西寺郷太が語る bump.y『CRY』制作秘話

西寺郷太曲紹介コメント bump.y『孤独にVIVID』 西寺郷太TAMAGO RADIO

NONA REEVES西寺郷太さんがTBSラジオ『MUSIC 24/7 西寺郷太TAMAGO RADIO』で、プロデューサーを務めたbump.yの楽曲『CRY』の制作話をされていました。

(西寺郷太)さて、ここからは今日の一曲。『POP先生 CHOICE!』。この時間は最近感じていることを話しながら、リスナーのみなさんにだからこそいま聞いてほしい1曲をご紹介する音楽トークコラムのコーナーです。今日聞いてほしい曲は、bump.yの『CRY』。これ、悩んだんです。実は先週もbump.yの『孤独にVIVID』っていう曲を選ばせてもらって。

[リンク]西寺郷太曲紹介コメント bump.y『孤独にVIVID』

(西寺郷太)bump.yっていうアイドルグループ。5人の女の子のグループですけども。実は明日、『pinpoint』というアルバムをリリースするんですが。その曲およびプロデュースを僕が初めて全部。いわゆるメジャーから出てるアイドルグループのアルバムをプロデュースしたということで。聞いてほしいのはやまやまだったんですけど、2週連続でどうか?と思ったんですが、この曲だけはどうしてもラジオで聞いていただきたくて、選ばせてもらいました。『CRY』という曲なんですけど。

これ、僕が小学校5・6年生の時に作った歌なんですよね。たぶん85年とか。10才・11才ぐらいの時のことなんですけども。当時、自分で勝手に新曲といいますか、自分の曲が頭の中で鳴るという現象があってですね。いまも割とそんな感じで作るんですけども。なんか自分なりの、世の中のヒット曲、ザ・ベストテンとかトップテンとか見ながら世の中のヒット曲と別に、なんとなく適当に作った自分なりの歌のベストテンみたいなのが毎日、考えてたんですよ。いろんなポップな歌があったり。妄想です。ぜんぜん楽器も弾けないけど、頭の中でこんな曲があればいいなと思ってたんですけど。

まあ、やっぱり言っても忘れていっちゃうんですよ。曲を。これはマズイなと思ったのがだいぶ時間がたって。半年ぐらいたってからですかね?曲を自分で作っているって認識してから。それで最初は自分でカセットテープに録音するようになって。そのカセットテープを録音したものを流しながら、録音できるウォークマンで録音すれば、曲が重ねられるやんけ!ってことが判明しまして。しばらくするとだんだん多重録音っていうんですかね?コーラスで自分以外の、自分1人だけじゃなくて5・6人自分がいるというような歌のテープをできるようになったというのが僕の作曲のはじまりなんですけども。

その頃からテープをずーっと残しているんですが。実はここ最近なんですけども。ここ4・5年ですかね?マイケル・ジャクソンさんがお亡くなりになって、湯川れい子さんと非常によく会うようになったりとか、いろんな音楽のことを教えてもらったりとか。エルビス・プレスリーとかレッド・ツェッペリンとかいろんな話をしてくれるんですけども。おもしろいな!と思って仲良くさせてもらって。光栄やな!と思ってたんですけども。2011年の9月。震災があった年の半年後ぐらいですね。『郷太さん、私の熱海の別荘に来ませんか?』って言われて、『ぜんぜん喜んで行きます!』ってことで、遊びに行かせてもらった時に、歌詞を渡されたんですね。湯川さんから。『こんな歌詞を私、書いたの』って。

彼女は震災が終わった後、いまもずーっとボランティアの活動で、いろんな町の学校の体育館とかに行かれていて。なんかシンプルな、ピアノとかだけでみんなで歌えるような曲で希望や夢があるような歌をなんとか作れないか?ということで彼女は歌詞を書かれたわけです。で、『郷太さんに曲を作ってほしいし、郷太さんがプロデュースをしているような、楽曲提供している若いアーティストに歌ってもらいたいの』って言って渡されて。もう達筆なファックスでいただいて。『うわー、これものすごいプレッシャーですけど、ありがとうございます!』って言って、その歌詞を見てたんですけど。僕、普段はだいたいメロディーから作って歌詞を当てはめるんですね。だいたい『曲先』とか言うんですけど。

で、歌詞をもらってっていうのは非常に自分では珍しいことだったんですけど。そしたら、その歌詞をじっくり見て、『シンプルな歌、シンプルな歌、みんなで歌えるような・・・』って思っていたら、その僕が小学校5・6年ぐらいに作っていた、当時の自分の中でのオリジナルですよね。歌詞も適当にしか作ってなかったんですけど。その譜割りにめちゃくちゃ合うじゃないか、この詞は!っていうことに気がつきまして。そこから作った歌が、このbump.yの『CRY』っていう歌なんですよ。

サビの部分は仲間の谷口尚久くんっていう方に作ってもらって。共作になっているんですけど。っていうことは、1985年の、10才・11才ぐらいの僕と、70おいくつの湯川れい子さんが作られた曲が時空を越えて合体したといいますか。僕はこれ、ピアノとかでも1本で弾けるので、bump.yの歌なんですが、世の中のいろんな学校とかで、卒業式とかの時に歌われたらいいなと思って作った歌なので、聞いてもらいたいんです。よろしくお願いします。明日発売。bump.yのアルバム『pinpoint』から、作詞湯川れい子、作曲西寺郷太・谷口尚久で『CRY』。

(西寺郷太)お送りしたのは、bump.yで『CRY』。湯川さんのメッセージで、『上を向いて歩こう。涙がこぼれないように、っていうんじゃなくて、泣けるだけ泣いていいよ』っていうメッセージが彼女からのメッセージとして歌詞に書かれていたので、僕も子供のころの自分が作った歌ですけど、すごく、逆に純粋なメロディーが合うんじゃないかな?ということで、こういう歌になりました。非常に自信作です。ありがとうございます。以上、今日の1曲。『POP先生CHOICE』でした。

<書き起こし終わり>

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