町山智浩 TVドラマ『ツイン・ピークス』25年ぶりの続編を語る

町山智浩 TVドラマ『ツイン・ピークス』25年ぶりの続編を語る たまむすび

町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』の中でテレビドラマシリーズ『ツイン・ピークス』の25年ぶりの続編『ツイン・ピークス The Return』について話していました。

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(海保知里)今日はですね、町山さん。この時間も小堺一機さんにスタジオに入ってもらっているんです。

(小堺一機)はじめまして。小堺です。

(町山智浩)はじめまして。よろしくお願いします。

(小堺一機)関根さんからいろいろ噂はお聞きしています。

(町山智浩)ああ、そうですか(笑)。僕、関根さんとお仕事をすごく昔、NHKでご一緒しただけなんですけども。

(小堺一機)その頃、よく映画の話を関根さん経由でうかがいました。ありがとうございます。

(町山智浩)ああ、そうですか。それでNHKで2人で盛り上がったのが、『温泉スッポン芸者』っていう映画について盛り上がって。はい。非常に問題のある番組でした(笑)。

(小堺一機)いいですね。ありがとうございます(笑)。

(山里亮太)NHKで(笑)。

(小堺一機)僕、町山さんの本も読ませていただいて。『映画と本の意外な関係!』とか。すごい勉強になりました。ありがとうございます。

(町山智浩)ありがとうございます。本当に。めちゃくちゃ恐縮して緊張していますが(笑)。

(小堺一機)僕もうれしいです。今日、町山さんとお話できて。

(町山智浩)いえいえ。ドキドキします。

(山里亮太)映画好き2人の対談が今日ね、聞けるわけですから。

(海保知里)今日はかなり濃厚な回になりそうですね。町山さん。

(町山智浩)いや、もう本当に緊張していますよ。

(小堺一機)やめてくださいよ(笑)。

(海保知里)さて、今日はどんな作品を?

(町山智浩)はい。今日は25年ぶりに復活したテレビドラマで『ツイン・ピークス』についてお話します。音楽をどうぞ!

(小堺一機)(テーマ曲をくちずさむ)ベーン、ベンベーン♪

ツイン・ピークス テーマ曲

(海保知里)あ、流れてきた(笑)。

(小堺一機)僕はやらなくていいか(笑)。

(町山智浩)はいはい。懐かしいですね。

(小堺一機)懐かしいですね。

(町山智浩)ご覧になっていました?

(小堺一機)見ていました。チェリーパイ、食べたかったです。

(町山智浩)ああ、そうですよね。主人公のクーパー捜査官っていうFBIの捜査官がもうコーヒーとチェリーパイが大好きなんですよね。で、これ、TBSで昔やっていましたよ。

(海保知里)そうでしたか。

(町山智浩)そう。深夜に放送していたんですけど。まあざっと説明しますとですね、1990年から91年ぐらいにかけて放送されたテレビドラマシリーズなんですけど。カナダとの国境の近くのアメリカの小さな田舎町ツイン・ピークスっていうところで、林業が中心の村みたいなところなんですけど。そこで、ある女子高生が死体で発見されるところから始まります。で、その子はローラ・パーマーっていう高校でいちばんの人気者の美少女で。優等生で、町中の人から好かれていて、すごく心優しいいい子だったんで町中の人がみんなショックを受けるんですね。

(小堺一機)うん。

(町山智浩)で、その殺人事件の操作でFBIの捜査官のすごいイケメンのデイル・クーパーっていう捜査官が町にやってきます。で、これはカイル・マクラクランっていうすごい絵に書いたような美男子の俳優さんがやっています。で、そのローラ・パーマーっていう死んだ女子高生のことを調べていくと、意外なことがどんどんわかってくるんですよ。彼女は実はすごく売春をしていて。で、コカイン中毒で、なぜかものすごいお金を貯めこんでいたと。で、あらゆる犯罪に裏で通じていたらしいというのがわかってくる。で、そこから、すごく平和な田舎町の人たちが実は、見えないところでセックスとかドラッグとかいろんなヤバいビジネスとかに手を染めているっていうことがだんだんわかってくるというドラマが『ツイン・ピークス』だったんですね。

(山里亮太)はい。

(町山智浩)で、ただ普通、そこまでだったら結構……昔、『ペイトンプレイス物語』っていうドラマがありまして。大昔なんですが。これもTBSで昔、やっていましたけどね(笑)。これもだから、ミア・ファローとかあのへんの人たちが出ていた作品なんですよ。ライアン・オニールとかね。それも郊外の白人の中産階級の住宅地が裏では実はドロドロだったっていうドラマで。結構昔からあるんですよ。その手のやつは。

(小堺一機)うん。

(町山智浩)ただ、『ツイン・ピークス』はなんて言うか……日本だとこういうのってないですけど。だから、『サザエさん』ですよ。

(山里・海保)えっ?

