東野幸治さんが2023年9月8日放送のABCラジオ『東野幸治のホンモノラジオ』の中で収録中に今田耕司さんと映画『君たちはどう生きるか』の感想を話し、全く違う感想だったことを紹介。かつては意見がほぼほぼ完全一致していた今田耕司さんと、意見がことなるようになってしまった原因はメッセンジャー黒田さんの「黒田菌」であると話していました。
(東野幸治)いや、ほわーんとしてますけど。この間、ものまねの特番で今田さんに久しぶりに会うて。で、ちょっとものまねの人がものまねしてる横でそれを聞いたりとか、リアクションしてる時。スタンバイ中とかにも、宮崎駿さんの映画の話になって。だから昔、今田さんとずっと一緒の番組が多かったじゃないですか。で、なんとなく2丁目劇場、大阪の頃から同じ職場とか。ピン同士やし、一緒にやることも多かったし。なんとなく好きな漫画とか、MTVの洋楽が好きとか、すごい共通の好きなものがものすごいあったから、だいたい意見って、ほぼ一緒やったんです。だいたい、本当に意見が一緒やって。
で、そういうのがわかっていて。なんかそれはちょっと引っかかってて。「これ、同じ意見で、同じピン芸人ってなんか差別化されてないな」ってちょっと思ってたんですよ。どこかでちょっと差別化した方がええやろなとか、うっすらなんか思いながら、最近それぞれ別々のフィールドで仕事するようになって。それで半年に1回とか、3ヶ月に1回、特番とか、定時の『都市伝説』とか、ものまねで会うようになって。で、なんとなく本番中の思ったコメントの感想が全く違うようになってきたのよ。意見で言うと。
(渡辺あつむ)はい。
(東野幸治)ほんで、その宮崎駿さんの映画の『君たちはどう生きるか』っていう、その感想みたいな。それはなんか、ものまねで歌う人がいてて。米津玄師さんの『地球儀』を歌っていて。「ああ、見ました?」「見ました」言うて。フジテレビの女性アナウンサーが「なんかすごい、よくわかんない映画なんですよね?」みたいなことを言うたから「せやねん! なんかもうようわからんわ」「私、見ようかなと思うんですけど」「もう見んでええんちゃう?」みたいなことをね、俺がね、何気なく言って。「いや、もうようわからんから。見んでええん違う?」って言ってたら今田さんも「ああ、俺も見た、見た。よかったわー!」言うてて。「ええっ?」ってなって。
「宮崎駿さんがもうそろそろ、最後の作品ちゃうか、みたいなんを聞いてて怖。これは行かなあかんなと思って。見ながら『今までありがとうございます。お疲れ様でした』っていう気持ちになったわ」って言ってて。「全然違うやん」と思って。すげえ今田さん、真っ当やなっていうか。「すごい大人のタレントさんになりはったな」って思ったわ。ほんまに思って。なんか、もう言葉が出て来えへんかった(笑)。恥ずかしくて(笑)。
(渡辺あつむ)それはいつですか? その話は。
(東野幸治)ええとね、火曜日やから、3日前。
(渡辺あつむ)ああ、孫ボケや(笑)。なんも出て来えへんのは。
「今田さん、すごい大人のタレントさんになりはったな」
(東野幸治)なんも出てこなかった(笑)。「見んでええんちゃう?」って(笑)。「なんかようわからんかったで? それやったら、昔のやつの方がええで。冒険活劇の方がええん違う?」って言って(笑)。だからそういう風に言って、思った。やっぱりちょっとずつ考え方が変わってきてるから、ありがたいというか。いいのかなと思って。で、なんか俺の中でもちょっとバラエティ番組で強めに言ったりとか、言いがちになってきている理由はもうわかってんのよ。「メッセンジャー黒田菌」なんですよ。『ちゃちゃ入れマンデー』という番組がカンテレで火曜日19時から1時間、やってるんですけど。元カンテレのアナウンサーのヤマヒロさん、メッセンジャー黒田くん、そして僕。ゲストがいる。関西のいろんな面白い切り口でVTRを見るっていうんすけど、ほぼほぼオンエアーには乗ってないけど、スタジオでずっとしゃべってるんですよ。
