ダースレイダーが選ぶ 高校生ラップ選手権 ベストバトル 5試合

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全国大会開催決定! BAZOOKA 高校生ラップ選手権

ダースレイダーさんがTBSラジオ『タマフル』に出演。大人気の高校生ラップ選手権について、宇多丸さんに紹介。過去の大会のベストバトルを5つ、紹介していました。
ダースレイダー・宇多丸が語る 高校生ラップ選手権とは何か? の続きです。

(宇多丸)TBSラジオ ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル、今夜はもうひとつの甲子園がここにある!高校生たちの熱いバトルに感動せよ!話題の高校生ラップ選手権って何だ?特集!をお送りしております。案内役は高校生ラップ選手権の公式レフェリー、ラッパーのダースレイダーさんです。

(ダースレイダー)はい、よろしくお願いします。

(宇多丸)さあ、じゃあ後半いってみましょうかね。具体的に音源、いっぱい聞いてもらいましょう。大会公式レフェリー ダースレイダーが選ぶ 高校生ラップ選手権ベストバウト!

(ダース)イエー!

(宇多丸)ということでね、いろいろな戦い、あったと思いますけど。ベストバウトを選んできてもらった。

(ダース)もうね、バトルに出てもらっている高校生たち。実力もさることながら、ラップすげー上手いヤツもいるし、いろいろね。元ギャングから、ネットラッパー、女子高生、在日の3世、あるいは自閉症の元ひきこもりまでね、結構いろんな高校生の人に挑戦してもらってて。

(宇多丸)高校生って一口に言ってもいろいろいる。

(ダース)で、そういった人たちが自分の立場だったり、そういったところからフリースタイルっていうのをちゃんと聞かせてくれるっていうね。結構ね、おじさん泣いちゃうっていうスチャダラパーでなくても、涙流しちゃうような試合が結構目白押しなんですよ。

(宇多丸)楽しみ楽しみ。じゃあ具体的に音源聞く前に、こんな感じの試合の形式っていうか。はじめて聞く人もいると思うんで。

(ダース)試合形式としては、番組の中で1回目・2回目は8人がエントリーしていて、3回目から16名に増えたんですけど。試合形式としては、8小節という長さ、4拍1小節を8個分の長さを交互に先攻後攻で2本ずつやります。

(宇多丸)結構短いスパンですね。

(ダース)で、その先攻後攻はジャンケンで。さっきも言った『ジャンケンお願いします!』をやって、先攻後攻ジャンケンで決めて、8小節の2本をやった後にジャッジ。ジャッジの人数が3人だったり5人だったりするんですけども。ジャッジの旗が上がったのが多い方が勝利と。あとはMCの小籔さんが、試合前にお互いのプロフィールを紹介して、終わった後に『ちゃんとメール(アドレス)交換せえよ!仲良くせえよ!』っていうので終わるみたいな(笑)。

(宇多丸)あー、ちゃんと握手させる。

(ダース)結構バトルでガチガチ言った後も、まあそんなこと言っても仲良くしろよ!っていうくだりが毎回あるみたいな。

(宇多丸)前のね、それこそ大人も参加しての初期MCバトルなんか、特にすごい険悪な空気になったりとか、全然ありましたからね。

(ダース)あとでお友達に囲まれるみたいな・・・

(宇多丸)(笑)。まあ、それもヒップホップシーンらしさではあるんだが、そういうんじゃないというね、ことでございます。

(ダース)そうですね。ここらへんも、高校生らしさっていうのもキープしつつ、試合が始まったら逆にノーリミットで、ぶっかましてください!みたいな。その8小節ずつ出すのは、毎回DJ KEN-BOさんが努めてもらってるんですけど。僕のレフェリーっていう役は実は何なんだ?っていうと・・・

(宇多丸)そうだね。審査員は別にいるわけだからね。

(ダース)あの、ほぼ役は無く。『ジャンケンお願いします』と、『DJ KEN-BO bring the beat!』、あとは『Let’s Judge!』。この3つをね、ソツなくこなすっていうのが僕の役割ですけど。

