※以下、2週間後の映画を見た感想編です。(ネタバレ含みます)
(伊集院光)さあ、先週あれ見たよ編でございます。本日の映画には一言も二言もあるゲストは、電気グルーヴのお二人です。よろしくお願いします。
(ピエール瀧)こんにちは。よろしくお願いします。ピエール瀧です。
(石野卓球)石野卓球です。
(伊集院光)まあ、お二人には、それぞれおすすめの映画を伺いましたけども。今週と来週、その感想をお話するということで。今回は、ピエール瀧パートということで。すすめてもらったのは、『アンヴィル!夢を諦めきれない男たち』っちゅーことで。まあ、カナダのヘビメタのバンドの。落ち目で、売れたい!っていう話なんですけども。
(石野卓球)まだ売れたがってるよ(笑)。
(伊集院光)まだ今日もたぶんおそらく、カナダだかアメリカだかで、いま売れたがっているっていう。
(ピエール瀧)売れることを信じているよ。
(伊集院光)はい。まあ、ドキュメンタリーなんですけど。ピエール瀧パートの前回、あるじゃないですか。小林が一切しゃっていないっていう。あの、リスナーの方から、『かわいそうだ』って言われましたよ(笑)。まったくしゃべらないまま終わってった。
(小林悠)圧倒されちゃいましたね。
(ピエール瀧)『よくしゃべるおっさんたちだなー』って。
(小林悠)(笑)
(伊集院光)そう。
(石野卓球)それか俺ら、嫌われているのかと思った。
(小林悠)違います(笑)。
(伊集院光)シカト?
(石野卓球)そうそうそう(笑)。
(伊集院光)3人騒いでいるのをシカトっていう新しい・・・(笑)。
(石野卓球)呼んどいてシカトっていうね(笑)。
(ピエール瀧)同じ空気を吸いたくないから、ずっと口を閉じていたっていう。
(伊集院光)あ、息を吸うのをやめていたから。
(ピエール瀧)そういうことでしょう。
(石野卓球)小学生の女子みたいな嫌い方。
(小林悠)すっごいですね(笑)。
(伊集院光)あの、小林さん。またしゃべれなくなっちゃいますから(笑)。アンヴィル!の小林の感想から行こうかね。
(小林悠)純粋に、かわいらしいなって、思っちゃいました。
(伊集院光)なんでしょうね?本当に、かわいらしいよね。
(ピエール瀧)あの2人。リップスとロブ。
(小林悠)もう、することなすこと全てが、ダメな方に行くあの感じが。ヨーロッパ・ツアーの、あの通訳の人の・・・なに、この人!?っていう。
(ピエール瀧)あの人、たぶんね、通訳じゃなくて、ツアーマネージャーだと思うのね。たぶん。あの人が全部ブッキングだったりそういうのをセッティングして連れて行くんだろうけど。
(伊集院光)まあ、これが一応、見てもらった人とみんなで分かち合おうっていう番組だから言っちゃうと、中盤にもう、グダグダのヨーロッパ・ツアーがあるんだよね。もう、『売れたい、売れたい!ツアーやりたい、演奏したい、お金がほしい!』っつってるところにヨーロッパ・ツアーが組まれるけど。まあ、ひどいじゃないですか。行ったら客がいない。それから、なんだろう?向こうとの話もついていない。挙句の果てには、お金がもらえないみたいな。
(ピエール瀧)電車には軽々乗り遅れるとかね。
(石野卓球)自分も悪いんだよね。でも、自分らもね(笑)。
(伊集院光)あと、お客さんがぜんぜんいなくて。『あ、海外にもあるんだ。スナックって』みたいな(笑)。
(小林悠)ああ、ありましたね!
(伊集院光)スナックの、本当に普通のお客さんの1メートル前でギターを弾いたりするんだ、みたいな。
(石野卓球)客もさ、立つのも面倒くさくて、椅子に座りながら乗ってるんだよね。ソファーに(笑)。
(ピエール瀧)そうそう。
(伊集院光)えっ、ああいう、行ったら話違うじゃん!みたいなことって、あるの?
(石野卓球)あるある。『1万人集まる』って行ったら、5人とか。
(伊集院光)(爆笑)
(石野卓球)あるある。
(ピエール瀧)ぜんぜんあるみたいよ。
(伊集院光)えっ、あのシーンは本当に?
