磯部涼と宇多丸 HIYADAM『Un Deux Trois ft. Kid Milli, YUNHWAY』を語る

磯部涼と宇多丸 HIYADAM『Un Deux Trois ft. Kid Milli, YUNHWAY』を語る アフター6ジャンクション

音楽ライターの磯部涼さんがTBSラジオ『アフター6ジャンクション』に出演。宇多丸さん、宇内梨沙さんにHIYADAM『Un Deux Trois ft. Kid Milli, YUNHWAY』を紹介していました。

(磯部涼)じゃあ次はHIYADAM feat. Kid Milli, YUNHWAYで『Un Deux Trois』です。

HIYADAM feat. Kid Milli, YUNHWAY『Un Deux Trois』

(宇多丸)はい。HIYADAMで『Un Deux Trois ft. Kid Milli, YUNHWAY』。これはどういう座組なんですか? HIYADAMくんは高校生ラップ選手権で……。

(磯部涼)第三回高校生ラップ選手権で優勝をして注目をされたっていう感じだったんですけども。この曲で一緒にやっているKid MilliとYUNHWAYは韓国のラッパーだったりシンガーだったりするんですけども。

(磯部涼)で、この曲はHIYADAMがこの前に出した『Antwerp Juggle』というアルバムに入っているんですけども。そのアルバムの中では韓国のプロデューサーが参加していたりとか。割とだから、グローバルなつくり方。あるいは東アジア、日韓とか……このアルバムはいろんな面のあるアルバムですけども、そういう側面もあるのかなっていう気がしていて。そういうつくり方っていまのムードを象徴しているような気もするんですよね。

HIYADAM『Antwerp Juggle』

(宇多丸)うんうん。

(磯部涼)まあ、政治的なことで言えばいろいろと「日韓の関係が……」とかっていうような一方で、文化的にはいろいろと融合しているところもあったりするわけですけども。

(宇多丸)うん。若い子の感覚だと、特にもっとね。

(磯部涼)で、たとえばヒップホップ以降の音楽でいうと88rising……この番組でもやっていましたけども。あれはアメリカのアジア系移民っていう存在をレプリゼントしていると思うんですけども。日本だと、stillichimiyaのYoung-Gがタイのヒップホップとつながっていたりとか。あとは今度、ラッパーのD.O.が捕まっちゃうにあたって自伝が出るんですけども。その中の終わりの方ではマレーシアやタイのヒップホップシーンとの関わりだったりとか。

やっぱりヒップホップっていうのが自分の国だったり環境をレプリゼントするっていう一方で、どんどん繋がり始めてるっていうところがあると思うんですよね。で、それがまた欧米っていうよりはアジアの中で……東南アジアだったり東アジアの中で繋がってるっていういまの現象が面白いなって思って。HIYADAMのアルバムはそのひとつだなって。いわゆる「日本語ラップ」っていう視座とはまたちょっと違った、エイジアンラップと言ってもいいようなものかなと。

(宇多丸)そこの垣根もたぶんね、ひょっとしたら曖昧になっているのかもしれないし。でも、その中でたぶんね、このアジアンミュージックジャンクションみたいな流れでやっていると、グローバル化しつつもじゃあ、その自分の国としてどうするんだ? みたいな。その両方の動きがあったりするけどね。

(磯部涼)グローバル化するからその政治的なものから解放されるっていうこととも全然違っているし。その両方があるからこそ、そのせめぎあいみたいなものも生まれるという。

(宇多丸)あとは表現そのものもさ、グローバル化を完全にしちゃうと、じゃあ日本のこれなの? みたいになってきて。じゃあ、今度はこっちに振れる時もあるかもしれないし。そこは面白い揺り返しだったりもするんだけども。

(磯部涼)そのへんの現象はちょっと見ていきたいなと思います。

<書き起こしおわり>

タイトルとURLをコピーしました