(宇多丸)でも、場の空気が一応まとまった感じになるというか。

(ダース)そうですね。あとは楽屋での高校生のメンタルの面倒をみるとか(笑)。待ち時間結構あるんで、その間僕とHIDADDYっていう大阪のラッパー2人で、ずっとラップさせるとかね。『なに?最近彼女できたの?』とか、そういうのを聞いてあげるみたいな。

(宇多丸)へー!すごいね!とにかくじゃあちょっと、試合の雰囲気も含めて聞いてもらいましょう!

(ダース)いまのルールで行われた試合。まずは第一回目の大会の決勝戦です。で、やっぱりやってみないとわかんないってさっき言ったんですけども、この決勝戦を見ることによって、これイケる!この企画、来ちゃったよ!っていう。その場にいる全員が、やべー!キター!って思ったような。いわゆるMCバトルに求めるぶつかり合い、そして決勝。それまでのドラマ背負ってきて、出しきった感。そして、買った負けたが出た後に讃え合うみたいなね。そこらへんのポイントが全部揃った。

(宇多丸)即興だしさ、バトルだから毎回毎回一定のクオリティがあるようなもんじゃないじゃない。だからこういうのがたまに来ると・・・キター!っていう。

(ダース)そうなんですよ。狙って出せないものだから、蓋を開けてみて、こんな試合やってくれたか!お前ら、もう最高!みたいな。

(宇多丸)聞かせろ!聞かせろ!早く!

(ダース)これは第一回目の決勝戦。K-九 VS LIL MAN。聞いてください!

K-九 VS LIL MAN



(ダース)終了です。

(宇多丸)おー!はいはい。これ、だから周りの空気も、やってる側も、ドライブしていく感じ。

(ダース)そうなんですよ。巻き込んでってる感っていうか。さっき説明忘れたんですけど、この2人は川崎の先輩後輩なんですね。

(宇多丸)あ、リリックの中でね、何度か『先輩後輩関係ない』っつってね。

(ダース)K-九が1個上の先輩ですね。

(宇多丸)はいはい。その力関係も微妙にありつつの言い返してくのもそうだし。でも、『スキルも歳も1個下』とかね。上手いこと言うじゃねーか!みたいなのと・・・

(ダース)そうなんですよ。で、『1個下』の後、地味に『やってんのか?お前、引越屋』っていうね(笑)。で、『俺らで回そう 日本の経済』みたいなね。

(宇多丸)ああ、そこパンチラインでしたね。

(ダース)スケール、でけえな!みたいなね。

(宇多丸)いや、でもおじさん感心しちゃいます。フリースタイル。

(ダース)これ、即興でその場でやってるんですよ。

(宇多丸)その場で。みなさんね、僕が2・3週間考えたのよりいい感じが出てくるっていう。

(ダース)(笑)。これはね、K-九が勝者で。第一回大会のチャンピオンになるというね。

(宇多丸)ああ、そうですか。審査員のあれとか。たとえば『Street Dreams』、ジブさんの代表曲を織り込んだりとか、そういうところも効いてたりしてね。はい。



(ダース)で、結構これも一回戦の時のK-九よりも決勝の時のK-九が上手くなってるっていうね。

(宇多丸)あ、そういうのあるね。大会だとそれが楽しいのね。

(ダース)そうなんですよ。見る度にちょっとずつ上手くなってて、決勝である種の到達したみたいな。こう、ゴールイン!っていう感じがすごい出てて。

(宇多丸)特にこれ、一回目大会だから、なんとなくみんな探りあい。試合やりながら探りあいが、ここに到達した感がグッと来るのは、すごい想像つきましたね。はい。

(ダース)さっきちょっとね、2本って言ったんですけど、決勝だけ3本でやってるんですね。なんでいまのは3本勝負。

(宇多丸)ちょっと長かった。でも、長く聞きたいよ。もっと聞きたいもんね。

(ダース)このやりとりだけで、全然メシ食えますみたいな感じがありましたけど。

(宇多丸)これが第一回決勝戦。

(ダース)まだ試合はいっぱいあるんで。続いてはね、現在三回目まで行われてるんですけど、三回大会を行った中で、僕が思う最もハイレベルなスキルの応酬ではないかと思われる試合を紹介します。これ、実際この試合のレベルが高すぎて、四回目以降の応募にハードルが上がっちゃったみたいな・・・

