宇野維正 2017年洋楽シーンとトラップを語る

宇野維正 2017年洋楽シーンとトラップを語る TOKYO FM

宇野維正さんがTOKYO FM『中西哲生のクロノス』の中で2017年の洋楽シーンについてトーク。メインストリームを覆い尽くそうとしているトラップ・ミュージックについて解説していました。

The Wait Is Over!!! C U L T U R E J A N 27th

QuavoHunchoさん(@quavohuncho)が投稿した写真 –

(中西哲生)TREND EYES、水曜日は今年の洋楽シーンを賑わす注目のジャンルを紹介します。音楽、映画ジャーナリストの宇野維正さんに伺いました。

(宇野維正)「トラップ」という音楽ジャンルがいよいよメインストリームのポップ・ミュージックを覆い尽くそうとしているというのが現在、2017年の状況だと思います。

(中西哲生)はい。ということで2017年の洋楽キーワードはトラップ。いったいどんな音楽なのか? お知らせに続いて最新洋楽チャートと一緒にお送りします。

(CM明け)

(中西哲生)さあ、先ほど今年の洋楽はトラップが来るとお伝えしたんですが、そのトラップ・ミュージックが最新(2017年1月14日付)のビルボードホット100上位2曲にランクインしています。というわけで、ランキングトップ2をご紹介しましょう。第2位 ミーゴス『Bad and Boujee feat. リル・ウージー・ヴァート』。

Migos『Bad and Boujee ft Lil Uzi Vert』

アメリカ ニュージャージー出身の3人組ヒップホップユニット、ミーゴス。今月27日発売の最新アルバム『Culture』からの先行配信シングルです。SpotifyなどのストリーミングやYouTubeなどの再生回数が大きく影響してランクインしています。

DJ YANATAKE Migos『Bad and Boujee ft Lil Uzi Vert』を語る
DJ YANATAKEさんがblock.fm『INSIDE OUT』の中でSNSを中心としたインターネット・ミームでバズッて大ヒット中のMigos『Bad and Boujee ft Lil Uzi Vert』を紹介していました。 (DJ

第1位はレイ・シュリマー『Black Beatles feat. グッチ・メイン』。

Rae Sremmurd『Black Beatles ft. Gucci Mane』

ミシシッピ出身の兄弟ラッパーデュオ、レイ・シュリマー。去年8月に発売したアルバムからのシングルです。こちらもストリーミングやYouTubeなどの再生回数、そしてSNSで盛り上がった「マネキンチャレンジ(#MannequinChallenge)」のBGMで使われたことが後押しとなって大ヒット。今週は1位になりました。

DJ YANATAKE Rae Sremmurd『Black Beatles ft. Gucci Mane』を語る
DJ YANATAKEさんがblock.fm『INSIDE OUT』の中でレイ・シュリマーがグッチ・メインをフィーチャーした曲『Black Beatles』を紹介していました。 (DJ YANATAKE)僕、LINE MUSICで毎週毎週ヒ

というわけで、最新のビルボードホット100、この上位2曲が注目のトラップというジャンルなんですが、たしかにスロウですね。あと、ビートが効いているかなと思うんですけども。再び、宇野維正さんに詳しく解説してもらいます。

(宇野維正)このトラップというのは音楽的な特徴が3つぐらいあって。ひとつは、非常にビートが遅い。BPMが遅いこと。あと、その遅いビートの中にすごく刺激的な電子音が入っていること。あと、遅いビートでありながら途中で痙攣したようなスネアドラムが連続して叩かれること。そういう、いわゆるこれまでのヒップホップとは全然ビートの作りが違うんですね。

で、ラッパーというのは基本的にヒップホップの場合、「ビートにライムを乗せる」という感覚だったんですけども、トラップの場合はビートに乗せるというよりは、「ビートとビートの間に言葉を詰め込む」という感じなんですね。なので、テクニック的にもこれまでのラッパーとトラップ以降のラッパーってかなりやっていることが違うんです。ここに来て、トラップがここまでメインストリーム化した理由は、たとえばドレイクであったり、ザ・ウィーケンドであったり、アリアナ・グランデであったり。そういう、いわゆる世界的なトップスターがトラップのラッパーをフィーチャリングで呼んで、ポップスターもトラップをやるようになったこと。

あと、ヨーロッパのEDMというムーブメントがここ10年ぐらいずっとありましたけども。そのEDMのDJたちがこぞってトラップのビートを取り入れるようになっていること。なので、音楽的にはいま、EDMってかなりトラップと融合してきているんです。

(中西哲生)なるほどね。ちょっと、なかなか難しかったんですけど、少し理解できましたね。ちなみに日本のコアなヒップホップ界では浸透していますが、ポップ・ミュージックでやっているのはGenerationsや三代目J Soul Brothersなどなんだそうです。また、宇多田ヒカルさんのアルバムに参加したKOHHさんはトラップのビートでラップをしている代表的なラッパーということで。いま、(BGMで)これ聞いていただいているのが、そのKOHHさんの曲なんですけども。そうなっていますもんね。

KOHH『Dirt Boys feat. Dutch Montana, Loota』

世界的に見ても注目を浴びているトラップミュージシャンはまだ若くて20代半ばぐらいということで。お送りする曲は宇野さんがトラップミュージックおすすめのミュージシャンとしてご紹介していただきました、ヤング・サグの楽曲です。T.I.&ヤング・サグ『Off-Set』。

T.I. & Young Thug『Off-Set』

<書き起こしおわり>

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