(石野卓球)あるあるある。本当に。
(ピエール瀧)あと、こいつからよく聞くのは、ライブが全部終わった後に、プロモーターが金持って逃げるとか。
(伊集院・小林)へー!
(石野卓球)いないとかね。だからね、事前に半分もらって、DJ始まる前に残りをもらうの。
(伊集院光)そうだ!
(石野卓球)そうそうそう。
(伊集院光)で、俺がなんかすごいなと思ったのが、最初に、前情報として聞いていた、撮っている人がすごくファンで。監督が。その、『いまアンヴィル、どうしているんだろう?撮ろう!』って撮ったっていうのを聞いてなかったら、もう最初は俺、意地悪なんじゃないかな?ぐらいの。間抜けなところのオンパレード。
(ピエール瀧)うんうんうん。
(伊集院光)でも、彼らのかっこいいところを見せようと思ったら、あの撮り方で大正解なんだね。
(ピエール瀧)そうなんだよね。
(伊集院光)リップスのお誕生会で、超ファンだっていう人が出てきて。で、最初のうちは、『あ、やっぱり超ファンの人もいるんだ』っていうインタビューだったんだけど。最終的にそのファンの人たちが、『俺のために曲を作ってくれたんだぜ』とか言い出したあたりから、その近さは、むしろファンがいるっていう話じゃないんじゃない。やっぱり。
(ピエール瀧)うん、うん。
(伊集院光)あそこまで強烈に、しかもわかっている撮り方って、真実なんだろうけど。つなぎ方とかが。うわー、すげーなって。すごく勉強になって、見ちゃったね。で、まあポイントを3つ、挙げてもらいましたが。ひとつめの、ボーカルのリップスとドラムのロブの俺は売れるんだ!っていうことに対する信じっぷり。すごいね。
(ピエール瀧)あれ、すごいよね。
(伊集院光)前回、ぶっちゃあさんっていう、俺らが中学校ぐらいの時はとんねるずとかと同期で。お笑いスタ誕とかでいい勝負をしていて。そのおじさんのすごいところは、売れる!って信じているのと、すごいいつもエンジョイしているのね。それにちょっと近い・・・
(ピエール瀧)だからいま、伊集院が、『あのおじさん』って言っちゃっている感じ(笑)。
(一同)(笑)
(伊集院光)そうだ(笑)。
(ピエール瀧)ブッチャーブラザーズの人のことを、おじさんって言っちゃっている感じと、さっきの『俺たちのために曲を作ってくれたんだよね!』って言っているやつの距離感って、たぶん同じぐらいじゃない。だから、『一緒にネタやったことがあるんですよ』みたいな感じの。
(伊集院光)あと、いま野球やったりもすんの。で、その野球の話になっちゃうと・・・みたいな。
(ピエール瀧)その感じなんだよね。だからね。
(伊集院光)自分たちが、あの状況で電気グルーヴ、続けられる?
(石野卓球)どうだろうね?
(ピエール瀧)どうだろうな?
(石野卓球)あのツアーを乗り切る自信はないね。
(一同)(笑)
(石野卓球)あの状況で、まだ仲良くやっている自信は、ない(笑)。
(伊集院光)でさ、いろんな希望を言っては、上手くいかないじゃん。『このツアーはすげーんだ。毎晩、1500ユーロ(15万円)ぐらいギャラもらえるし、これでレコード会社の人も見に来たら、またレコード出せるぜ!』みたいなことを言うんだけど、結局そういうツアーで終わる。でも、終わった後に、『失敗じゃない!』って言い出すじゃない?それは、言い訳も・・・あれ、言い訳何割かね?あの人の、本心何割かね?
(ピエール瀧)どうだろうな?