(宇多丸)へー!みんなこれ見て、これはできねーや・・・みたいになっちゃった。

(ダース)高校生に聞いたら、やっぱりこの試合には勝てる気しないみたいな。結構そういった、一種の壁と成りうる試合になっちゃったかなと。だから、気持ち・バイブスで挑みます!みたいなのをパコーン!と寄せ付けないぐらいの。

(宇多丸)やっぱり当然そういうのもあるわけだもんね。気持ちだけでいっちゃってるのもあるけど。

(ダース)高校生ですから、気持ちだけで来るヤツもいるんですけど、寄せ付けないやつがベストバウトその2で。現時点で最もハイレベルな試合。HIYADAM VS RACK。第三回大会からお届けします。どうぞ!

HIYADAM VS RACK



(宇多丸)すごい!

(ダース)すごいですよね。

(宇多丸)スタイルの違いのぶつかりでもあるのが、いいね!これね。

(ダース)ちゃんとやりとりになってるんですね。

(宇多丸)そうだね。ちょっと解説をお願いしますよ。

(ダース)この試合、実はこの後、延長にもつれ込んでですね。(※タマフルでは延長線はOAされませんでした)

(宇多丸)あ、そうなの?引き分けだったんだ。

(ダース)そうなんですよ。実際ジャッジの数は奇数なんですが、審査委員長のジブラの『いや、これはもう一回見たいっしょ?』で、もう一回、延長に。

(宇多丸)(笑)。ジブ裁きが!大岡裁きならぬ。

(ダース)ジブ裁きが出て、延長になるぐらいの、甲乙つけがたい感っていうかね。

(宇多丸)この先攻のRACKくんの、日本語を割と明瞭に発音しつつ早口で押し込んでいくのと、HIYADAMくんのちょっとなんて言うのかな?フロウで聞かせるというか。語尾のあの感じとか・・・

(ダース)やっぱりあの、MCバトルって観客判定のみで行う場合が多いんですけど、ジャッジ制を導入することによって、HIYADAMのリズム感とかに、『おいおいおい・・・そんなヤツ、今のうちに芽つぶしておくか?』ぐらいのリズム感だったり、あと発声の安定の仕方とか。そんなに力んでないけど、ちゃんと通るみたいなね。

(宇多丸)いや、すげーかっこいい。あと、そんなに詰め込んでくるなら俺も早口入れるぜってやった時の、そこでまた独創的なフロウできちゃうわけ!?みたいな。

(ダース)そうですね。で、『チョモランマ』までやってからの『立ちはだかる』でちゃんと意味がつながるみたいなね。ちなみに、RACKのスタイルっていうのは今、大人のMCバトルで有名なUMBっていう大会の現時点のチャンピオンのR指定っていう大阪のラッパーがいて。これまたとんでもない天才なんですけども、そのR指定のスタイルをRACK的に取り入れているっていうのがかなりあって。



(宇多丸)リリックの中で『R指定が・・・』みたいなの、言ってたよね。

(ダース)それをHIYADAMが結構最初に指摘してるっていうね。そういうやりとりがフリースタイル、その場で。

(宇多丸)R指定だってちょっと前まで10代でね。童貞だったくせに!くそー。

(ダース)童貞はまだ童貞かもしれないですけど。

(宇多丸)いや、でもすごい。

(ダース)これはちなみに三回大会。発表されてるんですけど、HIYADAMがチャンピオンになりますね。この後。

(宇多丸)あ、そうなんだ。フロウ重視派だけどちゃんと聞き取りやすいし、意味も通ってるし、すごいなー!

