宇野維正 2018年グラミー賞を振り返る

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宇野維正さんがニッポン放送『イマ旬!サタデーナイト』にゲスト出演。古坂大魔王さん、宇野実彩子さんと2018年のグラミー賞を振り返り、2018年の音楽シーンのトレンドなどを話していました。

(宇野実彩子)今日、取り上げるテーマは「グラミー賞振り返り。2018年のイマ旬サウンドとは?」。

(古坂大魔王)こんなに近い期間で2回来てもらうっていうのは本当にはじめてで。きっとそれぐらい、うちのスタッフさんは何か一言物申したかったんだろうなと(笑)。

(宇野維正)アハハハハッ!

(古坂大魔王)「おい、こら! どうなってんだ?」っていうことなのかもしれませんけども。楽しみです。本日のゲスト、音楽ジャーナリストの宇野維正さんです。

(宇野維正)よろしくお願いします。

(古坂大魔王)あっという間の2回目。

(宇野維正)そうですね。ラジオだとわからないと思いますが、この間はたしかケンドリック・ラマーのパーカーを着てきましたけど、今日はさすがに着ちゃいけないなと思って。

(宇野実彩子)アハハハハッ!

(古坂大魔王)しかも、帽子まで脱いじゃいましたね(笑)。

(宇野維正)そうですね(笑)。

(古坂大魔王)ちょっと待ってくださいよ。グラミー賞、終わりました。で、あの時(前回のゲスト出演時)には「ケンドリック・ラマーで行きます。新人賞もSZAが行っちゃいますよ」って……。

(宇野維正)「これは固いでしょう」って言ってましたね。

(宇野実彩子)言ったらっしゃいました。

(古坂大魔王)「SZAに関しては置いておきましょう」ぐらいの感じで言っていました。まさかの、ブルーノ・マーズが主要3部門を独占という。あれはないですよ。あれは違いますもんって感じでブルーノ・マーズを置いてましたもんね?

(宇野維正)そうですね……。

(古坂大魔王)ねえ。これに関して、見解を……。

(宇野維正)まず、基本に帰って「グラミー賞とは何なのか?」という話を……。

(古坂大魔王)アハハハハッ!

(宇野実彩子)なるほど。そこから入りますか。

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グラミー賞の前提

(宇野維正)させていただきたいんですけども。ええと、まず2つ、大きな……一般の人に「グラミー賞」って言ってもあまりよくわかっていない要素があって。ひとつは、作品の対象期間というのがあって。いまは2年前の10月1日から前年の9月末までの1年間にリリースされた作品が対象になるんですよね。

(古坂大魔王)リリースが対象になるんですね。

(宇野維正)だから、一昨年前の10月から昨年の9月までだから、それこそいわゆる「旬」な作品を取りこぼすというか。たとえば、今年で言うとテイラー・スウィフト(『Reputation』・2017年11月10日リリース)だとかあのへんの作品というのは来年の対象になるんですよね。

(古坂大魔王)ああ、なるほど。

(宇野維正)要するに、去年の10月以降に出たやつは。だから、いまの音楽シーンって移り変わりが早い中で、3ヶ月前は(対象となる)前年ですらないというところが割とひとつ、ポイントとして見過ごしがちで。それこそ、去年のグラミー賞ではアデルが取ったじゃないですか。アデルもちょうど去年から考えると2年前の作品で。(アデル『25』・2015年11月20日リリース)。

(古坂大魔王)ああ、アデルもそうだったんですか。

(宇野維正)だからアデルもブルーノ・マーズも取るっていうのは当たり前の部分もあるんですけど、ただグラミー賞の時点では「えっ、いまさら?」っていう感覚が常につきまとうという。それがまず、ひとつですね。で、もうひとつ言い訳をさせていただくと、グラミー賞っていまのシステムだとNARAS(全米録音芸術科学アカデミー)というところの会員が投票をするんですね。それが、それこそX JAPANのYOSHIKIさんも会員なのかな? 5000人ぐらいいるんですよ。

(古坂大魔王)へー!

