町山智浩 韓国映画『コクソン』『アシュラ』『お嬢さん』を語る

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町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』の中で注目の韓国映画『哭声/コクソン』『アシュラ』『お嬢さん』の3本を紹介していました。

(町山智浩)ずーっとアカデミー賞で大変だったんで、実は韓国映画のすごいのが3本、日本でほとんど同時公開され始めているんですけど。紹介するのが遅れちゃったんで、それをまとめて今回、紹介します。1本はね、すでに紹介した『哭声/コクソン』ですね。

町山智浩 大ヒット韓国ホラー映画『コクソン(哭聲)』を語る
町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』の中で、韓国で記録的な大ヒットとなったホラー映画『コクソン(哭聲)』を紹介していました。 ※放送では映画『ドント・ブリーズ』に続いて紹介し...

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)これは今週末公開ですね。

(赤江珠緒)そうですね。3月11日公開と。はい。

(町山智浩)國村隼さんが韓国の山奥でふんどし一丁で四つん這いで森の中を駆けずり回っているという映画ですね。

『哭声/コクソン』


(山里亮太)試写で見ましたけども。本当にその通りです(笑)。

(赤江珠緒)ああ、そうですか?

(山里亮太)怖いよ(笑)。

(町山智浩)怖いですね。インタビューを読んだら、シナリオでは全裸だったらしいんですよ。で、さすがに全裸で四つん這いは勘弁してくださいってことでふんどしを履かせてもらったらしいですね。

(赤江珠緒)はー!

(町山智浩)全裸だったら大変なことになっていましたよね。

(赤江珠緒)本当ですね。えっ、四つん這いで走っているんですか?

(山里亮太)追っかけてくるの。バーッ!って。

(赤江珠緒)うわっ、怖っ!

(町山智浩)そうなんですよ。怖いですよ(笑)。

(山里亮太)怖いですよね!

(町山智浩)怖いんですよ。それで、しかも『コクソン』っていう映画はこの國村隼さんの正体が全然わからないんですよ。で、なんか普通の日本人なのかな?って思うと、なんかしていて。それで、悪魔なのかな? とか。悪魔祓いとか出てきて。でも、それも違うとかね。こう、コロコロ変わっていくんですよ。で、最後までいったい何なんだ?っていうね、「そんなお前らのわかるような、わかりやすい映画は作ってやらないぞ!」っていうね、なかなか恐ろしい……

(山里亮太)そんな挑戦状を叩きつけられてたんですね(笑)。

(町山智浩)いやー、でも監督のナ・ホンジンっていう人は、『たまむすび』スタッフのミフネさんそっくりなんですけどね(笑)。

(赤江珠緒)(笑)

(町山智浩)のんびりした感じの人なのにもかかわらず、映画はゴリゴリ押してくるんで。その『コクソン』っていうのはすごいんですけど。

(山里亮太)怖かった~! いろんな怖いパターンが来るから、本当大変ですよ。

(町山智浩)でも、最初、結構ほのぼのしたダメーな警察署長の話で始まるんですよね。駐在さんのね。で、エッチしているところを娘に見られちゃったりね(笑)。

(山里亮太)そうそう(笑)。車の中でね。

(町山智浩)そうなんです(笑)。まあ、でもそれがまさかとんでもないことに……韓国映画はね、コメディーなのかホラーなのかわからないっていうところがすごい面白いところですね。でね、もうすでに公開されている映画で今回紹介したいもう1本はですね、『アシュラ』っていう映画です。『アシュラ』っていうのは修羅場とかね、戦いの神っていう、まあすごい殺し合いみたいな話なんですけども。

(赤江珠緒)うん。

『アシュラ』


(町山智浩)これはですね、まあある地方都市の腐敗が舞台になっていまして。主人公は汚職している刑事です。で、これを演じるのはチョン・ウソンというものすごいイケメンの俳優なんですよ。この人ね、「韓国の西島秀俊」と言われている人ですね。写真、あります?

