町山智浩 映画『ラブ&マーシー 終わらないメロディー』を語る

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町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』でビーチ・ボーイズのブライアン・ウィルソンの伝記映画『ラブ&マーシー 終わらないメロディー』を紹介していました。


(町山智浩)ええと、今日はですね、ちょっと変な人の話をしたいんですけど。まあ、夏。もう、暑いでしょ?そっち。

(赤江珠緒)猛暑ですよ。はい。

(町山智浩)まあ、夏にぴったりの音楽っていうことで、ちょっとビーチ・ボーイズの映画なんですけど。ビーチ・ボーイズ、かけてもえますか?



(赤江珠緒)定番中の定番ですね。

(町山智浩)はい。ええとこれ、ビーチ・ボーイズの『Surfin’ USA』っていう曲なんですけども。今日紹介する映画はビーチ・ボーイズのリーダーだったブライアン・ウィルソンっていう人のですね、伝記映画で。『ラブ&マーシー 終わらないメロディー』っていうタイトルの映画なんですけども。あの、『マーシー』って言っても、スカートとかの人じゃないですからね。

(山里亮太)わかってますよー!町山さーん!

(町山智浩)あ、わかってますか?はい(笑)。

(赤江珠緒)(笑)

(町山智浩)ええと、これは『お慈悲』とかそういう意味なんですけど。『Mercy』っていうのはね。このブライアン・ウィルソンっていう人はですね、ビーチ・ボーイズっていう60年代のサーフィンロックのバンドの作曲を担当したリーダーの人なんですけども。このビーチ・ボーイズってご存知ですか?

(赤江珠緒)はい。もう聞いてましたよ。なんかやっぱり、親が車の中でかけていたりしましたもんね。

(町山智浩)ああ、そうなんですか?あの、お父さん、昔サーファーだったりしたんですか?

(赤江珠緒)いや、まったく波には乗ってなかったですけど。調子に乗っていただけで(笑)。

(町山智浩)ああ、そうですか(笑)。はいはい。これ、だからいわゆる日本のこういうグループってありますよね。たとえばチューブなんか、そうですよね。

(赤江珠緒)ああー。

(山里亮太)『夏といえば!』みたいな。

(町山智浩)そうそう。まあ、初期のサザンオールスターズとか。そういったものの元祖のサーフィンミュージックのグループだったんですけども。はい。このリーダーはですね、実はサーフィンできなかったんですよ。

(赤江珠緒)あっ、そうなんですね。

(町山智浩)このブライアン・ウィルソンっていう人はものすごく内向的な人で。その、歌っていたビーチ・ボーイズの歌っていうのは、サーフィンして、女の子ひっかけて、車で飛ばしてイエーイ!みたいな歌だったんですね。

(赤江珠緒)はい。

(町山智浩)でも本人はぜんぜんそういう人じゃなくて。非常に真面目な音楽家だったんですよ。

(赤江珠緒)へー。

(町山智浩)形だけ、サーフィンの真似をしてたんですね。で、この映画は、そのブライアン・ウィルソンっていうリーダーがですね、『こんなことはやってられないよ』っていうことで、自分の好きな音楽をやり始めて。『ペット・サウンズ』というすごいアルバムを作るんですね。1966年に。


(赤江珠緒)ええ。

(町山智浩)で、このアルバムがどのぐらいすごいか?っていうと、村上春樹さんが『ペット・サウンズ』っていう本を翻訳しているんですけども。文庫本、このアルバムに関する評論だけで、文庫本1冊になるぐらいのすごいアルバムなんですよ。

(赤江珠緒)へー!アルバムで?

(町山智浩)ところが、そのアルバムを録音している間に頭がおかしくなっちゃったっていう話なんですよ。

(山里亮太)今回の映画は。

(町山智浩)はい。で、このブライアン・ウィルソンっていう人はですね、1966年にこの『ペット・サウンズ』っていうアルバムを出した後、精神的に崩壊していって。その後、20年ぐらい引きこもりになっちゃうんですよ。

(赤江珠緒)へー!

