町山智浩 映画『Fed Up』が描くアメリカの飢餓・肥満問題を語る

シェアする

映画評論家の町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』でアメリカの子どもたちに蔓延する肥満と栄養失調、飢餓について描いた作品『Fed Up』について紹介していました。

子どもの3人に1人が肥満の国 アメリカ

(町山智浩)はい。今日はですね、ドキュメンタリー映画なんですけども。『Fed Up』というタイトルのドキュメンタリー映画を紹介したいんですが。『Fed』っていうのは『Feed』っていう言葉があって、『餌をあげる・食べ物をあげる』っていう意味の単語なんですね。『Fed Up』っていうのは、『もう食べられないよ、もうたくさんだよ、うんざりだよ』っていう意味なんですよ。っていうタイトルのドキュメンタリー映画なんですけど。これは4人の子どもが出てきまして。4人とも、すっごい肥満で太っているアメリカ人の子どもたちがいてですね。で、どうしてこの子たちが太ってしまったか?っていうことを追っかけていくドキュメンタリー映画なんですね。

(赤江・山里)ふーん。

(町山智浩)で、彼らは診断されたらですね、糖尿病になってるんですよ。

(山里亮太)えっ?子どものうちに?

(町山智浩)子どものうちに。アメリカは現在ですね、子どもの3人に1人が肥満なんですよ。

(赤江珠緒)えっ?3人に1人?子どもの!?

(町山智浩)子どもの3人に1人が肥満で。その3人に1人も糖尿病の可能性がある状態なんですよ。で、もう子どもたちも大変は状態になっているから、なんとか痩せようとするんだけど、なかなか痩せられないんですね。運動とかしてるんですけど、ぜんぜん効き目がないんですよ。どうしてそうなっていってしまったのか?っていうことを日常生活を見ながら追っていって、最終的には痩せる方向に向かわせるっていうのが『Fed Up』っていう映画なんですけども。この『Fed Up』っていうタイトルは、『もうたくさんだ』って言ってるんですけど、なにがたくさんだって言ってるかっていうとですね、糖質なんですよ。

(山里亮太)糖質?

(町山智浩)食べ物のなかにある糖質。糖分であるとか、炭水化物ですよね。そういったものは糖質ですけども。糖に変わるからです。体の中で。それが、とにかくアメリカは異常に多いんですね。で、日本の子どもとか見ても、僕、日本にたまに帰ると思うんですけど。みんなヒョロヒョロじゃないですか。痩せてて。

(山里亮太)あんまりそんな肥満児が多いってイメージはないですね。

(町山智浩)ないですよね。アメリカも、僕の住んでいるあたりはあまりないんですよ。だから、見ないんで、そんなに肥満が多いって聞いてびっくりするんですけども。この映画で紹介されるのは田舎の方の子たちなんですね。南部とか中西部とか。で、実はその肥満になっている子どもたちの多くが、田舎に住んでいる貧乏な子たちなんですよ。

(山里亮太)なんか不思議な感じですね。貧乏だから、そんなに?

(赤江珠緒)すっごく食べていて太ったっていうんじゃなくて?

(町山智浩)あのね、食べる量じゃなかったんですね。太るかどうかっていうのは。で、カロリーだって言われて、カロリーを減らしたりするんですけど、それがそんなに関係なかったんですよ。運動でもなかったんですよ。っていうのは、運動で食べた糖分とかを燃焼しようとするのは、実際は不可能に近いんですよ。

(赤江珠緒)へー。

(町山智浩)コーラとか1杯飲んで、中に砂糖が小さじで10杯分以上入っているんですけど。それを燃焼させるには、それこそもう、20分ぐらいランニングしたりしなきゃいけないんで。そんなこと、できないわけですよ。人間って。毎日。コーラ1本飲むたびに20分ランニングとか、できないわけですよ。だから、運動で食べたものを消費するっていうのは不可能なんですね。それで痩せることは実際に不可能なんで、糖質を減らすしかないんですよ。なぜカロリーよりも糖質が問題なのか?っていうと、この映画の中でもはっきりとわかるんですけども。この子たちは加工食品しか食べてないんですよ。

(赤江・山里)うん。

(町山智浩)田舎とか貧しいところに住んでいる子たちっていうのは、ほとんど家の近くに野菜とか果物を売っている店がないんです。

(赤江珠緒)えっ?なんか田舎の方がこうね、日本とかでも畑があったり。地元の野菜が食べられるっていうイメージありますけど。アメリカはないんですか?