(山里亮太)これ、あります。

(赤江珠緒)そっくり、本当だ!

(町山智浩)そっくりですよ。

(赤江珠緒)一瞬、西島さんご本人が出られているのかと思った。

(町山智浩)たたずまいとか演技とかもそっくりなんですよ。


(赤江珠緒)へー!

(町山智浩)で、この人が奥さんが重い病気なので、その治療費を稼ぐために汚職しているんですね。それでその地方都市の悪い悪い市長さんがいるんですよ。それでその市長の言いなりになっていて。金で飼わてて、たとえば裁判とかがあると、その証人の口封じまでやっているのがこの汚職刑事です。

(赤江珠緒)ええっ、刑事なのにそこまで?

(町山智浩)もうお金がなくて、そこまで追い詰められちゃっているんですよ。で、この市長を演じるのはファン・ジョンミンっていう人で。この人はコクソンで悪魔祓い師をしていた人ですね。

(山里亮太)あ、そうなんだ。また全然違う感じで……。

(町山智浩)そうなんですよ。このメガネをかけて、写真を見ると松重豊さんにそっくりですよね。


(山里亮太)ああ、本当だ!

(町山智浩)そうなんですよ。で、松重さんと違っていつもニコニコしているんです。このファン・ジョンミン市長は。で、ニコニコしながらガンガン人を殺すんですよ。ニコニコして、「いやー、そうなんだー。君はねー、私の犬だね」とか言いながらタバコを押し付けたりね。で、ちょっとお水をズボンにこぼしちゃって。この市長さんが。で、ズボンとパンツを脱いでフルチンになるんですけど。フルチンのままね、人をガンガン責めたり殺そうとしたりするというね、珍しい。フルチンヤクザですね。

(赤江珠緒)(笑)

(山里亮太)初めて聞いたジャンルですね(笑)。

(町山智浩)いや、新しいジャンルだなと思いましたけど(笑)。だからこういうところでね、笑っていいのか、怖がっていいのかよくわからなくなるんですよ。

(赤江珠緒)本当だ。

(町山智浩)怖いんですけどね。はい。で、もう1人、その汚職をして追い詰めていく検事がいます。これがね、クァク・ドウォンさんっていう俳優さんが演じているんですが、この人は『コクソン』でダメ警官をやっていた人ですよ。駐在さん。あっちではほとんどお笑いみたいな感じだったんですけど、こっちではものすごく冷徹な検事の役ですね。

(赤江珠緒)ふーん!

(町山智浩)で、こっちではね、汚職している西島秀俊似のチョン・ウソンが、「こいつは使える」っていうことで、市長の悪徳事業を暴くために逆に汚職刑事の彼を脅して、そのまま泳がせて情報を取ろうとするんですよ。

(赤江珠緒)ああ、なるほど。

(町山智浩)だから、二重スパイとして使うんですね。この汚職刑事を。で、結局このチョン・ウソンは、要するに悪い市長と悪い検事の間に挟まれて、もう徹底的に両方からボッコボコにされ続けるんですよ。この映画『アシュラ』っていうのは。

(赤江珠緒)はー!

(町山智浩)このボコボコにされ方がすごくて、これ、映画の終わりの方に行くと、このチョン・ウソンはイケメンなのに顔がグッチャングッチャンになっちゃうんですよ。

(赤江珠緒)ええっ?

