町山智浩 アメリカ・オークランド大規模火災とその背景を語る

シェアする

町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』の中で地元オークランドの倉庫で起きた大規模火災についてトーク。その火災の背景にあるカリフォルニアのジェントリフィケーションについて話していました。


(赤江珠緒)町山さん、こんにちは。

(町山智浩)はい、町山です。よろしくお願いします……

(赤江珠緒)あら?

(山里亮太)どうしたんですか、町山さん。なんかひそひそ声で、誰かに聞かれちゃマズいみたいなテンションで……

(町山智浩)いやいや、ちょっとオークランドで大変な火事があって、ものすごい亡くなって……知り合いの娘さんとかも亡くなって、大変なことになっているんで、ちょっと……日本でも報道されていると思うんですが、オークランドの倉庫を住宅にしていたところでダンスパーティーが行われていたんですけど、そこで出火しまして。全く消防法とかのチェックを受けていないところだったので、多くの方が逃げられずに亡くなりまして。

(赤江珠緒)うん……

(町山智浩)あの、知り合いの、うちの娘の学校の友達の同級生とか、日本語学校の関係者のお子さんとかも亡くなって、大変なことになっています。

(赤江珠緒)ええーっ!

(町山智浩)原因はいまサンフランシスコはIT系の人たち、要するにFacebookとかGoogleの社員を目当てに家賃の値段をどんどん吊り上げているんですね。そのために、いままでサンフランシスコっていうのは気楽に暮らしている、要するに家賃3万円とか4万円で共同生活しているアーティストの人っていうのがいっぱいいたんですよ。好きなことをやって、音楽とか芸術を作ってね。

(赤江珠緒)うん。

サンフランシスコの急激な家賃高騰

(町山智浩)で、そういう人たちが追い出されちゃって、居場所が亡くなっちゃったんですよ。で、うちの近所の、(サンフランシスコ)湾を渡ったオークランドの方っていうのは結構倉庫街とかがあって。港町なので。そういうところ、非常に危険なところとかに仕方なく集まって住み始めたんですよ。引っ越して。

(赤江珠緒)ああー。

(町山智浩)で、そういう人たちが集まっていたところだったんですよ。いま、もうサンフランシスコ市内っていうのはそれこそ1ベッドルームの、だから要するに1LDKのコンドミニアムが1億円とか、とても信じられない値段に上げられちゃったんですね。FacebookとかGoogle、Twitterの社員によって。で、こっちに来ると5万円か6万円ぐらいで住めるところを提供している人たちがいて。ただ、それがもう完全に法律違反で貸していたんですよ。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)で、グチャグチャで。倉庫を勝手に住居として貸していて。中は迷路みたいになっていて、みんなが詰まって暮らしていて、そこで出火して。電気とかもめちゃくちゃな配線をしているから、出火しやすかったんですね。

(赤江珠緒)ああー……

(町山智浩)そこでちょっとした、50人かそこらのパーティーがあったらしいんですけど、なんらかの理由で出火して、もうみんな逃げられなかったんで大変なことになっていますね。

(赤江珠緒)それは痛ましいですね。

(町山智浩)これはね、すごく複雑な社会的要因っていうか、ITブームの影でいままで本当にみんな……僕の友達のパトリックとか、本当に僕が会った頃は家賃を月に4万円とかしか払っていなくても暮らせたんですよ。でもって、本当に好きなことだけやっている奴らが、ダラダラと仕事もロクにしないで一緒に生活していたんだけど、そういう人たちが住めなくなっちゃったんですよ。

(赤江珠緒)ふーん……

(町山智浩)もう、いまだってラーメンが1700円ですからね。

(山里亮太)物価も上がっているんですか?

(町山智浩)物価も異常に上がっているんですよ。もう普通の人も住めない。ギャングもみんないなくなっちゃいましたよ。

(赤江珠緒)へー!

(町山智浩)住めなくて。家賃が高くて。いままで、すごくギャングには苦労していたんですけど、ギャングも壊滅しましたね。家賃によって。

(山里亮太)そんな形の壊滅の仕方が。

(町山智浩)経済っていうのは恐ろしいですね。この格差というかね。で、みんな避難していたんですけど、やっぱり非常に危険でしたね。

(赤江珠緒)そうでしたか。やっぱりね、消防法に違反してる建物とかね、火事が出ると、もうね……

(町山智浩)すごいことになっていますね。まあ、うちの近所の方はすごく、まあギャングとかは多いんで。非常に危険なところがあったんで。そういうところにあえてみんな引っ越して、住み始めていたんですよ。アート系の人たちは。ニューヨークもそうなっていて、ブルックリンにみんな逃げているんですけどね。

(赤江珠緒)ああー。

(町山智浩)高くて、もう。まあ、そんな感じで「ジェントリフィケーション」っていうんですけども。「高級化」というもので、ロサンゼルスでも同じことが起こっていて。ロフトとかに住んでいる人たちはみんな追い出されて。カメラマンとか知り合いにいっぱいいたんですけど。「ロフトをコンドミニアムに仕切り直して売るから出て行け!」みたいな、そういうことで結構大変なことになって。

(山里亮太)とんでもない格差がね、広がり続けているっていう。もうどんどんどんどん広がっていっちゃっているんですね、いま。

(町山智浩)都会ってわけがわからない人がいっぱいいたんですよ。日本にも下北沢とかに行くといっぱいいましたけども。吉祥寺とかね。そういったものが、アメリカ各地で潰されつつある状況のひとつですね。

(山里亮太)経済的な理由っていうのはね、そうなんだって思いますね。

(町山智浩)そうなんですよ。経済はどんどん上がっているんですけど、ラーメン1700円って誰が食うんだ、バカヤロー!って思いますけど。まあ、そういう感じなんですが。ただ、ラーメン屋さんはものすごく儲かっていますね。日本の人たちが経営しているところはものすごく儲かりすぎて、たぶん税務署がチェックしていると思いますが(笑)。だって原価いくらだよ?っていうね。

(山里亮太)すごいですよね。

(町山智浩)高く売りやがって(笑)。ふざけんな!って思いますけども。まあいいや。

<書き起こしおわり>