(町山智浩)そう思うでしょ?ところがまず、田舎の方とか、都会でも貧乏な人が住んでいるところにはまず、スーパーマーケットがないんですよね。で、アメリカって日本のような小さいスーパーマーケットっていうのはほとんど絶滅しちゃったんですよ。

(山里亮太)へー。絶滅。

(町山智浩)もう本当に巨大なスーパーマーケットしかないんですよ。アメリカっていうのは。スーパーっていうのは、だいたい。で、巨大スーパーだと、大きい駐車場があって、大量に人が入ってくるんで、でっかいビジネスになるから集中してって。ちっちゃい店が全部潰れたんですね。

(赤江珠緒)まあ、日本でもちょっとね、シャッター商店街とかなってますけど。

(町山智浩)そう。それがスーパーで起こってるんですよ。そうすると、貧乏な人たちが住んでいる地域にはスーパー作ってもあんまり儲からないから、ないわけで。ちっちゃい食料品店しかないんですね。そういうところには、生鮮食料品が届かないんですよ。そこまで流通させると、経費かかっちゃうからやらないんですよ。

(山里亮太)なるほど。

(町山智浩)だから小さい食料品店には、せいぜいあって缶詰。ソーセージ。加工食品しか置けないんですよ。傷んじゃうから。新鮮なものが置けないんですね。で、そういうところでしか食べられないから。アメリカはね、車社会って言われてますけど、貧しい人たちって車を持っていない人が多いんですよ。だから、野菜とか買いにいけないんですよ。

(山里亮太)大っきいスーパー行けないんだ。

(赤江珠緒)そうなんですか。

(町山智浩)だから、そういう場所のことを、前もここで話したことがありましたけど、『Food Desert』っていうんですね。アメリカでは。これ、『食べ物砂漠』っていうことかな?翻訳すると。で、そういう地域っていうのがあってですね、そこにアメリカ中の2350万人が住んでいると言われてるんですよ。

(赤江・山里)ええっ!?

(町山智浩)東京の2倍以上の人口の人たちが、歩いて野菜や果物が買えるところに住んでないんですね。これ、すごいんです。

(赤江珠緒)いやー、これはおかしな事実ですね。

(町山智浩)おかしな事実で。しかも、肥満の子たちっていうのは加工食品しか食べてないから、体を検査すると栄養失調なんですよ。

(赤江珠緒)太っているのに、栄養は足りていない。

(町山智浩)太っているんですけど、カルシウムとかミネラルとか鉄分とか足りてなくて。血液検査とかをすると完全に栄養失調状態なんです。で、そういう人たち。要するに栄養失調状態にある人たち、子どもも大人も含めてアメリカでは現在5000万人いるんですよ。これ、アメリカの人口っていうのは3億人ですから、6分の1か。アメリカ人の6人に1人は栄養失調で飢餓状態なんですよ。これ聞くと、嫌になっちゃうんですけど。

(山里亮太)すごいな・・・

(町山智浩)後進国とかじゃないですよ。

(赤江珠緒)そうですよ。世界第一位の国みたいな感じでアメリカは謳ってますけども。

(町山智浩)GDP一位なんですよ。でも、実際に飢餓状態の人が5000万人いるんですよ。これがね、また酷いんで。アメリカの政府はですね、フードのチケットといってですね、食べ物を買うための補助金を貧しい人たちに与えてるんですね。カードとかいろんな形でですね、その人たちは食費を援助を受けてるんですけども。ところが、スーパーとかにわざわざ行ったり、食料品店に行くとまず野菜がないっていう状態があるんですけども。もしあるところに行っても、彼らは野菜とか果物を買わないんですよ。その補助金をもらっている人たちは。

(山里亮太)ほう、なぜ?

