菊地成孔さんがTBSラジオ 菊地成孔の粋な夜電波でSIMI LABのQNとOMSBのbeefについてコメントしました。
(菊地成孔)さて、いきなりですが只今より5分間だけ公共の電波をお借りしまして、詳しい説明はしかも、すべて省かせていただきまして、私的なメッセージを送らせていただきます。何が何だかわからないという方もたくさんいらっしゃると思いますが、5分間で済みますので、ご了承の程をよろしくお願いします。
御存知の通り、私ですね、ネットなどを活用するのがとても下手でして、どこにコレを伝えれば彼らに届くのか分かりません。私が今から言わんとすることの意味も方法も分かるというリスナーがいたら、すぐに行動していただきたいです。彼らのメアドも番号も知っているわけなので、言いたいことがあったら直で言ったらいいじゃんと、ファンの人も彼らも思うかもしれないけれども、この件に関してはマスメディアを使ったほうがいいと判断したんで、マスメディアを使うことにしました。
HIP HOP界のBEEF事件、まあ、今回はDISやBEEFというにはあまりにも優しくて、なんか友達思いのような感じも無くは無く、ガチガチの、たとえば鬼とBOSS THE MCとかそんなのに比べれば、こんなのはBEEFじゃなくてビーフコンソメじゃないだろうか、ポークじゃないだろうかと、なんか茶番かも、ステマかもとかですね、アンサーが無いうちはこれはBEEFとは見なせないという人もいるぐらいだけれども、まあこうした件に対して、少なくてもジャズミュージシャンで、AMラジオのDJが番組内でコメントするということは、今までになかったはずだから、リアルだし、手っ取り早いし。
QNとOMSに言いたい。仲間割れは良くないとか、これから道はわかれてもどっちも頑張れとか、困ったことがあったらすぐ連絡してこいとか、お前ら何やってんだとか、そういった年少のクソ教官以下の、学校の先生みたいなことは言わない。いくら、オレが一週間に30時間以上学校の先生としてJOBしていようとだ。世界の、少なくともある側面は平等ではない。最悪、どっちかが潰れてしまうこともあり得る。「力道山 木村政彦」で検索すれば分かるよ。
というか、あの、みんな驚いて騒いでいるけれども、オレは全く驚いていない。最初にあった時から、こんなことになるだろうなと思っていたよ。まあ、オレはハト派なんであまりやらない方だけど、それでも過去、オレもクソほど見ているし、クソほどやってきた。チームに出来るヤツが複数揃った場合、むしろこうなるのが自然だ。そう思いながらSIMI LABとやって、そう思いながら感動してきた。QNがブルーノートの楽屋に来てくれて、ダブ・セクステットを褒めてくれて、その時、「そろそろSIMI LABが新しいアルバム出すんで聞いてください」と言った時、嬉しかったけれども、何もないなとはとても思えなかった。まあ、やりたいだけやればいいと思う。
つまりこういうことだ。オレは、二人が今後どうなろうと、いかなる形であれ、全く同等に支持したい。こんなことはオレがわざわざマイク前で言うことでは無いと思うのだけれども、二人ともスゴい。リリックもラップもトラックもオーラもスゴい。タイプが違うだけ。一緒にやった時、スタジオでもライブでもだが、オレは音楽をやっていて本当に良かったなと、学校の先生みたいなことを思った。証拠のメールもあるよ。100通くらいある。100人くらいのガールフレンドに同時送信したんで。
というわけで、オレがマイク前で言うべきことは、一つだけだ。あ、二つだけだ。第一に、ネットの陰口は気にするな。あ、ネットは陰口ではないが、全く気にしなくていいと思う。そして第二に、どんな形でもいい、二人ともとまたやりたい。アイデアも練ってた。ラップとエレクトロニクスとサックスとパーカッションだけで、世界水準のものが出来ると信じている。なので、ガチでもヤオでもプロレスでもツンデレでもステマでも、もうこの際何でもいい。二人が実際にどうなのかというのは、理論的には当の本人二人にも分かっていないはずだと思う。
ただ、これだけは間違いない。悪いことは起こらない。続けてさえいれば。どっちも先に行こうとして、やる気満々でしょ?
だから全く心配ない。ある意味、遊んでいるようなものだ。コレは。神に監視されながら。ってかまあ、要するに、あんないい感じをさ、一回だけってのはキツイぜ。以上だ。横から口出しにて失礼候。ご清聴、ありがとうございました。
<書き起こし終わり>