(宇野維正)で、5000人ぐらいいる会員の投票で決まるんですけども、それが基本的にはそれぞれが得意分野、あるじゃないですか。全然ジャズしかわからない人とか、クラシックしかわからない人もその中にはいるわけで。で、会員がそれぞれ、自分の得意とする15部門について部門を選んで投票するシステムなんですよ。ただ、主要4部門に関しては、全員が投票できるんですよ。だから、それが主要4部門のちょっと特別なところで。

(古坂大魔王)そうか。たとえばジャズアルバム、カントリーアルバムとかいうのはそれ専門の方がやるわけですね。

(宇野維正)はい。だから最優秀楽曲賞、最優秀レコード賞、最優秀新人賞、最優秀アルバム賞の主要4部門は、全員投票しなきゃいけないわけじゃないんだけど、全員投票権があるんですね。選ぶ15部門とは違って。だから、そう考えると単純に「ワシはラップはわからん」っていうおじさんやおじいさんがいても全然おかしくはない。ただ、主要部門だから、やっぱり投票ができるならしたいじゃないですか。そういう時、やっぱり今年で言うとブルーノ・マーズ。去年で言うとアデルみたいな、ああいう人を選ばない音楽というのが選ばれがちなんですよ。

(宇野実彩子)「万人に……」っていうかね。

(古坂大魔王)ただね、宇野さんはこれを全部知った上で、「ケンドリック・ラマー」と……。

(宇野維正)そう(笑)。だから人間やっぱり、しゃべる時って希望が入るんだなって(笑)。

(古坂大魔王)アハハハハッ!

(宇野実彩子)ああ、なるほど(笑)。

(宇野維正)でも僕も、もちろんこのブルーノ・マーズの曲ってまあ耳にしたし。

(宇野実彩子)めちゃめちゃ聞いた!

(古坂大魔王)僕、当日に見た時に「まあ、そりゃそうだよね」って思ったけど……「けど、なあ。宇野さん、違うこと言ってたし……」って。

(宇野実彩子)そうそう(笑)。宇野さんの意見が結構この辺にずっとあったよね(笑)。

(古坂大魔王)僕ら、会った人間はすぐに味方だと思うんで。「いや、宇野さんが正しいと思うんだけど……」って。

(宇野維正)けど、ほら。ケンドリック・ラマー(のパフォーマンス)で始まったじゃないですか。「ああ、これは最初から最後までケンドリック・ラマーの年なんだな」って思いますよね? で、あの時点で最初にまず取って……だから彼は結局7部門にノミネートされたうち、5部門を取っているんですよね。

(古坂大魔王)ああー。

(宇野維正)だから、別に全然大活躍だったんですけども。ただやっぱり主要部門を取らなかったというね。で、その裏にはそういうからくりというか。全員が投票しちゃうのが主要部門っていうのがあるんですよ。

(宇野実彩子)なるほど!

(古坂大魔王)なんか一時期、言われていましたもんね。会員の中の人種の比率がおかしいんじゃないか? とか。男女比率がおかしいんじゃないか?って。そこの問題はまだ、やっぱりあるはあるんですか?

(宇野維正)ちょっとずつ改善してきていて。だからそこれそ、ノミネートを決めるのも割と詳しい人が投票できるような、ノミネーションをするような形にちょっとずつ変わってきているんですよ。だから、今年とかはノミネーションはすごく現実の音楽シーンを反映したものだったんですけども……やっぱりけど、アカデミー賞ですら、対象は前年の12月までなんですよ。そう考えた時に、だって映画を見るよりも音楽を聞く方が時間は楽じゃないですか。3分や4分で聞けるわけでしょう? だったら、なんでアカデミー賞が前年の12月まで対象にしているのに、グラミーはいまだに9月末なのか、よくわかんないんですよ。