『ペット・サウンズ』発表後に精神崩壊

(町山智浩)で、80年代にソロ・アルバムを出して復活するんですけども。その間、ほとんど誰とも会わないで。部屋から出ないで引きこもっていたんですけども。この80年代に復活した頃の話と、60年代に彼の精神が崩壊した時の『ペット・サウンズ』っていうアルバムを作った時の話をですね、交互に行ったり来たりしながら、2つの時代を描いていくっていう映画が『ラブ&マーシー』なんですね。

(赤江珠緒)へー。

(町山智浩)で、これ、60年代のブライアン・ウィルソンさんを演じる俳優と、80年代のブライアン・ウィルソンさんを演じる俳優さんは違う俳優が演じています。

(赤江珠緒)うんうん。

(町山智浩)それで、60年代は30ぐらいですから。その頃のブライアン・ウィルソンを演じているのはですね、ポール・ダノっていう俳優さんですね。これ、写真があると思うんですけど。そちらに。これ、ブライアン・ウィルソンそっくりです。

(赤江珠緒)うんうん。

(山里亮太)そっくりですね。2つ並んでますけど。写真が。


(町山智浩)もう、瓜二つなんですよ。で、この映画の中でもピアノの弾き語りをしたりですね。あと、まあブライアン・ウィルソンっていう人は甘いものが非常に好きでですね。肥満だったんですけど。ポール・ダノっていう人は肥満じゃないのに、このブライアン・ウィルソンを演じるためにもうすごい太ってですね。ポチャポチャの体でやってますけどね。はい。

(赤江珠緒)ええ、ええ。

(町山智浩)で、このポール・ダノっていう人はね、『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』っていうものすごい強烈な映画でですね、最後に殴り殺される役をやっていた人ですけどもね。はい。


(赤江珠緒)ふーん。

(町山智浩)で、80年代の50才ぐらいになった時のブライアン・ウィルソンを演じるのはジョン・キューザックっていう俳優さん。こっち、ぜんぜん似てないんですけども。で、これね、この映画の脚本を書いた人っていうのがすごい変な映画を撮っている人で、オーレン・ムーヴァーマンっていう人なんですけど。この人、その前にボブ・ディランっていうミュージシャン、わかります?

(赤江珠緒)はい。わかります。

(町山智浩)そのボブ・ディランの人生を6人の俳優に演じさせるっていうことをやった脚本家なんですよ。オーレン・ムーヴァーマンっていうのは。『アイム・ノット・ゼア』っていう映画で。


(赤江珠緒)6人に?

(町山智浩)6人。しかもその6人はボブ・ディランを演じるにもかかわらず、1人はですね、黒人の少年で。ボブ・ディランっていう人はユダヤ人なんですけども。1人はケイト・ブランシェットっていう女優さんに演じさせてるんですよ。

(赤江珠緒)ええっ?不思議ですね。あのボブ・ディランを女性が?

(町山智浩)だから、わけがわからない映画なんですね。その『アイム・ノット・ゼア』っていうのは。で、今回もその2人の俳優さんに1人のブライアン・ウィルソンを演じさせるっていう変わったことをやっているんですけども。この映画のですね、すごい怖いところはですね、この2つの、60年代と80年代っていうのは20年間あいだをおいているにもかかわらず、ほとんど内容的に同じなんですよ。

(山里亮太)えっ?

