菊地成孔 映画『はじまりのうた』を大絶賛する

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菊地成孔さんがTBSラジオ『粋な夜電波』の中でキーラ・ナイトレイ主演映画『はじまりのうた』を紹介。映画本編や主題歌、サウンドトラックを大絶賛していました。


(菊地成孔)詳しいことを述べていると長くなってしまいますので、最短で済ませますが。現在上映中の映画で『はじまりのうた』という映画があります。原題は『Begin Again』。もう1回始めるということですね。これはまあ、すっげー簡単に言うと、ミュージシャンを描いた映画で。主演がキーラ・ナイトレイ。パイレーツ・オブ・カリビアンのお姫様ですよね。欧米だとセクシー、まあ、日本でもそうですね。日本でもセクシー。最近あの、有名人で出てこないけど、受け口タイプですね。荒川静香さんみたいに。噛み合わせが、下が前に出ている。欧米、アフリカとかだと、もう、ものすごいセクシーってことになるんですけども。

あんまりハリウッドセレブにいないタイプ。何人かいますけどね。その内の1人ですね。キーラ・ナイトレイさん。パイレーツ・オブ・カリビアンや、いまだとシャネルの服ではないですけど、リップのCMに出ている方ですね。この方が主演で、天才シンガーソングライター。お相手がアダム・レヴィーン。マルーン5ですよね。シャラポワマグロ事件なんていう事件がね(笑)、まだ記憶に新しいと思いますけども。あのシャラポワと付き合って捨てた後に、『あいつはベッドで何もできなかった』と言うことによって相当な反感を買った男ですけども。まあ、世界一セクシーというね。一説によると、世界一セクシーという。

このマルーン5のアダム・レヴィーンが主演しておりまして。特にアダム・レヴィーンは自分のプロモートにもなるということなのか、あるいは誠意ということなのか、ノーギャラで出演してるんですよ。で、比較的これ、小さい映画で。本当に。マルーン5のボーカルとキーラ・ナイトレイが主演なのに、アメリカでは最初ね、全米でですよ、上映館が5館だけだったの。これが、もうあっという間に口コミで広がって、もう大変なことになって、なんとこの映画の主題歌は今年のアカデミー賞最優秀主題歌賞の候補となって。惜しくも受賞は逃しました。はじまりのうた。これはですね、とにかく、くだくだ説明していると長くなりますので、たった一言。絶対に見てください。

たった一言。絶対に見てください。

特に、音楽が好きな方。中でも、ちょっとだけ昔バンドの経験があって、みんなで部室で一緒にギター弾いたりして、かわいい女の子がキーボードやってたりして、ちょっと気になったりしたんだよね、かなんかある方が見たら、開始15分から終わるまで涙止まらないです。これ。私はですね、仕事柄ですね、この準主役が中年プロデューサーなんですよ。年齢が長沼(マネージャー)と一緒なんですよ。私の3つ下なんですけど。1回売れたんだけど、いまダメになったやつが、新しい女の子を見つけて、彼女の力も引き出すし、自分も蘇生すんのね。

まあ、ちっちゃい映画なんです。規模は。なんですけど、もう、まあ私のこれは特殊な事情ですよね。ミュージシャンですし、業界の人間ですから。一般の方と同じ温度では語れませんけども。もうとにかく、15、6分だと思いますね。『予算がないから、フィールドレコーディングで君のアルバムを録ろう』っつって。で、『ニューヨークのいろんなところで録っていくんだ』っつってレコーディングが始まるぞっていうところから、もう涙が出始めて。映画が終わるまで、もう全く止まらず。もう1秒も休むことがなかったですけど。

私が個人的にハードヒットしちゃって、決壊したということは置いておいてですね。まあ、かならず見てください。そして、もしご予算、財布が温かい方はサントラ買ってください。捨て曲が1曲もありません。
『アカデミー賞なんか、そんな、続いてたの?まだ。もう興味ねーよ』っていう方もいっぱいいらっしゃると思うんですよね。音楽の部門も映画の部門も、ここ数年は正直言ってですね、これ、私の主観ですよ。異論のある方、ごめんなさい。私の主観ですけど、ここ数年はね、ちょっと低迷していましたが。今年はヤバいです。本当に。今年はまあ、バードマンっていう映画がとったんですけどね。まあ、こういった話も来週以降、少しずつできればと思いますけども。

まあ、いずれにせよ、今年はですね、ちょっとアカデミー賞不感症、アカデミー賞オワコンと思っていた方も、またひっぱりこませたアカデミー賞だったと思うんですよね。オスカーね。それの主題歌賞候補となりました、はじまりのうた。準主役であるアダム・レヴィーンの歌唱と、主役であるキーラ・ナイトレイの歌唱とありますが。まずは、アダム・レヴィーンの歌唱を聞いてください。歌詞に関する説明は全くしません。まずは1回、普通に洋楽を聞く一般的な態度で、耳をすましてね。どんなことを言ってるんだろうな?っていう。それは後からやりますから。まあ普通にラジオから流れてきたと思って聞いてみてください。タイトルは、『Lost Stars』というタイトルです。この言葉の意味も、まあパッと聞くとなんか、星がなくなっちゃっているイメージかもしれませんが。そうではありません。はじまりのうたオリジナルサウンドトラックより、アダム・レヴィーンの『Lost Stars』。