(古坂大魔王)まあね、淡い夢ですよ。淡い夢で、ピコ太郎がああいう風になってグラミーとかって、まかり間違って遊びで呼ばれねえかな?って。特にね、コメディーアルバム(ベスト・コメディーアルバム賞)とかってあるじゃないですか。そういうのとかあったから、「ねえかな?」って思っていたら、ジャスティン・ビーバーがリツイートしてくれたのが9月27日なんですよ。で、CDを出したのが12月で。しかも、全世界配信もしていないし。で、ネットもあるんですよね。ネットのビルボードと同じチャートのやつもあったりしたから。一応、世界で3週間1位を取ったから、なんかあるかな?って思ったけど、「無理じゃない?」って言われて。

(宇野実彩子)へー!

(宇野維正)でもね、みんなだからリリース日を考えるんですよ。今年で言うと、テイラー・スウィフトがそうでしょう。サム・スミスがそうでしょう。で、U2もそうなんですよ。みんな9月にアルバムができちゃっていても、「これ、グラミーがあるからちょっとずらそう」みたいなことはみんな考えていて。

(古坂大魔王)ああ、そうか。それ、うちらは考えねえわ。

(宇野維正)で、もうひとつ。ブルーノ・マーズが取ったのは、去年のグラミーで彼はプリンス・トリビュートをやったじゃないですか。プリンス・トリビュートってみんな、はっきり言ってやりたくないんですよ。「やりたくない」っていうのは、プリンスが偉大すぎてやっぱり矢面に立っちゃうんですよ。

(古坂大魔王)なるほど。マイケル・ジャクソンと一緒ですね。マイケル・トリビュートをするとすげー文句を言われるみたいな。

(宇野維正)そうそう。それを、けどグラミーとしてはプリンスにトリビュートせざるを得ないわけで。それをやってくれたブルーノ・マーズって、ひとつ貸しを作っているんですよね。

(古坂大魔王)すごいよかったですもんね。トリビュートでいちばんよかったですよ。

(宇野維正)そう。すごくよかったです。で、今年を見てみるとわかるように、サム・スミスが歌っているでしょう? U2が歌っているでしょう? あれは、要するに来年のグラミーに向けて「わかっているよね?」っていうような、いわゆるアーティストの……。

(宇野実彩子)裏のストーリー。

(宇野維正)そうなんですよ。だから受賞ものだけじゃなくて、パフォーマンスを見ると翌年が占えるというね。だからサム・スミス、U2あたりはノミネートはされていくだろうなっていう感じは。

(宇野実彩子)おおーっ!

(宇野維正)だって、やっぱりただでさえ、本当におじいさんたちが、まあ見るじゃないですか。サム・スミスやU2を。別にそれは全然裏取引とかじゃなくて、単純にすごいアピールになるんですよね。

(古坂大魔王)紅白で歌った曲が売れるみたいなもんですよね。

(宇野維正)そうそうそう。

(古坂大魔王)じゃあ、このブルーノ・マーズは宇野さん的には主要3部門……最優秀アルバム、レコード、楽曲賞。これはもう、納得ですか?

(宇野維正)納得です(笑)。

(古坂大魔王)フハハハハッ!

(宇野実彩子)アハハハハッ!

(古坂大魔王)待ちなさい!(笑)。

現在の音楽シーンの2つの傾向

(宇野維正)けど、今年の大きな傾向はブルーノ・マーズもハマッていて。また2つ、言いますと、いまの音楽シーンの2つの傾向というのは、ブルーノ・マーズはたしかプエルトリコ系とフィリピン系なんですけども。いわゆる「カラード」じゃないですか。だから、黒人というよりは非白人。カラードのアーティストが強いっていうのと、もうひとつは、これもノミネートを見た時、この間も言ったかもしれないですけど、男性のソロアーティストが強いんですよ。

