石山蓮華さんとでか美ちゃんさんが2024年2月13日放送のTBSラジオ『こねくと』の中で映画『フジヤマコットントン』について町山智浩さんと話していました。
（石山蓮華）そしてもう1本、ご紹介いただいた『フジヤマコットントン』いうドキュメンタリー。私もでか美ちゃんも見て。すごく私はよかったなと思いました。『コットントン』。仕事を通じて人間がどう豊かになっていくかっていうのをまっすぐに描いた、素晴らしい作品だなと思って。テーマとしては差別とか、そういうレッテルを問い直す作品なんですけれど。本当に、なんだろうな？ 全く説教臭くなく、端正な映像で朗らかに楽しく見られまして。なんか仕事中、急に泣き出す人がいたりとか。仕事の進みが人より遅いことに悩んでいたりとか。仕事の後、あてどなくモールをウロウロしていたりとか、もう自分を見るような感じでも楽しく見ましたね。
（でか美ちゃん）私も見させてもらって。私、年始の録音放送の時に私がおすすめ映画が紹介するっていう流れで『月』という映画を紹介したんですけども。これはフィクションで、ドキュメンタリーではないんですけど、障害者施設のことを描いていて。そこはフィクションとして、私がちょっと思う部分ももちろんあったんですけど。その年始の放送でもちょっと言ったんですけど。私、兄が精神疾患の方があるので、そういう施設とかで暮らしてるんですね。なのでこの『フジヤマコットントン』に出てくる、みらいファームにいらっしゃる方が持っている障害とかとはまた、兄のはちょっと違うんですけど。精神疾患なんで。
なんかね、そのうちの兄もずっと施設にいた頃と、ちょっと軽くなったので外泊届とかをそんなにいちいち出さなくていい段階の施設に移るとかがあったりして。それで社会と繋がるたびにね、やっぱり兄も元気になっていくんですよね。だから妹として、言い方が、その極端かもしれないけど。お兄ちゃんが楽しく生きていたら、社会復帰しなくていいと私は思ってるし、そう思ってたんですけど……でも、社会と繋がることでお兄ちゃんが元気になっていくんだっていうのを結構、間近で見てきたんで。なんかみらいファームの皆さんのね、織物だったりとか、自分の得意なことを見つけてちょっと表情が柔らかくなる瞬間とかっていうのは、なんか結構身近な出来事に近い感覚として見れたんで。すごく優しい気持ちになったし。
自分は兄がいるので、そういう感情で見れたけど。身近にね、そういう方がいない方も、なんか想像が及ばない部分はどうしてもあるとは思うんで。見ることで、普通に自分たちと同じようにただ生きているだけだっていうかね。なんか、それがすごい伝わるドキュメンタリーだなっていう風に私も感じて。すごく優しい気持ちになりました。
青柳拓督の視点
（町山智浩）うんうん。これ、監督の青柳さんがね、もう本当にちっちゃい頃から、お母さんが障害者施設で働いてたんで。彼も普通に出入りをしていて。で、そういう人たちが差別される……最近、ひどいことだと「生産性がない」とか。「こういう人は国に迷惑をかけてるんだから、死んでも構わない」っていうことで、殺人事件まで起こったわけですけれども。じゃあ、そういう人たちと本当に身近に子供の頃から接してる青柳さんはどう思ったのか？っていうと、その人たちはただの人たちであって。人とみんな違うところがあるだけなんだっていう、そんな感覚でそのまま撮ったっていう。それはね、そういう環境にいたという映画監督さんもね、そんなに多くないと思うんで。頭で考えたものじゃなくて、やっぱり体で、心で撮っているっていうところが、すごくいいんですよね。で、その障害者の人たちがみんな、すごくいい言葉を言うんですよ。
（でか美ちゃん）そう！ 最後の方ですよね。
（町山智浩）そう。本当にね、泣けちゃうんですけどね。
（石山蓮華）「希望の花を咲かせるんだ」って言ったりしてましたね。
（町山智浩）「希望の花、咲かせちゃってもいい？」とか言うんですけど。
（石山蓮華）ああ、そうだ、そうだ！
（町山智浩）「おおっ！」って思いましたよね。「ああ、いい言葉だな」と思って。だからその障害って何だろう？って。その、すごく頭が良くても、ずるいことばっかりしてる人はいるわけですよ。官房長官とかね。4000何百万円の官房機密費をね、辞任する2週間前に引き出してなにかに使ってしまっていたっていうね。「そんなの、ありかよ？」って思うようなことをする人とね、障害を持っている人と……それこそ、世の中にとって大事か、大事じゃないか？っていうことで殺人をした人もいたけれども。ねえ。
（石山蓮華）ぜひ『非常に残念なオトコ』も『フジヤマコットントン』も、見ていただきたい映画でした。
『フジヤマコットントン』予告
＜書き起こしおわり＞