(町山智浩)すっごいですよ。もう、本当に。でね、あとこの映画がすごいのは……っていうか、韓国映画の最近すごいのはですね、カーチェイスなんですよ。で、韓国映画ってね、10年ぐらい前に国がお金を出してハリウッドに技術的なスタッフをみんな留学させていたことがあるんですね。カメラマンであるとか、特殊技術であるとか、スタントとか、照明であるとか。全ての技術者を国費でハリウッドに留学させて。ハリウッドは要するに彼らにはお金を払わないでいいから。だからタダで使って、仕事を全部覚えて韓国に帰って、いまそのハリウッド技術で韓国映画を撮っているんですよ。

(赤江珠緒)すごいですね。国を挙げて応援したんですね。

(町山智浩)これは国家事業なんです。韓国では。要するに、映画を作っても韓国国内ではもうペイできないんです。韓国は人口が少なくて。

(赤江珠緒)うんうんうん。

国家事業としての韓国映画

(町山智浩)だから大作映画を作っちゃうと、これはもうアジア全土で利益を上げなきゃならないんです。アメリカも含めて。だからそれなりのクオリティーのあるものを作らなきゃならなくなっちゃうんですよ。だからK-POPもそうなんですけども、完全に全世界マーケットで商売をしないと、国がちっちゃくて生きていけないのでそういうシステムになっていて。いま、中国映画っていうのはものすごくハリウッド以上の製作規模になっているんですけども、技術的なスタッフは韓国にかなり外注しているんですよ。

(赤江珠緒)へー!

(町山智浩)で、日本もカーアクションをやる時はもう韓国で撮ってもらうしかなくなっちゃっているんです。

(赤江珠緒)えっ、そうなんだ?

(町山智浩)そう。これはね、技術的な問題じゃなくて、日本の地方の市町村とか地方自治体であるとか警察機構が撮影に対して許可を出さないからですね。なかなか。

(赤江珠緒)うーん。

(町山智浩)車2台を爆発させることもなかなかできないんですよ。いま、日本は。昔は石原裕次郎さんの『西部警察』シリーズでもって日本中を戦場と化してしまったので。そこら中でいろいろな車を爆発させたり、ビルを破壊してたりしたので。あの頃は天国だったですけど。なにをしてもよかったんですね。

(赤江珠緒)うん(笑)。

(町山智浩)何人か死んでるかもしれませんが(笑)。でも、あれは天国だった過去で、もうすでに日本ではほとんどそういう撮影が不可能なんですよ。で、『アイアムアヒーロー』とかはカーアクションシーンがあるんで、韓国で撮影したりとか、フィリピンで撮影したりしているんですね。『MOZU』とかはね。もう、国内では車を破壊したりできないんですよ。日本は。で、この『アシュラ』の中でもカーチェイスがすごくてですね。カーチェイスをしているところをカメラがずっと並行して追いかけているんですけど、そのままカメラが運転席の中にフロントガラスを取って入っちゃうんですよ。

(赤江珠緒)へっ?

(町山智浩)で、また出てくるんですよ。どうやって撮っているのか、全然わからないんですよ。

(赤江珠緒)本当だ。どういう技術?

(町山智浩)すっごい技術なんですよ。で、あとやっぱりものすごい血みどろなんですね。もう、暴力シーンが延々と続いて。これ、出てくる人たち全員がものすごい暴力を振るい続けるんです。映画の最初から最後まで。で、すごいのは暴力だけじゃなくて、ご飯を食べ続けるんですよ。

(赤江珠緒)えっ?

(町山智浩)あのね、ガンガン殺すんですけど。いろんな物を使ってね。殺しながら、焼肉を焼いたり、美味しそうなお魚を食べていたりね。いろんな、鍋をつついたりですね、バーベキューをやったり。ビールを飲んで。ガンガン殺してバリバリ食べるっていう映画なんですよ。

(赤江珠緒)(笑)。それが、成立しているんですね。

(町山智浩)なんかね、完全に肉食系(笑)。

(赤江珠緒)ああ、そういう意味で。たしかに。

(町山智浩)だからね、もう日本はみんな優男になっちゃっているじゃないですか。すごく。みんな草食系の。これは、勝てないよ、これ。カーアクションはできるし。もう車をガンガン潰して、人をガンガン殺して、メシをガンガン食う。肉をガンガン食うっていう韓国映画に勝てるのか? 日本は。ねえ。って思うんですけど。あと、まあ松重豊さんそっくりの人が出ているのでね、まあ『孤独のグルメ』なところがちょっとあるんですね。

