社会学者の金田淳子さんとお菓子研究家の福田里香さんがTBSラジオ『タマフル』でボーイズラブを特集。特集の最後に初心者向けのBL作品を計5作品、紹介していました。
(宇多丸)ということで、この番組でもアイドル特集をやったりとか、ア↑コガレ特集をやったりとか、さっきの『大脱出』評でもそうですけど、『あ、そういうのに置き換えれば俺もわかるかも』っていう人も結構いると思うんです。とはいえ、ジャンルとしてのボーイズラブ、どんなもんなのか?と。差し当たって読んでみたい。マンガ好きの人も多いでしょうから。ボーイズラブに興味を持っていただいたリスナーの方に、オススメ作品あったら。
(金田淳子)じゃあ私からいいですか?話にも少し出てきましたが、BL作家出身でBLを描きつつ一般作品でも非常に評価の高い作家さん。雲田はるこさんっていう方がいらっしゃいまして。この前、一般作品である『昭和元禄落語心中』っていうのが文部科学省メディア芸術祭マンガ部門優秀賞というのを受賞した作品です。この方はずーっとBLも描いてらっしゃって、いろいろ。『野ばら』とか『新宿ラッキーホール』とかあるんですけど。BE×BOYさんと同じ版元の『いとしの猫っ毛』っていうのを。非常にかわいらしい、下宿先で・・・
(宇多丸)表紙はね、穏当な感じですよ。
(金田淳子)とても絵がかわいらしくって。同い年の2人が高校生時代からずっと付き合っている2人が、初体験をどう迎えるのかな?って甘酸っぱい感じの作品。素晴らしい。かわいらしいです。
(宇多丸)まあ、じゃあこれはロマンチックなというか。
(金田淳子)そうですね。
(福田里香)幼なじみ。
(金田淳子)そう!幼なじみ!
(福田里香)一つ屋根の下。
(金田淳子)そう!遠恋。
(宇多丸)さっきから単語しか言ってないですよ!福田先生、単語しか言ってない!
(金田淳子)で、これは軽めというか。誰でも読んで大丈夫なんですけど。こんな軽めのものじゃ。俺は初見からガツン!と行きたい。もうね、ピーチにバナナが3本くらい入っているやつがいいっていう方には、ルネッサンス吉田先生。こちらの、茜新社という版元から出ている『茜新地花屋散華』っていうのを。難しいタイトルなんですけど、『ルネッサンス吉田』でググってもらえればわかると思います。こちらが、もうかなり痛々しいことがずっと起きる。
(宇多丸)ちょっと絵面、見ちゃダメですか?
(金田淳子)絵面、すごいと思いますよ。はい。
(宇多丸)どうだろう?あ、もうぼろぼろなんですけど。
(金田淳子)あ、これちょっと続編の方なんですけど。
(宇多丸)青年がすでに、もう。
(金田淳子)シャンパンが菊の穴に入ってシュワシュワしますねっていうのが素晴らしいんですよ。
(宇多丸)あー。でもバイオレント描写が結構すごいですね。普通にね。
(金田淳子)そうですね。こういうのもあります。
(宇多丸)はいはいはい。ハードコアなのに・・・あ、やってますね!やってますね!
