能町みね子さんがTBSラジオ『ナイツのちゃきちゃき大放送』にゲスト出演。日馬富士が引退、書類送検された貴ノ岩暴行問題についてトーク。貴乃花親方の意図や思想的な危うさについて話していました。
(土屋伸之)さあ、いかがでしょう? 能町さん、気になったニュースは?
(能町みね子)まあ、とりあえず貴乃花親方の話から行きましょうかね。まあ、前回(1ヶ月前の放送)で私、「貴乃花親方はちょっと危ないな」っていう話をしていまして。まず、日馬富士事件を追うと、日馬富士が(貴ノ岩を)殴りました。これは間違いない。書類送検もされたということで、一旦これは解決ではないけども、一段落ついた。週刊誌によっては、実際にその現場にいた白鵬はどうなんだ? 鶴竜はどうなんだ?っていう話はありますけども、それこそ警察に任せるべきで。それはちゃんと(事情を)聴取してもらって万が一共犯だということがあったら、それはそれなりに処分しなければいけないし。
(土屋伸之)そうですね。
(能町みね子)っていうことはあると思うんです。それとは別件で、じゃあ貴乃花親方はいま、なにを求めているのか? がだんだんよくわからなくなってきたんですよね。日馬富士は逮捕されて、もう引退までして責任を取ったわけですし。ってなると、まあ別に貴ノ岩は極力復帰した方がいいわけなんですけど。いまのところ、出ている診断書によると、幸い軽傷だったわけですよね。(全治)2週間ということで。ということは、いま巡業を休んでいるのも、ちゃんとした理由がないわけですよ。「騒動になるから」「他の力士に迷惑をかけるから」っていう理由で休むんだったら、それはそれで言いようがあるし。その次の初場所に関しては、もはやもう休む理由はないと思うんですけど、でも親方はかなり早い段階で「次の場所も休ませます」って言っちゃっている。
(塙宣之)うんうん。
(能町みね子)こうなってくると、守っているどころか、親方は弟子のことをどう思っているんだ?っていう疑問が出てきて。「復帰させる気はないのか?」っていう。
(土屋伸之)本当に貴ノ岩のためなのか?っていう。
(能町みね子)ためなのか?って不安になってくるんですけど。ここで昨日かな? 週刊朝日かなんかで貴乃花親方が後援者に送った手紙というのが出てきたんです。これがちょっととんでもない代物で。まあ以前から私がちょっと危惧してきたことが明らかに書いてあって。ちょっとだけ抜粋しますと相撲協会に対して「陛下のお言葉をこの胸に国体を担う団体」ということを言うわけですね。あるいは、「国士として力人として陛下の御守護をいたすこと力士そこに天命ありと心得ております」っていう。ちょっともう、大日本帝国みたいな感じになっていて、軍隊とか、昭和の戦中のような文章になっていて。
貴乃花親方の手紙
(出水麻衣)そうですね。
(能町みね子)これは……まあ、個人の考えとしてこう思っている分には責めようがないですけど、これを弟子を預かる親方がこういうことを言っているってなると、弟子にも当然影響するわけですよね。で、実際にもう影響を受けているんです。はっきり言って。弟子の、名前までは出さないでおきますけど、割と有望な子がTwitterをやっていて、いまはいろいろとあってTwitterには鍵がかかっていて見えないようになっているんですけど。その子が、いわゆる旭日旗。戦時中に使っていたようなものを掲げながら、「日本人として……」みたいなことを言ったり。割と、かなり極右に近い思想のツイートをリツイートしていたりして。
(土屋伸之)なるほど。
(能町みね子)結構以前からファンに「そういうのは止めた方がいいんじゃないか?」って相当言われていて。それを私はすごい危惧していたんですよ。そういう時、こういうことが起こってしまったので、なおさら……。
(塙宣之)そういうのがあったんだ……。
(土屋伸之)いま、この時期に出す文章がそれだったということで。
(能町みね子)これだということで。だから貴乃花がいま、古い相撲協会に立ち向かっているヒーローみたいな感じで報道されることがたまにあるんですけど、「ちょっと待って」って思うんですね。
(土屋伸之)と、なると、この先貴乃花親方はどういう形で相撲協会を? 相撲協会にこのまま居続けるのか? 相撲に対して、また弟子たちをどうしていきたいんですかね?
