つのだ☆ひろと吉田豪 日本ロックの「はっぴいえんど史観」への違和感を語る

つのだ☆ひろと吉田豪 日本ロックの「はっぴいえんど史観」への違和感を語る SHOWROOM

つのだ☆ひろさんが2026年9月1日配信の猫舌SHOWROOM『豪の部屋』に出演。吉田豪さんと日本ロックの「はっぴいえんど史観」について話していました。

(吉田豪)でも聞けば聞くほどジャズからロックからフォークから、名だたる所にちゃんと関わっているっていう。

(つのだ☆ひろ)フォークはね、仕方がないんです。

(吉田豪)あれは仕方ないんですか?

(つのだ☆ひろ)あの頃はフォークっていうのはドラムを必要としなかった。だもんだから、ドラマーがフォーク界にはいないんですよ。だから泉谷にしても、五つの赤い風船にしても、赤い鳥にしても、なんでもみんな俺に頼む。フォーク界でドラムが必要な時は僕に頼むっていう風になってたの。そういう図式になってたんですよ。だから僕はやってるんで。別に「フォークをやりたい」って言った覚えはない。

(吉田豪)こだわりとかは別になかったわけですかね。

(つのだ☆ひろ)ないです。だからたとえばボブ・ディランがエレキを使いだしたっていう時も別になんの感慨もない。「ねえ」っていう感じ。

(吉田豪)気持ちとしてはどこにあったんですか? たとえば自分はどの畑の人間だ、みたいな。ロックなのか、ジャズなのか。

(つのだ☆ひろ)それはよくロックのところへ行くと「あいつはジャズ上がり」って言われるんですよ。で、ジャズのところへ行くと「あいつはロック上がり」って言われるんですよ。どっちみち、もうディスる方向へ向かってくるわけですよ。で、そういうところでよくよく考えたら、僕は僕をやってるんだっていうことで。僕が何をやろうが、僕がやっているんだから。そんなジャンル分けはない。「つのだ☆ひろの音楽、以上」っていうことだと思ってます。

(吉田豪)でも日本のロック黎明期に重要な役割を果たした人なわけじゃないですか?

(つのだ☆ひろ)うん。でも誰も知らない。

(吉田豪)広めていきましょうよ、こういう形で。

(つのだ☆ひろ)でもひとつに言うと、たとえば豪ちゃんがこんな風に今回、呼んでくれてこんな話をさせてくれるっていうバックグラウンドがあるから、俺は出れるわけじゃないですか。そういう、俺をどこかにしてやろうという人は1人もいないんですよ(笑)。それどころか、なんか話を聞いたら「つのだ☆ひろは放っておけば勝手に自分でやるから大丈夫だから」みたいな、そういう風に思われてるみたいですよ。なんて言ってる間にこんなにヒゲは真っ白になり、髪の毛がなくなりでさ。それでも必死になってやって。いまだに水面に顔を出せないでいるっていうのは辛いもんがありますね。

(吉田豪)日本ロック黎明期の、それこそ野音とかでいろんなイベントをやっていた時期っていうのは結構、だってかなり関わってたわけじゃないですか。あの頃から。

(つのだ☆ひろ)ブイブイ言ってましたね、あの頃はね。でも、たとえばその音楽業界の詳しいことを知ってらっしゃるから言うけれど。たとえば日比谷野外音楽堂で夏にやるロックフェスっていうのに日本のその「ロック」と言われている人たちってほとんど出てないんですよ。

(吉田豪)フォークとかってことですか?

(つのだ☆ひろ)フォークだよね。で、いつの間にか俺らがロックでブイブイ言わせた時代っていうのは歴史からなくなってるんですよ。勝手に消された。小倉エージとか、ああいうやつら。

(吉田豪)評論家に(笑)。

(つのだ☆ひろ)そうすると、誰だっけ? あいつら。はっぴいえんどとか。「日本のロックの始まりははっぴいえんどだ」って言ってるじゃないですか。誰がそんなことを言ってるんだ?っていう。はっぴいえんどはフォークなんだから。

(吉田豪)そうなんですよ。

(つのだ☆ひろ)だからいつになったらそれがわかるのか?っていうことですよね。

(吉田豪)「日本語のロックの元祖」って言われてますからね。

「日本語ロックの元祖」ではなく「日本語のフォークの元祖」

(つのだ☆ひろ)「日本語のフォークの元祖」でしょう? で、そういうのが全然わかってる人がいないんですよ。つまりは、僕がドラムやっていると「すごいですね。ドラムって右手、左手、右足、左足、全部別々のことができるんでしょう?」っていう。「できませんよ。ひとつのリズムにのっとってやってるわけですから」「えっ、そうなの? 全部別々にできるんじゃないの?」「右手で三角を書きながら、左手で丸を書くってそれ、ドラムですかね?」っていう。ドラムに全く関係ないですよね。だけど、一般の人はそういう風に思う。バラバラのことをやってるんだっていう風に。

(吉田豪)はっぴいえんど史観はいまだに定期的に話題になるんですよ。「はっぴいえんどが元祖っていうのはいかがなものか?」って。

(つのだ☆ひろ)だからそれははっぴいえんどを持ち上げた、まあ小倉エージばっかり言ったらかわいそうだけど。

(吉田豪)音楽誌は結構、そうでしたよね。

(つのだ☆ひろ)あの界隈の人たちっていうのはみんな、はっぴいえんど推しだったんですよ。しょうがないですね。

(吉田豪)完全に二派に分かれてたわけじゃないですか。当時は内田裕也派の英語で海外の曲をカバーするような流れと……。

(つのだ☆ひろ)でも内田裕也、僕は触らないですから。

(吉田豪)どっちでもなかったわけですもんね?