(ダース)フリースタイルをちゃんとやってますよね。その場でのアンサーをしてるから。

(宇多丸)やだねー!やだねー!

(ダース)ちなみにですね、聞いてくださいよ。HIYADAM16歳。RACKも16歳。2人とも16歳で。で、この間、HIYADAMと話てたら、『いやー、ダースさん36なんすよね?ウチの母親と同い年です』って言われましたね(笑)。

(宇多丸)ああ、そう!

(ダース)ショック感、結構・・・

(宇多丸)まあまあ、でもそんぐらいになるんじゃない?

(ダース)ズシーン!って感じでしたね。

(宇多丸)俺なんて全然・・・お母さんでさえ年下だもん。孫ですよ、孫。もう。いやいや、すげーすげー。でもさ、それいいじゃない。少しずつ種まいてきたのが、こういうのが普通にできるってね。

(ダース)16でこんなラップできるヤツって、いました?みたいな話ですよ。

(宇多丸)いるわけない。いるわけない。いるわけない。すごい!

(ダース)これがまあ、レベルの高さだけで言ったらいちばん上なんですけども。

(宇多丸)こういうスキルの面白さだけじゃないところが、またあるんですね。

(ダース)高校生のラッパーたちなんで、それぞれのスタンスで挑戦してて。毎回大会には1人ずつぐらいね、女の子にも挑戦してもらってるんですけども。第三回大会でも、女の子に挑戦してもらっていて。次の試合は女の子のラッパーと、全大会、1・2・3回全部出ていて、大会を通じて人気者になっていったラッパーがいて。しかも彼は、いわゆる女子を下ネタとかでいじくったりするスタンスのヤツがぶつかっちゃって・・・みたいなね。女の子の方は青森出身の、ボクシング部の女子っていうね、『ミリオンダラー・ベイビー』的な女子で。すごい気は強いけども、青森的な純朴さもある。

(宇多丸)うんうんうん。

(ダース)対する下ネタラッパーの方は、もう出てくるだけでみんななんか期待しちゃう。面白いこと言うんじゃねーの?みたいな感じで期待されちゃうような、そういうキャラ対決というか。

(宇多丸)いいねいいね!

(ダース)それも聞いてもらいたいと思うんですけども。ベストバウトその3は女の子ラッパー対大会屈指の人気者ラッパー、MYIYU VS MC妖精。聞いてください。

MYIYU VS MC妖精



(宇多丸)あの、僕あの場面を思い出しました。『SRサイタマノラッパー2』で、『女の子になんてこと言ってるんだ、オメー!』って怒られる場面、あったじゃないですか?『テメー、女の子になんて酷いこと言ってるんだ!』(笑)。



(ダース)これはね、まあ・・・女子と対決する場面で男子がとる・・・

(宇多丸)とるべき言動の中の最低の・・・(笑)。

(ダース)最低の言動。全年齢対象での最低レベルの。を出したな、みたいなね。

(宇多丸)(爆笑)。なんか、いいですよ。微妙にもう韻も踏んでいないところとかも含めて(笑)。たまんないものがありますね。

(ダース)お互いもう、そこをかなぐり捨てちゃったみたいなね。MYIYUちゃんの2本目とかもね、女の子そんなこと言っちゃダメです!みたいな。『アオカン』って。

(宇多丸)いやでも、アオカンよかったよ。キマってたよ。

(ダース)アオカンよかったよって(笑)。

(宇多丸)(笑)。あそこはパンチラインとして、キレイにハマってたよ。妖精は・・・

(ダース)『経験人数に入れるのが恥だ』みたいなね。酷いですよ。これ。

(宇多丸)俺、『アオカン』から『経験人数』っていうから、『カウント』とかそっちの方に行くのかな?と思ったら、行かねーのかって。別に行かねーんだっていう(笑)。まあ、それがよかったけど。

(ダース)これ、ちなみにですね、一応宇多さん初代B BOY PARK MCバトルの司会として、勝敗、ジャッジだったらどっちだと思います?

