爆笑問題・太田さんが2024年5月28日放送のTBSラジオ『爆笑問題カーボーイ』の中で玉袋筋太郎さんの著書『美しく枯れる。』について話していました。
(太田光)元々、Aマッソってセンスがあるのわかってるけど。いやー、こうやって(加納は)小説も書けるなんて。やっぱり若いやつはすごいなって思ったのと。で、芸人の本が2冊、事務所に来ていて。1冊がさ、玉袋筋太郎『美しく枯れる。』っていうさ。これもさ、これを読んだらまあ、表紙からして全然違うんだよ! 加納のはさ、なんかすごいおしゃれな絵が書いてあって。で、玉のはもうさ、なんかテキ屋のあんちゃんみたいな。どこでこのシャツを探したんだよ?っていうあいつの写真が載っててさ。『美しく枯れる。』だよ? お前、まだ若いだろう?って。俺より二つぐらい下だからね。玉袋って。
(太田光)それでさ、50代のさ、芸人のさ、ここ数年の玉袋。いろいろと激動だったんだよ。お前、読んだ?
(田中裕二)まだ全部は読んでないけども。半分以上は。
(太田光)それでさ、ここ数年の出来事とともにさ、自分が何を思っていたか、みたいなのが書いてあるんだけども。まあとにかくさ、泣き言ばっかり! 玉! 元気だせ、お前は! もうさ、寂しんだ。わびしいんだよ。で、あいつ、カミさんに逃げられたらしいんだよ。
(田中裕二)俺も知らなかったけどね。そうなのよ。
(太田光)で、博士とうまくいってないだろう? で、たけしさんともなかなか会えなくなっちゃって。「家に帰ると1人でさ。『ただいま』っつっても誰からも『おかえり』の声がない。でも、それは自業自得だ。カミさん、早く帰ってこないかな」なんて、ずっと書いているのよ。情けないったらないんだよ。とにかく、玉。それでさ、弱気なんだよ。あんなさ、若い頃にさ……あんな無鉄砲なやつ、いなかったよ?
(田中裕二)そうですよ。本当に。
(太田光)本当に、どこに行っちゃうかわかんねえようなやつでさ、強気でいっつもさ。でもね、寂しがり屋なのはわかるよ。誰が見たって、あいつは。でさ、「これも全部、自業自得。人は優しくなければならない」なんて書いてあるわけ。お前、どうしたんだ、玉袋、この……。それで「最近じゃあ、唯一の楽しみは孫の顔を見ることだ」なんて。もうさ、泣きそうになっちゃって。「孫の顔を見ることだけだ」って。それであいつ、最近ね、大泉逸郎の『孫』をね、もう何度もリピートして聞いてるんだって! それで「なんでこんなにかわいいのかよー♪」「そうそう! それそれ!」っつって。「あんな名曲はない」って書いてあって。本当にさ……(笑)。
大泉逸郎『孫』を何度もリピート
(太田光)それでいろんなことがあったんだよ。玉袋にもね。だからそれはわかるけどもさ。ほいで、やっぱり浅草キッド、活動休止中だから。いつ活動再開とかっていうのも全然、言えないし。「一番つらいので肩書きとして自分を漫才師って言っていたのが誇りだったけど、それが言えないことだ」って書いてあんだけど。言えばいいじゃねえか、バカ野郎って思うんだよ。だって別に活動休止で解散したわけじゃないんだからさ。「漫才師」って名乗ればいいのにさ。あいつもまたチマチマチマチマ考えてるんだね、あれ。弱気になっちゃって。50代になって急に弱気になっちゃって。なんだよ、あんな無鉄砲だったやつが。で、「漫才師ともう名乗れないのが寂しい」とかっていうんだけども、言えばいいじゃねえかよ。漫才師って。だって70だって80だって、漫才をやろうと思えばできるんだから。博士が生きてる限りね。だから「お前も生きてろよ」って話なんだけど。
ほいで笑っちゃったのがさ、いろんな友達が……あいつ、今スナックをやっているじゃない? そうするとさ、いろんな、エグゼクティブマネージャーとかね、いろいろ肩書きあると。「だけどやっぱり肩書きで生きるのは……肩書きがなくなった時、離れる人間もいて。そこに行くとね、スナックのママっつーのはすごい」って書いてあるのよ。「スナックママは最強。名刺に『ママ』って書いてある。これほど強い肩書きはない!」って。たしかにそうだなって(笑)。
(田中裕二)あれは妙に納得するよね。すごいよね(笑)。
(太田光)で、しまいにはさ、「これまで俺はいろいろ肩ひじを張って生きてきたけれども。浅草キッド最強! 漫才じゃ誰にも負けねえって生きてきたけども、そういう無頼とかじゃなく、これからは人に優しくしたい」って……何を言ってるんだよ、玉袋! お前らしくないよ! 「人に優しく生きていかなきゃいけない」って。で、ここからくだらないのがさ。「これからはやっぱり小さな幸せを見つけて。売れるとか、儲けたいとかじゃないんだ。小さな幸せを見つけて、それで満足しなきゃいけないんだ。50代は。たとえばね、春の初めに微風が吹いて。前に歩いてた女の子のスカートがふわりと揺れて。そこでパンツがチラッと見える。それだけでいいじゃねえか」って、馬鹿野郎!
