佐藤蛾次郎 男はつらいよ・山田洋次・渥美清・笠智衆との思い出を語る

佐藤蛾次郎 男はつらいよ・山田洋次・渥美清・笠智衆との思い出を語る たまむすび

佐藤蛾次郎さんがTBSラジオ『たまむすび』に出演。玉袋筋太郎さん、小林悠さんと映画『男はつらいよ』や山田洋次監督、渥美清さん、笠智衆さんなどとの思い出をお話されていました。

(玉袋筋太郎)もう開始10分でね、ぜんぜん俳優さんの話をしてないですね。

(小林悠)たしかにそうですね(笑)。2つめの筋を行きましょうか。

山田洋次監督作品オーディションで遅刻

(玉袋筋太郎)はい。これ、『2時間遅刻も強気で面接』っていうところなんですけども。神戸を舞台にした『吹けば飛ぶような男』って。なべおさみさんの映画ですよね。

(佐藤蛾次郎)その頃、まだそんなに売れてなくて。一応東映でちょこちょこ出てたんだけど。事務所の社長がね、『今度、火曜日の11時に山田洋次っていう偉い監督がオーディションに来る。神戸を舞台に、ちっちゃな役だけど大阪弁をしゃべる子を使いたいと。あなた、来る気はたぶんないだろうけど、11時にここに関西のオーディションに来るから』『はいはい』っつって。『山田洋次?ナンボのもんやねん?知らんがな、そんなもん』って。

(玉袋筋太郎)(笑)

(佐藤蛾次郎)ゴメンね、監督(笑)。いまは大先生だけど。知らないから。その時、11時ぐらいにみんなで、昔モダンジャズよく聞いたじゃないですか。お茶を飲みながら何時間も。その時、和田アキ子もいたんだよ。一緒に遊んでいたの。大阪で。彼女もミナミで僕もミナミで遊んでいたから。一緒にお茶飲んでたんだ。したら1時ぐらいにね、みんなが『私、用事が・・・』って。俺、1人になっちゃった。いまからすると、運命ですね。みんないなくなった。俺、1人だよ。『あれ?今日だっけな?山田ナントカと会うの・・・行ってみようか?』と。

(玉袋・小林)はいはい。

(佐藤蛾次郎)タクシーじゃないですよ。バスで行ったの。そんな金がないもん。で、行ったらもうオーディションとっくに終わってるの。2時間たってるんだもん。したら、マネージャーが飛んできて。『なにやってんだ!監督、待ってるぞ!』『知らねーや!』っつったんだ、俺。会ったこともねーのに。

(小林悠)強気ですよねー!

(佐藤蛾次郎)なんで待ってるんだろう?と不思議だったんですよ。で、バーッと行ったんですよ。したら、監督とタカバさんとプロデューサーともう1人。4人、応接間で。で、俺も短い足を組んでね、タバコにジッポでパッと火をつけて。フーッ!ってフカして。したら監督が、『佐藤くんはどういう役をやりたいんだ?』『俺か?俺は不良だよ』って一言いったの。その後、覚えてないですよ。それから10日ぐらいして、事務所に電話あったの。で、『佐藤蛾次郎を使いたい』と。っつって、事務所は断ったの。『あの子は止めなさい。芝居は下手ですし、時間はルーズだし』って。

(玉袋・小林)(笑)

(佐藤蛾次郎)『仕事になりませんよ』って。『それでもいいです』って言ったらしいよ。監督が。

(玉袋筋太郎)あらっ!

(小林悠)ピーンときたんですね。

(佐藤蛾次郎)それで、出来上がった脚本をもらったら、準主役だったんだよ。チョイ役じゃないんですよ。よっぽど気に入って。失礼ですけど、うれしかったですよ。それで撮影の時に『監督、なぜ僕を待っていたんですか?』って。したら、あるプロデューサーか監督かなんかに『山田さん、大阪行くならちょっと面白いの1人いるぞ。佐藤蛾次郎。いい加減で時間遅れますよ。下手すりゃ来ないかもわかんない』と。監督はああいう監督だから、会いたいじゃない。逆に。言われたら。

(玉袋筋太郎)あ、そういう風になっちゃうんだ。

(佐藤蛾次郎)そう。そこへ、ね。現れて。タバコふかして不良だの・・・

(玉袋筋太郎)(笑)。そっからのお付き合いになるわけですもんね。

(佐藤蛾次郎)そうそうそう。そっからの付き合いで、まあやったら素晴らしい監督で。一生懸命、僕なりに一生懸命やりました。がんばった。

(玉袋筋太郎)おー!『ナンボのもんじゃい』っつってた監督だったけども、実際に現場でやってみたら・・・

(佐藤蛾次郎)すごいよ。『うわー、これはいままで会ったいちばんいい監督だな』と。妥協はしませんからね。一生懸命やんないと。で、『あまり芝居をするんじゃない。リアルにやれ』って。それがいちばん難しいんだよな。