(宇多丸)ええー?でも、ちゃんとパンチラインとして、ラップとしてですよ、ちゃんとハマってたのはMYIYUちゃんの方じゃないのかな?

(ダース)じゃあ、旗を上げるとしたらMYIYUちゃん?

(宇多丸)あえて言えばねー。あと、妖精が後攻だよね?順番的にも妖精が受けやすいじゃん。これ。だから逆だったらどうなったのか、ちょっと知りたいね。うん。妖精をだから後攻にしたのが間違いだよね。

(ダース)まあそれはジャンケンなんでね。間違いですけど。ジャンケンがそもそも間違いだった(笑)。

(宇多丸)だから、俺審査員で、『いや、妖精が後攻っていうのはちょっと、なくね?』みたいな(笑)。もう一回・・・

(ダース)ジブ裁きならぬ、宇多裁きが出る・・・もうちょっと、見たかった!みたいなね。

(宇多丸)でも、高校生っていうのがやっぱりいいな。なんかさ、イヤな感じしないよ。イヤな感じだけど(笑)。

(ダース)ギリギリですよね。高校生だから、アリじゃん?みたいな。

(宇多丸)だからこれ、学園祭でやったら先生が怒って止めに来るとかさ。そういう素晴らしい光景が。人生で一度は見たい、そういう光景が。

(ダース)まあ、MC妖精はその後、女子軍団に相当詰められるっていう光景は浮かびますよね。『アンタ、MYIYUちゃんになんてこと言うの!』みたいな。委員長的な子にやられるみたいなね。実際はね、妖精が勝っちゃってるんですね。

(宇多丸)まあ、ロックしてる感じがあるからね。やっぱりね。いやー、面白かった面白かった。妖精の他の戦いも聞きたいわ。やっぱり。

(ダース)そうですね。こういう路線なんで。こいつはね。

(宇多丸)僕も一時期、下ネタしかラップしない!って決めた時期があったんでね。シンパシー感じます。はい。

(ダース)でね、高校生でもいろんなキャラクターに挑戦してもらっている中で、次の試合も特濃キャラ対決ということでね。さらに濃い2人なんですけども。もう名前言っちゃいますけど、ニガリくんっていう、a.k.a 赤い稲妻っていうラッパーがいるんですけども。

(宇多丸)かっこいい。

(ダース)かっこいいって言いましたね?で、あのオーディションに来てたんですけども、『a.k.a 赤い稲妻です!』って全身茶色だったんです。

(宇多丸)いいじゃない(笑)。

(ダース)長野県出身で、そのオーディションに来る時が人生で初めて電車に乗ったっていう。で、電車の乗り方がわからないせいで、ホームで何本か見送りましたっていう。

(宇多丸)マッ!?

(ダース)そういうところから来たっていう。

(宇多丸)いま、『マッ』で止めちゃいました。マジで!?

(ダース)いやいや、本当なんですよ。オーディションも、あまりにもぶっ飛んでて、あいつどうだったんだっけ?って。良かったっけ?みたいな感じになって、もうちょっと話聞いてみようよ!ってなって。で、帰ったと思ってたんですけど、呼び寄せたら、電車に乗れてなくて、まだ近くにいたっていう(笑)。で、すぐ戻ってきてもらった、みたいな。

(宇多丸)どういうこと?ちょっと。

(ダース)そういう、MC☆ニガリ。オーディションの時は全身茶色で、それを指摘したら、本番は赤で来ましたね。本番は赤で来たんですけど、靴の色はちょっと違ったみたいな。

(宇多丸)まあまあまあまあ。

(ダース)と、対決するのがGOMESSっていうラッパーで。GOMESSはずっと自閉症で、中学時代はほとんど引きこもりで過ごしていて。それがね、ライムスターの曲を聞いたことによって、『ラップ、いい!』みたいな。