(町山智浩)『サザエさん』って一応平和で何事もない家庭の話じゃないですか。でも、たとえばこのお魚くわえたどら猫を追いかけて。で、他の人がそのサザエさんが追いかけているどら猫から魚を取ってみたら、魚の中にコカインがたくさん隠されていたとか、そんな感じですよ。

(小堺一機)そういうことですね。あまりの衝撃が。思っていたことと違うという。

(山里・海保)(笑)

(町山智浩)そう。だから、実は夜になるとマスオさんがカツオくんの部屋にこっそり入ってなんか大変なことになっているとかね。あと、たとえばタラちゃんがその近所の主婦売春の元締めをやっているとかね。

(小堺一機)(笑)。そのぐらいの衝撃度ですよね!

(町山智浩)「でちゅ」って言いながら、札束をもうビラビラ数えていて。

(小堺一機)「貯まったでちゅ」って。

(町山智浩)イクラちゃんと2人ですっごいアコギな商売をしているとかね。

(小堺一機)「ピン札に替えたでちゅ」。

(山里・海保)(笑)

(町山智浩)そうそうそう(笑)。「でちゅ」とか言いながら。

(山里亮太)日曜からどんよりしちゃうよ!

(小堺一機)ねえ。

(町山智浩)そうそう。そういう感じなんですよ。『ツイン・ピークス』って。

(小堺一機)「ええっ!」っていう連続だったから。

びっくりするわけがわからない展開

(町山智浩)そう。びっくりするんですよ。見ていて。「ええっ!」っていうね。で、それだと結構非常にダークな感じだと思いますよね? ところが、なんかね、この「ええっ!」っていう驚き方がわけのわからない方向に行くのが『ツイン・ピークス』だったんですよ。

(小堺一機)そうそうそう。理論とかじゃないんだよね。

(町山智浩)そうなんですよ(笑)。「どうしてこうなるの?」っていうのがね、全然わからないというね。

(小堺一機)(欽ちゃんのモノマネで)「なんでそーなるの!」っていう(笑)。

(町山智浩)懐かしいですね、コント55号(笑)。欽ちゃんですよ(笑)。

(小堺一機)途中から、夢なのか現実なのか……。

(町山智浩)たとえばね、目にアイパッチをしている人妻が出てくるんですよ。ネイディーンっていう人が。で、この人妻がクスリを飲んで自殺未遂をするんですね。そしたら、その副作用で超怪力になって、超人的な力の持ち主になっちゃうんですよ。突然。

(小堺一機)(笑)

(山里亮太)ええっ?

(町山智浩)しかも心が女子高生になって、JKになっちゃうんですよ。

(小堺一機)そうそうそう。

(町山智浩)で、怪力女子高生として……中年のおばさんなんですけども、高校に入ってチアリーダーをやるんですけど。

(山里亮太)ええっ?

(町山智浩)でも、チアリーダーをやるよりは怪力を活かしてレスラーになった方がいいということで、レスリング部に入っていろんな大会で優勝しまくるっていう展開があるんですよ。

(山里亮太)えっ? 最初の女子高生が死んだ話はどこに行っちゃっているんですか?

(町山智浩)いや、全然関係ないですよ、この話。なんでこんな話になるんだろう?っていう。

(小堺一機)そう。だから「なんなんだろう、これ?」っていう。

(山里亮太)なんなんですか、それ?

(町山智浩)「その話、大事?」みたいな感じなんですよ。だから、なんて言うのかな? あともうひとつ、空軍の少佐が出てくるんですね。で、「私は実は宇宙との交信をしようとしているんだけども、それは秘密の作戦なんだ」って言っているんですけど……突然UFOが来て。円盤が来て、彼をさらっていっちゃうんですよ。

(小堺一機)(笑)

(山里亮太)ええっ、なに? もうめちゃくちゃ……ジャンルがもう、わからない!

