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宇野維正 小沢健二を知るための重要な3曲を語る

宇野維正 小沢健二を知るための重要な3曲を語る TOKYO FM
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『小沢健二の帰還』の著者、音楽ジャーナリストの宇野維正さんがTOKYO FM『LOVE CONNECTION』に出演。小沢健二を知るための重要な3曲と題し、選曲した楽曲を紹介していました。

(LOVE)今日は、週末にゆっくりじっくり読みたい本をご紹介します。今年に入って19年ぶりのCDシングルをリリース。7月にはフジロックに出演。9月にはSEKAI NO OWARIとのコラボシングルをリリースなど、2017年精力的に、ある意味急に活動をしているような印象もある小沢健二さん。そんな小沢健二の空白の時代があったことはみなさん、ご存知でしょうか? その空白の時代に迫った1冊『小沢健二の帰還』。この本を紹介したいです。で、この本を書かれたのが、『1998年の宇多田ヒカル』、『くるりのこと』の著者でらっしゃいます、音楽ジャーナリスト宇野維正さん。今日はスタジオにお迎えしております。よろしくお願いします。

(宇野維正)よろしくお願いします。

(LOVE)はじめましてなんですよね。

(宇野維正)そうですね。いつも収録でコーナーには出させていただいていたんですけども。

(LOVE)選曲コーナーに。そして私は『くるりのこと』を他の仕事が立て込んでいる時に1ページ目を開いたら、もう止まらなくなっちゃって、最後まで読み切って。Twitterではちょっと話させていただいたんですけど、今日は宇野さんにこの本についてももちろんなんですけど……私は実は小沢健二さん、だいぶ先輩で。いわゆる当時、フリッパーズ・ギターとかが大ヒットしている時っていうんはすごく小さかったからあまり詳しくない一般リスナー代表だと言いたいんですね。

(宇野維正)わかります。

(LOVE)小沢健二を語るにおいて、ファンのみなさまの理解の深さが尋常じゃないので。

(宇野維正)あまりグレーゾーンというか、ライトファンがいないというか(笑)。めちゃめちゃ好きな人と……だから、その人たちの温度の高さに他の人たちが引くっていうような状況がちょっと今年、顕在化されたのかなという気もしていますけども。まあまあ、そういう意味でもこの本がたよりに……。


宇野維正『小沢健二の帰還』

(LOVE)そう! 私、本当に新しい扉が開いて。小沢健二さんという方を知りたくて知りたくて仕方なくなったというような本なので。今日はそんな彼、小沢健二さんを知るための重要な3曲を宇野さんに選んでいただけないかと。3曲ってたぶん難しいと思うんですけど……(笑)。

(宇野維正)そうですね。まあ、もしかしたらひねくれた選曲になっているかもしれないですけど、お話をさせていただければと思います。

(LOVE)ぜひ! 曲を聞きながら、小沢健二さんの軌跡をたどれればと思うんですけど。宇野さん、1曲目はなににしましょう?

(宇野維正)1曲目はクリスマスソングがこの時期はいいかなと思って。『痛快ウキウキ通り』。彼の95年のシングルなんですけど、これを2010年のライブバージョンでお聞きいただければと思います。

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小沢健二『痛快ウキウキ通り』


※ライブバージョンではありません

(LOVE)これはみんな知っている曲ではありますけど、ライブテイクは上がりますね!

(宇野維正)これ、けど「プラダの靴がほしいの」って言った後のお客さんの「うおーっ!」って、すごいでしょ、これ?

(LOVE)アハハハハッ! この曲を選んだ理由は?

(宇野維正)まあ、95年というと前年の94年に『LIFE』が出て、それが彼のいちばん売れたアルバムで。その後にリリースしたシングルで、出せば全部ヒットした時代の代表曲なんですね。

(LOVE)いちばん広く、私たちが知っている小沢健二さんの時代かもしれない。

(宇野維正)この曲の「喜びを他の誰かとわかり合う それだけがこの世の中を熱くする」。まあ、このフレーズが小沢健二の表現のある種エッセンスというか。実は今回、本にもいろいろと書いたんですけども。『うさぎ!』という童話のようなものを空白期に書いていて。

(LOVE)そう。これが私、全く知らなかった部分で。ちょっとした絵本のレベルじゃなくて、たぶんおそらく彼は世界に対して思っていることをこの『うさぎ!』という寓話の中に全て注ぎ込んでらっしゃるような。

(宇野維正)もうすっかりそっちの人になっちゃうのかな?って思ったら、ふとこの「喜びを他の誰かとわかり合う それだけがこの世の中を熱くする」っていう曲のフレーズが中に入ってきたりして、「ああ、一緒なんだ。やっていることは同じなんだ」というようなことを気づかせてくれたのも、このフレーズだったりして。彼を理解するキーワードで。もう彼は、とにかくこの世の中を熱くすることを常に考えて活動をしてきた、そういうミュージシャンだと思います。