(古坂大魔王)ああーっ! たしかに。

(宇野維正)今年のノミネートも軒並み、カラードの男性のソロアーティストなんですよね。

(古坂大魔王)これ、全く日本とは違いますもんね。全く違う。で、また……僕はそこはだからすごい悔しいなと思うところは、日本はちょっとガラパゴス化しすぎているなとも思うんですよね。グラミー賞、僕はちゃんとは見れていないんですよ。その日、ダメで。ハードディスクがいっぱいで撮れてなくて、超ショックで。まあ、ちゃんと見れてはいないから、いろいろと動画系とかで見たんだけども。でも、やっぱり最高峰ですもんね。ケシャとか……。

(宇野維正)はいはい。ケシャね。

(古坂大魔王)とかも、あの……自分のマイノリティーだったり、あんまり言わなくてもいいことも言いながら、映画のような数分間を作っているという。

(宇野実彩子)わかる! その1人が作り上げる世界観がもう壮大で、すごいですよね。

(古坂大魔王)今年、宇野さん的にはなにが印象に残りました?

(宇野維正)だからね、今年僕が印象に残ったのはやっぱりケンドリック・ラマーなんですけども。あと、チャイルディッシュ・ガンビーノですね。なんですけども、やっぱり今年はブルーノ・マーズが取ったことはあまり文句は言われてないんですよ。ただ、言われているのはやっぱり、「#metoo」とか「Time’s Up」とかこうやって女性たちのムーブメントみたいなものをみんな花(白いバラ)を飾ってやっていた割には、女性アーティストの受賞が少ないんじゃないか?って言われていて。

(古坂大魔王)なるほど。

(宇野維正)ただ、それは……それを言うんだったらグラミーがどうこうというよりも、いまシーン自体が本当にカラードの男性ソロアーティストの時代になっちゃっているというので。それは別にグラミーが悪いとは思わないんだけど。ただ、結果的に女性アーティストが、それこそちょっと前までのレディ・ガガ、ケイティ・ペリー、あとテイラーは来年はわからないけど、テイラー・スウィフトみたいな女性ソロの時代があったんですよね。そのへんの時代があったんだけど、いまはちょっとそれが変わってきちゃっていて。それと、女性たちのそういうムーブメントみたいなものが結果的にチグハグになっちゃったなっていうのがひとつ。

(古坂大魔王)それはでも、しょうがないですよね。

(宇野維正)しょうがないですよね。

(古坂大魔王)これは、だって本当の男女平等を言うならば、そこを文句言うのはおかしいですからね。まあ、性被害のあれはやった男はクズだと思いますけども。これはでも、見ていったらたしかにそうなるなっていう。で、僕1個だけ質問したかったんですけど、このコメディーアルバム賞ってあるじゃないですか。これ、はじめて知ったんですけど、どういうことなんですか? コミックソングを歌っているんですか? なんなんですか?

(宇野維正)アメリカって、伝統的にスタンダップコメディの作品をCD化するというか、音盤化するという文化があって。

(古坂大魔王)綾小路きみまろさんのCDみたいなもんですか?

(宇野維正)そうです、そうです。綾小路きみまろさんはもう完全にグローバル・スタンダードですよ。

(古坂大魔王)ああ、そうなんですか。

(宇野維正)で、今回それがテレビの放送でやったのは、ケンドリック・ラマーのステージがあまりにも強烈だったので、それを中和するためにデイヴ・シャペルが出たんですよ。それでデイヴ・シャペルに出てもらうから、デイヴ・シャペルが賞を取るやつの授賞式をテレビの放送時間内にやろうっていうような配慮があったんで。まあ、グラミーって本当に何百個も賞があって。テレビのショーが始まる前にもずっとやっているんですよ。それを今回、持ってきたから目立ったけど、伝統的にそういうレコード、音源化としてのお笑いというのは……。

(古坂大魔王)超うらやましいですよ。そういう世界。日本のレコード大賞にもほしい! 漫談とかネタがレコード……いまだったらDVDでもいいですよ。「本能寺の変」とか「ラッスンゴレライ」でいいような……それがあったら全然違うと思うんだけどな。M-1とかじゃない、また。このへんがアメリカ、いいよなって。