(赤江珠緒)いやいやいや(笑)。

(町山智浩)まあ、顔が似ているだけですが(笑)。でね、これね、悪いことをするたびにね、ブルースがかかるんですよ。アメリカの昔のゴスペルブルースなんですけど、『サタンの王国は滅びるぞ』という曲がかかるんですね。

(曲が流れる)

(町山智浩)この、重々しいブルースに乗せてですね、まあとんでもない……最後にこれ、血の海になるんですよ。映画が、本当に。これ、イケメンが出ているからって見に行った人たちはもう、やっぱりこれを見た後には焼肉とか食べれなくなっちゃいますね、これね(笑)。

(赤江珠緒)ああー、そんなに? うわーっ!

(町山智浩)すっごいですよ。これ、もう。

(赤江珠緒)見終わった後、ぐったりしそうですね。

(町山智浩)そう。映画全体がユッケみたいになっちゃうんで(笑)。大変なことになりますけど。まあ、すごいすごい映画が『アシュラ』でしたね。はい。

(赤江珠緒)ふーん!

(町山智浩)やっぱり俳優たちがね、他の映画ではお笑いをやったりね、ラブロマンスとかやっているのに、この映画の中では徹底してね、食って殺しているんでね。まあ、役者たちの幅がすごいなと思いましたけども。で、あとすごいのは、全く恋愛要素なし。

(赤江珠緒)なし?

(町山智浩)なし。男たちしか出てこない。

(山里亮太)無骨な(笑)。

(町山智浩)もう、この世界には女はいないみたいな感じでですね。もう。すっごいことになっている映画ですけども。それが『アシュラ』ですが。ええとね、もう1本はそれと逆の方向の映画なんですけども。『お嬢さん(アガシ)』っていう映画なんですね。これはハリウッドでも成功している韓国の監督パク・チャヌクの最新作なんですけども。この人は復讐三部作とかね、『オールド・ボーイ』とかを撮っている人なんですが。まあ、ちょっと変態系の人ですね。

(山里亮太)変態?

『お嬢さん』


(町山智浩)変態系の人です。これね、原作はイギリスの小説で『荊の城』っていう小説がありまして。19世紀終わりのビクトリア朝を舞台にした百合ドラマなんですよ。いわゆるビアン系っていうやつですね。それを1939年の日本に占領されていた朝鮮を舞台にしたものです。これは。で、まずすごい悪い詐欺師がいまして。大金持ちのお嬢さんの財産を奪うために、そのお嬢さんを騙して結婚しようとします。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)で、そのためにスパイとしてお手伝いさんに孤児の女の子を送り込むんですね。そのお屋敷に。で、送り込まれたヒロインが珠子(たまこ)ちゃんっていう子なんですけども。

(赤江珠緒)珠子ちゃん?

(町山智浩)珠子ちゃん。これね、朝鮮語で「オクジョ」って言って、それを日本語読みすると「たまこ」とも読むんですね。で、その子を演じているのは写真があると思うんですけど。キム・テリちゃんっていう子です。

(山里亮太)かわいらしい。

(赤江珠緒)きれいな子。

(町山智浩)きれいっていういか、いたいけな。本当に清純そのものみたいな。近所の娘さんみたいな。本当に汚れない感じですよね?

(赤江珠緒)あどけない感じのね。うんうん。


(町山智浩)で、この子がお屋敷で日本人のお嬢さん、秀子さんの世話をするんですね。この秀子さんをやっている女優さんはキム・ミニさんという人で。この人は松嶋菜々子さんにちょっと顔が似ている人ですね。

(山里亮太)ああ、似てますね。たしかに。

(町山智浩)で、このお嬢さんは箱入り娘で、なにも知らないんで。まあ、いろんなことを教えてあげるんですけど。そこに詐欺師が伯爵の、貴族のふりをして近づいてくるんですね。で、その貴族のふりをしている詐欺師はこのキム・テリに「うまくこのお嬢さんを俺と結婚するようにいろいろと手はずを整えろ」みたいなことを言うんですけども。ただ、この珠子ちゃんはこのお嬢さんが好きになっちゃうんですよ。

(赤江珠緒)あ、珠子ちゃんがお嬢さんを好きになっちゃう?