(小堺一機)わからない。

(町山智浩)わけがわからないですよ。こう言っていると、なんかジョークで言っているみたいですけど、本当にそれをリアルタイムでドラマで見ていると、頭が痛くなりますよ。これ。

(山里亮太)つながるんですか? その話。

(小堺一機)チャンネルを間違えたかと思うもんね。

(町山智浩)そうそう(笑)。「えっ、なぜここでUFO?」みたいな(笑)。でもね、あれはね……そう。関係ないですけど。『北の国から』ってあるじゃないですか。『北の国から』もUFOが出てきますからね。

(小堺一機)ああ、1回出てきた。

(山里亮太)ええっ?

(町山智浩)1回、出てくるんですよ。

(小堺一機)UFOの回、あった。何の説明もなく。

(町山智浩)そう。倉本(聰)さんってUFOを信じていてですね、『北の国から』にブチ込んでますからね。そういうこともあるんですが(笑)。だから、突然波平の頭に立っている1本の毛で宇宙人と交信をし始めたりする感じですね。

(小堺・山里・海保)(笑)

(町山智浩)あれがアンテナになっていたという。そういう感じなんですよ。『ツイン・ピークス』って。

(山里亮太)すごいな、『ツイン・ピークス』。

(小堺一機)倉本さんもすごいね。

(町山智浩)倉本さんもすごいですよ、あれ。

(小堺一機)(純くんのモノマネで)「これが、その夏の出来事だった……」。

(山里亮太)純くんだ(笑)。

(町山智浩)この『ツイン・ピークス』を作ったのはデヴィッド・リンチっていう監督なんですね。

(小堺一機)そうなんですよね!

(町山智浩)この人、他の映画もわけわからないんですよ。

(山里亮太)あ、そうなんですか。めちゃくちゃなのを撮る方なんですかね?

デヴィッド・リンチ監督

(町山智浩)この人はシュールレアリズムを勉強していた、もともとは画家の人なんですね。で、シュールレアリズムって普通に想像して、いわゆるシュールな絵っていうのを書こうとしても、人間って想像力の限界があるじゃないですか。だから彼は、想像力を解き放つために、デヴィッド・リンチは瞑想(メディテーション)をして、完全な無意識な状態からアイデアを引っ張り出すんですよ。「頭で考えちゃダメだ」って言うんですよ、彼は。ブルース・リーみたいな感じで、「考えるな、感じるんだ」の世界なんで。

(小堺一機)(ブルース・リーのモノマネで)「Don’t think, Feel! It’s like a finger pointing at the moon.」。

(町山智浩)(笑)。『燃えよドラゴン』の子供に説教をするシーンですね、いま(笑)。ブルース・リーがね(笑)。

(小堺一機)はい(笑)。

(町山智浩)だから、このデヴィッド・リンチさんは「自分でもどういう話かわからない」って言っちゃうんですよ(笑)。

(小堺一機)そうなんだ(笑)。

(海保知里)へー、自分でも?

(町山智浩)そう。わかってないんです。だから「『ツイン・ピークス』っていうのは始めた時にどういう話として展開していって、一体犯人は誰なのか?っていうのを考えていましたか?」って僕、インタビューで。直接会って、彼の家に行って聞いたんですけども、「考えていない」と。

(小堺一機)はー。

(町山智浩)だから、昔のテレビドラマもみんなそうだったらしいんですけども。人気があると、たとえば人気のある人をどんどんどんどんいい役にしていったり。人気がない人を途中で殺しちゃったりするんで。アメリカのテレビドラマってどうなるか、誰にも展開がわからないんですよ。

(小堺一機)うんうん。

(町山智浩)で、いい人だと思ったら悪い人だったりとか。それは、最初から決まっていないんですよ。「それが好きだった」って言うんですよ。デヴィッド・リンチさんは。

(小堺一機)なるほどね。

(町山智浩)で、「なんだかわからないけど、行ってみよう」っていう感じでやっているんで。アドリブのジャズみたいなものとしてドラマを作っていったんですよ。

(小堺一機)はー!

(山里亮太)だから急にUFOが出てきたりとか?

