町山智浩 緊迫するクリーブランド共和党党大会を語る

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町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』の中で、ドナルド・トランプが2016年大統領選挙の共和党候補として指名される共和党大会についてトーク。相次ぐ警官による黒人射殺事件によって緊迫するアメリカ国内の状況と合わせて話していました。



(赤江珠緒)いろんなニュースがありますが町山さん、アメリカでは共和党の党大会。もう、指名ですってね。

(町山智浩)はい。ドナルド・トランプを指名する共和党の党大会というのが今日からアメリカで始まりましてですね。かなり危険な状態になっていますね。

(山里亮太)危険?

(町山智浩)あの、まあアメリカは警官と黒人の間で非常に対立が進行していまして。前も話したんですけども、全く抵抗していない黒人を、犯罪を犯していない人まで含めて警察官が次々と射殺したんで、今度はダラスで警察官が撃たれたんですけど。それでまた、バトン・ルージュで撃たれましたね。待ち伏せをして警官が黒人に撃たれたんですけども。これ、いま共和党大会が行われている真っ最中のクリーブランドという街は人口の50%以上が黒人ですね。

(赤江珠緒)ああー。

(町山智浩)で、クリーブランドっていう街はすごく経済的に70年代に重工業が崩壊してから廃墟化が進んでいるところなんですよ。で、あまり治安が良くないところに持ってきてですね、今回、共和党の人たちが大量に銃を持ち込んでいる状態です。

(赤江珠緒)えっ?

(町山智浩)というのは、共和党の党員の中には、共和党は「銃の所持の権利を守る」というのが党のポリシーになっているので、銃を持っている人が非常に多いんですね。他の党よりも。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)民主党は逆に、「銃を規制した方がいい」っていう人たちが多い党なんですけども。で、「オープンキャリー」という、前も説明したんですが。アサルトライフルのような要するに軍用ライフルを肩からぶらさげたまま、普通に道を歩いて飲み屋に行ったり、公園行ったり、野球を見たりするっていうようなことが許されているわけですよ。アメリカは。

(赤江珠緒)そんな、野球とかを見る時まで? ええっ?

(町山智浩)そうなんですよ。で、各地でそれぞれの個別のルールで取り上げてはいるんですけど、基本的に許されていて。日本の人が行くアメリカの州って、だいたいカリフォルニアには行きますよね。日本人ってね。で、ニューヨークにも行くし、あとディズニーワールドがあるからフロリダにも行くじゃないですか。

(赤江珠緒)はい。

(町山智浩)あと、シカゴが大都会だから行くでしょ。それ以外の州のほとんどはオープンキャリーなんですよ。

(赤江珠緒)ええーっ?

(町山智浩)だから、この間もダラスで銃撃があった時に警察側が最初は「犯人は4人」とか言っていたのは、黒人たちや普通のあらゆる人たちが警察に対してデモをしていたんですね。そのデモの中に、30人くらいアサルトライフルをぶらさげた人たちが参加していたんですよ。

銃をオープンキャリーする人々


(山里亮太)えーっ?

(町山智浩)で、そのそれぞれのアサルトライフルっていうのはだいたい30連発ぐらいできて。要するに一瞬で、「さあ、大量虐殺しようかな」と思ったら、1分後にはできている状態なんですね。

(赤江珠緒)それはデモをしている人も持っている?

(町山智浩)そういう人たちが警官に対するデモに30人、参加しているんですよ。

(赤江珠緒)うわーっ!

(山里亮太)で、いつそれをぶっ放してもおかしくないと。

(町山智浩)そう。撃つか撃たないか、決めるか決めないかだけのレベルなんです。これはそれを抑止する力っていうのは、存在しないんですよ。これがいまのアメリカの状況で。そこにさらに、共和党大会で「銃の権利を守れ」って言っていて、さらにその共和党の党員は9割が白人で。それで、今回共和党大会の初日なんですが、ボルティモアの警察官が挨拶をしたんですね。そしたら今日はボルティモアで黒人の青年を、手足に手錠をかけたまま警察の護送車に乗せて。で、車をものすごく振り回して、その人の首をへし折って殺したっていう警官たちが殺人罪に問われていまして。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)だって手足を縛られて、トラックの後ろの荷台のところに放り出されて。で、中でガシャガシャ揺れて振り回されて、首の骨を折ったんですよ。

(赤江珠緒)ええっ?

(町山智浩)で、過去にもそれを警官たちがやっていることが発覚したんで殺人罪に問われていたんですけども、今日、無罪になりまして。

(山里亮太)ええっ?