(町山智浩)お嬢さんを好きになっちゃうんですよ。だからこの詐欺師がいろいろと口説いていると、嫉妬でおかしくなってくるんですよ。ジェラシーで。「そんなこと、しないで!」みたいな感じなんですよ。で、お嬢さんはとうとう結婚しなきゃならない感じになってきて。で、ある日、珠子ちゃんをベッドに呼ぶんですね。お嬢さんが。「私はキスもしたことがないの。キスの仕方を教えて」って言うんですよ。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)で、キスを教えてあげるんですよ。すると、「なんでときめくの?」ってお嬢さんが言うんですよ。で、「もし結婚したら、初夜は何をすればいいの?」っていうと、珠子ちゃんが「じゃあ、教えてあげます」って言って、こう、おっぱいを吸ったりとかですね……。

(赤江珠緒)あらっ!

(町山智浩)まあ、大変なことになっていきますよ。このいたいけなキム・テリちゃんが。

(赤江珠緒)ほう。ほうほう。

(町山智浩)この子ね、映画デビューなんですね、これ。

(山里亮太)へー! いきなりすごい役でデビューすることに。

(町山智浩)映画デビューでもう、全部やっちゃったっていうね。すっごいもう、こっから先はないだろう?っていうのをやっちゃってますけども。はい。だから、ヌードがすごいっていうか、レズビアンセックスのシーンがあるんで、これ、たしか成人指定ですね。これね。で、いろいろあって、これ以上は話せないんですよ。

(赤江珠緒)ん?

(町山智浩)1時間後に、大どんでん返しがあって。映画が全部ひっくり返っちゃうんですよ。

(赤江珠緒)えっ? 映画がひっくり返る?

(町山智浩)ひっくり返る。で、それまで珠子ちゃんの視点から見ていたんですがその後はですね、この秀子さんの視点で話をもう1回、やり直すんですよ。

(赤江珠緒)ふーん!

(町山智浩)『羅生門』スタイルっていうんですけど。で、話がまた全然逆になっちゃうんですよ。

(赤江珠緒)ああ、なんかでも、それは面白そうですね。

(町山智浩)ですけど、ちょっとここだけネタバレをさせてください。この、お嬢さんがいるお屋敷のご主人様っていうのはおじさんにあたるんですけど、この人、変質者です。はい。

(赤江珠緒)(笑)。いや、そこだけネタバレされても……「おじさん、変質者です」って言われても(笑)。

(町山智浩)世界中のエロ本を集めているんですよ。世界中のエロ本を集めて、それを秀子さんに朗読させるのが趣味なんですよ。

(赤江珠緒)(笑)

(山里亮太)変態ですねー!

(町山智浩)変態なんですよ。で、そこの部分がまるで日本のこの間亡くなった鈴木清順監督のような映像タッチなんですね。ギャグなのかシュールなのか、よくわからないっていう。笑っていいのか、アートとして見ていいのかよくわからないっていうタッチになってくるんですよ。見ているとものすごく笑ったりしちゃうんですけど。で、しかも変態度がどんどんこの映画は増していってですね、最終的にはフランスの作家のジョルジュ・バタイユの有名なエロ小説があるんですが。『眼球譚』っていうのがあるんですが。そういうタッチになっていくんですよ。マルキ・ド・サドというか。

(赤江珠緒)うん……あらら?

