佐久間宣行『NYLON JAPAN』ジョン・ウィックなりきり撮影を語る

佐久間宣行『NYLON JAPAN』ジョン・ウィックなりきり撮影を語る 佐久間宣行のオールナイトニッポン0

佐久間宣行さんが2021年11月10日放送のニッポン放送『佐久間宣行のオールナイトニッポン0』の中で雑誌『NYLON JAPAN』の企画で『ジョン・ウィック』と『ガタカ』のキャラクターになりきって写真撮影をした際の模様を話していました。

(佐久間宣行)あの、ちょっと前の話なんですけど。ちょっと前の話っていうか、去年とかにある雑誌……『NYLON JAPAN』っていう雑誌があって。めちゃくちゃお洒落なファッション誌なのね。本当、バッキバキにかっこつけて撮るみたいなファッション誌があって。そこから何回か、俺の番組とコラボしませんかみたいなオファーとかをいただいてたの。去年とか。たとえばマジ歌芸人をかっこよくシューティングするみたいな。その企画とかいただいてたんだけど。「面白いな」って思ったんだけど、マジ歌とかってスケジュールキツキツで。全然合わなくて。1、2回提案をいただいたんだけど、受けられなかったんだよ。

そしたら、ちょっと前……2月ぐらい前かな? またその『NYLON JAPAN』さんからオファーが来て。その「ドリームリストみたいな企画です。『マイドリームリスト』をテーマに1冊、丸ごと今ほしいもの特集を予定してるんで。佐久間さん、それに取材でインタビューとか撮影で出てくれませんか?」って言われて。ちょうど大きい仕事……『トークサバイバー』が撮り終わった直後だったの。だから、編集までの間に時間があったから。「ああ、ここだったら受けられますよ」みたいな感じで。「何回もお断りしちゃって申し訳ないから」っていう風に言ったの。で、そのOKを出して。「大丈夫です。ここ、なんとか空けます」って。

そしたら、「インタビューと撮影で3時間半から4時間かかります」って言われて。「うわー、ファッション誌っていうのはそんなにかかるんだ」と思って。でもまあ俺は別にそんなファッション誌って言っても「マイドリームリストだ」って聞いているから。で、「この取材です」って言われてアンケートが送られてきたの。そしたら、それがめちゃくちゃ量が多かったのよ。「佐久間さんが憧れる映画の主人公を5人、挙げてください。その理由も書いてください。夢があると思う映画を5つ、教えてください。夢があると思うサブスク作品を5つ、教えてください。夢があると思うお勧めの漫画とアニメを5つ、教えてください。夢が思うとっておきの書籍を5つ、教えてください」とか。

で、「夢があると思う手土産を教えてください。夢があると思うラジオ番組を教えてください」。最後は「夢をつかみそうだと期待してる芸人をいくらでもいいから教えてください」っていう(笑)。それでもうアンケートが4ページぐらい送られてきて。「うわっ、これを答えるにしても……」と思って。書くのに半日ぐらいかかったの。ちょっとずつ書いていたら。で、そこをさ、まあそれで「憧れの夢があるスターは誰ですか?」って聞かれたから悩んだんだけど。

まあ、もちろんジョン・ウィック。トニー・スターク。『アイアンマン』ね。あと『イコライザー』のマッコール。『イコライザー』っていう、ナメてやつが実は強いっていうあのマッコールとか。それから「あとは何だろうな?」と思って。結構ずっと好きな映画で『ガタカ』で。『ガタカ』っていう映画があるんだけど。遺伝子で差別される世界の中で、人の遺伝子使ってのし上がっていく。それで宇宙飛行士を目指すっていう結構、20年前とかの優秀なSF作品なんだけども。それでイーサン・ホークが演じているヴィンセント。それを書いて送ったわけ。

で、そのアンケートを送って「うわっ、これ、すごいの送ったな。でもちゃんと書いたから充実感があったな。これでインタビューを受けるんだったら、結構充実したインタビューができそうだな。取材、楽しみだな」って思ってたの。で、スケジュールを調整したんだけど、他のロケとかが入っちゃって。今度その収録と撮影がラジオが終わった翌日の朝8時半からにとかなって(笑)。「8時半から!?」と思って。まあ、俺が半分悪いんだけど。他の仕事がぶつかっちゃったから。でも、NYLONさんもずらしてくれて。「ラジオ終わりから4時間後にもう、夢を語るのか……」なんて思っていて。