(宇野維正)まあ実際にDVDのセールスって結構お笑いがかなり占めてますからね。音楽業界にも貢献しているはずなんですよね。本当は日本でもね。

(古坂大魔王)ああ、そうか。レコードという意味ではね。で、いまYouTubeとかあれば、YouTubeで再生回数をミュージックビデオと捉えれば、結構行ったかもしれない。そんな中で、いまグラミーはこうなりました。今後、ライブを見てでもいいですけども。今後、宇野さんが注目するというのは? もちろん、いまいるアーティストでもいいです。ジャスティン・ティンバーレイクも出しました。そういう中で、宇野さん。この前も「SZA」とか言われて、やっぱり見ちゃいましたもん。

2018年 注目のトレンド

(宇野維正)まあ、SZAの曲とかもそうですけど、これからいま流行っているのが、ギターが見直されているんですよ。

(古坂大魔王)へー!

(宇野維正)要は、ソウルっぽい曲でも、それこそジャスティン・ティンバーレイクもクリス・ステイプルトンっていうカントリーのすごい大人気の人がギターを弾いたりとか。あと、カミラ・カベロっていうすごい人気あるアーティスト。彼女の作品も音が薄くて、ギターが結構メインになっているじゃないですか。

(宇野実彩子)ああ、うんうん。

(宇野維正)ロックは復活していないんですが、ギターは復活しているんですよ。で、そのギターの音というのが、エド・シーランとかもそうですけど、面白いのが80年代ぐらいまでの、あんまりエフェクトをかけていない……だからスマートスピーカーとかで聞いても耳に入ってくるみたいな、そういうクリアなギターの音が流行っているんですよね。それこそ90年以降のニルヴァーナとか、あとハードロック的なディストーションギターのギャーン!っていう音ではないんですよ。

(宇野実彩子)なるほど。クリアなギターの音。

(宇野維正)そこがポイントなんですよね。で、いまはだから流行りの音っていうと、そのギターの音を上手く……要は、ずっとEDMとかの時代にギターの生音って見過ごされてきた数年間があった中で。

(古坂大魔王)それのアンチテーゼですよね。

(宇野維正)だから、やっぱり時代は回っていくんですよ。さっきも「男性ソロアーティストの時代」って言いましたけど、また女性の時代もくるだろうし。カミラ・カベロとか、まさにね、今年に入ってからずっとチャートもトップだし。だから、象徴的なんですけども。あと、音楽的にはギターの音をどう、おしゃれに使うのか?っていうのがポイントと。もうひとつは、人口比的に絶対にこの流行は変わらないと思うんですけども。今年、(ルイス・フォンシ&ダディー・ヤンキー)『Despacito』が結局賞は逃したけど、シングルとしてはいちばんヒットしたじゃないですか。

(宇野実彩子)めちゃめちゃ聞きましたね!

(宇野維正)カミラ・カベロの『Havana』もスパニッシュな要素もあるんですけど、そういうスペイン語文化圏というのはアメリカでは白人とほぼ拮抗するぐらいの人口比にどんどんなってきていて。実は、黒人よりも多かったりするので。だから、さっき「黒人」というよりも「カラード」って言ったのも、そこも含めて、かならずしもスペイン語で歌っていなくても、そういうラテン系の人たちにアピールをするという。で、たぶんギターが流行っているっていうのもそこなんですよ。フラメンコとかもそれこそ、ギターの要素なんですよ。どちらかと言うと。

(宇野実彩子)へー!