(玉袋筋太郎)僕、なんかのドキュメントで、メイキングで男はつらいよのメイキングかなにかをテレビでやっていて。ほいで蛾次郎さんがすごい山田監督にダメ出しされているところ、見たんですよ。俺。

(佐藤蛾次郎)だから、『違う。それは蛾次郎だ。源公でやれ』って。源公がね、世間様から歯車が少しズレてるんです。僕はズレてませんよ(笑)。だから、そのズレたあれを出せって言うけど、なかなか出るもんじゃない。いちばん難しかったのはね、幼稚園の生徒を5・6人連れてきたんだ。『蛾次郎、かくれんぼしろ』『へっ?』。かくれんぼしろって言うの。山門の横でね。

(玉袋筋太郎)はい。

(佐藤蛾次郎)できるもんじゃないよ。いいおっさんだよ。ただ、『タマちゃん見ーつけ!○○ちゃん、見ーつけ!』って言わなきゃいけない。はじめは面白い。子どもは。だんだんだんだん、何度もやるとつまらない。『蛾次郎、ちゃんとやれ!』『やってますよ』って言えない。『はいはいはい』っつって。そんでそれをね、子どもと源公がじゃれるの。頭の中、レベル一緒だから。それがいちばん難しかったですね。

(玉袋筋太郎)あー!

(佐藤蛾次郎)あと芝居でね、寅さんと小百合ちゃんが船乗っているの。僕、後ろの方で魚釣ってるの。江戸川で。したらね、リハーサルの時かな?パッと竿の先が外れたんだ。またセリフのタイミングが良かった。俺、『ああっ!』って慌てたんだ。ほら、芝居じゃない。本当でしょ?『カット!蛾次郎、それ面白いな』『えっ?』。二度とできませんよ。

(小林悠)それ、偶然ですよね?

(佐藤蛾次郎)偶然。さもなきゃ抜けるわけがない。今度やったらね、『早い!』っていうの。小道具さんが。パッとすぐ抜けちゃったんだ。キツくしたら、『なぜ抜けない?』って(笑)。そのうち、何回も何回もやりましたよ。ちょうどセリフのタイミングもあるし、船が伴走して。横から。ちょうどいいタイミング。『回しておけよ、そういう時は』って思って(笑)。そうそう、そういうの。

(小林悠)(笑)

(玉袋筋太郎)そっから釣りバカ日誌につながるわけですよ。

(一同)(笑)

(佐藤蛾次郎)いや、それが本当に監督がリアルな、偶然なあれを・・・それが難しいんですよ。

(小林悠)本当ですよね。

(玉袋筋太郎)本当ね、男はつらいよのファミリーって毎回同じメンバーでね。まあ、マドンナは違いますけど。本当、家族みたいになっちゃうんですかね?擬似。

(佐藤蛾次郎)いや、僕はあんまり。普段会ったりしません。みなさん、なんか会っている人もいるらしいけど。まあ、さくらさん。(倍賞)千恵子さんと仲がいい。いまだに電話で話したりしてますよ。

(玉袋筋太郎)あ、そうですか。

倍賞千恵子とタヒチのプールで・・・

(佐藤蛾次郎)あの、ちょっといい話があるんですけど。さくらさんと、それから僕と監督とキャメラマンと。みんなでね、タヒチに遊びに行ったことがあるんですよ。それで着いて着替えて、さあ泳ごうか!っつったら、倍賞さんがプールサイドに来た時にワンピースで来たの。だから俺が言ったの。『ダメ!倍賞さん、タヒチだよ。なんだ、そのワンピースは?』っつったら、『ごめん』っつって明くる日、セパレーツだったの。

(玉袋筋太郎)あー!さくらのそんな姿!

(小林悠)さくらのビキニって!

(佐藤蛾次郎)『倍賞さん、俺買ってやるから。ビキニ、明日着て来い』っつったの。言われたもん。ガジさんが買ってやるっつったけど、いや、自分で買って。明くる日、一応ちょっと違うプール行って、それから我々のところに来たんです。本当にビキニ。さくらさんがビキニですよ。

(玉袋筋太郎)これはあり得ないですよね。

(佐藤蛾次郎)写真、撮ってないんだ。

(玉袋筋太郎)もったいない!