(宇多丸)これね、話聞きましたよ。

(ダース)あ、聞きました?それで、ラップやってみよう!ってなって、ラップ仲間をネットとかで集めたら、どんどん友達が増えて、それでラップで更生したっていう。すごいラップが世の中の役に立つ実例みたいな。同時に、似たような状況の子にもすごい力を与えている存在で。二回目の大会で、そのスタンスで出てきて決勝まで勝ち進んだラッパーが第三回目、もう人気者になっていて。名前呼ばれただけで、キター!みたいな状況で。要はもう、ニガリみたいな初めて電車に乗るヤツと、ラップで更生したヒーローみたいなのの対決っていうね。

(宇多丸)ちょっと待ってくれよ、これ。どっちも負けてほしくないやつじゃん!

(ダース)そうなんですよ!

(宇多丸)『クライング・フィスト』じゃねーかよ!これ。

(ダース)どっちも応援しちゃいたいんですけども、勝ち残るのは1人みたいな。あと、ニガリが顔もすごい朴訥な顔で。一体どんなラップすんの?コイツ?みたいなのが、会場の人たちもわかんない。

(宇多丸)いやだって・・・想像つかないな。

(ダース)あとは、おじいちゃんと仲がいいみたいな前情報だけが飛び交っているみたいな。

(宇多丸)(笑)。あんまり情報としては役に立たない・・・

(ダース)まあ、そんな朴訥ないい子がどんなラップすんのか?っていうのと、ある種キャラを確立して高校生のある種、光として存在しているのの対決っていうのを聞いていただきたいと思います。お願いします!

MCニガリ a.k.a 赤い稲妻 VS GOMESS



(宇多丸)いやでも、ちゃんと上手いよ。びっくりしたけど。俺。その朴訥っていう情報から入ってさ・・・すごいよ。朴訥じゃねーじゃん!

(ダース)オーディションの時も、こんな感じじゃなかったんですよ。

(宇多丸)(爆笑)。あ、こんなギャングな感じじゃなかった?

(ダース)もう何かいきなりMAXテンションで来ちゃって。

(宇多丸)でも、すげーいい声してるね。

(ダース)そうなんですよ。だからこれ一発で人気者になっちゃって。

(宇多丸)すげーいい感じ。声のその爆発力と破れかぶれな感じがすごい合ってる。合ってる。

(ダース)あと、当時使われていたM.O.Pの『Ante Up』っていうトラックとの相性の良さみたいなね。



(宇多丸)そうだね。M.O.Pっぽい。合う合う合う。

(ダース)バコーン!乗ったみたいな。こういうことが起きちゃうんですね。

(宇多丸)GOMESSくんもやっぱり上手いなー。ちゃんとな。

(ダース)そうなんですけど、ニガリの、初めて電車に乗ったヤツが、いきなりこんなラップするっていう面白さ。

(宇多丸)やっぱりキャラがね、立っちゃうもんね。あと、『ハンパじゃないな』と『アンタじゃないな』、キマったね!これね。面白い!

(ダース)こういうことも起きちゃうんすけども、ちょっとこの試合だけだとGOMESSがややヤラレ役だけなので、最後にね、もう一試合紹介したいなと思うんですけど。実は結構これも高校生で、こういう題材で試合できちゃうんだ!みたいな。テーマ的にもかなり・・・GOMESSはさっきも言ったように自閉症からラップで更生した。そして対するはKay-onっていうラッパーで。彼は在日の3世で、自分がそういったスタンスでずっといろいろな、それこそ差別的なことを受けてきた、とかってことをフリースタイルでしっかりと物語にして語るっていうのが実現しちゃったっていう。高校生でこんなことやられたら、もう職業的に無理です!みたいな。ぐらいのレベルの高いやりとりがフリースタイルで。第二回の決勝戦で実現して。

(宇多丸)これ、話題に・・・俺、これで響いてきましたよ。名前が。

(ダース)だからある種、大会の可能性はまた、示唆する試合で。GOMESSとかもこれで人気者になったっていうのもあるんですけど、高校生ならではの抱えるリアリティっていうのが、ラップを通して伝わってくるっていうね。そういった試合を紹介したいと思います。ベストバウト、最終バウトは在日3世 VS 元ひきこもりの魂のバトル。Kay-on VS GOMESS。聞いてください!