(町山智浩)これ、どういうことか?っていうと、この60年代にブライアン・ウィルソンっていう人はどんどん精神が崩壊していくんですけど、精神が崩壊した原因っていうのは、お父さんなんですね。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)このビーチ・ボーイズっていうのは実はお父さんが昔、ミュージシャンになりたくて。でも、自分があまり才能がないんで挫折したんで、自分の子どもたちをものすごく、スパルタ的に音楽をやらせてですね。で、無理やり作ったバンドだったんですよ。

(赤江珠緒)へー。でも、大ヒットして・・・スターでしょ?その時。

(町山智浩)もう、そうなんですけども。このお父さんは、自分の息子たちが才能があって売れちゃったのを嫉妬して、どんどん嫌がらせをするんですよ。自分の子どもたちに。

(赤江珠緒)ええっ!?

(町山智浩)もう、まあ本当に悲しいオヤジなんですけど。で、それだけじゃなくて、版権とか取って売っぱらっちゃった人なんですよ。息子たちが作った、作曲した音楽の版権を勝手に売っぱらって、自分の金にして酒飲んだりしているオヤジなんですよ。

(赤江珠緒)うわー・・・

(町山智浩)で、しかも殴る蹴るだし。家庭では。それで、ブライアン・ウィルソンはどんどん自分の音楽をやりたいって言って。ポップなサーフィンサウンドじゃなくて、非常に文学的な詞にしたりですね、音楽的に『ペット・サウンズ』っていうアルバムっていうのはものすごく高度な、アヴァンギャルドな、クラシックとかジャズとか前衛音楽に近いものになっていくんですけども。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)『そんなものはやめちまえ!』って言って、このオヤジが徹底的に邪魔してくるんですよ。

(赤江珠緒)ふーん!

(町山智浩)で、それが60年代なんですけども。で、80年代のブライアン・ウィルソンはですね、もう精神的にかなり崩壊してるんでですね、精神科医がずーっと、四六時中くっついてるんですね。これ、24時間その精神科医がくっついてですね。食生活からですね、著作権からですね、なにからなにまで徹底的にブライアン・ウィルソンを管理するんですよ。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)銀行の口座まで。

(山里亮太)えっ?

(町山智浩)これがユージン・ランディっていう精神科医なんですけど。一緒にほとんど暮らしてですね、全・・・経済からなにから、しかも、アルバムを作るんだって音楽まで、彼が管理するんですよ。

(赤江珠緒)えっ?音楽も。そこまで?

(山里亮太)ヤバいパターンのやつだ。これ、ぜったい。こういう時。

(町山智浩)っていうのは、このユージン・ランディっていう精神科医は、精神科医になる前に、挫折したミュージシャンだったんですよ。

(赤江・山里)うわー!

(町山智浩)おんなじものにハマっちゃうんですね。だからこれね、子どもの頃に虐待を受けた人っていうのは、虐待をされないと心が安定しない癖になったりするんですね。

(山里亮太)へー!

(町山智浩)だから父親に徹底的に支配されて、いじめられてコントロールされた思い出のせいで、大人になってもそういう人と一緒にいないと心が安定しなくなっちゃうんですね。

(赤江珠緒)はー・・・

(町山智浩)しかも、その精神科医がオヤジより悪いのは、大量の向精神薬を投与して。精神的にその、彼を完全に依存症にしちゃうんですよ。で、もう完全にコントロールの下において。それで彼のお金を使い放題なんですよ。ユージン・ランディは、ブライアン・ウィルソンのお金。こういうの、芸能界でもよく聞く話ですねー!日本の。

(赤江珠緒)うわー、そうかー。

(山里亮太)時々、ニュースで出てきますね。洗脳問題みたいな。それは本当かどうか、ねえ。

(町山智浩)そう。洗脳問題ですよ。宗教家に洗脳された!とかね。よくある話なんでね、別にぜんぜん珍しくないなと思ってみてましたけど。

(山里亮太)あるんですね。昔から、海外でも。

(町山智浩)あるんですよ。それでしかも、ブライアン・ウィルソンがアルバムを出したり、伝記を書いたりするんですけど、全部勝手にユージン・ランディが書いてるんですよ。実は裏で。歌詞とか。自伝とか言ってるんですけど、彼が書いてるんですね。

