Saku Yanagawa ティモシー・シャラメSNLコント「ハマス」発言の米国内の反応を語る

Saku Yanagawa ティモシー・シャラメSNLコント「ハマス」発言の米国内の反応を語る Podcast

アメリカ・シカゴ在住のコメディアンSaku Yanagawaさんが2023年11月15日配信の『Saku’s Radio from Chicago』の中で『サタデー・ナイト・ライブ』内のコントでティモシー・シャラメが「ハマス」と発言したことに対して「批判が殺到し、炎上している」という日本国内の報道についてトーク。アメリカ国内でのこのコントに対する反応を話していました。

(Saku Yanagawa)では、次のニュースに行ってみましょう。お願いします。

(SAEKO)第1位、ティモシー・シャラメのコントに批判が集まる? 11日に放送された人気コメディ番組『サタデー・ナイト・ライブ』でゲストホストを務めた俳優のティモシー・シャラメが出演したコントで、一部ハマスをネタにした箇所を巡り、批判が巻き起こっているとのことです。

(Saku Yanagawa)というニュース。実は今日はここがメインなんですよ。っていうかさ、それこそ僕のXでね、「これについてしゃべります」ってつぶやいたら、ここが一番反響あったんよ。

(SAEKO)ああ、そう? テイラー・スウィフトとトラヴィス・ケルシーじゃなかったんだ?(笑)。

(Saku Yanagawa)それはつぶやいてへん(笑)。なんで僕、そんなテイラー・スウィフトウォッチャーやねん?(笑)。まあ、そういう芸能ネタっていうか、ティモシー・シャラメに興味がある人とかって、たくさんあるだろうし。でもそれに味をしめて、ティモシー・シャラメとかさ、それこそテイラー・スウィフトとかさ、つぶやきまくっても……人のふんどしで相撲を取るのに慣れるのもよくないよなとはちょっと思うするねんけど。でも、それだけ日本でもティモシー・シャラメって人気があるっていうことやね。最近、日本でも人気みたいですよ? 『君の名前で僕を呼んで』だとか。今、もうハリウッドでもイケイケの俳優ですから。あだ名がプリンス・オブ・ハリウッドですよ。ということで、彼自身はニューヨーク出身の俳優なんだけども。

(SAEKO)紳士なんよね。でも。舞台上で女の人、女優さんがドレス、ちょっと変になった時もサッとカメラの前に、自分が背中を向けて立って。女の子が肩紐を直しているところを……。

(Saku Yanagawa)そんなん、僕でもやりますよ。みんな、やるやろ?

(SAEKO)やらんやろ(笑)。

(Saku Yanagawa)「目配り、気配り、心配り」は高校の監督から習ってきたから。ただ、男子校やからそういうシチュエーションにあんまり慣れてないっていう(笑)。

(SAEKO)でしょう? だからそこで、その場でパッと嫌味なくできるっていうのがね。

(Saku Yanagawa)プリンスやなー。難しいよな。まあ、この話はどうでもよくて。でも、わかる? 冬場とかさ、トイレで……スカートがパンストとかにそのまま入っちゃって、街を歩いている人とかがいて。で、あれとかを僕が教えてあげたら、すごい恥ずかしい思いをさせてしまうなって思うから。横断歩道とかで待っている時とかにおばちゃんとかに「おばちゃん、ちょっと言うたって」ってやったことはあるよ。

(SAEKO)おばちゃんに言ったらそのおばちゃん、でっかい声で「ちょっと! お姉さん! 出てるやないの!」とかって言わへん?

(Saku Yanagawa)そんなステレオティピカルなおばちゃんじゃなくて、淑女に頼んでね(笑)。そんなことはどうでもよくて。まあ、そんなティモシー・シャラメなんですけども。11日の土曜日、『サタデー・ナイト・ライブ』でゲストホスト、司会をしたわけですよ。で、司会をしながらコントにも出演するねんけど。そのコントでね、これが「ハマスをオチにしていると批判が殺到している」っていう日本語記事が結構出てるんですよ。で、これに関して、いろいろと考えていきたいなということなんだけど。まず、アメリカのエンタメ界にいる人間としての客観的な意見をまず、言っておかないといけないと思うんだよね。で、この番組もいろいろさ、「こういう発言でコメディアンが炎上してます」とか、「批判が殺到してます」っていうのとか、紹介してるやんか。そういうのと比べた際に、今回のこのティモシー・シャラメ、まずそんなに批判は殺到してない印象です。