(町山智浩)補助金はだいたい1人3ドルから4ドルくらい。300円から400円くらいなんですね。それで野菜とかを買おうとすると、高いんですよ。で、アメリカはここの30年ぐらいですね、野菜の値段が40%くらい値上がりしてるんですね。で、じゃあこのお金で子どもたちにたくさんお腹いっぱいなにを食べさせよう?と思うと、安いものを買おうとすると、スパゲッティとかパスタですね。あと、やっぱりパンとかポテトチップスとか。

(赤江珠緒)とりあえずすぐお腹が膨れるもの。

(町山智浩)そう。とりあえずお腹が膨れるもので。あと、シリアル。コーンフレークとか買っちゃうんですね。貧しい人たちは。それであと、貧しい人たちは働いているから大変なんで。共稼ぎなんで料理する時間もないから。シリアルとかを置いておけば、子どもたちが勝手に食べられますよね。だからコーンフレークとか買ってしまうんですけども。これ、コーンフレークとかさっき言ったような小麦食品。パスタとかポテトチップスとか。そういったものは、逆に値段がここ30年間で40%値下がりしてるんです。アメリカでは。

(赤江・山里)へー。

(町山智浩)だからそっちを買っちゃうんです。そっちはさっき言ったみたいに、全て糖質なんですよ。だから子どもはカロリーが一時的に取れるから子どもに与えちゃうんですけど。安い値段で。肥満や栄養失調が進行するんですよ。

(赤江珠緒)いやー、怖いですね。

(町山智浩)これが怖いのは、アメリカはいま、危機的状態にあって。要するに軍隊に入るしかないんですけど。貧しい人たちは。そういうところから脱出したり、学校に行くためにはね。で、軍隊に入ることで初めて大学に行ける場合が多いんですけど。そういう人たちは。軍隊に入ろうとしても、入れないんですよ。

(山里亮太)あっ。引っかかっちゃうんだ。

(町山智浩)入隊検査で栄養失調で落とされちゃうんですね。現在、入隊希望者の25%が栄養失調で落とされてるんですよ。アメリカでは。栄養失調の状態っていうのは肥満であるとか、糖尿病も入るんですけども。軍隊に入れないんですよ。で、それだけじゃなくて、現在アメリカってオバマさんが医療保険を改革したんで、貧しい人たちの医療保険も国が税金でカバーすることになりましたよね?

(赤江珠緒)はい。皆保険。日本みたいに。

(町山智浩)ところが、この糖尿病が異常に多いので。貧しい人たちが。その部分の負担を国がしなきゃならなくなっていて。その額が1000億ドルって言われてるんですよ。

(赤江珠緒)ほー。そりゃ、子どもの3人に1人がだったらね。

(町山智浩)そうなんですよ。だからこれ、かなりアメリカとしては肥満と糖尿病を治さないと国が滅ぶんですよ。だから、なんとかしようということで、ミシェル・オバマさん。オバマ大統領の奥さんが、オバマさんが大統領に就任してからずっとですね、『肥満との戦い』っていうのを掲げてるんですね。『Let’s move(行動に移そう)』っていう運動としてですね、ミシェル・オバマさんがやっていてですね。2010年にですね、とりあえず学校給食から体に悪いものを全部取り除こうという法案を出したんですね。

(赤江珠緒)えっ?そもそも学校給食が体に悪いものだったんですか?

(町山智浩)そうなんですよ。これ、驚くんですけど。まずその、2010年に法制化した『Healthy Hunger-Free Kids Act』っていうのがありまして。これ、『健康で飢えのない子どもたちのための法』っていう意味なんですけども。ヘルシー法っていう風にいま、略しますけども。このヘルシー法で学校給食から禁じられたものっていうのはなにか?っていうとですね、コーラ、ソーダ、ジュース、フライドポテト、フライドチキン、キャンディー、ゼリー・・・

(山里亮太)えっ?ジャンクだなー!給食(笑)。

(町山智浩)驚くでしょ?これ、禁止したってじゃあいままで、2010年まではこれが出てたの!?って思うんですよ。学校でコーラやフライドポテトとかキャンディー、出してたの?って思うでしょ?出してたんですよ。ずっと、アメリカは。

(山里亮太)なんで?給食といえば・・・ちゃんとすればいいのに。

(町山智浩)これ、信じられないことですけど、出してたんですよ。僕もこれは見てるんで知ってます。出していただけじゃないです。アメリカの多くの、貧しい地域の学校、小学校には学校の中にコーラの自動販売機があります。

(赤江珠緒)へー。好きな時に買える?