(赤江珠緒)ええ。

(町山智浩)で、コントロールされていてどうしようもない感じになって。奴隷みたいになっているんですよ。で、この2つを平行させていくんですけども。ただこれでね、すごいのはこの『ペット・サウンズ』っていうアルバムを作るときに、どんどん彼の狂気が進行していくにもかかわらず、音楽はどんどんすごいものになっていくんですよ。

(赤江珠緒)そこがすごいですね。

(町山智浩)そこがすごいんですね。この音楽は、『ペット・サウンズ』っていうものは、すでにもう、ロックでもなくて、ポップスでもない、なんて言うのかな?あの、ひとつの曲の中でどんどんジャンルが変わっていったりするんですよ。

(赤江珠緒)ええーっ?

(町山智浩)しかも、普通にギターがあってベースがあって、っていう音楽じゃなくて。弦楽四重奏が入っていたり、なんだろうな?鉄道の踏切の音が入っていたりですね。

(赤江珠緒)ええっ?

(町山智浩)犬の鳴き声とか、自転車のベルとか。車についているクラクションの『パフパフ』とか。いろんな、わけのわからないものがいっぱい入っていって。あと、ピアノを弾く時も、ピアノを普通に弾くんじゃなくて、グランドピアノの中にですね、いろんなガラクタとかを投げ込んで。それでシャリシャリした音を作ったりとかですね。

(赤江珠緒)えっ?でもそれは聞いている人には、どういう風に?心地よく聞こえたり、ちゃんと音楽として感じられるんですか?

(町山智浩)音楽的には、楽しい音楽ではあるんですけども。いったいこれは何のジャンルだろう?っていうのはわからないっていうものになっているんですね。いまちょっとね、その時に録音された、『ペット・サウンズ』には入ってないんですけども。その頃に同時に録音された音楽でですね、『Good Vibrations』っていうのをちょっと聞いてもらえますか?



(町山智浩)はい。これいま、『Good Vibrations』っていう音楽で。『ペット・サウンズ』録音中にブライアン・ウィルソンがその中でですね、メンバーとかで作っていったんですけども。これ、聞くと後ろでずーっと『ウゥーンワー♪』って変な音楽が聞こえるじゃないですか。音が。

(赤江珠緒)はい。

(町山智浩)あれ、テルミンっていう特殊な楽器なんですよ。

(山里亮太)ああ、なんか手を動かす。

(町山智浩)あれね、日本だとテルミンって結構おもちゃ屋で売ってたりするんですけど(笑)。怪奇映画とかでお化けが出てきたり、UFOが出てくる時の音楽ですよ。宇宙人とか。そういう楽器なんですよ。『ワゥワゥワゥー♪』みたいな。で、そういうのを使ったりとかですね。いまの曲もですね、前半と後半で全く違うんですね。リズムから。こういう、奇っ怪としか言いようがないんだけど、素晴らしい複雑な音楽をっていうのを作ってですね。この『ペット・サウンズ』っていうのは売れなかったんですよ。ところが。

(赤江珠緒)へー!

(山里亮太)早かったんですかね?時代が。

(町山智浩)そう。わけがわからないということで、あまり売れなくて。で、彼自身の精神の崩壊に拍車をかけちゃうんですけども。ただ、ビートルズだけは、その時に同時にいたビートルズだけはですね、このアルバムにものすごいショックを受けるんですよ。それで、『ペット・サウンズ』にショックを受けて、それの影響で作ったアルバムがその翌年に発表された『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』っていうアルバムなんですね。ビートルズの。


(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)で、その中で、踏切の音とかが入っているのは『ペット・サウンズ』から盗んでいるんですよ。

(赤江珠緒)はー!