(宇野維正)だからトロピカルハウスとかも、言ってみればそういうラテン的なリズムの要素に乗りやすいギターなんで。

(古坂大魔王)やっぱり人口なのかな? 日本の津軽三味線が世界に流行ればいいなと思って、僕は一生懸命三味線をEDMに入れているんですけど。やっぱり人口比率的に少ないっちゃあ少ないですもんね。

(宇野維正)けど日本って昔、こういうラテン歌謡みたいなもの、結構ポピュラーだったじゃないですか。

(古坂大魔王)それこそ『メキシカンロック』を橋幸夫さんが普通に歌ったりね。

(宇野維正)そうそう。だから、アメリカだけじゃなくてワールドワイドフィットということを……アップルミュージックとかSpotifyとかストリーミングでそのままわかるようになってくると、世界中の人口も考えたらスペイン語の人ってめちゃくちゃ多いじゃないですか。だから、全世界ラテン化みたいなものは着々と進んでいる感じはします。

(古坂大魔王)ラテン系がまた来ると。

(宇野実彩子)楽しみ!

(古坂大魔王)いまのが来はじめなのか、流行りなのかっていうところかもしれないですね。

(宇野維正)だからギターが来たので、ロックかと思ったらラテンだったというね、そういうところなんですよね。

(古坂大魔王)ふーん! たしかに。面白いですね。もうグラミーがある限り、宇野さんは仕事がなくなりませんから。そのうち、名前も「グラミー宇野」に変えるんじゃないかな?って(笑)。本当に勉強になりました。ぜひ、またグラミー近辺以外でも、おすすめ洋楽系を教えてもらえればと思いますので、よろしくお願いします。

(宇野維正)よろしくお願いします。

(古坂大魔王)で、この後に聞いてもらう曲。これはどうしても宇野さんが「これは一押しだ!」ということで、持ってきていただいて。なんて曲ですか?

(宇野維正)『Pray For Me』というケンドリック・ラマーとザ・ウィーケンドの『ブラックパンサー』という、日本だと3月の頭。アメリカだと2月16日に公開される映画のテーマソングっていうかエンドロールでかけられる曲らしいんですけども。

(古坂大魔王)へー!

(宇野維正)ちょっとね、『ブラックパンサー』ブームが今年、とんでもないことになりそうなんですよ。

(古坂大魔王)えっ?

(宇野維正)もうマーベルのあらゆる映画の前売券記録を全部塗り替えていて。

(古坂大魔王)ごめんなさい。僕はあんまり詳しくないんですけど。それは何系ですか? スーパーマン系ですか?

(宇野維正)そうです。だから、要するに初の黒人ヒーロー映画なんですよ。で、去年DCで、最近では初の女性ヒーロー映画の『ワンダーウーマン』が大ヒットしたじゃないですか。

(古坂大魔王)最高でした! もう俺、大好きです!

(宇野維正)『ジャスティス・リーグ』よりも『ワンダーウーマン』の方が全然当たっちゃったっていう。それと同じで、マーベルも今回『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』っていうのがあるんですけど、それよりも当たるんじゃないか?って言われているのがこの黒人ヒーローの『ブラックパンサー』なんですよ。

(宇野実彩子)これ、盛り上がってますよ。

(宇野維正)で、実はサントラを全部ケンドリック・ラマーがプロデュースしていて。そこにザ・ウィーケンドを呼んでやっているこの曲なんですけども。ちょっとケタ外れの大ヒットになるのと、いまの今日話したような、要するにカラードが文化の中心の象徴的な存在になっていくという……だからヒーロー映画もこういう風に、女性だったり黒人だったりがヒーローになっていくという、象徴的な曲です。

(古坂大魔王)じゃあ今度、映画の方でもまた絡んできていただければと思います。うち、 コトブキっていうやつがいるんですけど、もう止めて宇野さんに……(笑)。

(宇野維正)フフフ(笑)。

(古坂大魔王)素晴らしい。じゃあまたぜひともお越しください。今日の「イマ旬バックストーリー」、ゲストは音楽ジャーナリストの宇野維正さんでした。

(宇野実彩子)ザ・ウィーケンド、ケンドリック・ラマーで『Pray For Me』。

The Weeknd, Kendrick Lamar『Pray For Me』

<書き起こしおわり>

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