(SAEKO)うん。

別に「批判は殺到」していない

(Saku Yanagawa)まず、そこはちょっと事実として述べておきたいなっていうのがあるんだけど。でも、そもそもまずどんなコントやったのか? どんなスケッチやったのか?っていうのを詳しく見ていきたいなと思うねんけど。まず、このスケッチはそもそもPlease Don’t Destroyっていうコントユニット、スケッチユニットとの共作というか、その人たちが書いて、その人たちも出演しながら、ティモシー・シャラメが出るっていうことなんだけども。で、このスケッチのタイトルが『Jumper』っていうことで、3分26秒のコント。で、どういう内容か?っていうと、簡単に言うとティモシー・シャラメ扮する男性がビルから飛び降りようとしているところを、そのPlease Don’t Destroyの3人のメンバーが発見するわけ。で、「おお、やめろ! やめろ!」って言って。

(SAEKO)ティモシー・シャラメが窓際に立っているのよね。

(Saku Yanagawa)そうそう。「やめろ! 早まるな!」みたいに言うわけ。そしたら「俺はもう、ダメなんだ。俺は音楽をやってるけど、誰も俺の音楽なんかに興味を持ってくれないんだ」「いや、そんなことはない。俺たちが聞くから! 聞かせてくれよ!」って言って。

(SAEKO)なぜかそこにスピーカーがあるのよね(笑)。

(Saku Yanagawa)そうやねん(笑)。で、その自作の曲をティモシーが流してくれるねんけど、それはむちゃむちゃダサいんよ。で、ダサいけど「うん……まあ、ええ曲やな」とかってなって。

(SAEKO)「カエルのような、鳴き声だ」って(笑)。

(Saku Yanagawa)そう。とか言いながら、ちょっと褒めたりなんかして。「じゃあもう1曲、聞かせていいの?」「うん、じゃあ……聞かせてくれ」とかって言って、次の曲もまた同じような曲で。「うん……」とか言いながら。「この曲、君たちはSNSでシェアしてくれるかい?」「それでお前が思いとどまるなら、俺たちはシェアするよ! なんていうバンドなんだい?」「H-A-M-A-S、ハマスっていうんだ」「いや、そんな名前のバンド名、今の時代にシェアできるわけないやろ!」っていう、ちょっとしたオチが入るわけ。でも、一番のオチはどこか?っていうと、それでも全然思いとどまろうとしてくれへんから。「お巡りさん! ちょっと助けて! あの人が……」って言ったらお巡りさんがバーッて逃げていくっていう。

(SAEKO)かかわりたくないっていう。

(Saku Yanagawa)そうそう。っていうコントなんですよ。

Please Don’t Destroy『Jumper – SNL』

(Saku Yanagawa)で、まあたしかに「ハマス」というバンド名だっていうジョークはあったけど。じゃあ、これに対して批判的なコメントって何?っていうと、たとえばティモシー・シャラメ自身のインスタグラムとかには「なんであんなコントをやったんだ。あなたには失望しました」みたいなコメントはワッと来ていたりするし、Twitter(X)とかでも「こんなジョーク、こんなコントは全然笑えないわ。バイ!」みたいのが数件は来てたりするんですよ。

(SAEKO)まあ、プリンスのイメージがあるかちょっと、あれやったんちゃう? キャラとかけ離ていれたとか、そういうのもある?

(Saku Yanagawa)そうかもしれないな。

(SAEKO)でも、ハマスのせいとは限らなくない?

(Saku Yanagawa)そうなんだけども。じゃあ、そもそもこのコント『Jumper』っていうものがハマスをジョークにしてるか?っていうことからまず、考えていきたいんですよ。っていうか、今のこの軍事衝突の犠牲者をジョークにしてるかな?っていう。まあ、まずハマスの名前を言葉として使ったとしても、軍事衝突の犠牲者をジョークにしているようにはあんまり……冷静に、客観的に見た場合、どうなのかな?っていうのがあるなって。

(SAEKO)ああ、名前だけ使ったっていう感じ?