(LOVE)そうですね。

(宇野維正)この『痛快ウキウキ通り』も聞いてもらえばわかると思うんですけど、これ、リズムトラックって生演奏なんですけど、完全にヒップホップのビート感じゃないですか。特に『LIFE』以降の小沢健二って常にこのヒップホップ的なビート感っていうのがすごく重要な要素で。だから、彼の音楽っていつまでたっても古くならなくて。ヒップホップのクラシックって、ずっとみんな好きじゃないですか。そういう曲のように愛され続けている。耐用年数が長いというか。

(LOVE)長い。私、ここにこれだけの精神世界の深さ。さっきおっしゃった寓話の『うさぎ!』、それ以降の作品。この深さがあったことを知れたことが私は喜びだったんですけど。じゃあ、続いて2曲目に行きましょうか。

(宇野維正)じゃあ2曲目は、空白の時期といいますが、その時期に実は2枚、ニューヨークにいる時にアルバムを作っていて。その中の、2002年のアルバム『Eclectic』から『麝香』を聞いてもらえばと思います。

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小沢健二『麝香』

(LOVE)小沢健二さんを知るための重要な3曲を音楽ジャーナリスト宇野維正さんに選んでいただいております。2曲目は『麝香』。

(宇野維正)はい。こういう時代もあったんですっていうので。

(LOVE)めちゃくちゃかっこいい!

(宇野維正)めちゃめちゃかっこいいでしょう? これが4枚目のアルバム『Eclectic』という、これは当時、彼はずっとニューヨークにいて。インタビューも国際電話で数本受けただけなんですよ。だからそんなプロモーションをしていないので……それでも当時、トップテンとかにはそれでも入っていたんですけど。ただ、やっぱり渋谷系とか王子様とか、そういうイメージで当時小沢健二を好きだったリスナーは「なに? この大人っぽい音楽?」みたいな感じでびっくりしちゃったっていう。で、今回本では、なんでこういう音楽になっていたのか?っていうことを詳しく書いているんですけども。これはやっぱり、小沢健二ってやっていることが僕もずっと、それこそフリッパーズ・ギターのデビューの前から追っていますけど、あの時に何がしたかったのか?って時間がたってからわかることが結構多くて。

(LOVE)はい。

(宇野維正)これも、たとえば2014年。それこそ12年たってから、このアルバムに入っている『1つの魔法』っていう曲をCeroがシングルでカバーしたりして。だから12年ぐらいたってから再評価が一部の音楽マニアの間で盛り上がったような曲で。

聞いてもらえばわかるけど、その時にCeroってディアンジェロとかね、そのへんの音楽にすごくハマって。で、作品を作っていた時代で。それで自分たちがどうやるか?っていう風なことを考えた時にひとつの指針となったのがこの小沢健二の『Eclectic』の時期の音楽だったという。

(LOVE)あと、私はこの本を読んで実はいちばん聞きたくなったアルバムがこの前作から6年も空いた『Eclectic』。ニューヨークで彼がなにをしていたのかが全くわからない中、精神性と音楽性の深みがすごかったというこの作品。この『麝香』を今日聞けてうれしいです。

(宇野維正)けど、かっこいいでしょう?

(LOVE)めちゃめちゃかっこいい!

(宇野維正)これとかもやっぱり、リズムはヒップホップ的だし、ベースラインはカーティス・メイフィールドとかそのへんの、まあシカゴソウルっぽい感じで。だから、やっぱりブラックミュージックの要素っていうのがすごく小沢健二の音楽で、特に『LIFE』以降に重要で。いまでこそ、星野源さんとかCeroとかSuchmosとか、そういう同時代のブラックミュージックみたいなものを自分の音楽に日本のミュージシャンとして取り入れているバンドやミュージシャンは増えていますけども。

(LOVE)これって音から聞いて取り入れる作業であって、小沢健二さんの場合はもう人生と自分の居場所っていうのを旅路のように、実際に経験するとか、歴史を遡るような旅をしながらこの音を作っていることは私、理解の深さが全然他とは違うなって思うんですよ。

(宇野維正)だからね、歌詞がすごくこの時期の小沢健二さんってエロいんですよ。で、やっぱりエロ去って、特にブラックミュージックにおいてはすごく重要な要素で。ただ、やっぱりそれを突き詰めることによって、ある種の大衆性みたいなものは失ってしまうんだけども。それでもこの時期の彼は突き進んで行ったという、そういう作品ですね。

(LOVE)不思議! なんて原始的な衝動と、10何年たたないと、「ああ、こういうことか!」ってわからないという早さというか、最先端とが。普通、混在するなんてなかなか難しそうなのに、ここが小沢健二さんの面白いところなのかなって。

(宇野維正)はい。

(LOVE)さあ、続いて……もうダメだ。私、今日1曲ずつものすごく聞きたいのが多すぎる(笑)。じゃあ、続いて3曲目に選んでくださいな。

(宇野維正)はい。この曲は1997年12月にリリースされた、要するにニューヨークに彼が旅立つ前にリリースされた『ある光』というシングル曲です。

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小沢健二『ある光』

(LOVE)小沢健二さんを知るための重要な3曲を宇野維正さんが選んでくれています。3曲めは『ある光』。

(宇野維正)はい。この曲は1997年にリリースされて、その後にもう1枚シングルを出して彼は活動を休止するんですけども。今年2月に出た『流動体について』っていう19年ぶりのシングルというのは、厳密にこの『ある光』の続編なんですよね。

(LOVE)ほう!