(佐藤蛾次郎)撮っておけばよかったのに。いまもその話をすると、笑うよ。『そうよ。そうそう、そうね。ガジさん行ったわね』っつって。本人も了承してますから。

(玉袋筋太郎)御前様はどうでした?笠(智衆)さんは。

笠智衆徒の思い出

(佐藤蛾次郎)本当に寡黙な方でね。ほいであの御前様、左側の耳がちょっと、僕もそうなんだけど遠いんですよね。ほいで監督が『笠さん、すいません。そっちから、左からそっちに動いてください』って言ったらね、聞こえてないんだよ。でね、『蛾次郎さん、僕はこっちがほとんど聞こえないから、復唱してください』って。『はい、わかりました。山田はこんなことを言ってますよ』っつったら、『はい、わかりましたよ』って。

(玉袋筋太郎)(笑)

(小林悠)本当に師弟関係のようなね、本当に映画の中のような。

(佐藤蛾次郎)後半、監督に言ったら『えっ?知らなかった』っつうんだよ。聞こえないの。僕と笠さんだけのあれなんですよ。

(玉袋筋太郎)うわー、つながりですなー。

(佐藤蛾次郎)で、1回ね、撮影終わって。(前田)吟ちゃんとね、ミカサというレストランがあるんです。撮影所の前に。そこ、笠さんの関係らしいんですよ。親戚かなんか。で、吟ちゃんと飲んでいたら、生牡蠣が来たんだ。バーッていっぱい来た。『たのんでません』って言ったら、『笠さんから』って。笠さん、そっちで手を振っている。『ああ、すいません』っつって。

(小林悠)無言で手を振ってたんですか?

(佐藤蛾次郎)はい。生牡蠣で一杯飲んだの。で、笠さん帰ったから『あ、どうも。ごちそうさまです』って。で、最後に『吟ちゃん、2人で折半しようか。ボトルとったから』って。したら、『笠さんが払って帰りました』って。

(玉袋筋太郎)これだよ、御前様。

(佐藤蛾次郎)うれしい。『博や源公のためだよ』って。そういう、やさしい人だったんだよ。明くる日、『昨日はどうも』『いや、いいのいいの。言わなくていい』。それとね、1回。演技課のところに笠さんと監督が座ってたの。9時開始で、俺は9時半に行ったの。もう笠さん、全部衣装もメイキャップも終わって。そこを通らなきゃね、メイキャップ室にいけないんです。したら、通ろうとしたら、『蛾次郎!』『はい、おはようございます』『笠さんを見習え。もう笠さんは8時半に衣装もメイキャップもできている。なんだ、お前は?大先輩に向かって9時半ごろに来て』って。始まらねーんだもん、いつも。

(玉袋・小林)(笑)

(佐藤蛾次郎)それは言えないよ。わかってる。だいたい10時から11時だもん。俺、出るの。下手すりゃお昼すぎだもん。で、タカくくって行ったら怒られちゃった。

(玉袋・小林)(笑)

(佐藤蛾次郎)で、笠さん。『いいんです、蛾次郎さん。僕はね、齢とって朝が早いから。いいんですよ』って。

(小林悠)素敵ですね。本当、映画みたい。

(玉袋筋太郎)いちばんいい話はですね、蛾次郎さん、披露宴を挙げられなかったからっていうことでね。山田組の中でっていう、このお話がたまらないのよ。

(佐藤蛾次郎)そう。『吹けば』の時に『もしも結婚したら、仲人してやる。オシ!蛾次郎、仲人してやるぞ!』って。そいで、まあカミさんと結婚したけど、式を挙げてなかったの。で、10作目かなんかかな?タコが好きだった近所の女の子が花嫁になって。おいちゃん、おばさん、寅さんに挨拶に。もちろん俺もそこにいたんだけど。で、それをわざわざ監督が書いてくれたの。それで撮影は午前中で終わったの。そしたら制作に『すいません!ちょっとメシ押しでお願いします』って。したら、監督が『蛾次郎、衣装行け』っつって。『えっ?』って行ったら紋付袴が用意してあったの。

(小林悠)ええっ!?