(菊地成孔)はい。普通に、ぜんぜんいい曲ですよね。ああ、いい曲だなっていう。まあ、日本でも最近は英語が強い方ね、増えてきましたから。もうバンバンバンバン、リアルタイムで聞き込めちゃうって方もいるでしょうけど。ただやっぱりね、歌の歌詞っていうのは歌い方の癖もありますし。なかなか全部はね。日本語の歌ですら、スラスラ全部入ってきたりね、しませんし。まず、まあこの曲はよかったなと。場合によってはちょっとほしいな、ぐらいになった方もいらっしゃると思いますけども。

ええとですね、これ、2回目のコマーシャルに行く前に、OST。オリジナルサウンドトラック買うと・・・っていうか、まあこれね、これは言っちゃっていいな。配給会社の方から公式に動画サイトに上げてるので。こういうことを当たり前のように言うっていうのも時代の変わり目というか、なかなかヤバい時代を走っている音楽番組だなと思いますけど。動画サイトで聞けます。しかも、気の利いたPVと一緒に見れるんで。CD買うよりいいやと思われちゃったらそれっきりなんですけども。

動画サイトで見れるのはね、公式で見れるのはもう一つの方。いまのは、アダム・レヴィーン。で、アダム・レヴィーンはキーラ・ナイトレイの元カレなんですよ。で、実生活でもね、キーラ・ナイトレイはイギリスのバンドの人と結婚したの。で、この人がですね、男の私が言っちゃいけないですけど。『えっ?あんた、キーラ・ナイトレイの旦那?』っていうぐらいね、里イモくんなんですよ。お前が言うなよ!っていう話なんですけどね。そこがまあ、微笑ましいんですけど。キーラ・ナイトレイはね、音楽が好きなんでしょうね。歌もすごい達者です。すごいいい感じなんですよ。

この映画ね、監督も元バンドマン。で、主演や出ている人もみんな音楽経験があって。で、そのうち、いまのアダム・レヴィーンはマルーン5の押しも押されもせぬ大スター。音楽を担当している人は、マルーン5に楽曲を提供しているすごい才能ある作詞作曲のチームですよね。まあ、グレッグ・アレクサンダー。90年代にバンドでデビューしたんだけど。UKポップに詳しい人だったら、おわかりでしょう。ニュー・ラディカルズっていうね。バンドっていうか、1人ユニットですけど。ニュー・ラディカルズのグレッグ・アレクサンダーがいまは映画音楽家になってね。もう、素晴らしい仕事ぶりですけどね。

では、そうですね。キーラ・ナイトレイ版。これもう、女優の片手間とはとても思えません。去年、やっぱり主題歌賞候補にスカーレット・ヨハンソンがなったんですけど。スカーレット・ヨハンソンはね、実は2006年くらいから自分で女優と別にバンド活動もしている、まあ趣味の域を出ないですけど、セミプロのミュージシャンでもあった人に対して、キーラ・ナイトレイはノーマークだったんで世界中の人はびっくりしたんですね。キーラ・ナイトレイの同じ曲を聞いてください。『Lost Stars』。



(菊地成孔)はい。えー、都内でも全国的にもですね、まあ調べればまだやっていると思いますね。私が見に行ったのはほぼ先週ぐらいですけど。もう会場いっぱいでした。もう、みなさん泣いていてですね。エンドロールで隣の鼻をすすりながら見ていた方が、あれはなんですかね?LINEっていうんですか?『もう激泣き。隣のやつも泣いてるし』って、それ俺のことだろ!って思ったんですけど(笑)。もし、『隣、よく見たら菊地成孔だった』みたいなことを書かれたら殺してやるって思ったんですけども(笑)。私とは気がつかなかったようで幸いでございます。ぜひみなさん、そろそろ終わってしまうと思われますので。まあ、なんか映画屋さんの手下みたいですけども。そんなことはありません。個人的なリコメンドでございます。はじまりのうた、ぜひ、ご覧ください。

<書き起こしおわり>
※この後、菊地成孔さんによる、はじまりのうた主題歌『Lost Stars』の解説が始まります。これがこの放送のメインテーマでした。書き起こしは以下のリンクからどうぞ!
[関連リンク]菊地意訳『ラスト・スターズ』/djapon の 『FEEDBACK DIALY』

<追記>
この翌週、補足的に監督の前作の話などもしていました。以下、書き起こしです。

(菊地成孔)ええと、前回は時間がなくて言及できませんでしたが、監督は2作目なんですよね。で、1作目もね、ストリートミュージシャンの話で。すごくいいです。これもね、単館かなんかから始まって、相当大きくなったっていうんで。単館から始まって、音楽が良くて大きくなるっていうあたりを2回ひいている監督ですよね。この『ONCE ダブリンの街角で』もとてもいいです。


ああ、そうそう。『はじまりのうた』。まあ、本当映画屋さんの手先みたいになっていますけど。いろんないい映画。『バードマン』、見てくださいね。『お前、今年1年でなにがイチ押しだか1本言ってみろ』って言われたら、まあ、もういまから決まってますから。『バードマン』なんで。『バードマン』はかならず見て下さい。『はじまりのうた』も見て下さい。

<書き起こしおわり>

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