(町山智浩)そういう、丸尾末広とかですね、そういったものになっていくんですね。だからまあ、とんでもない映画ですよ、これ。

(赤江珠緒)これ、本当ですね。さっきの『アシュラ』とは違う意味で、またとんでもない感じに。

(町山智浩)そう。だからこっちもね、いったい誰と見に行ったいいんだろう?って思うんですよ。誰とも一緒に見に行けない映画なんで(笑)。これはものすごく悪い女友達と女性同士で見に行くといいと思うんですよね。

(赤江珠緒)ああー。おすすめはそんな感じですか。なるほど。

(町山智浩)そう。そういう話ができる人。タラレバ娘で見に行くといいと思うんですよ。

(赤江珠緒)ああー。

(山里亮太)とりあえず僕、今日見に行こうかなと思っているんですけど……。

(赤江珠緒)俄然、見に行く気になっていますけど。山里さんが。

(町山智浩)エロいですからねー。でもこれ、デートで見に行ったら、大変なことになりますよ(笑)。

(赤江珠緒)(笑)

(町山智浩)ただね、このね、『お嬢さん』っていう映画がすごいのは、最終的にはまるで『アナと雪の女王』みたいな爽やかな……。

(赤江珠緒)嘘でしょう!?

(町山智浩)爽やかな終わり方ですよ。この映画。

(赤江珠緒)いま、そんな流れじゃなかったじゃないですか!

(町山智浩)そんなわけなんですよ。これ、ちょっと主題歌を流してほしいんですけども。



(町山智浩)この主題歌がまたね、昭和歌謡そのものなんですよ。昔のその、日本の歌謡曲みたいなのが流れて。で、最後はね、本当に『アナ雪』のような、レリゴーな終わり方ですから。これ。

(山里亮太)レリゴーな終わり方!?

(赤江珠緒)(笑)

(町山智浩)レリゴーでしたよ! はい。そういうね、素晴らしいとんでもない映画3本、日本で同時に見られるというね。

(赤江珠緒)いやー、韓国映画、展開が読めないですね。変態のおじさんがいて、なんで『アナ雪』になっていくのか?

(町山智浩)はい。そう。はっきり言うと、どうかしていますから! 3本とも。

(赤江珠緒)そうですか(笑)。

(町山智浩)だからこの、あまりにどうかしているパワーっていうのは、日本映画に欠けているんだろうなと思うんですよね。プロデューサーは「これだとお客が入らないよ」とかね、「これだとデートで見に行けないよ」とかね、言わないんですよね。たぶん。

(山里亮太)日本はそういうことを言うんだ。逆に。結構。

(町山智浩)日本は結構言うんですよ。マーケティングがあるから。でも、これは野放しですね。監督は、みんな。

(赤江珠緒)(笑)

(町山智浩)もう、やりたい放題やってますから。グッチャグチャになっていますから。どの映画も。

(山里亮太)いやー、ちょっと見たい!

(赤江珠緒)3本とも尖っている感じですね。

(町山智浩)はい。超肉食映画3本立てということで、ぜひみなさん、普通のものに飽きた人は楽しんでください(笑)。

(赤江珠緒)はい、わかりました。今日は町山さんにすごい韓国映画をまとめて3本、紹介していただきました。町山さん、ありがとうございました。

(山里亮太)ありがとうございました。

(町山智浩)どもでした。

翌週の感想トーク(追記)

町山智浩さんと山里亮太さん、赤江珠緒さんが翌週のTBSラジオ『たまむすび』の中で韓国映画『お嬢さん』の感想を話しあっっていました。(以下の内容はネタバレを含みます)

(赤江珠緒)町山さん、今日、ちょっと冒頭でも山ちゃんと話したんですが、我々2人とも『お嬢さん』を見てきました。

(山里亮太)見てきました!

(町山智浩)えっ? そうなんですか? 赤江さん、大丈夫なんですか? お子さんがいるのに。胎教に悪くないですか?