で、今度そしたらその取材日が近くなってきたら、スケジュールとか細かい企画書が送られてきたの。で、これが俺が悪いんだけど。俺、別にマネージャーとかいないから。「ああ、はいはい。ドリームリストのやつだな」と思ってたから、細かい企画書とか見なかったのよ。入り時間さえわかればもう大丈夫だろうと思ってて。で、見ないまま放置してたの。で、撮影の2日前とか3日前ぐらいにもう1回、リマインドで細かいそのスケジュールが送られてきて。「はいはい、分かってます」って見たら、そこに「コーディネート数:3ポーズ」って書いて。「えっ、俺、3つも着るの? 別にモデルじゃねえんだけど……」と思ってたの。

それで、細かく聞いたの。「3つって僕、そんなに着ます? スタイリストさんとかって申し訳ないんですけど」って言ったら「ああ、そんな……佐久間さん、アンケートもありがとうございます」って。その女性の記者さんから返ってきた返信が「実際、佐久間さん。今回は何回かやりとりさせていただいた通り、アンケートで答えていただいたヒーローに佐久間さんになっていただくという企画ですので。今のところ、ジョン・ウィックと『ガタカ』のヴィンセントになっていただく予定でヘアメイク、スタイリング、全て用意していております。

それが『ガタカ』2ポーズ、ジョン・ウィック1ポーズ。ジョン・ウィックに関しては、こちらもちょっといろいろ準備があるので。ちょっとお時間いただくことになります」っていうのが返ってきて。「スタイリストとへアメイクもNYLONのスタッフがもう全部、揃えます。大丈夫です」「なるほど、なるほど……うん? えっ、俺、ジョン・ウィックになるの?」っていう。フハハハハハハハハッ!

いや、俺、全くさ……だからその、最初に「ドリームリスト」って送られてきたリストを書いて送ってから、インタビュー取材だと勝手に思ってて。で、その後のやり取りをほとんど読んでなかったのよ。俺が悪いんだよ。本当に。俺、『トークサバイバー』を撮っていたから。その時。マジでめちゃくちゃ大変だったのよ。『トークサバイバー』で。撮っていて、だからそのスケジュールで迷惑さえかけなければいいやと思って、本当に企画をちゃんと見てなかったの。で、見返したら書いてあったのよ。たしかに。コスプレだよ、これ。えなこだよ(笑)。

えなこ的な仕事

(佐久間宣行)で、『NYLON JAPAN』でそういう雑誌じゃないのよ。バッキバキなファッション誌だから。「えっ、コスプレ? うわうわ、ヤバい、ヤバい! マネージャーいないけど、こうなるんだ!? えっ、俺、どうなるの? えっ、ジョン・ウィックになるの?」と思って。そっからもう、どうしたらいいのかな?って思っていて。その後に「佐久間さん、ご心配でしょうからイメージ写真、送ります」って言われて、送られてきたんだけど……あのさ、全部ジョン・ウィックと『ガタカ』のイーサン・ホークの写真だから、別に安心できないのよ(笑)。「そりゃそうだろう」っていう。「それは知ってる」っていう(笑)。

「佐久間さん、こうなっていただきたいです」って送られてくるのは全部、キアヌ・リーブスとイーサン・ホークの写真だから(笑)。それを見て別に安心しない。ただ不安になる。「えっ、俺、これになるの?」っていう。で、正式なスケジュールが送られてきたら、もう撮影スタッフとかも「フォトグラファー:Toshiaki Kitaoka」とか。「スタイリング:○○ ヘア&メイクメイクアップ:○○ エディター・テキスト:○○」って。全部横文字で。10人ぐらいスタッフがいるの。で、タイムスケジュールもスタッフは7時半に入って。8時45分、佐久間さん入り。フィッティング、ヘアメイク開始って書いてあって。で、9時20分から撮りはじめて全部終わるのが14時っていう(笑)。4時間、3ポーズっていう(笑)。