(町山智浩)無罪になったんですよ。その警官たち。で、暴動が起きる寸前の状態で、しかも今回共和党大会にその警官が出て、「警官の命の方が大切だ」ってやったんですよ。で、そういう白人の人たちが多い党で、共和党大会の外側のクリーブランド市は50%以上が黒人で、しかも貧困層ですよ。

(赤江珠緒)えっ、じゃあやっぱりトランプ氏はそういう黒人の側からすると、嫌な候補者なんですか?

(町山智浩)まあ黒人差別的なことはまだ直接的には言ってないんですが。メキシコ人差別を非常にしていますよね。あと、やっぱりイスラム教徒差別。っていうか、「イスラム教徒を絶対に入れるな!」って言いましたから。でも、アフリカ系の人はイスラムに入っている人が結構いるんですよね。

(赤江珠緒)ふーん。

(町山智浩)だからそのへんですよね。あと、やっぱりオバマ大統領に対して、「あいつはケニヤ人だ」って言ってみたりね。非常に差別的な言動が多くて、もともと非常に差別的な人が多い南部の白人層が支持層になっているので。で、それが集まっているわけですよ。その党大会の会場に、銃を持って。

(山里亮太)ちょっとなにか、起こるかもしれないですよね。これはもう、かなりギリギリみたいな……

(町山智浩)はい。で、クリーブランドの外側も持っているわけです。だからクリーブランド警察は「たのむから機関銃だけは、銃は持ち込めないように法律を変えてくれないか?」って州知事に言っているんですが、まあ動かないままなんで現在、銃を全員が持っている状態ですね。


(山里亮太)はー! 1個引き金を引いた瞬間に、すっごいことになりそうですね。

(町山智浩)一触即発だと思うんですよ、これ。で、しょうがないから、行ってきます。はい。

(赤江・山里)えっ!?

(町山智浩)そういうところには行かないとなんないでしょう。

(山里亮太)ええっ? 気をつけてくださいよ。

(赤江珠緒)本当、本当。

(町山智浩)いや、まあ僕ね、アメリカに20年住んでいて、1回も怖い経験をしたことがないんですね。

(山里亮太)えっ? 話を聞いているとすごい怖い場所にいろいろ行っているイメージあるけど……

(町山智浩)だからなぜかね、周りでは起こるんですけど。僕が住んでいるところはバークレーっていうところなんですけど、その隣町のオークランドはアメリカで3本の指に入る危険な街なんですよ。

(赤江珠緒)うんうん。

(町山智浩)で、2日に1人か3日に1人ぐらい、かならず人が死ぬんですけど。で、2009年にうちの奥さんが強盗された時に助けてくれた日系人の警察官が、犯人との銃撃戦で射殺されてるんですよね。

(赤江珠緒)ええーっ? 身の回りにあることが、ちょっと考えられない……

(町山智浩)そう。警官4人、射殺されていますね。ロシア製のライフルで。2009年ですけど。まあ、そういうところに住んでいるが自分自身には何も起らないという(笑)。

(赤江珠緒)それならいいですけど。町山さん、その黒人の人と白人の人の警官とかも含めてモメているっていうニュースとか、日本にも届いているんですけど。これはもともと根深くあったのがなんとなくあったっていうのか、ここ最近増えているのか、どうなんですか?

(町山智浩)ええとね、まず去年から1000人以上殺されているんですよ。警官によって、黒人も白人も含めて。ところが、警官が犯人とかに殺される人数は30人ぐらいなんですよ。年間。だから、警官は30人しか殺されていないのに、警官側が犯人もいるし、犯人じゃない人も含めて1000人以上殺しているっていう、これ完全に異常な状況なんで。ただ、うちの近所のフレズノっていうところで1人、白人が殺された時のビデオを警察が発表したんですけども。もう警察官は怖くて怖くてしょうがないんですね。あまりにも銃を持っている人が多いから。いま現在、アメリカで。

(赤江珠緒)へー。

怖がった警官たちが市民を撃つ

(町山智浩)だから怖くて怖くて、ビビりながらとにかくなんでもいいから撃っちゃうっていう状態になっているのがビデオでよくわかるんですよ。で、大抵ね、射殺をする警察官は勤続4年以内の非常に未熟な警官が多くて。それが「怖い、怖い」って思いながらやっているから……

(山里亮太)「やられる!」と思って。

(町山智浩)そう。で、これはやっぱり銃が蔓延している状況がいちばんの理由ですね。だって、要するにルイジアナとミネソタで黒人が2人、殺されたんですけど。その人たち2人とも、正規のルートで拳銃を所有していて、この時も携帯しているんですよ。で、要するに1人の方は「僕はちゃんと正式に銃を持っていますよ」って最初に警察官に伝えているんですよ。間違って撃たれたりしないように。そしたら、かえって怖がって撃たれちゃったんですよ。

(赤江・山里)ええーっ!?