(赤江珠緒)胎教には決していいとは言えないかもしれないですけど(笑)。めっちゃ面白かったですよ。

(町山智浩)ああ、本当に?(笑)。あれは妊娠している人が見る映画じゃないと思うんですけどね(笑)。

(赤江珠緒)たしかに(笑)。妊婦らしき人はいなかったです。

(町山智浩)たぶん唯一の妊婦じゃないですか? 観客で。

(赤江珠緒)(笑)

(山里亮太)「変態だ、変態だ」って言われてましたけど、すごかった。変態の度合いがやっぱり違いましたね。桁が。

(町山智浩)エロかったでしょう?

(赤江珠緒)エロかったね!

(町山智浩)日本語で……まあ韓国映画なんで韓国の人は別にそんなに恥ずかしくないんですけど。日本人だけが世界中で恥ずかしく、あの映画を見られますよね。

(赤江珠緒)そうでしょうね。あれ、日本人がいちばん味わえるでしょうね。あの恥ずかしさをね。

(山里亮太)スクリーンであれを聞いてしまったっていうね。

(赤江珠緒)そうそうそう。

(町山智浩)そう。めったにない体験ですよね。あの言葉を。

(山里亮太)あの言葉をはっきりと聞くのは。

(町山智浩)そう。インカ帝国の歴史について勉強した時だけ、初代皇帝の名前として聞く言葉ですけどね。

(赤江珠緒)そ、そうですね(笑)。

(町山智浩)はい。いやー、あれね、あの映画で最後にこう、ヒロインの2人がね、レリゴーしながらですね、する体位はあれ、「貝合わせ」っていうんですよ。

(赤江・山里)(笑)

(町山智浩)はい。「なんて上手なの!」っていうところがおかしかったですね。はい。

(山里亮太)ありましたね(笑)。

(町山智浩)あと、2人が使うあの鈴。あれは「りんの玉」という、いわゆる性具といわれているものですね。

(赤江珠緒)結構そういうね、古式ゆかしいものが出てきますからね。

(山里亮太)そう。すっごいね、どういう気持で見ていいかわからない、すごいシーンが……。

(町山智浩)そう。あれ、勘違いしてカップルとかで行くと、大変なことになるだろうなと思いますけどね。

(赤江珠緒)そうですね。

(町山智浩)『ラ・ラ・ランド』どころじゃねえぞ!っていう問題ですけども。

(赤江珠緒)みなさん、だいたいお一人でした。映画館で周り。

(町山智浩)ああ、そうですか。カップルで言って彼女の方が「私、こっちの方がいいわ」とか言ったら、また大変ですからね(笑)。

(赤江珠緒)(笑)

(山里亮太)町山さんがおっしゃっていた、最後に『アナ雪』のようにみんなで合唱したくなるっていうのも、なんだろう?って思ったんですけど。僕も赤江さんも「ああ、たしかにな」とはなりました。「ああ、これは『アナ雪』状態になってもおかしくはないな」って(笑)。

(赤江珠緒)「そういうことか!」って。

(町山智浩)そうなんですよ。あのね、りんの玉という道具はですね、骨董品で100年ぐらい前のものが取引されているらしいですけど。まあ、それはどうでもいいですが……。

(赤江・山里)(笑)

(町山智浩)そういうまあ、いろいろと大変な映画で。でもまあ、お子さんがお腹にいる状態で『アシュラ』の方を見なくてよかったですね。『コクソン』とかね。

(赤江珠緒)そうね。そっちはね、ちょっとさすがに無理かなと思いました。

(町山智浩)そっちはもう大変なことになると思いますから。國村隼が生まれてきちゃいますから。

(赤江・山里)(爆笑)

(町山智浩)大変なことになると思いますよ。

(山里亮太)もうオムツじゃなくてふんどしでね(笑)。

(町山智浩)ふんどしで生まれてきますからね(笑)。國村隼が。

(赤江珠緒)そうですか(笑)。

(町山智浩)という、なにを言っているかよくわかりませんが。はい。

<書き起こしおわり>


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