(町山智浩)UFOが出てきたり(笑)。非常にその、フリーダムな展開なんですよ。で、それをやったら打ち切りになりましたね。やっぱりね(笑)。

(山里・海保)(笑)

(山里亮太)そりゃそうか、やっぱ(笑)。よく成立したなと思ったら、やっぱりそうなんですね(笑)。

(町山智浩)そう。大ブームになっていったんですけど、もう途中からわけわかんないから、みんなついていけなくなったんですよ。

(小堺一機)さすがにわからなくなっちゃった。

(町山智浩)さすがにこれはわからないわっていうことで。で、ところが1991年に終わった時に、その最終回に、殺されたローラ・パーマーが出てきて。で、クーパー捜査官に「25年後に会いましょう」って言ったんですよ。で、その予言通りに25年後に今回、復活したんですね。

(海保知里)へー!

(町山智浩)はい。これ、すごいのは25年たっていますから……僕、アメリカで放送が始まったので見たんですけども、みんなおじいちゃん、おばあちゃんですよね(笑)。

(小堺一機)そうだね。四半世紀だもんね。

(町山智浩)そう。すごい。僕、これ放送された頃って編集者を始めた頃なんで、非常に思い出深いんですけどね。まあ、だってローラ・パーマーも出てくるんですけど。女子高生だったんですけど、もうおばちゃんですよ。今回。

(小堺一機)そうだよね。

(町山智浩)不思議なのは、亡くなったはずなのにちゃんと歳を取っているんですけどね(笑)。

(山里・海保)(笑)

(山里亮太)そうだ。オープニングで亡くなっているんだよね(笑)。いいの? そこの整合性は。

新作シリーズのはじまり

(町山智浩)どういうことなんだろう?って思うんですけど。はい。で、今回ね、話が前回の打ち切りになった時の最終回っていうのがとんでもない終わり方で。クーパー捜査官が悪の権化であるキラー・ボブっていう悪魔みたいな存在がいるんですね。この『ツイン・ピークス』って。それに乗っ取られてしまうところで終わったんですよ。

(小堺一機)取り憑かれちゃう。

(山里亮太)取り憑かれて終わり?(笑)。

(町山智浩)そう。取り憑かれて。で、今回。25年後にどうなっているか?っていうと、スーツをいつも着て二枚目で、いつも髪の毛をきれいに整えて。ニコニコ正義の味方だったクーパー捜査官が、実は乗っ取られた後に25年間、ずっとヤクザをやっていたっていう話なんですよ。

(小堺一機)(爆笑)

(海保知里)ええーっ?(笑)。

(町山智浩)すっごいですよ。

(小堺一機)もうこうなると、痛快だね!

(町山智浩)すっごいですよ。革ジャンを着て長髪で。で、もう女の人とかをガンガン殴って殺したりとか。とんでもないヤクザのボスをやっているんですよ。25年間。

(小堺一機)FBIは関係ないんですか、これ?(笑)。

(町山智浩)放送されなかった間、25年間ずっと悪いことをしていたんですよ。このクーパーは。

(小堺一機)すっごいな。

(町山智浩)すっごいんですよ。で、この『ツイン・ピークス』っていうのはすごく変な話で。現実世界と並行して、よい世界と悪い世界っていうのが異次元にあるという……言っていても何を言っているか、わからないと思いますけども(笑)。そう。「ブラック・ロッジ」と「ホワイト・ロッジ」という正しい世界と悪の世界が現実世界と並行してあるという世界なんですね。

(小堺一機)すごいでしょう?

(町山智浩)わけわかんないんですよ。で、そこにクーパー捜査官は閉じ込められているんですよ。彼の魂は。で、彼の肉体はキラー・ボブに乗っ取られて現実世界で悪事をしているんですね。で、そのいい心のクーパー捜査官の心は、そのブラック・ロッジから今回、脱出するんですよ。

(小堺一機)出た!

(町山智浩)そう。それで自分を乗っ取っている悪いクーパーといいクーパーが戦う話になりそうなんですね。

(小堺一機)おおっ!

(町山智浩)でも、そうならないんですよ(笑)。

(山里亮太)えっ?

(町山智浩)まずその、閉じ込められているところからクーパー捜査官が脱出して、いきなりですね、裕木奈江さんに会いますよ。

(小堺一機)ええっ? 裕木奈江さん!?

