増田明美さんがTBSラジオ『たまむすび』に出演。陸上の解説の際に選手たちのたくさんのエピソードを披露する増田さんが、その理由について話していました。
(増田明美)そうね。やっぱりね、いまの選手の方が偉いと思うのは、私たちのやっていた時代と比べたら、いまの方が娯楽とか多いじゃないですか。情報も多いし。で、この時代にね、やっぱりマラソンの練習って目標とする大会まで少なくとも6ヶ月かかりますから。半年。で、この時代にね、遠い目標に向かってね、修行僧みたいにね、コツコツコツコツね、努力を積み重ねていく。いまの選手の方が偉いと思いますよ。
(赤江珠緒)おおー。
(増田明美)だからね、だから修行僧だからこそね、大会っていうのは選手にとって晴れ舞台なんですよ。もうテレビはつくしね、練習の時なんか誰も応援してくれないところで練習するわけでしょ?だからね、晴れ舞台だから、もうたくさんのエピソードを紹介してあげようと思って。
(赤江珠緒)ああ、なるほど!
(増田明美)もう本当、素敵になるように。
(ピエール瀧)それがその取材力というか、につながっていくわけですね。理由というか。
(増田明美)うん。やっぱりね、選手である前に人だから。やっぱり人としてのね、魅力をね、なんかいっぱい。でも私、伝わっているかどうかわからないけどね。
(赤江珠緒)いや、伝わっています。
(増田明美)なんか、すごい恋愛のことを言いすぎるってね、ちょっと鬱陶しがられてもいるんですけども。
(赤江珠緒)恋愛のこと?
(増田明美)そうそうそう(笑)。
(赤江珠緒)恋愛のこともおっしゃってる?
(増田明美)なんかね、だから監督なんかにしょっちゅう怒られてるんですよ。だけどね、でもやっぱりね、なんかほら。強いとか速いとかだけだったら、面白くないじゃないですか。だからね、それ以外の・・・
(ピエール瀧)人間味を。
(赤江珠緒)いまこの選手は・・・えっ?どんな恋愛のエピソードを?
(増田明美)やっぱりね、あれですよ。監督自らね、言ったことがあるのは、オリンピックの代表になった木崎良子さん。ダイハツの選手がいるんですよ。ロンドンオリンピックの代表になった。もう監督が自ら私のところに来てね、『いや、増田さん。あなたの世代といま、違うんだよね。もう木崎なんかね、高校の時から彼氏がいるんだよ』って。
(赤江珠緒)(笑)
(増田明美)だからね、昔は恋愛禁止だったんだけど、いまはそういう大人のランナーが・・・大人が強いアスリートになっているっていうことを。
(赤江珠緒)プライベートも充実させて。
(ピエール瀧)そうか。滅私奉公じゃなくて、もうちゃんと個をもって、自分という人間を持っているんだけど、でも強い。だから、すごいでしょ?っていう。
(増田明美)っていうことを監督自ら言ってきたから。私、これはもう喜ばしいことだと思って。木崎さんがトップを走っている時に、マラソンのレースの時にこう、伝えたんですよ。
(ピエール瀧)高校時代から彼氏がいるぞと(笑)。
(赤江珠緒)(笑)
(増田明美)まあ、その人と結婚しましたけどね。いまはもう、ご結婚。そうしたらもうね、終わった後に監督からもうね、監督カンカンで。そんなことをメディアで言ってほしくなかったみたいな(笑)。
(赤江珠緒)(笑)
(ピエール瀧)『増田さん、ちょっと!』って(笑)。『そこまで言わなくていいでしょ!?』って。増田さんにしてみたら、『あんたが言ったんでしょ?』っていう話ですもんね。
(増田明美)そうなの。そしたらね、木崎さんもね、ちょっと困っていて。終わった後の記者会見の時なんかね、入り口でニコニコしながら待っている記者がいらして。で、名刺を渡されたらね、東京スポーツだったとかね。
(赤江珠緒)(笑)
(ピエール瀧)東スポが。はいはいはい。
(増田明美)ちょっとやっぱりね、行きすぎるとダメですね。ほら、ね。選手が喜ぶような、いいネタを。
(赤江珠緒)エピソードとかを。でもそこに、人間味を、こうね。より際立たせたいっていう思いは、わかりますよ。
(ピエール瀧)すごいですね。増田さん。『選手が喜びそうなエピソードを挟み込む』っておっしゃいますけども。その肝心の選手たちはその中継を聞けないじゃないですか。後から振り返って聞くわけですから。
(増田明美)そうそうそう。
(ピエール瀧)だからその、みんなその中継を見てる時には、見てるお客さんというか視聴者の方ですよね。に、面白くしながら、後から見返した時にこれ、この子たち喜ぶだろうなっていうのも加味して解説なさっているっていうことですね。
(増田明美)そうですね。
(ピエール瀧)要は、For 選手もあるってことですよね。すごいですよね、それね(笑)。
(増田明美)かならず、そうなんです。選手、見ますからね。終わった後。だからね、もうこの前の北京世界陸上なんかもね、そういうことを意識しながら。『座右の銘なんか、あ、これを紹介したら彼女がきっと賢そうに思われるだろうな』とか(笑)。
(赤江珠緒)賢そう(笑)。
(ピエール瀧)『賢そうに』って(笑)。
(増田明美)あとね、なんかこの前はね、女子の1万メートルの日本代表選手になった美人ランナーの西原加純さんっていう選手なんかは、取材している時から、彼女はね、キスマイ(Kis-My-Ft2)の玉森さんの大ファンだったの。で、これ終わったらコンサートを見に行きたいって言って。でもね、そういうことをもっともっと強くなったら、そういうことを言えるようになりたいって。
(赤江珠緒)ああー。
(ピエール瀧)もっともっと強くなって、堂々とメディアで言えるような選手になりたいですっていう。
(増田明美)そしたら、キスマイの人も喜んでもらえるような強い選手になりたいって言ってたから、私、それもちゃんと言いました。
(赤江珠緒)いやー、それまたキスマイファンの方も、すごい親近感ですよね。
(増田明美)そう、ね。
(赤江珠緒)へー!