(町山智浩)これはどうしてか?っていうと、コーラとかそういうジャンクフードの会社が、学校に援助するんですよ。資金を。それで給食とかに自分たちの飲み物とか食べ物を導入させたり、自動販売機を置くんですね。で、アメリカは各学校は州とか市がですね、運営してるんですけども。各地方自治体、経営が上手くいってないし、特に貧しい地域は学校のお金がないんですね。だから、コーラ会社とかが来て、『自動販売機を置かせてください。その代わりに跳び箱をあげます、鉄棒を作ってあげます』って言われると、自動販売機を置かせちゃうんですよ。

(山里亮太)へー。まあでも、ちょっと売上があがるぐらいのメリットじゃないんですかね?それって。

(町山智浩)いやいやいや・・・これは、子どもの体を砂糖漬けにするための長い戦略なんですよ。こういったジャンクフードに慣れさせるためなんですよ。

(赤江・山里)はー。

(町山智浩)で、アメリカの学校給食の75%にジャンクフード会社が入ってるんですよ。ピザとかが出るんですよ。学校給食で。75%ですよ。だから、冷凍ピザとかが出るんですよ。これはまず、要するに学校給食を作る人たちっていうのを雇えないっていう貧しい状態があるわけですよ。でも、冷凍ピザならすぐ出せるでしょ?で、しかもものすごく安く卸すんですよ。業者は。

(山里亮太)はー。ちっちゃいうちから慣らしておくんだ。

(町山智浩)ちっちゃい時から慣らしておくっていうのもあるし、学校全体、ものすごい数ありますから。それを全部自分たちの市場にすれば、巨大なマーケットじゃないですか。だから、75%にジャンクフード会社が入ってるんですよ。冷凍食品会社とか。

(赤江珠緒)でも、アメリカは栄養学みたいなものはないんですか?

(町山智浩)栄養士、います。アメリカ。栄養士もいて、5万5000人の栄養士たちの栄養士組合っていうのがあるんですね。それも、あります。

(赤江珠緒)そういうところは、文句を言わないんですか?

(町山智浩)ところがですね、SNAっていうんですけども。アメリカ栄養士組合というものがあるんですけど。そこは、そのミシェル・オバマさんがやっている給食改革に反対している組織なんですよ!

(山里亮太)えっ?むしろね、そっちの方に賛同して・・・

(町山智浩)それに対して徹底的に反対している人たちがアメリカ栄養士組合なんですよ。

(山里亮太)なんでです?

(町山智浩)たとえば、今年の5月の終わりにですね、新しいヘルシー法っていうものですね。給食をヘルシーにするための法律っていうものに対して、これを見直そうと。この規制が厳しすぎるから、もっと緩和しようっていう法案が下院の委員会を通っちゃったんですよ。採決されちゃったんですよ。それが。もっと緩くしようと。厳しすぎると。

(赤江珠緒)せっかくヘルシー法作ったのに。

(町山智浩)それを主導したのが、アメリカ栄養士協会なんですよ。

(赤江珠緒)この矛盾はなんなんですか?

(町山智浩)で、アメリカ栄養士協会はどういう理由でこれが厳しすぎるって言ったか?っていうと、野菜とかを給食にたくさん入れたから、子どもたちは野菜を食べないで全部捨てていると。で、写真までつけて。各地域にいる栄養士たち、5万5000人のね、全米にいる人たちが、せっかくブロッコリーとかを出しても捨てているから無駄であるというようなことを言ったり。あと、スパゲッティとかパスタとかトルティーヤとか。タコスを包むやつですね。それも精白して、殻とか繊維を取り除いて白くしたやつを使うのを禁止したんです。そのヘルシー法では。つまりそれはほとんど糖分だから、体に入るとすぐに糖に変わってしまって、脂肪になっちゃうんですよ。