(金田淳子)やってますやってます。これもう日常的な感じで。
(宇多丸)このへんはまだおとなしいファックということで。はい、わかりました。ルネッサンス吉田さん。ハードコアな人は行ってください。福田先生、オススメありましたら。
(福田里香)ええとですね、ギャグっていうことで一冊持ってきました。ミキマキ先生の『少年よ耽美を描け』。これは向かうところ敵なしの金持ちイケメンの高校生が、初めて女の子にふられるんですよ。で、理由が『あなたよりもBLマンガの方が好きだから』っていう。それで一念発起して、無茶ぶりでBLを描こうとするんですね。なので、視点が客観視されているので、男子が読んでもどういう風に感情が動くのか?っていう。
(宇多丸)あー、これ入門編っていう感じですね。
(福田里香)で、すごく笑えるし。
(金田淳子)4コマ漫画でわかりやすいです。
(福田里香)出てくる人たちがボーイズラブの記号的な人なんですよ。メガネの生徒会長、かわいい子、それからイケメンで金持ち、それとそれのライバルみたいな4人が出てきて。
(宇多丸)わかりやすい配置になっている。
(福田里香)まあ、そこでぜんぜん恋が起こらなくて無駄にみんなでBLを描こうとするっていう。
(金田淳子)BLを学んでいるだけ(笑)。
(福田里香)それなんで、よかったらこちらがね、新書館さんから出てるんですけど、サイトに行くと1話の試し読みができるので。いま、6巻まで出てて、タマフルに非常にやさしい紀伊國屋書店さんのアドホック店で6巻まで平積みになってました。
(宇多丸)なるほど。試しにちょっと読むことができると。ああそう。これはでも、いいですね。入門編として。
(金田淳子)笑いながらBLを学んでいくことができますよ。
(福田里香)それとですね、もう一冊のオススメがですね、秀良子先生の『年々彩々』なんですね。これがどういうマンガかっていうとですね、落語で『貧乏神』と『寿限無』がありますね。で、それをいわゆる二次創作して。独自のオチをつけたっていう話なんですよ。これがすごいところはですね、貧乏神っていうのは新作落語なんですね。なので、小佐田定雄さんっていう方が書かれたものなんですけど、ちゃんと使用許可をとっているんですよ。
(宇多丸)じゃあ本当、正当の。公式二次創作。
(福田里香)これは結構珍しいけど。まさかですよ、『寿限無寿限無』。普通は大爆笑ですよ。
(宇多丸)っていうか、寿限無寿限無ってBL要素、入れようがあるの?
(金田淳子)あるんですよ!だから関係性をつきつめたらこうなるっていう。
(福田里香)そうなんです。まさかの寿限無寿限無五劫の擦り切れで、大・号・泣!
(金田淳子)本当にね。これは私も泣きました。まさかこんな・・・って。
(宇多丸)おー!へー!
(金田淳子)秀良子さんは非常にストーリーを描くのが巧みな方なんですが。私、いままで読んできた中で実はいちばん好きかもしれません。秀良子さんの作品の中で。
(宇多丸)年々彩々。これ、ちょっと興味持ったな。
(福田里香)これちょっと、男性のリスナーにプレゼント。自腹です。
(宇多丸)福田先生から自腹でプレゼント。
(福田里香)それとですね、ヤマシタトモコ先生の『さんかく窓の外側は夜』っていう。もうすぐ1巻が出るんですけど。これが今月の31日に男子限定の先行読書会っていうのを、まさかのBE×BOYを出しているリブレさんで、リブレさんの編集部の中に入ってそこでやるっていうんですよ。これ、すいません。ソールドアウトなんでダメなんですけども、いまや時代はそうなったと。
(宇多丸)男子限定でもソールドアウトしちゃうぐらい。男性読者も結構いるという。
(福田里香)はい。そうなんですね。これも私、雑誌で読んでいるんですけど、ブロマンス物なんですよ。だからそういうエッチシーンとかがないので、読みやすいと思うので。出たらぜひ。
(宇多丸)でもブロマンス映画みたいなの、アメリカ映画の潮流としてぜんぜんあって。
(金田淳子)あと『シャーロック』ですよね。
(宇多丸)まあそういうあれもありますし。そう考えると、ぜんぜんあるんだよな。元々、潮流としてな。
(金田淳子)言わせてもらえれば、もうあなたたちは既に読んでいるんですよ。読んでいないつもりで。
(宇多丸)要するに映画とかも含めて。既にBL世界入ってるじゃねーかと。BLファンじゃねーかと。『スーパーバッド 童貞ウォーズ』とかね。まさにそういうことだしね。はい、ということで最後にお二人からプレゼントをいただきました・・・
<書き起こしおわり>
家に着きました。ご清聴ありがとうございました。金田さん、最高でした。ぜひ番組に感想をメールしてプレゼントをゲットしてください。宇多丸さんが番組終わりにミキマキ先生の「少年よ 耽美を描け」を読んで声出して笑ってたよ。おすすめです! #utamaru
— 最新刊「フードを包む」・福田里香 (@nerikirikinton) 2014, 1月 18
@namiki_tabo はじめまして。福田です。報告:放送終了後、まだ皆で話してるにも関わらず、宇多丸さんは「少年よ〜」を読み止めず、何度も声出して笑ってました。「BLとか関係なく普通に超おもしろい」って、なので「少年よ耽美を描け」はお持ち帰りいただきました。
— 最新刊「フードを包む」・福田里香 (@nerikirikinton) 2014, 1月 20
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