(山里亮太)それ、なんか挑発に聞こえたのかな?

(町山智浩)彼は護身用に持っていたわけですよ。ねえ。それなのに、撃たれちゃったんですね。

(山里亮太)「俺は銃を持っているぞ」っていう風にとられちゃった。

(町山智浩)そうそうそう。「持っているから撃たないでください。持っているんだけど、これは正式に持っているものですから」と。で、この間のダラスで警察官を狙撃した人も、今回のバトン・ルージュの人も、銃は正式に買っていて。それで、この間ね、フロリダの方でゲイクラブで50人殺しましたけど。あの銃も、正式に普通にお店で買っているんですよね。

(山里亮太)なんで買えちゃうんだろう?っていうのはありますからね。

(町山智浩)そう。だから簡単に買えるんです。だいたいね、マシンガンみたいなもの。まあ、機関銃じゃないですけど、速射ができるアサルトライフルっていう、30人ぐらいを一度に殺せる銃を買うのにかかる時間は、店に入ってから買ってそれを持って店を出るまで、30分なんですよ。

(山里亮太)それがおかしいよ。普通、審査何ヶ月ってあってからの話じゃないの? 本当は。

(町山智浩)ノーチェックでね。

(山里亮太)そもそも、そんな自分の身を守るためにいるようなライフルじゃないですもんね。アサルトライフルなんて。

(町山智浩)アサルトライフルって戦争用ですからね(笑)。で、それをぶらさげて道を歩いていて。そんな人が20人、30人っていう状態ですから。

(赤江珠緒)恐怖が恐怖を呼んでね、そういう事態になっていくよね。

(町山智浩)そう。そこに1人のボケたおっさんが入ったらどうなるだろう?っていう実験をちょっとしてみようかと……

(赤江珠緒)いやいやいや!

(山里亮太)その「ボケたおっさん」ってひょっとしたら、町山さんのことですか?(笑)。

(町山智浩)ああ、まあそうなんですけど。いつもそうですが。はい(笑)。

(赤江珠緒)本当、気をつけてくださいね。

(町山智浩)ちょっと行ってみようと思っているんですけども。はい。ということです。

(山里亮太)でも、そこらへんの生の感じ、聞きたいですよね。また、行って結果を聞かせていただければ。

(町山智浩)そうなんですよ。金曜日にね、ドナルド・トランプを候補に指名した時に何が起こるかな?っていう感じなんですよ。

(山里亮太)あ、その時にひょっとしたら、その街で銃を持っている人たちが何かをするかもしれない?

(町山智浩)わからないですね。どっちも持っているんでね。状況が。

(山里亮太)そうか。なにがきっかけで先にね、警察が撃っちゃった瞬間に、「もう我慢できない!」って撃ち返して、大きなことになるかもしれない。

(町山智浩)そこはわからないですけどもね。でも僕ね、撃たれたことって、狙われたことっていうのは逆にアメリカでじゃなくて、日本でしかないっていうね(笑)。

(赤江珠緒)だからなぜあるんだ、日本で?っていう(笑)。

(山里亮太)それ、相当すごいですよね。どういう状況だったんですか?

(町山智浩)えっ、だって『宝島30』っていう雑誌が書いた記事が不敬であるって、右翼に銃撃されているんですよ。会社を。

(赤江珠緒)はー!(笑)。

(山里亮太)さあ、町山さん、かなり深めな話になってまいりました。

(町山智浩)そうですよ。だから僕、その頃ってよく右翼団体の事務所とか、暴力団の事務所とかによく行って、怒られたりとかしてましたよ。だから。

(山里亮太)町山さん、修羅場くぐってる。

(赤江珠緒)そう。町山さん、あちこちで怒られてるからね。

(町山智浩)怒られてるからね。だから、そういうところに行くとすごいんですよ。偉い人は、「まあ、こういうことをやられると困るんでね……」みたいな感じで落ち着いているんですけど、1人かならず鉄砲玉みたいなのがいて。こう、体が動いているの。ビクビク。それで、「ぶっ殺してやるけんなっ!」とか言ったりするんですよ。で、それを他の人がガッと抑えたりするんですよ。

(山里亮太)町山さん?

(町山智浩)はい。

(山里亮太)映画の情報、教えてもらっていいですか?

(赤江珠緒)(笑)

(町山智浩)ああ、すいません。はい(笑)。

<書き起こしおわり>

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