(赤江珠緒)なるほど。

(町山智浩)だからそうならないようにするためには、繊維も一緒に摂る必要があるんですね。だから、全粒粉のものだけを給食で出すっていう風にしたんですね。ミシェルさんは。したら、それは食べにくいからってみんな捨てているっていう写真を栄養士協会は提出して。それによって下院の多数決を通っちゃったんです。緩くしようっていうのを。

(赤江珠緒)えっ、でも栄養士協会は、それが栄養があるっていうことをわかっているわけだから、それを。みんなが捨てているところを、美味しくしてどんどん食べましょうっていう風に推進していくべきじゃないですか?

(町山智浩)そう。栄養士協会が栄養のある食べ物に反対してるんですよ。アメリカは。これは、栄養士協会の年間の運営資金1000万ドルのうち、半分は冷凍ピザの大手とかですね、ジャンクフード企業からの寄付で成り立ってるんです!

(赤江・山里)えーっ!?

(町山智浩)だから栄養士協会、いままでずーっとアメリカの学校給食をやっていたにも関わらず、ほとんどジャンクフード。75%ジャンクフードだったのは彼らがジャンクフード会社からお金もらって食っているからなんですよ。

(赤江珠緒)アメリカ、大丈夫ですか?

(町山智浩)これね、ミシェルさんもよく調べてなかったらしくて。今回の栄養士協会のものすごい攻撃に対してびっくりしてですね。『こんなことがどうして起こるの!?』とか言ってるんです。もっとよく調べておけばわかったことなんですよ。それだけじゃなくて、ミシェル・オバマさんがやっている『Let’s move』っていう肥満対策運動自体に資金を出しているのもジャンクフード会社なんです。

(赤江・山里)ええっ!?

(町山智浩)ミシェル・オバマさんがこの運動をやるよって言った時に、彼らは潰すんじゃなくて、逆に内部に入り込んでお金をつぎ込むことによって、ジャンクフード排除をできないようにしたんですよ。

(赤江・山里)はー!

(町山智浩)だから、75%のジャンクフードが入っているわけですよ。給食に。そのままの形で、彼らがヘルシーな給食を提供するっていう形にしかできないようにしたんですよ。だから、たとえばこうなるんですよ。コーラを提供していた会社があって、コーラがダメだって禁止された。じゃあウチは100%果汁のオレンジジュースも出しているから、そっちを導入しますっていうやり方をするんですよ。

(赤江・山里)あー、なるほど。

(町山智浩)でも、結局その企業は入ったままなんですよ。給食に。でも本当は100%オレンジジュースっていうのはいちばん危険なものなんですよ。糖分の量がものすごく多い上に・・・要するに自然界には全て、繊維が入ってるんですね。糖を摂ろうとすると。完全な糖質のまま純粋に存在する食べ物って、世の中にはないんですよ。実際には。だから、果物を食べると一緒に繊維も摂るから。繊維も摂るとゆっくり吸収されるんで、すべてゆっくりエネルギーになるんですね。ところが、繊維を取り除いたジュースは糖分だけが入るんで、体の中でいきなり、大量に吸収されてしまって。消化できないからほとんどが脂肪になっちゃうんですよ。

(赤江・山里)へー!

(町山智浩)本当だったら同じカロリーであっても、じっくり何時間もかけてエネルギーになるのに。燃焼できるのに。燃焼できないで、全部脂肪になっちゃうんですよね。だから、100%ジュースってダメで。繊維が入ってないと意味がないんですよ。

(山里亮太)そっか。そんなことをわかってても、でも止められないんですね。お金もらっているし。

(町山智浩)止められないです。栄養士協会がだって・・・

(赤江珠緒)いちばん止めるべきところが。

(町山智浩)そうそう。この『Let’s move』っていう運動自体に大量にコーラ会社とか入っちゃってるから。ピザ会社とか。で、彼らは『我々は提供し続けますが、ヘルシーなものを提供しますよ』って言って。受注量だけは減らないようにしてるんですよ。