(町山智浩)それであと、リズムがサーカスの音楽みたいな、『ウンチャ、ウンチャ、ウンチャ♪』みたいなリズムが多いんですけど。それも、『ペット・サウンズ』から取っているんですよ。

(赤江珠緒)へー!じゃあもう、めちゃくちゃ影響を受けまくっている。

(町山智浩)ところが、『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』は、ビートルズの方は、世界一の、ロック史上最高のアルバムって言われてるんですよ。

(赤江珠緒)うわー・・・

(山里亮太)皮肉なもんですね。

(町山智浩)だからもう本当に、ブライアン・ウィルソンは打ちのめされたと思いますね。これでね。

(山里亮太)ああ、またちょっと、精神が。

(町山智浩)そうなんですよ。なんでだよ!?と思いますよね(笑)。『なんで、俺の方はあんまりウケなくて。あっちはもう大変なことになっちゃうんだよ?ビートルズは?』ってことで、ビートルズに対してものすごい挫折感があったと思うんですけどね。でも、いま、『ペット・サウンズ』は、現在はもうロック史上最高のアルバムのひとつに数えられているんですけど。まあ、時間がすごくかかったんですね。

(赤江珠緒)ああ、そうですね。

(町山智浩)評価されるまで、30年ぐらいかかっているんですよ。はい。で、30年かかっているんで、その間、20年間はほとんど人前に出なかったんですね。あの、寝間着を着たまま着替えないで、ずっとベッドからほとんど離れないで、誰とも会わないでほとんど20年間、いわゆる文字通りの引きこもりをブライアン・ウィルソンは続けたみたいですね。

(赤江珠緒)ええーっ?

(町山智浩)ただね、この映画で僕、すごく面白かったのは、『天才っていうのは考えないんだな』っていうことがよくわかったんですよ。

(赤江珠緒)考えない?だって、これだけ音楽的才能があって?

(町山智浩)そう。これね、見ているとね、『こういう風にしよう』とかいろいろ考えてやってないんですよ。音楽がどんどんどんどん頭の中にあふれてくるんですよ。

(山里亮太)ああー、なるほど。

(町山智浩)で、眠れないの。メロディーとか出てきちゃって。

(赤江珠緒)へー!

(町山智浩)で、ぜんぜん楽しくないんですよ。もう、眠れなくて、気が狂いそうになってるんですよ。こう。寝ている間もどんどんどんどんメロディーが出てきて。サウンドが出てきて。で、しょうがないから吐き出すんですよ。それが天才なんだな!っていうのが、よくわかりましたね(笑)。

(赤江珠緒)湧き出る泉が止まらないっていうのも、それはそれで苦しいんですね。

(町山智浩)止まらなくて。本人はもう、助けてくれ!みたいな感じなんですよ。

(赤江・山里)へー!

(町山智浩)こんな人になれたらいいんだけど、まあ、人生大変ですね。はい。まあ、凡才の方が楽だなと思いましたよ。一生懸命、ひねり出しゃあいいんだもん。

(赤江珠緒)そうですね。

(山里亮太)机にかじりついてね、書けば。

(町山智浩)そう。でも、出てきちゃう人っていうのはもう、頭が破裂しそうになるんですね。これね。

(山里亮太)へー!そんな苦悩が。天才ゆえの苦悩って。すごいな。そういうのがあるんだ。

(町山智浩)本当に体験できないもんですけどね。はい。で、この映画、『ラブ&マーシー』っていうタイトルで。まあ、『愛とお慈悲』みたいなね、『優しさ』みたいなことになっていますけども。これは、まあ悪い悪いですね、マネージャー兼精神科医のユージン・ランディに支配されているところにですね、ある女性がですね、車屋のセールスマンの女性だったんですけども。それを知ってですね、なんとかブライアン・ウィルソンをそこから開放してあげようとする話になっていますね。後半の方は。

(赤江珠緒)へー。じゃあ、いまは・・・もう開放されているんですか?