(石野卓球)自分に言い聞かせてるっていうのもあるじゃない。『無駄じゃなかった』っていう。
(伊集院光)ぜんぜん無駄じゃなかったっていうのと・・・
(ピエール瀧)あそこで、『無駄じゃなかった』っていう風に言わないと。あれが無駄だったと思っちゃうと、じゃあどこから無駄だっけな?って、相当さかのぼっちゃうと思うんだよね。
(一同)(笑)
(ピエール瀧)どこから無駄なんだっけ、じゃあ、これ?ってなると、おい、結構無駄だぞ!っていうことになっちゃうから(笑)。
(伊集院光)なるほどね。それが、はっきりと分けられないんだけど。なんかその比重が多い、言い訳とか、自分につく嘘とか、希望とか、本当のことの比重ははっきりは分けられないんだけど。なんか、最後のところでやっぱりこの人たちは、みんなの前で、客前でステージをやることみたいなのは、本気で好きなんだよね。それを抜くことはもう、考えられないんだな、みたいな。
(ピエール瀧)そうだよね。そこは楽しんでいるんだよね。レコーディングにしても、ライブにしても。そこでやるのは、別に嫌じゃないっていう。
(伊集院光)いい曲できたぜ!っていう(笑)。あっ、超いい曲できた!っていう瞬間は、すごいいいんですよね。ああいう男を支えられる?
(小林悠)あー。
(ピエール瀧)カミさんとかさ・・・
(小林悠)いやー・・・
(伊集院光)カミさんも揺れていて、自分に言い訳したり、本音を言ったり、ずーっとしてるんだけど。でも、あれを諦められちゃうと、自分の夢も乗っかっているから・・・みたいな感じ。
(ピエール瀧)たぶんその、ステージのリップスから先に知っているだろうから。その、ね。裏庭で子どもとバドミントンやっている感じとか(笑)。で、負けてあげる感じのやつとかは、見なくてよかったリップスだと思うんだけど。結婚して生活するってことは、そこも付き合わなくちゃいけないってところだろうから。本当にステージのリップスだけだったら、もうしっちゃかめっちゃかでいいし、金なくてもぜんぜん構わないんだけど。本当に。生活とその、ファンとしてのリップスっていうところの。その迷いをずーっと抱えたまま・・・
(伊集院光)ね。なんか、あの感じ、ねえ。すげーな。まあ、それはたぶん、ポイント2の、2人のダメっぷりとバカっぷりにちょっと含まれているかな?愛されるっぷりも含めて、含まれている気がする。で、3つめの、日本人としてうれしい。
(ピエール瀧)うん。
(伊集院光)すげーわかる。
(小林悠)わかりました。あれ!
(伊集院光)俺、初めて自分の外タレに対する見方が間違っていたってことが。外タレって、アメリカ人って日本人をみんな見下しているんだと思っていた。
(瀧・卓球)(笑)
(伊集院光)ああいうアーティストが来て、日本人が『Born in USA』とか言ってるじゃん。みんなで歌うじゃん。そうすると、『バカじゃねーか?』って思ってるのかな?って思ってたの。
(ピエール瀧)うんうんうん。
(伊集院光)お金を稼ぐところだから。ここはお金を稼ぐところで。お客さんがいようがいまいが、契約でやっているし。やっぱり海外の自分の地元の公演に比べて、なんとも思ってないんじゃないか?って心に、どっかあって。洋楽のコンサートとかに何度か連れて行ったこととかありますけど。そこで、決して乗るもんか!ってちょっと思っている・・・
(一同)(笑)
(ピエール瀧)お前の思惑通りには行かねーぞ!っていう(笑)。ステージに対してね。
(伊集院光)そう。『俺が100%出しても、お前なんか40%ぐらいなんだろ?どうせ!』と思って(笑)。
(石野卓球)まだ戦争続いてんの!?
(小林悠)(笑)
(伊集院光)俺はね。俺は、まだ。もういろんなやつ、いるから。『お前ら、アメリカのスパイなんだろ?どうせ!』って(笑)。
(一同)(笑)
(伊集院光)俺で実験している連中だと思っているから。いや、だけどなんかそれが、アンヴィルは違うじゃないですか。もう、心からお客さんが乗ってほしい!と思っていて、日本人が乗っているっていう関係性が、うわー、なんかすごいちょっと、俺の汚れた心とかも。まだ全員だとは思ってないよ。ねえ(笑)。
(一同)(笑)
(伊集院光)外タレの中には、相当ナメっぱなしのやつもいると思うけど、うわー、なんかいいなと思っちゃったね。
(石野卓球)すごいね、日本のメタルのお客さんってね、結構あったかいんだよね。そういうところは(笑)。
(伊集院光)これもさ、俺たちからしたら、『メタル』と『あったかい』なんか、絶対・・・
(石野卓球)真逆だよね。
(伊集院光)古典落語のお客さんがあったかくても驚かないけど、メタルのお客さんなんて、だって、そういう歌じゃないでしょ?