(町山智浩)裕木奈江さんに会いますよ(笑)。

(小堺一機)純くんの彼女だった人だ。

(町山智浩)そう(笑)。裕木奈江さん、すごいメイクをしているんですけど、まあ裕木奈江さんなんですよ。

(小堺一機)(純くんのモノマネで)「嘘だろう?」。

(町山智浩)そう。だからいまおっしゃったように、デヴィッド・リンチさんは裕木奈江さんが大好きなんです。他の映画にも出しているんです。倉本聰さんも大好きなんです。

(小堺一機)そうですね。やっぱり似ているのかな?

(町山智浩)似ているんです。2人とも似ていて、2つの話は両方とも、北の田舎町の話なんです。『ツイン・ピークス』も『北の国から』も。実は『北の国から』と『ツイン・ピークス』は同じ話なんですよ!

(山里・海保)えええーっ!?

(小堺一機)(田中邦衛のモノマネで)「ホントかよ、それぇ?」。

(町山智浩)いやー、知らないですけどね(笑)。

(小堺一機)(田中邦衛のモノマネで)「ビックリしたよぉ……」。

(町山智浩)田中邦衛のマネが入ってますけどね(笑)。

(山里亮太)いま、『ツイン・ピークス』と自分がリンクしたことに驚いています。お父さん(黒板五郎)が(笑)。

(小堺一機)(田中邦衛のモノマネで)「富良野・ピークス、作ってくれよぉ……」。

(町山智浩)僕もね、最近気がついたんですよ。それは。

(小堺一機)おおーっ!

(山里亮太)すごい発見ですね、これ!

(町山智浩)すごい発見なんですけど。勝手に言っているだけですけどね(笑)。それでなぜかね、クーパー捜査官は裕木奈江さんが持っている変な機械で現実世界に転送されるんですよ。

(小堺一機)転送!?

(町山智浩)転送されるんです。そうすると、ある家のコンセント、あるじゃないですか。コンセントの穴からクーパー捜査官が出てくるんですよ。コンセントの穴からグニューッて。そこは建売住宅で、そこで働いていた保険屋のオヤジと入れ替わっちゃうんですよ。

(小堺・山里・海保)ええーっ!?

(町山智浩)で、保険屋のオヤジの方はクーパー捜査官がいたブラック・ロッジの方に逆に転送されるんですね。で、そこに行って保険屋のオヤジは金玉になるんですよ。

(小堺・山里・海保)ええっ!?

(町山智浩)金色の本当の玉になるんですよ。なぜか。

(小堺一機)金玉(こんぎょく)ですね。

(町山智浩)俺、言っていて自分がキチガイみたいに、頭がおかしくなったみたいになるんですけど(笑)。これ、本当の話で。その後ですね、クーパー捜査官は自分がなにをやっているかわからなくなっちゃってですね。ただ、もともとコーヒーが大好きなんですね。で、コーヒーを飲みまくるんですよ。それしか記憶がなくて、コーヒーをどんどん飲みまくるんですけど……おしっこの仕方がわからなくなって、おしっこを漏らしそうになるんですよ(笑)。

(小堺一機)(笑)

(山里亮太)なに、その話?(笑)。

(町山智浩)クーパー捜査官は。はい。

(山里亮太)いや、全くわからない。もう。

(町山智浩)そう。全くわけがわからないんですけど。これ、すごいのはアメリカのテレビ番組っていうのはどんどん続けていくとですね、人気がないと打ち切られてしまうんですね。

(小堺一機)厳しいよね。

(町山智浩)で、この(前回の)『ツイン・ピークス』は打ち切られてしまったわけですけども、それを防ぐためにデヴィッド・リンチ監督は「自分自身で最後の最後まで全部撮り終える。製作を終えてから18回に分けて放送する」という約束にしているんで、今回は打ち切りが絶対になくて、結末が完全にあって、全てが解決するということになっているんですよ。

(小堺一機)ほほーっ!

(町山智浩)だから前回、打ち切りをされたんで、今回は絶対にされないように、全て完成済みっていうことになっているんですね。

(山里亮太)そうなんだ。もう、やりたい放題じゃん、もう(笑)。

全てが完成してから放送スタートする

(町山智浩)やりたい放題なんですよ。完成するまで彼は誰にも見せないで作っていたんですね。要するに、文句があった場合に口を出されたりして変えられたりすると困るから。全部抱え込んで、全部完成させてから放送すると。

(小堺一機)でもたぶん話としては完結しないと思うよ。たぶん。「ここで終わりなの?」っていうところで終わるんじゃない? たぶん。

(町山智浩)いや、わからないですけどね。で、今回スケールがすごく大きくなって。さっき宇宙が出てきたんですけど、全世界規模なんですよ。

(小堺一機)ええっ?

