尾崎世界観 ライブハウスの現状を語る

尾崎世界観 ライブハウスの現状を語る ACTION

クリープハイプの尾崎世界観さんが2020年3月10日放送のTBSラジオ『ACTION』の中で新型コロナウィルスの影響を受けているライブハウスの現状について話していました。

(尾崎世界観)先週はね、木曜日も代打をやらせていただいたので、すごい刻んで『ACTION』をやらせていただいてますけども。羽田の圭ちゃん、連絡くれないんですよ。

(幸坂理加)えっ、大親友のくせに?(笑)。

(尾崎世界観)くせにね(笑)。2時間、つとめあげてね。「おつとめ、ご苦労さんです!」みたいな感じの、ねえ。連絡というか一言……だからなんかあったんじゃないかな?って思って。大事なお仕事があったわけじゃないですか。それでなにかあって落ち込んでるのかな?っていうね。

(幸坂理加)どうなんですかね? でもこれ、言っていいか分からないから言っちゃうんですけど……。

(尾崎世界観)フフフ、ラジオって言っていいかわからないものは言っちゃうものだからね(笑)。

(幸坂理加)そうなんです、そうなんです(笑)。羽田さん、「尾崎さんにお礼は何がいいかな?」ってずっと悩んでましたよ。

(尾崎世界観)あ、そうなんですか?

(幸坂理加)はい。「お酒がいいかな? でもお酒だったら持ち帰るの重いから、どうしよう? チョコレートかな?」とか。すごい悩んでましたよ(笑)。

(尾崎世界観)へー! ああ、もうそれだけでいいや(笑)。じゃあ、あれか。そんな簡単な一言の連絡だけじゃ済ませられないから……っていうことですね。なんだ。これでもう気持ちよく今日、できそうだな(笑)。

(幸坂理加)ああ、よかったよかった。すっきりですね?

(尾崎世界観)と、思ったんですけどね……先週も新型コロナウィルスの影響でね、イベントが自粛という流れが起きていることについて話しましたけど。クリープハイプ、事務所がどうこうっていう話もこの間、しましたけども。「これじゃ潰れちゃうよ」みたいな話をしましたけども。

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(幸坂理加)はい。

(尾崎世界観)事務所はね、もともとライブハウスだったんですよ。ちっちゃい下北沢のライブハウスがやっている事務所に今も所属しているんですけど。ライブハウスはライブハウスでまだ営業していて。で、最近ね、特に報道で「ライブハウスから感染者が出て、そこからまた広まっている」というものをよく見ますけど。「そんなに報道するのか?」っていうくらい、報道してますよね。もう見れば「ライブハウス、ライブハウス」って。

普段、テレビなんか見てても「ライブハウス」なんて言葉自体、聞かないのにここ最近やたらと聞くなと思ったらそういうね、ネガティブな話題で。まあそれはちょっと残念だなと思いますね。他にもね、そういうところがいっぱい……たとえばパチンコ屋とかね、絶対そういうこと、起きるでしょう? 何でそれでパチンコ屋の報道はないんだ?っていう風にも思いますけどね。それは気になったりはしますけど。うん。

そんな中で、「なんでライブハウスがこれだけ言われるのかな?」って考えた時に「やっぱり皆さんがあんまりライブハウスのことを知らないからなのかな?」って思ったんですよ。あまり行ったことがない……幸坂さん、行ったことありますか?

(幸坂理加)一度あります。宮藤官九郎さんのライブを見に。

(尾崎世界観)ああ、そうかそうか。まあライブハウスに行ったことないという人も多いと思うんですよ。だからなんとなく「地下で暗くてジメジメしてる」っていうような印象があるんでしょうけど。だからまあきっと、報道はしやすいんでしょうね。で、「ライブハウスは今、実際どうなのかな?」って。昔、自分もよく出いたし。まあ今でもたまに出してもらうことはあるんですけど。それでまあ、事務所がライブハウスだから社長に聞くのが早いかなと思って、電話してみたんですよ。「今、どんな感じですか?」って。