(佐藤蛾次郎)それで、とらやから全員、みなさん一緒と、そこにたまたま篠山紀信さんが。

(玉袋筋太郎)それがすごいですよね。

(佐藤蛾次郎)渥美さんの取材で来てたの。サンデーかなんかの雑誌の表紙で来てたの。で、監督と渥美さんが『実はこうこうで・・・』『はい、わかりました』っつって、篠山紀信激写で撮ってくれたの。それを四切カラーでくれましたよ。で、後ろに篠山紀信のハンコをバーン!と押して。だから間違いない、私が撮りましたと。あの頃、たしか1カット200万ですよ。いちばん売れている頃だから。それは本当、みなさんの優しい思いやりで。

(玉袋筋太郎)ご祝儀ですよね。

(佐藤蛾次郎)ご祝儀。

(小林悠)じゃあ10作目を見れば、その花嫁役で挨拶に来た女の子が奥様だということが。じゃあちょっとチェックします。これは。

(佐藤蛾次郎)たしか10作だと思うんですよね。

(玉袋筋太郎)で、このね、アラカン先生ですよ。嵐寛寿郎先生。『寅次郎と殿様』で。

嵐寛寿郎との思い出

(佐藤蛾次郎)そう。鞍馬天狗、大好きでずっと見てたの。それで、大先輩で。『先生、おはようございます』って。『ガタロウ!』『えっ?いや、僕ガタロウじゃない・・・』『ガタロウでエエのや』って。大阪で昔ね、道頓堀の鉄屑を拾ってドブさらいする人をガタロウって言ってたの。『お前、ガタロウやで』『はい、ガタロウで結構です』って。『で、先生・・・』『なんや?お前。なんで先生って言うねん。アラカンと呼べ!』って。そんな・・・冗談じゃないですよ。

(小林悠)呼び捨てできないですよね。

(佐藤蛾次郎)でも、言えって言うから。『アラカン!』『なんじゃい、ガタロウ?』って。で、アラカンがね、タバコを出すと慌てて生意気にダンヒルの昔は細い金の(ライター)を持ってたんです。それでパッと火をつけたら、パン!って手を叩かれて。『ガタロウ!タバコはマッチじゃ!』っつって。で、奥さんを『カカ』って言うの。京都なの。『カカ、マッチ持ってこい』って。

(玉袋筋太郎)箱のマッチ。

(佐藤蛾次郎)パイプのマッチを持ってきて。『ガタロウ、これや』って。で、僕がパッとつけたら、アラカンがパッとつけて。で、僕がタバコを出したら、アラカンがそのパイプマッチに火をつけてくれたの。

(玉袋・小林)うわっ!

(佐藤蛾次郎)いやー、いちばん美味しかったね。いままでで。そういう話。アラカンさんとの話は。そんで今度、『ガタロウ、今度お前の店に飲みに行くわ』って。『わかりました』っつって、その時にうちが店を閉めてたのかな。近所の人が『蛾次郎さん、ガタロウの店はどこだ?って来ましたよ』って。見たら店、休んでたんだよ・・・

(玉袋筋太郎)(笑)

(小林悠)もったいない!

(佐藤蛾次郎)で、その後ミニクラブに行こうって。流行っていたの、あの頃。銀座行こうって。『ワシ、ジェニもってくる』って。大阪の人や。『ジェニ(銭)もってくるから、蛾次郎行こか』って。『はい』って、店閉めてたの。それで店閉めてたの、もう1人、この人もね、店に来たけどうちが店を閉めてたの。

(玉袋筋太郎)えっ?誰だろう?

(佐藤蛾次郎)ジョン・レノンですよ。

(玉袋・小林)ジョン・レノン!?

(佐藤蛾次郎)ジョン・レノンの奥さんはオノさんでしょ?その弟さんがうちの店の常連だったの。『今度、兄貴と姉貴と連れてくる』って。

(玉袋筋太郎)レノンを『兄貴』と呼ぶ男(笑)。

(佐藤蛾次郎)で、『お願いします』ってその日がお盆かなんかで店休んでたんです。で、また近所のおっちゃんが『蛾次ちゃん、なにしとんねん。ジョン・レノン、ジョン・レノン。こんなん来てましたで。3人で』って(笑)。だから本当うちまで。店まで来て、閉まってたから帰ったの。

(小林悠)あらー、諦めちゃったんですね。

(佐藤蛾次郎)もう2人がいちばん惜しかった。で、爆発のおじさんはうちに来たんだ。岡本太郎さんは。来てたんですよ。僕はいなかったけど。それは言っていた。なにかの雑誌にね、地下バーに入ったって書いてあって。

(玉袋筋太郎)(笑)。それ、蛾次郎さんの店なんですか?

