていないっていう映画でございますけども。

(DJ YANATAKE)なんかこの夏もイベントもいっぱいあるしさ、こういう映画もやってくれてさ。ヒップホップ楽しむだけでも忙しいね。

(渡辺志保)そうですね。本当にいろんなところからね、楽しめるわけですから。で、ちゃんとこの映画が素晴らしいのは、そういう現代のアメリカの抱える貧困の問題であるとか人種問題であるとか。そういったところもすごく上手く……

(AKLO)内容は意外とすげーヘビーなんだよね。すっげー。

(渡辺志保)そうなんだよね。でも、そういったところがすごい説教臭くなく、スッと入り込むと言いますか。いいバランスでできた映画だなという風に思いましたね。

(DJ YANATAKE)俺、このわかんなかったんだけど。ツイートで「ビンス・ステープルズ(Vince Staples)も出てますよね」って。

(渡辺志保)あ、そうですね。ビンス・ステープルズも出ています。あのね、タイガとかが出てくるシーンに一緒に出てくる。

(DJ YANATAKE)あ、そうなんだ。それ、俺気づかなかった。

(AKLO)俺も気づかなかった。

(渡辺志保)あのね、ケイシー・ヴェジーズ(Casey Veggies)と勘違いしてたんですよね。ビンス・ステープルズ、出てますね。さすがですね。というわけで、いまは渋谷のヒューマックスシネマさんで上映中ですけども。この後、全国を回るということで。かつ、動員数がよければさらに上映する劇場も増えるかも……ということで、みなさんもぜひぜひ劇場の方へ足を運んでいただければなと。

(DJ YANATAKE)8月に大阪で、9月に名古屋で公開されるそうですよ。

(渡辺志保)なるほど。じゃあ大阪と名古屋ではすでに上映が決まっているということですので、みなさんぜひぜひ見に行っていただければと思います。というわけで、この『ドープ/DOPE!!』から1曲、お送りしたいんですけども。先ほどもちょっとお話に出ましたが、主人公のマルコムたちが男性2人、女性1人のパンクバンドを組んでいるんだけど。オルタナロック系のバンドっつーかね。で、それはオーリオ(Awreeoh)っていう名前なんですけど。その中に女の子が1人、入っているんだけど。女の子は超ベリーショートで。かつ、レズビアンを公言している黒人の女の子で。私としては、ジ・インターネットのシド・ザ・キッド(Syd tha Kyd)みたいな感じかな?っていう風にも思いまして。

(AKLO)たしかに。

(渡辺志保)楽曲もね、オッド・フューチャー(Odd Future)たちもね、結構パンクとかメタルとかそういう要素もあったりもしますし。そういうディバーシティーを感じたんですけども。その劇中でオーリオの曲、かなり効果的に使われておりますので。ここでちょっと聞いていただければと思います。では聞いてください。オーリオで『Can’t Bring Me Down』。

Dope (OST) Awreeoh『Can’t Bring Me Down』

(渡辺志保)はい。いま聞いていただきましたのは映画『DOPE/ドープ!!』からですね、オーリオで『Can’t Bring Me Down』。最初に言い忘れちゃったけど、これプロデューサーはファレル・ウィリアムスということで、いまファレル・ウィリアムスがたとえばN.E.R.D.の活動とかを再開するとこういうテイストになるのかな? とかちょっと思いました。で、この『DOPE/ドープ!!』、サウンドトラックも好評発売中でして。CDはないんですけど、デジタルでは買えますんで。みなさん、ぜひぜひゲトッてみてください。劇中にもCDとダウンロードをめぐるやり取りなんかもあったりして、そこも面白かったですね。なんか、「○○のCDなんか買わねえよ」みたいなところがあったりして。

(AKLO)ああー(笑)。あったね。

(渡辺志保)ありましたね。

<書き起こしおわり>

タイトルとURLをコピーしました