それで、以前にも言ったのかな? 初期の頃、お客さんもおったんすけど。黒田の態度がすこぶる悪かったんですよ。すこぶる。だから、始まった当初、知らんかって。メッセンジャー黒田ってもちろん知ってんねんけど、ちゃんと仕事したことがなくて。初めて仕事して、「なんや、こいつ? 態度悪いな」と思って。だから要は、エピソードトークとかしゃべるけど。カンテレが、なんかおばあちゃんらを客で集めて。リアクションを見てるから。別に俺からすると、笑おうが笑うまいが別に、そんな気にならんのですよ。東京でもそんな状態とか……『行列』で紳助さんが司会してる時に、すごいごっちゃりのお客さんをあえて入れてるんですよ。若い人ばっかりでワーッていうのもいいけど、なんかおっちゃんおばちゃんとか若い人とか、いろんな層を意識的に入れてるんですって。
で、紳助さんのおもしろ漫談をいっぱい聞いて、腹抱えて笑って。「なんかちゃうな?」って思ってパッと見たら、おばちゃんとか笑ってへん時あんのよ。で、「こんな感じなんや」って。でも変わらず、別にやりはんのよ。別にテンポが崩れるわけでもなく、面白いなって。なんか笑ってる人は笑うけど、笑ってへん人……なんかおばあちゃんとか「ええっ? それ、言い過ぎちゃう?」みたいな感じの人もいらっしゃるのよ。それで勉強してるっていうか。収録参加してるから。
それでカンテレの集められたおばちゃんの前でしゃべっていて、そんなにリアクションなくても俺は気にならんのよ。一方、黒田くんは大阪お客さんの前で、おばちゃんの前でしゃべってて。漫談でああだこうだって。それでお客さん、重い時もあって。なんかそんな笑えへんなって黒田は思ったんかな? 急にポケットに左手を突っ込んで。右手の人差し指を出して、おばあちゃんらを差しながら「お前ら、笑わへんな? なにしに来てんねん? タダやのに……」って(笑)。俺、正直ね、顎外れのかけたわ(笑)。あの、軸足左に体重かけて。左手をポケットに入れて。で、おばちゃんらを指差して。「さっきから全然笑わへんやん? なにしに来てんねん? どうせ行くとこないんやろ?」って。ほんまに、ほんまに。ほんまに言うのよ! でもちょっと、あまりにも言いすぎて、おもろなってきて。俺は笑ってんのよ(笑)。
で、そのおばちゃんらに「ほんま、ずっと下向いて。なんなん? おしっこしたいんか?」って。なんかずっと言うけど。おばちゃんらがだんだんと、ポソポソッと笑いだしたりするから。「ああ、これは行けるな」って思って。また「おい、黒田も言いすぎやぞ」って言いながらやって。おばあちゃんたちもワーッ!って笑う。結局笑うのよ。笑うんねんけど。それをちょっと「こいつ、すげえな。お客さんをそんな指差して、ポケットに手突っ込んで言うな……」って思って。「お前、すごいな。そんなんせえへん方がええで」みたいなことを言っていて。
それでこの番組を7、8年か? やって。気づいたら俺も、手を突っ込んでしゃべってのよね。で、すごい……なんかわからへんけど。めっちゃ影響されてんのよ。口調の節々が。だからそれをずっと、黒田と2週に1回、会ってると3ヶ月に1回とか半年に1回、今田さんと会ったらすごいコメントが全然違うようになって。俺、たぶん黒田の影響を知らず知らずに受けてるからやと思うのよ(笑)。
(渡辺あつむ)だから映画の悪口も……。
(東野幸治)いや、せやねん。だからたまに思うのよ。別の『都市伝説』とかでも機嫌ようバーッしゃべっている時に、たまに今田さん、若干引いている時があるのよ(笑)。
(渡辺あつむ)黒田菌(笑)。
(東野幸治)そう。黒田菌やねん(笑)。俺の中でそんな特に無理して強めに言うているつもりもないねんけど。なんかやっぱりちょっとずつWコウジで一緒によくやった時よりも、意見とか考え方が変わってきているっていうのはこれ、逆にいいことなんだろうなとはちょっと思いながら。それの原因はメッセンジャーの黒田菌で体内が蝕まれて。脳みその半分ぐらいやられてもうてる状態やからやと思うねんけども。なんかそれが結果的にはなんか、いいことなんやろうなって勝手に、いいように解釈をしているんです。僕はね。
(渡辺あつむ)直す気は?