(佐藤蛾次郎)そうなんですよ。

(玉袋筋太郎)いいねー!でね、もう渥美さんの話なんすよ。

(小林悠)最後にそれでちょっと締めていただきましょう。『寅さんからの最後の言葉 ご苦労さん、美味しかったよ』の筋。これを教えて下さい。最後に。

寅さんからの最後の言葉

(佐藤蛾次郎)僕、カレーをね、昔店でカレーをやってたんですけど。でももう店閉めちゃって。やってたやつが金を持って逃げちゃった。まあ、それはいいんですけど。それで監督に『俺、カレーのレシピ持っているから作っていいか?』『おう、蛾次郎作ってくれ』と。で、毎回、団子屋のセットの時にだいたい150人前くらいを僕が家で作って。それでルウはタンクに入れて、ご飯は食堂からご飯。それで、振る舞ってたの。約30年近くかな?毎回、1回ですよ。みんなが『美味しい、美味しい、美味しい』っつって。で、渥美さんが最後の時に、いつもはね、小さいのしか食べないんだよ。ところが『L』を食べたよ。『蛾次郎、美味しかった。ありがとう。ご苦労さん』と言ってくれたの。

(玉袋筋太郎)ああ、それが最後の・・・

(佐藤蛾次郎)それから会ってないんですよ。それが最後となったの。いまは薬膳カレーとして、さっき言ったお店で。インターネットで出てるから、みんな来るんだよ。地方から。『カレー、ありますか?』って。『あるにはあるけど、いまはあります』っつったら。美味いんだ。あのね、1日がかりで作って。一切油は使わない。炒めない。ひたすら煮込んで煮込んで、あとそれは、今度冷凍庫で1ヶ月間熟成させるの。

(玉袋・小林)えーっ!?

(佐藤蛾次郎)最高のカレーです!

(玉袋筋太郎)これ、ほら。ちゃっかりカレーを宣伝するところがやっぱり、商売人!さすが!

(小林悠)蛾次郎さんのお店に行けば、食べられるんですか?誰でも。

(佐藤蛾次郎)いまは食べれます。

(玉袋筋太郎)今度、行かせてください!

(佐藤蛾次郎)博品館の横の、名前は『蛾次ママ』。インターネットで載ってますから。

[リンク]佐藤蛾次郎さんのお店 蛾次ママ

(小林悠)わかりました。

(佐藤蛾次郎)安いからね。まあ、それはいいけど。あの、寅さんの時には熟成できないから。まあ明くる日でもちゃんともちろん美味しく作りますけどね。それから、寅さん終わっても監督が『武士の一分』とか、いろんなのをやるでしょう?その時に電話がかかってくるの。『お前のカレー、食いたいな』って。

(玉袋筋太郎)炊き出し(笑)。

(佐藤蛾次郎)『はい、わかりました』っつって作って、製作者取りに来て。それでかならず食べてその時に監督自ら『蛾次郎、今回特に美味しかった。みんな喜んでたぞ』『ありがとうございます』。

(玉袋筋太郎)これ!いい関係じゃないですか。

(佐藤蛾次郎)そこがうれしいじゃない。かならず電話で『いま食べたけど美味しかった』っていうのがうれしいじゃないですか。で、また作りたくなるですよ。

(小林悠)うわー。是非この蛾次ママにカレーも食べに行きたいなって思っちゃいました。

(佐藤蛾次郎)あとね、あんまり知らない人いるけど。いちばんはじめに寅さんとかをやった時に、お歳暮持っていったの。自宅へ。

(玉袋筋太郎)ああ、監督のところですか?

(佐藤蛾次郎)ちょっといいものをね、お金がないのに。『なんだこれは?』『いや、お世話になっているから』『なんでこんなもん持ってくるんだ?この金でいい映画といい芝居を見て、俺に演技で返せ』って言われたの。

(玉袋筋太郎)かー!いちいちいいですな!

(小林悠)本当にドラマチック。

(佐藤蛾次郎)『うわっ、この人本物だな』って思ったの。だから僕は料理得意だから、監督僕の料理好きだから、おせちは毎年持って行ったの。それはもう、よろこんで。だから黒豆は丹波のいちばんいい黒豆だって。ちゃんとお砂糖5種類入れて。僕はお袋に教わったレシピで毎年持って行くと大よろこびで食べてくれるの。

(小林悠)料理人としてのね、お顔もお持ちだと今日、はじめて知りました。

(佐藤蛾次郎)それはもう、監督のために作るんだから。

(小林悠)素敵なお話、本当にありがとうございました。佐藤蛾次郎さん、また是非いらしてください。お待ちしております。

<書き起こしおわり>

タイトルとURLをコピーしました