(Saku Yanagawa)要はそれ、どういうことか?っていうと、「そんなバンド名、シェアできひんよ」っていうのの一例で使ってるのがハマスなわけで。まあ、たしかに今のこの時期にそれをわざわざ使うのはどうなのかと思うけど。別にたとえばこれ、「プーチン」でもいいわけよ。「シェアできるバンド名ではない」っていうことで。だから「マンソンファミリー」とかでも別に一緒やん?

(SAEKO)「ビンラディン」とかね。

(Saku Yanagawa)そうそう。さからシリアルキラーの「テッド・バンディ」みたいなのでも。それと一緒なわけですよ。

(SAEKO)じゃあ、タイミングの問題っていうこと?

(Saku Yanagawa)というように感じるし。まあ、別に僕はこれ、擁護しているわけじゃないけど。で、これは日本からも読めるからYouTubeのコメント欄を見てほしいんだけど、「批判が殺到」しているのか?っていうのは皆さんの目で見てほしいかなと思うんですよ。

(SAEKO)少なくともそのYouTubeでは殺到してるイメージはないと。だって結構笑ってる絵文字、多かったもんね。

(Saku Yanagawa)だし、このコントの本当のコンテクストをどこまで見てるのかな?っていう封にも思うし。で、その中であったのは「残念ながらガザで集団自決する人が出てきているなんていうニュースがある中で、そことかけている」っていう意見があったけど……そんなわけないやん? それはこじつけでしかないかなとは思うし。というか、そもそもまずこれに関して、ティモシー・シャラメを批判することのずれというか。この番組って普通にスケッチのライターがいるわけですよね。で、今回の場合はこのPlease Don’t Destroyっていうコントユニットが書いてるんだよね。で、彼とティモシー・シャラメって実は同じ大学なのよ。ニューヨーク大学で。そういう関わりの中で書いてるし。それに対して書かれたものをティモシー・シャラメがどこまで「NO」って言えるのか?っていうのは僕はちょっと、わからない。その状況としては。

(SAEKO)まあ、でもリスナーがどこまで知ってるか。そういうのを考慮してるか、わからないじゃない? やっぱりアクターとして演じた人だから。そこに視線が向くのは仕方ないと思うけどね。

(Saku Yanagawa)そうね。ただ今回、この番組でもあえて批判的な文脈というか、そのもう一段階、踏み込んだ角度でちょっと議論していく必要があるのかなと思うんですけれども。まず1個目。ティモシー自身の出自を考えたいんですよ。彼はお父さんがフランスなんだけど、お母さんがユダヤ系なんだよね。っていうところを考えた上で、自身がユダヤ系という立場から、このコントに出るってことがどういう意味なのか?っていうところを批判するというのは、角度としてあるかなと思うんです。ただ、それもさっきも言ったけど、「このコントに出ない」ということを彼が言うのって、ほぼたぶんできないと思うのよね。そのスケッチの脚本があって、それをキャラクターとして演じるわけだから。ということが1個、あるのかなと思うのと。

もうひとつはやっぱり今のムスリムの状況ですよね。さっきも第3位のニュースで発表したけども。今、アメリカ国内でもヘイトスピーチ、ヘイトクライムっていうのが起こっているわけじゃないですか。その中で、この作品というものを、たとえばわざわざ「ハマス」っていうバンド名にする必要があったのか?っていうことは、議論になるかもしれないよね。別にハマスじゃなくてよくて。さっきみたいなやばい名前だったら何でもよかったわけですよ。オチとして。っていうところがあって。で、たぶん三つ目が一番リアルな角度の批判になると思うんだけど。『サタデー・ナイト・ライブ』という番組。というか、そもそもNBCというテレビ局の姿勢そのものに関わることだと思うけど。

これ、10月7日のね、軍事衝突の開始から1ヶ月以上、経ってるわけやんか。そうやって時事をずっとネタにしてきてる『サタデー・ナイト・ライブ』がこれまで、なんかこの問題に全く触れずに来ていたわけですよ。もちろんこれを笑いにするってことが難しいのはわかるけれども。ここに関して、全く触れないのも逆におかしい部分ではあるわけですよね。ウィークエンドアップデートっていうニュースのコーナーではそこに触れることはあったけれども。どこか、イスラエルへの忖度みたいのが見えるっていうのが言われていたことなわけよ。