(石野卓球)そうね。
(伊集院光)でも、あったかい。いや、でもちょっと面白かったな。誰が借りても、割と大丈夫そう?
(ピエール瀧)そうだと思うよ。だから本当に、メタルの弥次さん喜多さんっていうか。その感じで見てもいいとは思うけどね。
メタルの弥次さん喜多さん
(伊集院光)で、これ、今回、いつもカミさんとどの映画も見るんだけど。カミさん、忙しくて見なかったんだけど。こっち側はカミさんに見してもいいなと思って。だからあの、次回お届けする方の、卓球さんの推薦してもらった方は、一緒に見なくてよかったと思う。
(一同)(爆笑)
(伊集院光)あっちは一緒に見ないで正解だと思います。
(小林悠)よかったですね(笑)。
(中略)
(伊集院光)(電気グルーヴの曲を聞いた後で)パンダのジャケットでお馴染みの、『人間と動物』でございます。アナログ盤でも、限定で出ている?
(石野卓球)そうそう。レコードも出るんですよ。これはね、レコード盤もそうなんだけど、それにおまけのダウンロードコードっていうのがついて、ダウンロードもできるようになっているから。レコード+データで手に入るっていう。
(小林悠)ほー。
(伊集院光)アンヴィルのアルバムもここで買えるよ』っていうのがエンディングの最後に出るじゃないですか。あれ、壮大な告知ですよね。あれね。
(石野卓球)そうだよね。そこまで、前振りみたいなもんだもんね。
(ピエール瀧)そうね。
(伊集院光)だから途中ですごい思ったのが、こういう時代になっているから、ちゃんとそうやってダウンロードでも買えたりとか、そういう手っていっぱいあるじゃないですか。だけど普通にこうやってインディーズ盤を刷ってるじゃないですか。あの人たち。あれ、ちょっと不思議だったんだよな。
(ピエール瀧)うん。
(伊集院光)えっ、そのアーティスト側からしてみたら、どれで聞いてほしいものなの?
(石野卓球)どれだろうな?でも、やっぱりCDかな?いまのところは。曲間とかも全部考えて作っているからさ。それを通して聞けるじゃない。レコードとかだと、やっぱりひっくり返す手間もあったりするから。
(ピエール瀧)なにで聞くか?もそうだけど、なるべくいいオーディオで、デカい音で聞いてほしいっていうのはあるけどね。
(伊集院光)やっぱり、そういうもん?
(石野卓球)お前がよく言うね!
(伊集院光)(爆笑)
(ピエール瀧)ぜったいそうだって。
(石野卓球)こいつさ、長い間こいつの乗っていた車。カーステがしょっぼい音しかしないのよ。で、おかしいな?なんて。『ずいぶんしょぼいね』っつったら、『いや、こういうもんなんだよ』って言っていて。
(ピエール瀧)その音質をいじれるところがあるっていうのを、5、6年ずっと気づいてなくて。
(石野卓球)ベース、マイナス12デシベルってなっていて。
(伊集院光)もともと異常に低い状態になっている?
(ピエール瀧)そうそうそう(笑)。
(石野卓球)で、低音全部カットしてて。それで6年間、乗り続けてて。そいつが『いいオーディオで、デカい音で聞いてくれ』ってよく言うよね!
(小林悠)(爆笑)
(伊集院光)いまね、個人的にすっげー面白かったのは、まあこう振られたし、そういう要素として瀧くんが言ったじゃん。言った途端にポンッ!って入ってきたじゃない。その時に、『あー!卓球がいるところで!』っていう。1秒だけそんな顔をしてるのが、すっげーおかしくて(笑)。
(ピエール瀧)なるほど、なるほど。
(石野卓球)お前、他所でこんなミュージサン面をしてたとは、思わなかった。偉そうに。
(伊集院・小林)(爆笑)
(ピエール瀧)ミュージサン面?
(一同)(笑)
(伊集院光)では、『人間と動物』を聞く時には、低音をものすごく絞っちゃダメなんですね?
(ピエール瀧)ダメダメダメ。
(伊集院光)低音をカットして聞いちゃ、ダメなようにできているっていうことですね。わかりました(笑)。ということで、来週は卓球さんパートということになりますが。来週もお願いします。
<書き起こしおわり>