(宇野維正)で、この曲がある種の、当時はわからなかったんですけども。あとから思えばこの曲は「この線路を降りたら」っていうフレーズで象徴されているように、彼が日本の音楽シーンから姿を消すことを書き残した曲で。で、『流動体について』っていうのは羽田に彼が飛行機で帰ってくるところから始まるというね。だから、やっぱりポップスターとしての小沢健二というのがこの曲によってピリオドを打って、今年『流動体について』で復活したというような、つながっているんですよね。この曲は……「小沢健二といえばこの曲」っていうのはファンであればあるほど挙げる曲なんですけども。

(LOVE)ええ。

(宇野維正)ついこの間の日曜日にも、下北沢で……銀杏BOYZの峯田(和伸)くんもこの曲がいちばん好きな曲ということを以前から言っていて。なんと、下北沢の路上でいきなり小沢健二さんと峯田くんが……(笑)。

(LOVE)そうなの! みんな音楽好きの人たちはなんかちゃんとプランニングがあっていろんなことが行われていることを大前提に音楽を聞くじゃん? あれ、絶対にないですよね(笑)。

(宇野維正)だから、今年もテレビに小沢さんが出た時に、やっぱり復活した理由のひとつに「Ceroみたいなバンドが前線で頑張っているから、また日本で音楽をやろうと思った」って言っていて。だから、SEKAI NO OWARIと一緒にやった曲もそうですけども、それだけじゃなくていま、ミュージシャンの中でのつながりというか、ミュージシャンにしか見てない小沢健二のヤバさみたいな、そういうものは渋谷系とかそういう文脈を抜きに、次の世代、その次の世代と引き継がれているということで。まあ、ただマスメディアに出ていなかったので、実際に何をやっていたんだろう?っていう疑問にこの本で答えたかったということなですよね。

(LOVE)しかもその答えがめちゃめちゃ面白かったっていうね。私はこういう風に世界を旅しながら、人間のあるべき姿を問うような、そして答えを見つけていくような。そしてさらにそれが、枠にとらわれずに音楽にしていけるということに震えましたね。小沢健二さんのいままで知らなかった部分を、この本で扉を開いていただいたような感じで。さらに知りたくなりました。

(宇野維正)ありがとうございます。

(LOVE)ということで『小沢健二の帰還』。刊行を記念して来年の1月11日に大阪ロフトプラスワンウエストで宇野さんの単独トークイベントもあったりして。さらに、こちらはチケットはソールドアウトなんですけど、12月3日には東京の本屋B&Bでも刊行記念イベントが開催予定。宇野さんのTwitterとかInstagramもフォローして、ぜひみなさんチェックしてほしいんですけど。最後に私、宇野さんマジですごいなと思ったのが、膨大な資料に対して、宇野さんはこの何十年間ずっと小沢さんを能動的に追いかけていたんですね。

(宇野維正)そうなんですよね(笑)。書くなら今年かな?っていう感じで書いたんですけど、書き終わってみて「あれ? 俺、もう音楽の本、書くものがないや」みたいにいまなっていて(笑)。ちょっとピンチなんですけども。なので、これからも頑張りますが、ぜひこの本を手にとっていただければ。

(LOVE)ぜひ! 私は宇野さんと小沢健二さん、それぞれの生き方から能動的に自分たちがなにか、疑問に思った時に探していくということがどれだけ大事なのか?って、また違うアプローチでも感動してしまっていたので。

(宇野維正)小沢健二のもうひとつ、今日流さなかった代表曲に『天使たちのシーン』っていう曲があるんですけども。みんなありきたりの、決まった答えとかじゃなくて、自分の言葉を能動的に発するようになる世界というのを彼はいちばん求めて、音楽を作ったり文章を書いたりしているんだと思います。

(LOVE)ぜひ、私はみなさんにそんな風に今週末をすごしてほしいんです。この本、読んでみてね! ということで今日は音楽ジャーナリスト宇野維正さんをお招きいたしました。会えてすごいうれしかったです!


宇野維正『小沢健二の帰還』

(宇野維正)いえいえ、とんでもない(笑)。

(LOVE)ありがとうござます!

(宇野維正)ありがとうございました。

<書き起こしおわり>

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