「えっ、ちょっと待って?」ってなって。これ、読んだ瞬間に。でも、もうラジオの直前だったから「もう、忘れよう」と思って。で、ラジオをやって。ラジオをやりながらも俺、心の中で「うわっ、俺、この後ジョン・ウィックになるのか……」と思いながら。で、終わって。家でも寝ようと思ったけど、寝れなくて。で、そのままスタジオ8時半入りして。入ってきたらもうさ、めちゃくちゃおしゃれなスタッフ。だから水色のパンツとか履いているスタッフがいるわけよ。あと、結構寒いのにノースリーブのTシャツみたいなカメラマンとかもいるわけ。そういう人たちがもうずらっと。

『ヘルタスケルター』とかの映画で見る沢尻エリカとかの周りにいる人たち(笑)。そんな人たちがいて。「佐久間さん、行っちゃいましょう。今日はこのスタジオなんすけど。この間、星野源さん撮りました」って言われて(笑)。『NYLON JAPAN』の表紙とか、やっているんだよね。「えっ、星野さんもここで撮ったんですか? ああ、そうですか」って。「じゃあ、まずは『ガタカ』から行っちゃいますか!」って言われて(笑)。「『ガタカ』から行っちゃいますか!」って言われて……『ガタカ』って人類は遺伝子操作で差別されていて。そこの不適正者が勝ち上がっていく話だから。その2ポーズってまず、恵まれてない時代というか。ヴィンセントがまだ夢見る清掃員をやってるんですよ。

「その格好、行きましょう!」って、スタイリストが用意していたのが銀のシャツにどでかいオーバーオールにデニムジャケット。それで髪をオールバックにさせられて。リーゼントみたいにさせられて。「佐久間さん、こっからちょっと攻めますね?」って言われて。「えっ、攻める?」って思ったら、眉毛をブラウンにされて。で、「ちょっとこれ、スペイシーなイメージなんで。唇、ちょっと行っちゃいますね。嫌だった言ってください」って言われて、唇を銀色にされて(笑)。

で、唇が銀色、眉は茶色にされて。で、そのまま「こちら、セットです」って行ったらオレンジのバックに青のトタンみたいなのがあって。「佐久間さん、狭いですけど、そこの間に挟まれてください」ってなって。要はなんか、その苦しんでるポーズだから。狭いところにこうやって入って。顔を……「佐久間さん、そこからちょっと攻めた顔、してもらっていいですか?」って言われて(笑)。「攻めた顔?」「いや、攻めつつも呆然としてるというか。夢を見失ってる顔です。ちょっと顔を上げてみましょうか」って言われながら(笑)。「そんなの、ないです!」って思いながら(笑)。

で、もう7人ぐらいが俺を見て。で、撮った写真が全部画面に上がってきて。「ああ、いいね。いいですね」っつって。「佐久間さん、ちょっと絶望したニヒルな顔もください。半笑いで。『俺は逆転するぞ』って。はい、悔しい。佐久間さん、悔しい。どうぞ!」って言われて。でも、終わんねえから。やるしかないんだよ、もう。こういうのってやるしかないんだね。やるしかない。終わんないから。それで「今度は佐久間さん、不正をしながら成り上がってエリートになるヴィンセントです」って言われて。

ここ、めちゃくちゃかっこいいタブルのスーツを着せられて。「これなんですけど、宇宙ステーションのどころのドーム上の通路を歩いていくシーンなんですよ」ってその女性記者に言われて。「なんで、これを持って頭の上を上げてください」っていう。だからドーム状の通路を歩いていくシーンなのね。そしたら、銀色のペラペラした下敷きみたいなのを持たされて。「これ、佐久間さん。頭の上で曲げてください」って。だから、その下敷きで円みたいなのを作って。俺、それを持って。なんかシュールな場所で撮って。「それでドーム状のものを歩いているように見立てるんで」って言われて(笑)。

だから、俺から見るとただ、そのでっかい下敷きを持ってるだけなのよ。かっこいいスーツで。でも、「そうですね。佐久間さん、いい感じですね。これ、ドームのところを歩いてるように見えますね」って言われて(笑)。「えっ、どっち?」っていう。「めちゃくちゃスタイリッシュにしてくれてるのはわかる。でも、超チープなんですけど?」って思いながら。で、撮っているとみんな、「いやー、いいっすね!」「これ、いいじゃん。これ、いいんじゃないの?」って。もうとにかく俺の何百倍もおしゃれなスタッフが「いいね」って言ってるから。もう信じるしかないっていうか。