(町山智浩)これ、オチになっちゃうんですけど。いまの奥さんなんですよ。その人が。ブライアン・ウィルソンさんって、いま70いくつで。完全にもう治ってですね、音楽活動を続けているんですよ。で、その自分を助けだして、精神科医の束縛から助けだしてくれた人と結婚して。子どもも何人も生まれてですね。で、いまは順調にレコードもどんどん出してっていう風になっているんですけどね。はい。

(赤江珠緒)へー。

(町山智浩)そういう話なんですけどね。

(赤江珠緒)いや、でもその父の支配から断ち切って、ご自身の力で、いまはっていうことなんですね。へー。

(町山智浩)はい。これでね、実はドキュメンタリー映画ですごくそっくりな映画があるんですね。『悪魔とダニエル・ジョンストン』っていう映画がありまして。これ、日本でも昔、公開されたんですけども。それもね、その人はビートルズに憧れていたミュージシャンなんですけども。やっぱり、天才だったんですけども、どんどん精神が崩壊していくっていう話だったですね。本当の実話っていうか、ドキュメンタリーだったんですよ。


(山里亮太)へー。

(町山智浩)で、それもね、なんかね、音楽がどんどん出るんだけども、双極性障害っていうのになってですね。最後は自家用飛行機に乗っている時に、自家用飛行機を墜落させたりして大変なことになっちゃうっていう話だったんですけども。

(赤江珠緒)へー!

(町山智浩)すごくよく似ててですね。まあ、非常にこの、繊細で。子どものような心を持っている人たちなんですね。たとえばその、ビーチ・ボーイズっていうのはサーフィンでイエーイ!っていう、車に乗ってブーン!みたいなね。女の子をひっかけて・・・っていう歌だったんですけど、この『ペット・サウンズ』っていうアルバムの歌詞は、もう本当にね、切ない歌詞っていうか、抽象的なんですね。たとえば、『僕は美しいものが死んでくのを見るのが辛いんだ』とかですね。そういう、非常に抽象的な、詩のような。まあ、詩なんですけど。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)『女の子、イエーイ!』みたいなのじゃなくて、『僕はずーっと自分の居場所を探し求めてるんだけど、僕はどうも生まれる時代を間違えたらしい』とか。

(赤江珠緒)いや、だってファンからしたら、そのギャップが。差がありすぎたんじゃないですか?

(町山智浩)差がありすぎて、ビーチ・ボーイズのメンバーも『こんなわけのわからない内省的な哲学的な歌、歌えねえよ』ってことで、ビーチ・ボーイズから追い出されちゃうんですよ。彼は。

(赤江珠緒)はー・・・

(町山智浩)っていうね、いろんなことを考えさせる映画でしたけどもね。はい。それが『ラブ&マーシー』で。あの、本当、スカート関係ないんですよ。はい。

(山里亮太)いやいやいや(笑)。わかってますよ。どのマーシーのことを言っているのか、僕らはわかりませんが。

(赤江珠緒)(笑)

(町山智浩)あ、そうですか、はい(笑)。これ、今週末公開ですね。

(山里亮太)8月1日ですよね。

(赤江珠緒)ねえ。いや、ちょっと天才の苦悩みたいなのがね、凡人にはちょっとはかりかねない、そういうところがあるんですね。

(町山智浩)そう。天才じゃなくてよかったなと思いましたね。はい。ただね、これ、今週8月1日公開なんですけど、8月1日は『進撃の巨人』を見てください。はい。

(赤江珠緒)(笑)。シレッと言った。

(町山智浩)見た後、『ラブ&マーシー』に行ってください。はい。

(赤江珠緒)ああ、そうですね。ということで、映画『ラブ&マーシー』は日本では8月1日公開。『進撃の巨人』も。

(山里亮太)『進撃の巨人』の日でもあります。8月1日。

(町山智浩)はい。そっち先で。はい。

(赤江珠緒)(笑)。はい。町山さん、ありがとうございました。

(町山智浩)はい。どもでした。

<書き起こしおわり>

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