立川志らくさんが2023年12月26日放送のNHKラジオ第1『ふんわり』に出演。木村祐一さんとM-1グランプリ2023・最終決戦を振り返る中で、令和ロマンが僅差でヤーレンズに勝利できた理由を話していました。
（木村祐一）もうちょっとM-1を……「決勝」ということで絞らせていただくと。トップから勝ち上がった令和ロマン。3位ですけども。一発目、トップバッターから残るのは中川家以来ということで。そして、ドラマの設定で。クッキー工場が「自動車を作りたい」っていう。これは落語っぽいっじゃないですか？
（立川志らく）そうですね。なぜクッキーなのかがわかんない。別にクッキー会社じゃなくたって、チョコレート会社だっていいし、ラーメン工場でも何でもいいんだけども。妙にクッキー工場がやるから、おかしいんですよね。それは、ワードセンスなんですよね。で、そこに意味はないんですよね。
（木村祐一）そうか。どれがいいかって、スッと決まったのか、何個か候補があったのか。けど、あんまり凝り過ぎるとまた違うから。跳び箱工場とかでもまた違うし。
（立川志らく）そうです。で、「クッキーに未来がない」って、別に未来はないわけはないんだけれども。なんか、クッキーってそういう感じがするんですよね。
（木村祐一）改良の余地がない（笑）。
（立川志らく）これ以上、どれだけ美味しくなるのかもちょっとわかんないし。微妙な……それで、みんなが知ってるしね。クッキーの美味しい、美味しくないもわかるし。
（木村祐一）おもろいなー。トヨタの人が出てきてね（笑）。
（立川志らく）で、吉本の人が出てくると、もう世間の、普通の東京の人が思ってる吉本の人が（笑）。
（木村祐一）昔はいましたよ。昔は似た人がいましたけども（笑）。「います！」って言ってました。で、ヤーレンズがラーメン屋さんで。これ、ボケの数が多かった。ヤーレンズは予選でも、審査員全員が褒めてましたね。
（立川志らく）だからこれ、順番ね、トップに来たらわかんなかったかもしれないね。ヤーレンズの方が先に来たらば、あのボケ数でブワーッて盛り上がっちゃって。
（木村祐一）印象違いますね。残りますもん。
（立川志らく）そうなんです。だから最初に令和ロマンのクッキーが来ちゃったから。そうすると、全部がね、ちっちゃく見えちゃったんですよ。ネタが。
（木村祐一）僕もね、2回も書いてるんですよ。「ネタのスケール感」って。それがやっぱり、クッキー向上＆自動車っていうのと、ラーメン屋っていう。単純に広さだけじゃなくて、世界観の広がりっていうのが。
手数の多さのヤーレンズと一発がデカい令和ロマン
（立川志らく）だからパンチがね、すごい細かいのをバババババッて打っていて。で、令和ロマンの方が一発でデカいのがバーン！って来ちゃうと、どんなに手数が多くても、お客の印象はデカいのをやった方が面白いと思えちゃう。
（木村祐一）ヘビー級なんですよ。ヘビー級とバンタム級というようなことで。
（立川志らく）だから先にヤーレンズがやっていて、それが大爆笑になったらば令和ロマンのクッキーの世界に入っていけない場合がありますよね。だから本当に順番で、令和ロマンがトップだったからそのまま行ったってことでしょうね。
（木村祐一）くっきー！という芸名でね、元野性爆弾のくーちゃんがいるんですけども。それをもものともせずでしたから。誰もそこで思い出させなかったみたいなことも、あるかもしれませんね。
（立川志らく）で、一番割を食ったのはさや香なんですね。
（木村祐一）そう。ごめんね、さや香。おまたせしました。いやー、あれはね、「やりたかった」って言うてましたけども。
（立川志らく）そう。だから本当はさや香はあのネタを最初に持ってきて。それでもさや香の実力だったら決勝に残って。で、あのホームステイのやつを持ってきたらば、どうなったかわかんない。で、私はね、さや香には前回、出た時には結構厳しくて。それは「志らくさん、落語家のくせになんで漫才の審査をするんだ？」って言われるんだけども。そうしたら、評論家っていう立場はなくなっちゃうでしょう？ 映画を作ったことがない人が映画評論をやってるし。絵を描いたことがな人が美術の評論をやっているんだから。
ただ、あそこのメンバー、並んでる人たちに遜色がないぐらい、私はいい漫才を聞いてきてるから。年齢的にももう60だから、それこそダイマル・ラケットから聞いてるから。それは私が言ったとおかしくないだろうっていうのはあるんだけども。ただ、そのダイマル・ラケットだとか、いとし・こいしとかやすきよとか、そういったのを見ているから、どうしても比べちゃうんですよ。そうすると「うーん、バランスがちょっとうるさいな」とか「もっと落ち着いてやったらいいのにな」とか、妙にそれが入っちゃうから厳しいんです。
（木村祐一）それは、あれですか？ ネタの内容がそっちの会話劇やからですよね。あんまり、工場とかになるとそれは当てはまらないですよね？
（立川志らく）だけども、今回の決勝に持ってきたあのわけのわからない数学のネタ。あれはすごいんですよ。あれはね、一般受けはしない。一般受けはしないけれども、僕はこの発想はダイマル・ラケットにはない。それを正統派の漫才、しゃべくり漫才が持ってきた。すげえな！って。ただ、一般受けはしないから、あの2組には負けちゃう。もったいないなって。
（澤田彩香）しかも、その2組の後に出てきたというのも。
（木村祐一）だからあれを一発目にやっていたら、決勝に残れたかどうかっていうのも。
（立川志らく）そうですね。もしかしたら、残れないっていう怖さもあるんですよね。でも、あれを決勝に持ってきたさや香の男気というかね。あれはすごいものがありますよ。
さや香「見せ算」のすごさ
（木村祐一）本人ら、後に先輩芸人らと、今までのチャンピオンと絡む番組の中で、「本当にやりたかったから、やったんです」っていう風に言っていて。それで周りが称賛してましたけどね。「えらい！ ようやった！」ってね。そこはコンテストをどう捉えたか。悔いがあるのか、ないのか。
（立川志らく）だから優勝を狙うんだったら、やっぱりあの会場をどれだけ沸かせることができるかっていうことになってるから。
（木村祐一）最初の時の、留学者のエンゾが53歳だか54歳だっていうので。松本さんが「最初から52歳ぐらいだと思っていたよ」っていうのはもうボケですから。「嘘つけ！」でええねんけども（笑）。「ああ、バレましたか？」って言ったらボケつぶしみたいなところもあるんですけどね（笑）。「嘘つけ！」でよかったですけどもね。あれも緊張してたんやろうな。ほんまにそう思ってまったんやろうな。かわいいなー。でも、あの最後の最後の1票、松本さんにかかっていて。あのパネルがめくれるところ。あれ、操作ができるかどうかわからんけども、あそこでためなかったABCに僕は拍手を送りたいですね。普通、あれはためますよ（笑）。
（澤田彩香）たしかに（笑）。あっという間に出てきちゃって。
（木村祐一）そういうシステムなんでしょうけども。まあまあ、また楽しみですけどね。
＜書き起こしおわり＞