事務所の社長に聞いてみた

それで実際、ライブハウスでお客さんが毎回満員になってるかと言ったらそうでもないと思うし。自分がライブハウスでライブやってる時は、うーん。結構、お客さんが毎回、少なかったんですね。一桁の時も……まあ、ほとんど一桁のことが多かったですね。だから毎回満員じゃないっていう、そういう印象があったので社長に聞いてみたんですよ。「どれぐらいお客さんは入ってるんですか? チケットが売り切れたりする日数は何日ぐらいありますか?」って言ったら「うーん。まあ結構あるよ」って言われて(笑)。「まあ3日から5日ぐらいは売り切れるかな」って。

「でもそれはそういう人気のあるバンドが出た時だけで、そうでもないバンドが出た時はそんなお客さんいないですよね? 一桁ぐらいですか?」って聞いたら、「いや、一桁っていうことはないね。まあ最低でも30人ぐらいは入るんじゃないかな?」って言われて。「あれ? これ、意外とお客さん、入ってるな」って思ったんですよ(笑)。こっちもこっちでね、何かその自分の経験があるから。「お客さんはいないもんだ」と思って。

まあちょっと「ライブハウスを守りたい」っていう気持ちもあるし。擁護したいっていう気持ちがあるから。「お客さんが多い? でも一桁……ほとんど3人とかの5人とかの日もあるんじゃないすか?」「いや、それはないよ。もうここ最近ね、本当ないね。そんな日はね。昔はあったけどね。まあ最近、ちょっと人気あるからね」って。「何なんだよ!」と思って(笑)。「なに、ちょっと人気が出てきちゃってるんだよ。こんな時に……」って(笑)。

「特に今は周年だからさ、お客さんも入るんだよね」って。「めでたい時期と重なってるんじゃないよ!」って思ってね(笑)。まあ自分の事務所のライブハウスがね、景気がいいのはいいことなんですけど。だからこっちもこっちでやっぱり先入観があるんですよ。そうやって。「ライブハウスって苦しいものだ。お客さんがいないものだ」と思って先入観で決めつけて社長に電話インタビューをしたんですけど。意外とお客さん、入ってるんだね。「もう潰れちまえ!」って思ったけどね。その時ね(笑)。

(幸坂理加)そんなこと言わないでくださいよ(笑)。

どちらにも先入観がある

(尾崎世界観)だから、まあどっちも先入観がありますよね。知らない人は「知らない。ライブハウス、怖い。なに? こんなところで広まったら嫌だ!」って思うし。知ってる人は知ってる人で「ライブハウスなんてそんなにいいもんじゃないぞ。苦しいこともいっぱいあるし、お客さんも毎回満員でもないから」っていう風に擁護する人もいるだろうから。だから知り過ぎているのもね、問題だし。知らなすぎるのも問題だから。やっぱり程よいところ、程よい視点を持った人が程よい量の報道をしてくれるのが一番いいんですけどね。

だからそれを改めて思いましたね。でもこっちはやっぱり知ってるからね。ライブハウスにお世話になって、それで今があると思ってるので。やっぱりこういう時だけ言われてね、苦しい思いをライブハウスの人がしてるというのはちょっといたたまれないですね。だから少しでも早く、ライブハウスもね、安全に安心して営業できる日が来てほしいですけどね。特にその、若いバンドを始めた人たち。本当に苦しい中で……普通にライブができてもね、やっぱりお金がなかなか入ってこなかったりして。バイト代を切り崩してやっていると思うので。

それでさらにライブ自体ができなくなるっていうのも大変だし。あと、バンドが減っているのは事実だと思うんですね。ライブハウスでライブをやるバンドが僕がライブハウスをメインで活動してきた時よりは確実に減ってると思うんですよ。それで今、配信でね、手軽に。YouTubeとかでも曲アップできたりするので。バンドを組んでライブハウスに出るっていうことよりも家で音源を作って活動していくという人が増えていると思うんですよ。それでまた更にね、こうやってライブハウスが自粛という流れができると、配信の方にまたより流れていってしまうと思うんですね。だから、うん。ここでね、何とか踏ん張ってほしいなと思います。はい。今日も元気にやっていきましょう。

<書き起こしおわり>

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