(ピエール瀧)そうか。やっぱり増田さん、現役の時にそういう中継を自分にもしてもらいたかったな感ってあるんですか?
(増田明美)あ、それはありますよ。
(ピエール瀧)やっぱ、あるんすね。
(増田明美)私の活躍していた高校時代。天才少女と言われた時なんかはね、本当に競技のことだけでしたもんね。だから、でもそっちの方がいいっていう人もいまもいっぱいいると思うんですよ。
(赤江珠緒)『いま何キロ、タイムがどうだ』とか。
(ピエール瀧)ということをクールに。はい。
(増田明美)で、どうしてこの人は強いんだとか。競技者としての分析とかね。あと、展開予想っていう、本当に職人肌というか。本当、専門だけ聞きたいんだっていう人もいまもいっぱいいると思うんですよ。ただ私が、やっぱり選手の時には、なんかね、それだけだとね、自分としてなんか寂しかった。選手として。
(ピエール瀧)私にも心もあるし。感情もあるのよと。
(赤江珠緒)1人の人間として。
(ピエール瀧)というところをもうちょっと、加味してくれないかな?って。
(増田明美)何が好きだとかね。走ること以外に何が・・・ほら、音楽が好きだとか、歌を歌うのが好きだとか。本はこういうのが・・・って。その方が。
(赤江珠緒)そうですね。彩りがやっぱり違いますよね。
(増田明美)彩りが。そしたらだって競走馬じゃないんだからね。速いとかね、遅いだけだったら。だからまあ、そんなのがあるから結構・・・まあでも、それももしかしたらいまこうやって思うのも自己満足かもしれないですけど。
(ピエール瀧)マラソンの中継とか駅伝もそうですけど。ちょっと、なんでしょう?中継を見ていると、シティガイドの側面ってあるじゃないですか。見てる側は、ぜんぜん知らない土地のシティガイドの側面で。
(赤江珠緒)ずーっと町並みが映りますし。
(ピエール瀧)そうそう。『この後、上り坂が下りになって、そうすると、港が見えてくるんです』みたいな。ああ、なるほど。そういう街なのかっていうのを想像しながら見るのが結構好きだったりするんですけども。
(増田明美)ああ、それいいですね。だからね、ほら。選手が観光案内人になりますもんね。
(ピエール瀧)だからそれのシティガイド+選手ガイドっていうか、人ガイドにもなっているだろうから。すごい増田さんのマラソン中継って情報量が多いんだろうなと思って。ねえ。シティガイド+人ガイドですから。
(赤江珠緒)増田さんご自身は走ってられた時は、いろんなことを考えながら走ってらしたんですか?やっぱり。
(増田明美)私ね、走っている時にはあんまり景色、見なかったですし。調子がいい時なんかっていうのはもう本当に、1キロの記録とか確認しながらゴールに行けちゃうんですよ。
(赤江珠緒)はー。1キロ1キロ、しっかり自分で。
(増田明美)そうそう。
(ピエール瀧)あ、もう余計なことを考えずに、自分の走ること、タイムのことだけを。
(増田明美)だけを考えて。ただ、調子がいい時なんかは本当に電車に乗っているみたいな感じでしたよね。景色なんか見ているわけではないんだけど、こう、景色が入ってくるような。
(赤江珠緒)流れてくるように。
(増田明美)で、タイムを確認しているっていう。
(ピエール瀧)そうか。増田さん、だからトラックの5000メートル速かったんじゃないっすか?その感じ(笑)。その、無になりながら走れるっていうのは。
(増田明美)あれもね、トラックの5000メートルもグルグル回って。走る禅みたいな感じですよね。
(赤江珠緒)その中、ゴールした瞬間っていうのは、もう格別なんですか?・
(増田明美)ゴールした瞬間は、もう何よりもうれしい。これ、いまが私が世界一うれしいって。何よりも。世界中で。で、記録がまた日本記録とかそういうのがついてくると、余計にうれしい。
(赤江珠緒)なに以上にも。
(増田明美)なに以上にもうれしい。
(ピエール瀧)いやー、まあそりゃそうでしょう。このゴールのためだけにやってきたわけだから。
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