(つのだ☆ひろ)どっちでもないです。僕らはもっとかっこいいことやってますよ。「シャケナベイベ」とか言わないですから。

(吉田豪)裕也さんと接点はほぼなかったんですか? 内田裕也さんとは接点はほとんどなかった?

(つのだ☆ひろ)ないですね。「ない」っていうか、あるんですけど。それはもう……たとえば成毛(滋)が10円コンサートをやった。そしたらその後、内田裕也が100円コンサートっていうのをやった。野音とかでね。で、なんだっけ? 成毛が言うには「10円コンサートがなんで10円か? 10円だと、税がつかないとかなんかがあるんだけど、100円だったらそれがついちゃう。それじゃ意味ねえじゃねえか。そんな意味でやってんじゃねえんだよ。あの野郎!」って言っていて。「あいつ、ぶっ飛ばす」とか言っていて。

(吉田豪)フハハハハハハハハッ!

(つのだ☆ひろ)ほいで成毛は成毛で日本拳法の人なんですよ、あの人。だから1回、どこだっけな? 目黒のモウリスタジオだったかな? そこの駐車場に車4台つけて。ここに明かりをつけて。で、「裕也、来い、この野郎!」って言って。

(吉田豪)そんなことあったんですか?(笑)。

(つのだ☆ひろ)ありましたよ。来なかったです。逃げた。そしたら成毛、「逃げやがったな、裕也。この野郎!」とか言って。「あんなの大したことない。あんなの、絶対負けないから。ひろでもちょいちょいってやって、やっつけちゃえばいいよ」とか言われて。そういう風に言われてた方だから、あんまり触らないっていう。

(吉田豪)へー!

(つのだ☆ひろ)だから逆の言い方すると、こんなことが言われてたのは内田裕也があれだけ、なんていうかな? そういういろんな人たちの中心になっているって言った時に「じゃあ内田裕也の作品で『これは』っていう作品を言ってみてください」って言ったら、誰も言えないんだよね。

(吉田豪)僕はちゃんとアルバムを買ってますよ。

(つのだ☆ひろ)だからそうなってくると、じゃあロックの帝王たるたり得るべきか?っていう。まあなんか、プロレスみたいですね。

(吉田豪)なるほど。裕也さんぐらいでしたからね。「はっぴいえんどがロックだ」っていうことに対してノーを言い続けた人っていうのは。

(つのだ☆ひろ)そうなんですか。それはでもあの時ですよ。ミッキーさんと内田裕也でキャロルを取り合ったとかいう時、ありましたよね。

(吉田豪)ミッキー・カーチスさんと。ありました、ありました。タッチの差で奪われて、みたいなね。

(つのだ☆ひろ)そうそうそうそうそうそう。ああいうのもなんかみんな、「ああ、あれであいつらを使って商売しようと思ってるんだな」ぐらいしか思ってない。

(吉田豪)その辺、結構なんか距離ありますよね。

(つのだ☆ひろ)距離あります。キャロルは距離、なかったんですけどね。

(吉田豪)だってレーベル、一緒じゃないですか。

(つのだ☆ひろ)レーベル一緒です。あと態度がね、悪かった。

(吉田豪)キャロル(笑)。永ちゃんが。

(つのだ☆ひろ)永ちゃんが態度悪かった。

(つのだ☆ひろ)一番最初はなんか若造が来て。「俺ら、ロックやろうと思ってます。頑張ってやりますんで、よろしくお願いします!」っていう風に頭下げてきたんですよ。で、それが何回かしてからいろんな人が携わって、どんどんと人気が出てくるっていうか、幅が広がってきたらそのうち「おう、元気?」ってこういう風に言うようになったの。だからこっちもなんかその幅は広げてないけど、うちのボーヤは喧嘩強いのばっかりだったんですよ。それで「あいつ、シメてきましょうか?」って言いに来るから「やめろ、やめろ、やめろ」って言っていたんですけども。そういう時でも「なんだ? おめえに仕事もらってんじゃねえからな。どういう口を聞いてんだ、この野郎!」って言って。やりあってたんですから。

(吉田豪)へー!

(つのだ☆ひろ)だからもう日比谷野音でも楽屋、あっち側とこっち側があるじゃないですか。もう絶対、日比谷野音もキャロル側にうちのバンドは入れない。そうなってましたよ。

(吉田豪)なるほど。皆さん、気を使って。

(つのだ☆ひろ)気を使って。暴れるから(笑)。

(吉田豪)本当、歴史的な場面を見てますね。いろいろと。

つのだ☆ひろと吉田豪 坂本龍一が「あぶ」と呼ばれていた時代を語る
つのだ☆ひろさんが2026年9月1日配信の猫舌SHOWROOM『豪の部屋』に出演。吉田豪さんと坂本龍一さんが「あぶ」と呼ばれていた時代について話していました。

日本ロック黎明期からずっと活躍しているつのだ☆ひろさんの言葉は重みがありますね。内田裕也さんのお話もすごく物騒で面白いです(笑)。

猫舌SHOWROOM『豪の部屋』ゲスト:つのだ☆ひろ

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