Kay-on VS GOMESS



(宇多丸)すごいね!あの、対話になってるからね。

(ダース)対話になってるんですよね。試合の直前に真木(蔵人)さんが『がんばれー』って、割とサクッと言ってるっていうのも、いいんですけども。それぐらい、決勝に至るまでのドラマもありつつ・・・

(宇多丸)やっぱりさっきの、どっちも負けてほしくねーやつじゃん!っていうさ、やつだもんね。

(ダース)結構背負ってきちゃってるから。『えっ、これジャッジすんの?』って、ジブさん、DABOさん、SIMONにも頑張ってもらいましたが。この結果、Kay-onが第二回目のチャンピオンに。

(宇多丸)いや、上手かった。上手かった。すげー上手い。

(ダース)まあ乗せ方がね、すごいストイックに。いわゆるかっこいいラップっていうのを、ちゃんと高校生にしてつかんでいるみたいな。無理せず、自分の声質を活かした。で、リズム感ちゃんとよくっていう。すごいできたラップを・・・

(宇多丸)いや、どっちもすごいハイレベルだったな。参ったな。

(ダース)そうなんですよね。あのレベルの試合が最近では頻発する事態になってるっていう。

(宇多丸)なるほど!おじさん、泣いちゃうが別の意味になってきちゃいますね。

(ダース)そうなんですよね。あの、荷物まとめます!みたいになりかねないんでね。

(宇多丸)すげーすげー!うんうん。

(ダース)これがもう、いまの現状。高校生の現状はこれぐらいラップできるんだと。

(宇多丸)あとやっぱさ、なかなか俺、バトルの現場行ってないですけど、思い出すのは、やっぱりこの始まる時のワクワク感。もう、ああーー!っていう。来ました。これはもう、MCバトルでしか味わえない。

(ダース)さあ、早く始めろ!早く見せろ!みたいな。

(宇多丸)本当にね、すごいすごい。久々に現場、行きたくなりましたが。ということで、バトルはすごく盛り上がって、レベルも上がっているっていうのはあるけど。これで、このメンツで音源を作ったらどうなるか?っていうのをやってるわけですね。

(ダース)そうなんですね。僕はさっきも言ったように、ヒーローを生み出すっていう意味では、フリースタイルだけだと、どうしてもその・・・

(宇多丸)その場で終わっちゃう。

(ダース)その場で終わっちゃうものだし。即興ラップよりも先のものをちゃんと提示して、その後のキャリアを築いてもらうと。LL Cool Jだって、やっぱりアルバムがブレイクしたってこともあるから、やっぱり10代の人でちゃんと音源を出して。

(宇多丸)次のレベルにやっぱり行ってもらわないと。

(ダース)それを聞いた反応とかがあったり、あるいは参加していない高校生たちに希望になったり、チャンスを与えるようなムーブメントになっていけばなと思って。

(宇多丸)これ、でもちゃんとルート、いろいろやってあげるのは大事で。要は、アメリカのヒップホップもそうですけど、即興のMCバトルで名前をあげた人がそのまま音源でもスターになるって・・・事後的にこの人、バトルで強いですってエミネムみたいなのもあるけど。最初にバトルでアレするっていうのは、なかなかルートができづらいから。ちゃんと音源でね、つながっていくって大事だね。

(ダース)そのバランスをちゃんと取っていきたいなっていうのもあって。特に一回目・二回目のメンツ中心に、高校生ラッパーのコンピを僕とHIDADDYでプロデュースして。この間発売した『HIGH SCHOOL HIGH!』というタイトルのアルバムで。iTunes、あるいは全国のレコードショップで購入いただけるんですが。これもね、いろいろなスタンスの曲が集まって、結構面白いんですけども。ちょっと1曲。せっかくなんで聞いていただきたいなということで。先ほども紹介した第三回、現在のチャンピオンのHIYADAM。HIYADAM、フリースタイルでもあのフロウができてたんで、音源で聞きたいなっていうのはあったんで。HIYADAMの曲、『Prolusion』を聞いていただきたいと思います。どうぞ!