で、これは業界としても「イスラエル寄りなのでは?」っていう意見とか、多いわけですよね。やっぱりそのアメリカの国家としての姿勢を……まあ政府としての姿勢もそうだったわけやんか。っていうのをそのまま如実に表してしまっているんじゃないのか? あとはNBC自体がそこに対して慮ったり、忖度してるんじゃないのか?ってことがあったりするわけですよ。やっぱりね、そもそもさ、さっきも言ったけど、ユダヤ系の人たちってコメディでも業界にたくさんいるわけ。だけど別に、そもそも「ユダヤ」でひとくくりにしたり、あとはアメリカのユダヤと世界にいるユダヤっていうのも違うし。あと、その中でも一枚岩ではないじゃないですか。みんなが。あと「ムスリム」とかでくくっても、そういうのは話せないわけですよね。いろんな人がいるわけだから。

だからそういう意味で、100歩譲って、そのハマスのやってる愚かな行為っていうのはたしかにあるわけで。それを批判するっていう文脈は別にいいんじゃないのかなとは思うわけよ。これ、もちろんだってガザで被害に遭ってる人たちのことを別に揶揄はしてないじゃない? このコントは。だから、そこははき違えない方がいいのかなっていうのが僕の意見なんだけど。で、別にでもその上でよ、このコントをちゃんと見て、感情論からじゃなく、思うことがあるんだとすれば、僕はこれを批判する人がいてもめっちゃいいと思うんですよ。それでいいと思うの。

僕も、なんかその(共和党の)ラマスワミみたいに「Wokeなんてクソ喰らえ!」とは思っていないわけ。ただ、怖いことがあるとすればメディアが「批判殺到」とかっていう記事で煽ってビュー数とかを獲得しようとするのがあると、それはもうマッチポンプでしかないから。で、さらにそれをちゃんとコントとかも見ずに、感情論とか、それだけで「失望しました」とか「この作品はあり得ない」っていう風に発信する人がいると怖いなと思うわけ。表現をする人たちからすると。

だからそのPlease Don’t Destroyって別にそういう露悪的なことをやる人たちじゃないわけですよ。しかもそこの回にもそういう意図ってないから。だからティモシー・シャラメも、あとSNLも今回、コメントを発表してないし、そこまでには至らないんだろうなと思うんだけど。でも少なくとも、こういう風にプチ炎上はしているわけですから。

(SAEKO)っていうか、日本の記者が大げさに書いたんじゃないの? やっぱり記事を読んでほしいじゃない?

(Saku Yanagawa)でも、それってすごく危険もはらんでいるなとも思うし。

(SAEKO)でも、こういうのって今回が初めてでもないじゃない? メディアがそうやってちょっとさ、世論を……みたいなのは。この話を聞いて、あの人を思い出してしまった。ええと、お名前を忘れてしまった。『America’s Got Talent』に出た日本人の女性芸人の方……。

(Saku Yanagawa)ゆりやんレトリィバァさん?

(SAEKO)ああ、そうそう。「大爆笑でした」って日本で報じられたやんか? 「審査員も大爆笑」みたいな。でもあれ、失笑じゃないの?ってなるよなさ。

(Saku Yanagawa)はいはい。「海外でこうだった」っていうのは、それこそそのメディアとかで……。

(SAEKO)そのズレ。日本で報じてるのと、こっちで出ているのとでね。

日本の報道と現地の感覚のズレ

(Saku Yanagawa)そう考えると「出羽守」になるのはよくないよね。だから、そのへんは客観的に伝えられるような番組でいたいなとは思うな。ということで、本当に感じ方は人それぞれでいいと思う。怒ってもいいんだけど。

(SAEKO)っていうか、このYouTubeのリンクを見てもらえばいいんじゃないの?

(Saku Yanagawa)そう。見て、何を感じるか?っていうのは皆さんがね。

(SAEKO)コメントセクション、英語がわからんくてもバーッて見てさ。「いやいや、めっちゃ批判っぽいこと書いてるやん」とか思うなら……でも絵文字、めっちゃ見れるわけやんか? 「おもろい!」みたいになっている絵文字とか。

(Saku Yanagawa)だし、別に批判の意見があったとしても、あとは称賛する意見があったとしても、自分の意見を皆さんが持ってくれることの方が大事な気がします。

<書き起こしおわり>

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