朝井リョウさんが2026年9月29日放送のTBSラジオ『アフター6ジャンクション2』の中で宇多丸さん、でか美ちゃんさんとハロプロ楽曲の魅力についてトーク。つばきファクトリー『弱さじゃないよ、恋は』を紹介していました。
(宇多丸)ということでちょっと最後の1曲になりますが朝井リョウさん、お願いします。どの曲でしょうか?
(朝井リョウ)つばきファクトリーの『弱さじゃないよ、恋は』です。
(宇多丸)はい。聴きどころはどこでしょうか?
河西結心さんの宝物のような歌声が堪能できる曲
(朝井リョウ)はい、こちらはですね、私は今、8月10日のブログで小田さくらさんも書いてらっしゃったんですけれども。ちょっと河西結心さんという方の宝物のような歌声がこの曲は大変、堪能できるかなという風に思っておりまして。こちらそのモレミを作られた山崎あおいさんのバラード部門の大名曲かなという風に私は思っておりまして。今の恋人と出会ったことで自分がどのようになったのかっていうのをすごく細やかに描写をしている曲なんですね。で、落ちサビと呼ばれる静かになって結構最終盤に訪れるサビで「人混みによろけて ぎゅっとした アーバンブルーのTシャツ」っていう歌詞が出てくるんですけど。
そこの「ぎゅっとした アーバンブルーのTシャツ」の部分を担当しているのがその河西さんという方なんですが。本当にこの方、つばきの楽曲の歌い出しもすごくたくさん任されているんですけど。本当に歌い始めた時にフレーズっていうよりもその言葉がセリフのように聞こえてくるなと私は思っていて。本当にその曲の主人公が話し出したように聞こえるという歌声の持ち主だと私は思ってるんですね。まずそこ、ちょっと今回、間に合うかわかりませんがぜひ皆さん、落ちサビの部分を楽しんでいただきたいのと。
あと私はちょっと歌詞としてすごく注目したのが先ほど申し上げた歌詞の続きで「人混みによろけて ぎゅっとしたアーバンブルーのTシャツ 幸せ預ける強さをくれたんだよ」っていう歌詞が続くんですけれども。ここでちょっと補助線として私、紹介したいのが、こちら。國分功一郎さんの『中動態の世界』という本でございます。『意志と責任の考古学』という本なんですが。この本の中にですね、「責任」という言葉について書かれているパートがあって。責任っていうのは英語で言うと「Responsibility」だからResponse」の「Ability」。まあ「呼応する能力」っていうのが責任なんじゃないかという章があるんですね。
で、まあなんかいろいろ世の中で発表される謝罪文で「うん?」って思うものは大体、ちゃんと応答できていない。レスポンスできてない。「誤解させてしまって」とか、そうじゃないみたいな。
(でか美ちゃん)責任の所在をね、明らかにしてないとかね。
(朝井リョウ)そうそうそう。とにかく「応答するのが責任である」っていうことをおっしゃっていて。その中で「つまりは自己責任ってどういう意味なの?」みたいなことも出てくるんですよ。この國分さんの論の中に。で、たしかに今、「自分の幸せは自分で」とか「自分の機嫌は全部、自分で取る」とか。「自己責任」と言い換えられてしまうような正しさみたいなものもあると思うんですよね。
「とにかく自分でできることは全部、自分でやろう。自分の幸せは自分で管理する」みたいな考えがある中で、その自分の「幸せ預ける『強さ』をくれたんだよ」って歌ってるところがすごく面白いなと思っていて。それがちょっと「弱さ」と受け止められすぎるようなきらいももしかしたらこの時代、あるのかなっていう。自分の幸せを他者に預けることを「強さ」と歌っているところが私は結構、今っぽいなと思ったし。すごく面白いなと思ってたのでこちらの歌詞が出てくる落ちサビはちょっと間に合わないかもしれないんですが。ぜひこの曲を聴いていただきたいなという風に思います。
(宇多丸)では曲紹介をお願いします。
(朝井リョウ)はい。つばきファクトリーで『弱さじゃないよ、恋は』。
つばきファクトリーで『弱さじゃないよ、恋は』
(宇多丸)はい。つばきファクトリー、『弱さじゃないよ、恋は』。先ほどおっしゃってたその「預ける強さ」っていうのがまさにタイトルにも現れている。
(朝井リョウ)タイトルにもなっております。



國分功一郎さんの『中動態の世界』と絡めた曲紹介、こちらも興味深いですね。河西結心さんの宝物のような歌声も素敵です!
