菊地成孔が語る 東南アジア化する日本と新宿焼肉六歌仙のタイ人観光客

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菊地成孔さんがTBSラジオ『粋な夜電波』で日本の気候が東南アジア化していく話と、新宿大ガードそばの焼き肉『六歌仙』がタイ人観光客だらけになっている話をしていました。


(菊地成孔)(リスナーのメールを読む)『日本の大部分の地域が温帯湿潤気候から熱帯気候に変わりつつあるような昨今。そろそろ日本に住んでいる人々のメンタリティーも、はやされたら踊りだす、みたいなラテン系でいい加減なものに変わらなきゃやっていられない今日このごろです』。(笑)。あの・・・まあ、厳密に言えばね、ラテン系っていうより、こういうのは気象に詳しい方がちゃんと説明したほうがいいと思うんですけど。私、この番組っていうか他のエッセイとかいろんな媒体で同じことを言ってるんですけど。日本はラテン系っていうより、東南アジアになる。気候的には。これからどんどんどんどん。東南アジアになっていくの。

だからクアラルンプールだ、チェンマイだ、ってなことになるわけですよ。なので、我々は東南アジア人になっていくことが自然とこう、適応する方向性ですね。まあ、本当はね、しとしと雨が降って、四季が豊かで。ちょっとこう、粋と無粋があって。酸いも甘いも噛み分けた、気心知れた、いなせな人々。優しい人々っていう、それが気候とあっていたんですね。もうだんだん、そうもいかなくなってきましたよ。もう六歌仙のあたり、ヤバいですよ。いきなり『六歌仙のあたり、ヤバいですよ』って言われても、なんのことかわからないでしょうけど。最近とうとう見かねて、地上波までが動き出しましたけども。

焼肉六歌仙がタイ人に大人気

新宿のですな、通称『大ガード』ってのがあって、そこが十字になっていますよね。それは靖国通りと新宿通りがY字で合流しているところに大ガードがあるんですよ。まあ、アルタの手前ですよね。それでそこが、小滝橋通りと十字になっている。その角のところに六歌仙。ビルが立っていて、焼肉屋がある。ここはいま、客層が100%タイなの。どういうわけだか、口コミで爆発的に広がっちゃって。日本でいちばん美味い焼肉屋は六歌仙だ!って。他にもいっぱい美味しい焼肉屋、あるんですけど。なにかそういうブームっていうのは、すごい力を持っていますから。タイ人の方がとにかく大量に来て。観光バスみたいなのに乗ったら、もう六歌仙が入っているわけ。私、タイの方が六歌仙の和牛の焼肉。和牛、あれは私はそんなに好きではないんですが。あそこ、通りますから。毎日なんだかんだで。

菊地成孔が語る 東南アジア化する日本と新宿焼肉六歌仙のタイ人観光客

そうするとですね、タイの方がいっぱいいるんでびっくりして。どうしたのかな?と思ったのが、もう4・5年前なんですよ。ところがもう、これすっかり定着しちゃって。だから韓国人もいない、フィリピン、ベトナム、もちろん中国の方もあんまり来ない。もうタイの方がマーケットを押さえちゃっている焼肉屋さんがあるんですね。で、まあそこを、タイの方々は日本の焼き肉のタレがおそらく甘すぎるんだと思うんですけど。自家製のタレを全員、片手に持っているんですよ。最初の頃は、私、それがなんだかわからなくて。なんか、タイの飲み物かな?って思っていたの。ペットボトルに入れてあるから。タイのお茶だ、あれはって思って。なんかつぶつぶつぶつぶ入っているけど。後から考えたら、唐辛子の粉だったんですけど。

と思っていたんですけど、それは焼き肉屋のタレで。自分で日本式のタレにそれを加えたり、別皿もらって自分で使ったり。自家製のホームメイドのタレをフリーにしてるんですね。六歌仙は。それによってタイの人が、もう肉は美味いわ、タレは自分で作ったわでもう大喜びになっちゃって。っていうのを、もう潜入番組、ずいぶん見ましたね。だけどね、始まりは4・5年前で。やっぱりね、地元民の方が早く気がつくんですけどね。まあ、あれ。ペットボトルに入ったなんか。言っちゃあね、美味しいんでしょうけど。見た目はグロいのね。ですけど、それがタイなんですよね。

私、ラジャダムナンでムエタイ見たことあるんですよ。で、私どっちかっていういと食べ物が床にポトッと落ちたりすると、絶対捨てる方いるじゃないですか。パッパッてはたいて食べる人は、昭和は多かったんですけども。平成、さらに21世紀ともなりますと、もうなんかダメですよね。いまね。でも私、いまだに床にポトッと落ちたの、拾って食っちゃう派なんで。それでもですよ、たとえばベトナムなんかいくと、いまそんなことないと思うんですけど。かき氷の氷の元になっている水が傷んでいるだろうから、どんなに厚くてもかき氷食うなって言われたんだけど、我慢できなくて食ったら旅行が全部台無しになったって話、昔よく聞きましたよね。

で、まあまあそれでも比較的食べちゃう方で。中国行って昆虫の料理が出たら食っちゃうし。南米行って爬虫類の料理出たら出たで食っちゃう人間なんですけど。タイのラジャダムナンで物売りが売りに来たジュースだけは買えませんでした。15円だったんですけども(笑)。牛乳瓶に牛乳と、たぶん青果市場で余った木っ端のフルーツを適当に刻んだものを中に入れて。で、後からあたかも製品のように、そこらに落ちている牛乳の蓋を蓋にして。ビニールで輪ゴムで留めているやつを売りに来るんですよ。絶対これ飲んだら死ぬと思って(笑)。さすがにそれは飲めなかったんですよ。なんだけど、隣を見るとね、普通に少年とかが買ってゴクゴク飲んでいたりするんですね。で、中に入っているメロンの木っ端食ったりして。ぜんぜん元気そうに暴れているから。土地の人はそうなんでしょうけど。

タイ料理とかベトナム料理って、そもそもそういう密林ですよね。料理自体がね。なんで、まああの中に旨味があるんだっていうのがやっぱり。でも、我々もああなっていかなきゃいけないです。これから。気候が東南アジアに変わっていくわけだから。きれいなお皿に中トロ。もう醤油がハケでさっと塗ってある中トロの握りが1個置いてある。もうそんなこと言っている場合じゃなくなりますよ。もう。なんで、まあなんの話につながるか?っていうと、六歌仙でみなさんが一律持っていたものも、あれがタイのジュースだと思っていたっていう話なんですけどね。ええと、次の曲、行きましょうかね。

<書き起こしおわり>

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