(山里亮太)これがわかったから、もうスポンサーはいいですって切って、自分たちでちゃんと正しい方に行くってことはできないんですか?もう。

(町山智浩)できないんです。だからもう、ミシェルさんは完全に骨抜きにされた状態になっていて。ただイライラしているだけなんですけども。だからこれでもっとすごいのは、下院を通ったっていうのは、下院って共和党が支配してるんですね。共和党の議員が支配してるんですけども。共和党の議員っていうのはほとんどが南部から来てるんですよ。南部っていうのはいちばん貧しくて、肥満が多い地帯なんですよ。

(山里亮太)はい。

(町山智浩)だから彼らは自分たちの出身している州で肥満が多いってこと自体、解決しようとしないで。要するにフード産業とかの言いなりになってるんですね。で、もう一つ彼らが守っているのはフード産業だけじゃなくて、穀物産業とかなんですよ。実際は。で、こういった穀物が安くなっているっていう現状っていうのはなぜ存在するかというと、大量の補助金がアメリカ政府から出ているからなんですね。穀物に対して。

(赤江・山里)うん。

(町山智浩)で、アメリカの農業補助金ってほとんどが穀物に費やされるんですよ。84%ですよ。補助金の。で、残りの15%は畜産なんです。牛肉なんですよ。野菜には、ほとんど行かないんです。なぜならば、コーン、とうもろこしであるとか小麦っていうのは、牛肉もそうですけど、コングロマリットが存在するんですよ。巨大メジャーがいるんですよ。で、ものすごい圧力団体なんですよ。

(赤江珠緒)あ、票になると。

(町山智浩)そう。だから、とうもろこしなんて生産者原価ってタダ同然なんですよ。で、補助金で暮らしてるんですよ。だから彼らはものすごい力を持っているので。野菜は力を持っていないんで、こうなってるんですね。で、どうなったか?っていうと、最近のアメリカ議会で『ピザは野菜である』って採決されたんですね。

(赤江珠緒)えっ?ちょっと待って!?

(町山智浩)要するに、ピザが排除されちゃうから、『ピザにはトマトソースが入っているから野菜なんだ』っていうことでもって、無理やりこの法律から排除されないようにしたんですよ。下院議会が採決したんです。ピザが野菜だっていう。

(山里亮太)えっ、それ、上院は通らないですよね?

(町山智浩)もう、なんでも通しちゃうんですよ。金が動いてるんだもん。裏で全部。

(山里亮太)はー!すげーな、それ!

(町山智浩)それがアメリカだっていうのが、この『Fed Up』っていう映画で。まさに『Fed Up』。もうたくさんだ!うんざりだ!っていうか、どうするんだ、これ?っていう映画でしたね。

(赤江珠緒)どうするんだ?ですよね。

(山里亮太)解決には全く向かっている兆しは見えてないわけですか?

(町山智浩)見えてないですね。はい。

(赤江珠緒)アメリカの人、本当にすごく・・・

(山里亮太)太り方がちょっと変な太り方してる。

(町山智浩)まあ、この法律でもって9割の給食がそれに従ってヘルシーにしてはいるんですけども。まあ、裏では巨大企業のあれから離れていないという状態ですね。

(赤江珠緒)お金がない国じゃないのに、そうなっているってうのがあまりにも不思議ですね。

(山里亮太)アメリカが飢餓だって、不思議ですね。

(町山智浩)そうなんですよ。まあ、そういうね、恐ろしい話ですけども。日本公開の予定はないんですけども。はい。僕がやっていた番組が存在していれば、やったと思います。

(山里亮太)松嶋さんとのやつだ。

(赤江珠緒)ぜひアメリカでこれ、どんどん見られてほしいですけどね。

(町山智浩)ぞっとするシステムでしたね。

(赤江珠緒)なるほどね。今日はドキュメンタリー映画『Fed Up』、ご紹介いただきました。町山さん、ありがとうございました。

(山里亮太)ありがとうございました。

(町山智浩)どもでした!

<書き起こしおわり>
[関連リンク]町山智浩映画紹介 世界の食料廃棄問題を描く『もったいない!』