(町山智浩)ニューヨークだの、ラスベガスだの、アルゼンチンだの、全世界ロケをしているんですよ。

(小堺一機)うわっ、すごいですね。

(町山智浩)この間は田舎町の話でずっと終わっていたのに。ものすごいスケールですよ。宇宙だもん。だって、出てくるのが。

(海保知里)これって町山さん、アメリカでいま4話まで放送されているっておっしゃいましたよね? 視聴率は、どうなんですか?

(町山智浩)これですね、基本的に配信なんですよ。ネット配信でアマゾンとかNetflixとか、そういうところで見れるようになっています。

(海保知里)そうなんですね。ああーっ!

(町山智浩)アメリカはもうほとんど視聴率とかは関係がない世界に入りましたから。

(小堺一機)そうなってきたか……。

(町山智浩)で、ひとつはネット配信は何も規制がないんですよ。

(小堺一機)いまはね。

(町山智浩)何をしてもいいんですよ。いま、『ウエストワールド』っていうシリーズがあって。これもHBOっていうケーブルでやっているんですけど、基本的にネット配信なんですが。これは有名な女優さんがいっぱい出てきて、西部の遊園地という設定で、西部劇の世界が再現されていて、そこでロボットがいっぱいお客さんを迎えていて。そこに行ったお客さんは西部の町のようにならず者になって、人をいくら殺してもいいという遊園地なんですね。

(小堺一機)うん。

(町山智浩)その話なんですけど、この『ウエストワールド』のすごいのは、ロボットたちを修理するシーンで、丸見えなんですよ。なにもかもが。結構有名な女優さんのお股とか、俳優さんのおチン○○とか、いっぱい丸見えなんですよ。

(山里亮太)はー!

(小堺一機)あらら! それはいい。

(町山智浩)何にも規制がないから、丸出し。丸出しですよ、『ウエストワールド』は。

(山里亮太)ちょっとチェックだな、これは……いや、僕は作品として興味があるので。チェックしてみよう。

(海保知里)(笑)

(町山智浩)だからね、いま野放し。何も規制が規制がない。何をしてもOKっていうのがいまネット配信の世界で。『ツイン・ピークス』もその中で出てきている作品なんですね。

(小堺一機)『ウエストワールド』、日本でもケーブルでやっているよ。

(海保知里)そうなんですか?

(町山智浩)そうそう。日本だとたぶんぼかしが入っていると思います。

(小堺一機)ぼかしていると思いますね。もともと、『王様と私』をやった人が映画でやったんだよね。『ウエストワールド』って。

(町山智浩)そう。映画だったんですよ。もともとは。で、今回テレビシリーズで、クリストファー・ノーランの弟がやっていますけど。まあ、すごいスケールですけどね。いま、とにかくネット配信のドラマは、『ツイン・ピークス』もそうなんですが、何をやってもいいし、すごい状況になっていますからね(笑)。映画すら見ている暇がないですよ。こっちを見ていると。

(小堺一機)そうですか!

(海保知里)何をやってもいいというルールのところにデヴィッド・リンチを放り込んで、大丈夫なんですか?

(町山智浩)大丈夫なんでしょうね(笑)。

(小堺一機)ねえ。

(海保知里)こちら、日本で放送されるということで。

(町山智浩)日本でもWOWOWで放送されることになっていますね。

(海保知里)7月22日から独占放送がスタートするという。

(町山智浩)いま6話目まで僕、見ているんですけど。全くわけがわからないです。

(小堺一機)(笑)

(町山智浩)18話あるんですけど、本当にわけがわかるようになるんだろうか? 全然不安ですね(笑)。

(海保知里)はい。ちょっと先ほどね、途中あまりよろしくない表現もございました。失礼いたしました。

(町山智浩)よろしくなかったです。

(海保知里)これはちゃんと規制があります。失礼いたしました。

(町山智浩)はい。本当に申し訳ありませんでした。

(海保知里)ということで今日は、大人気テレビドラマ『ツイン・ピークス』の続編について町山さんにお話しいただきました。どうもありがとうございました。

(町山智浩)どうもすいませんでした。

<書き起こしおわり>

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