(ダース)ちょっと1ヴァースで失礼しますけど。

(宇多丸)HIYADAMくん、これで16歳。はい、田舎に帰らせていただきまーす。

(ダース)16歳でこんだけの曲も作れるぞって。これが20歳になった時に、いわゆるNasの『Illmatic』を生み出せる土壌を作るっていうのが大事かなと思っていて。


(宇多丸)Nasの『Illmatic』っていうのは、ヒップホップ史上に輝く名盤を。

(ダース)あれが20歳のラッパーがつくっているので。そういった土壌を10代のうちに築くためには、音源の方もがんばってほしい。このコンピ自体には、参加者全員によるマイクリレーだったり、それぞれのソロ曲が収録されていて。そういった聞きどころも。あとはまあ、歌詞をね、高校生が、さっきMC妖精のね、下ネタしか書かないっていうけど、彼の曲は『自家発電』っていう、オナニーの顛末だけを歌っている曲とか。

(宇多丸)まあでも、リアルですもんね。

(ダース)それが高校生のリアルだっていうんで。そういうのが入っているんで。これもできればシリーズ化していって、全国の高校生たちが自分たちの才能を世に広める窓口にしてもらえたらなと思って、やっていこうと思ってます。

(宇多丸)すばらしいヒップホップ先生だと思います。ダースくんね、この運動ね。

(ダース)もうね、がんばりますよ!フィードバック!フィードバック!金くれ!

(宇多丸)フィードバックできるようにね(笑)。みなさんも成功してほしいもんでございます。ということで、この曲の入ったコンピレーション『HIGH SCHOOL HIGH!~高校生RAP!!!』はCD、もしくはiTunesで現在買うことができます。そして、大事なことは第四回!


(ダース)第四回が来ます!いまね、さんざん煽ってきたのもこのためです!目の前で行われる、新しい戦いをね。

(宇多丸)リアルタイムで、なにが起こるかわからない場で見てほしいんですよね。みんなに、この興奮ね。

(ダース)もう目の前で、結構人気のあるヤツが敗れていったり。全く予想してなかったヤツがすっごいラインを出したりね。やっぱりMCバトルはどんなにコントロールしてもコントロールできないところが魅力なので。現場で生で体験してもらうのがね。

(宇多丸)スリリングだし、爆笑する瞬間もあるだろうし、泣いちゃう時もあるだろうし。

(ダース)で、やっぱり司会進行上、番組上、小籔一豊さんが行うんですけど、これがまたね、MCバトルの司会にはあるまじき、すごいハイパーお笑いスキルでね。とにかく面白いんですね。

(宇多丸)もう出し物として面白いということで。

(ダース)単純にイベントとしても面白いと思うんですけども。9月21日土曜日ですね、BAZOOKA!!!第四回高校生ラップ選手権@赤坂BLITZ。ここのすぐ近くですね。審査員にはもちろん、ZEEBRA、DABO、SIMONの3人のレギュラー。僕もレフェリーとライブでも参加させていただきます。

(宇多丸)ラップもやっています。ダースレイダー。

(ダース)はい。実はラップもやっているんですけども。このコンピのリレー、高校生を卒業しちゃったヤツらを集めて、コンピの曲をやったりとかもします。あとは、MC漢、SEEDA、D.O、SIMI LABなんかも登場する、9月21日土曜日でございます!

(宇多丸)そして当然、BSスカパー!で本チャンも放送します!見ていただきたいと思います。ということで、高校生ラップ選手権特集でした!ダースレイダー、ありがとう!



(ダース)あざーす!見てね!

<書き起こしおわり>