で、「OKです。『ガタカ』OKいただきました。佐久間さん、ここから本番です。ジョン・ウィックになりましょう!」って。それでもう黒のブーツにパンツに皮のコートに黒のシャツとネクタイ、全部。「佐久間さん、ちょっと攻めますね。ちょっと嫌だったら言ってください」って言われて。それで顔中に傷だらけの銃創をつけられて。で、服もある程度、血だらけにされて。「行きましょう! まずは一番有名なシーン。『ジョン・ウィック2』のポスターです」って。いろんな銃を向けられて、正面を睨んでいる顔ね。

(佐久間宣行)「右手に銃の代わりって言ったらなんですけども。佐久間さん、これ持ってください」って持たされたのが、カンペね。「佐久間さんにとっての銃って、これですよね?」って(笑)。「ちげえよ!」って思ったけど。フハハハハハハハハッ! 「佐久間さんにとっての銃ってこれだと思うんで」ってカンペを渡されて。

「佐久間さん、なんかこれ、ちょっと見えると思うんで。好きなこと書いちゃってください。睨みつけながら、その銃を持ってる感じになるんで。佐久間さん、好きなこと書いてください」って言われて。7人ぐらいいる中、俺、そのカンペになんか書かなきゃいけないの。大喜利だよ(笑)。

カンペ=銃

で、これ、何て書けばいいかわかんないけど。「本心、書けばいいんです。今、思ってるのを書けばいいんですよ」って言われたから……「恐いよ」って書いたの(笑)。「恐いよ」って書いて、それを持って。そしたら、ネクタイにヒモをつけられて。ジョン・ウィックのポスターのシーンってネクタイが跳ねているから。それも「1、2、3」でネクタイを引っ張って。「はい、睨む!」って言われて睨みつけて。「1、2、3」でネクタイが飛んだら睨むっていう。で、睨みながら「ちょっと違いますね。ジョン・ウィックは。ジョン・ウィック、口開いてます。ちょっと口開けて睨んで! ジョン・ウィック、もっと来れますか?」って言われて。もう俺、途中から「佐久間」って言われたいからね。「ジョン・ウィック」って呼ばれているんだから(笑)。

「俺、ジョン・ウィックじゃねえし」って思いながら撮られて。「OK! じゃあ、最後です。佐久間さん」って。そしたらスタジオに車が入ってきて。「ピーピーピーピー」ってなんかかっこいい車が入ってきて。「車で撃たれて最後、死にます」って言われて。「えっ、ジョン・ウィックって死ぬっけ?」と思って。「車で撃たれて、そこから歩いてきて死ぬまで、一連で行きます。一連。だから、ドキュメント。それをこっちは全部、収めるだけなんで」って言われて。「なるほど……えっ、これ、やるの?」「佐久間さん、行きますよ」って言われて。

車から、まず、倒れている状態から。「よー、スタート!」って言われて。「ハァ……ハァ……」って演技を全部、7人の前でやらされて。「カシャッ、カシャッ、カシャッ! いいですよ、佐久間さん。佐久間さん、いいですよ。もっと苦しく! 佐久間さん、もうちょっと……腹を撃たれているんで」「えっ、俺、腹を撃たれてるんだ?」って思って(笑)。

で、何回も撮って最後。「じゃあ、もう本当に死ぬシーンも撮りましょう」ってなって。今度は車の中で撃たれで。全部の銃弾を撃たれて死ぬシーンまで撮って。それで撮って、こっちも必死よ。もう何回もやって……カメラマンさんが乗って、終わるまで何回もやって。「カット! OKです!」「わーっ! 頑張りましたね!」みたいな雰囲気になって。で、その後にちょっとインタビューが終わったらその女性記者。

全部を企画してくれた女性記者の方がその隣にいたライターさんの女性に「やり切ったね。私たち、やり切ったね!」って。すごい清々しくて。なんだったら目に少し涙がたまってる感じでさ。「私たち、やり切った!」って。「いや、やりきったのは俺だからね?」っていう。フハハハハハハハハッ! これね、なんかね、10ページぐらいの特集になって。11月28日に出るらしいんですよ、これ。だからもう、見てほしいけど怖いっていう(笑)。

<書き起こしおわり>

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