(田中裕二)小さすぎるだろ!(笑)。
(太田光)「俺はそれだけで満足だ」って書いてるんだよ。何を言ってるんだよ。もう相変わらず、くだらないなっていうので。ちょっと安心したんだけどさ。それを見て。それでね、「最近は50も半ばを過ぎて、もういよいよ60に手が続く。鏡に映るね自分の姿、素っ裸を見るとね、もうとにかく腹だけぽっこり出て、足は細い。もうしわくちゃでね、ケツも垂れちゃって、しわが寄っている。これが自分かと思うと本当にギョッとする」っていうんだけども。「でも、枯れるということ。美しく枯れなきゃいけない」って書いてあるけど。それで、ついちょっと前に銭湯に玉、行ったんだって。それで銭湯の湯船に浸かっていたら「ちょいと、ごめんよ」っつって80ぐらいのジジイが自分の前で股を開いたと。で、それをパッと見た時にね、その自分の至近距離にその80のじいさんの金玉袋があって。それを至近距離でじっと見たらね、そのシワの寄り方、玉袋の筋の寄り方を見て「これだ!」って思ったっていう(笑)。
(田中裕二)「これだ」って(笑)。
(太田光)それがなんでか?っていうとね、「まるで縄文杉に見えた」っつーんだよ。くだらないよ、言っていることが!
(田中裕二)まさに玉袋筋太郎(笑)。
(太田光)「これを目指そうと思った」って、目指すんじゃない、そんなものは! もう情けないよ。「縄文杉だ」って言うんだよ(笑)。「屋久島の縄文杉のように筋が入っていた。俺の筋はまだ足りない」って。玉袋のくせに(笑)。「俺の筋は足らない。やっぱりこういう縄文杉を目指さないと。俺はいずれ、縄文杉のような玉袋を持つ男になりたい」って。もう本当にくだらない!
(田中裕二)すごいねー(笑)。
(太田光)でもそれを読んでいてさ。フランス座の修行時代からずっと、始まって。浅草キッドを組んだのが1988年っつーから、ほとんどもう、そう言いながらも、読んでるとさ、全部俺たちの歴史と重なるんだよね。で、年齢もさ、俺たちとほぼ同世代だよ。博士は上だし、玉は二つ下なんだけど。でもさ、「俺たちは漫才師を目指したけど、できなかったな」っていうことまで全部、重なるわけ。だからさもう何とも言えない……。
(田中裕二)何とも言えないよね。
爆笑問題の歴史とも重なる浅草キッド
(太田光)でも、あれは名作だなと思って俺は読んだけど。だからそう考えるとさ、その間のキャノウ(加納)のやつとさ、玉袋ってさ、二つをやっぱりね、合わせて読んでほしい。その若い世代と、この50を過ぎたクソジジイになっている、泣き言ばっかり言ってる玉袋と。だから加納と玉袋と、これをね、セットで読むと味わい深いもんがあるよ。加納の玉袋みたいな感じで。キャン玉袋みたいな感じでね、読んでほしいなと思いながらね。どっちもだから本当に俺にとってはね、「ああ、いいな」と思いながら読んだんだけどね。偶然俺もね、最近本を出したのよ。『芸人人語』っていうね。加納、玉、褒めたよね! 俺、褒めたよね?
(田中裕二)また始まったよ。かならず始まるんだよ。人の本の話をしだすと全部最後、これになっちゃうんだよね。
(太田光)俺はちゃんと言ったよ? ちゃんと読んで。「いい」って言ったよね? お前、聞いたよね? 証人になってくれるな?
(田中裕二)証人でもなんでもなるけども……。
(太田光)待ってるよ、玉ちゃん! たのむよ、お前?(笑)。
(田中裕二)この作戦、そんなにうまく行ったことがないんだよな。
<書き起こしおわり>