(能町みね子)そうなんですよ。こうなってくると、結構民族主義みたいな感じじゃないですか。日本第一みたいな。そうなると、なおさら貴ノ岩ってモンゴル出身だから、果たしてどう思っているの?っていうのがすごく不安になってくる。
(塙宣之)貴ノ岩も居づらくなっちゃいますもんね。
(土屋伸之)本当にだから貴ノ岩を守っている人は誰なのか? 守ってあげる人がこの先にいるのか? モンゴルに戻ってもいま、大変だっていう風にも聞きますし。
(能町みね子)大変なんじゃないかという風にも言われてますし。そのへんはすごく私は心配していて。だからこそ、ずーっと黙っていないで、もうそろそろ何かをちゃんと発信してくれないと、貴ノ岩ファンも不安ですし。なんか純粋に守っているとは言えない状態になってきたんじゃないか?っていうのを私はすごい危惧していますね。
(塙宣之)もうそろそろちょっとね……だからいつまでって言っていたんですっけ? 20日?
(能町みね子)なんか20日に理事会だったかがあるので、そこで何かが起こるんじゃないかとは言われていますけども。まあ、鏡山親方という方が何回も訪問して手紙を届けたりしているのがちょっとコミカルに伝わっていますけども。まあ、「パフォーマンスじゃないか」とか言われていますけども。でも、「文書で出せ」って言われているから愚直に行ったし。「内容証明でもよかったんじゃないか?」って言っている人もいますけど。まあ、とにかく連絡が取れないのでね。そればっかりは、いろんな手段で連絡を取らないといけないので、たぶん協会も本当に手詰まりだと思うんですよね。っていう、結構深刻な状況じゃないかと私は思っているんですよね。
(塙宣之)だから信念を貫き通す人だし。これまでは「僕、しゃべりません」って決めたから。逆にそれ以降、めちゃくちゃにしゃべるかもしれないですよ。「はい、どうもー! はいー!」って。
(土屋伸之)そのテンションはわからないけどね(笑)。
(能町みね子)まあ、もともとそんなしゃべれない人ですからね(笑)。
(塙宣之)「あ、今回の件ですよね? マサル氏ともね、話してきたんですけども……」って。
(土屋伸之)いやいやいや、急にそんなさ、東国原さんみたいな感じでいろんな番組に出始めてもあれだけど。たとえば、この騒動をいったん落ち着かせるために、相撲協会は「もう貴ノ岩、いいよ」って。
(塙宣之)だから1回、(番付を)下げないでそのままにしておくとかね。ケガしているからしょうがないから……みたいなね。
(土屋伸之)「地検のやつも全部終わってから、精神的にも全部終わってから戻ってくればいいよ。番付も下げないよ」って言っちゃえばいいかなって思ったんですけど。
(能町みね子)まあその手段はあると思うんですけど……本人の意見が全く聞けていない状態で。
(出水麻衣)勝手に判断はできないですからね。
(能町みね子)そうなんですよ。それをせき止めているのが貴乃花親方なので。やっぱり、本人がどういう状況かを聞かないと、さすがになんてことなくてピンピンしているのにずっと休場をさせるというのも他の力士に不公平だし。なんらかの診断書なり、状況なりは説明してもらわないと。さすがにそこまで忖度してあげるっていうのもちょっとどうかなとも思うし。
(塙宣之)どこにいるのかわかんないっていうのが、すごいよね。
(出水麻衣)記者の方もたぶん昼夜問わず張っているとは思うので。どこかから……移動とかはわかるはずのところを出てこないっていうね。
(能町みね子)まあ、噂によると九州の宿舎は裏口があるっていう話ですよ。九州の宿舎は裏から出たんじゃないか?っていう説を聞きました。あと、「白鵬かならず殺す」っていう殺人予告もありましたけど。これ、本当にひどい話なんですけど、まあ冗談にしちゃいけないんですけど……殺せないだろ?って思いましたね。
(出水麻衣)フフフ(笑)。
(土屋伸之)いやいや、タイマンで……っていうことかはわからないですけどね。うん。
(能町みね子)「誰相手に言ってるんだ?」って。
(塙宣之)いや、たぶん序二段とかもで殺せないと思う。毎日鍛えてますからね。
(能町みね子)政治家の方とかにこういう脅迫状が行くこともありますけど。政治家ならまだしも、白鵬相手に何を言ってるんだ?っていう。
(塙宣之)一発カチアゲされて終わりですよ。
(能町みね子)そう。終わりですよ。
<書き起こしおわり>