(東野幸治)直す気はない。それがまず、そこでなんとなくいろんな人と出会っていって、影響を受けた今やから、まあええかなとはちょっと思ったりもしてるんですけれども。そんなことをちょっと、ものまねの番組で。全く違う感想っていうか。恥ずかしなるぐらい(笑)。
(渡辺あつむ)逆な感じがしますけどね。だから、孫がいる人。独身の日。で、独身の人がギャーッて言って、孫がいる人がほんわかしてるイメージがあるんですけど。
(東野幸治)そこは、逆なのよ。なんかコメントを……だからテレビタレントとしてはなんか、すごくまろやかに大人のタレントさんになった人と、なんかどんどん芸歴が少なくなってきてる……(笑)。56歳がどんどん今、28歳ぐらいの芸歴でやってる感じになってきてるっていう乖離の仕方をしてるのかなって(笑)。
(渡辺あつむ)芸歴ベンジャミン・バトン(笑)。
芸歴ベンジャミン・バトン、東野幸治
(東野幸治)どんどん若返って(笑)。まあ、それはたぶん今田さんの方がちゃんとした歳を重ねていっているっていうか。なんか、『アナザースカイ』っていうのが、なんか時間上がってやるみたいなんで。もうすごい、大人の番組じゃないですかですよ。映像も綺麗ですし、それぞれの、言うたらもうひとつの空、青空。「ここの青空がもう1回、見たい」っていうところで海外に行くっていう。あんなん、俺は無理でしょう?
(渡辺あつむ)プラス、黒田菌でしょう? 東野・黒田が『アナザースカイ』……どうしましょう?
(東野幸治)だから、アナザーストリートで、金がなかったあの頃。路地で、言うたら「1日中座ってた場所にもう1回、行きましょう」みたいな、そんな話になると思うよ。「この時、つらかった」とか。「この時、もう本当にお金がなくて、この店ばっかり行ってた」みたいな趣旨になると思うよ。
(渡辺あつむ)本家さんもメールでくださってましたけど。キラキラした女優さんがね、「いつも◯◯ホテルに泊まるんです」みたいなVTRの時は東野さん、どうされるんですか?
(東野幸治)ええと、東京・日テレ・23時台でしょう? 「いいとこじゃないですかー」って(笑)。
(渡辺あつむ)うーわ……(笑)。そこは?
(東野幸治)そこは、でも俺が本音で「チッ、こんなとこばっかり泊まって。よろしいな」とか言うてたら、女優さんがV終わりのスタジオで乗って、ちょっとそういう、なんでしょうか? 浮世離れしたコメント、言ってくれないじゃないですか(笑)。上手に乗せて乗せて。V中に乗せて。ほんで、ちょっとスタジオに帰ってきて「いや、いいですねー。リフレッシュ、したんじゃないですか?」とか言いながら、ちょっと浮世離れしたええ具合のコメントを引き出すのが仕事やと俺は思っているんで。それはそれで頑張る。そう思って頑張る。
(渡辺あつむ)その時に黒田菌は?
(東野幸治)それはもう、ダメダメ。でも、ポッケの奥には入れながら……(笑)。
(渡辺あつむ)なんでなんや?(笑)。
(東野幸治)隙あらば黒田菌(笑)。毒霧みたいな。ザ・グレート・カブキみたいな感じで行ったろうみたいに思いながらやるけれども。だから、ほんまに不思議。孫と会って、すごい穏やかで幸せやけど、職場ではなんかそんな感じっていうバランスで今、やってるっていうのが最近のお話かな?
<書き起こしおわり>